投資する前にみてほしい、やってはいけない3つのこと
馬渕磨理子氏(以下、馬渕):みなさま、こんにちは、「馬ちゃん」こと経済アナリストの馬渕磨理子です。このチャンネルでは、金融に関わる情報や株式投資のトレンド、みなさまからのご質問にお答えしていきます。
ナビゲーター:馬渕さんの動画を見て、最近投資を始めてみたいと言っている会社のスタッフがいましたので、初心者向けに、投資で絶対にしてはいけないことなどを教えていただきたいです。
馬渕:わかりました。せっかく「やりたい」と思っていただけたということで、失敗しないようにお伝えしたいのですが、投資で絶対にしてはいけないことは大きく分けて3つあります。
投資でやってはいけないこと、その1
馬渕:おそらく、「投資するぞ」と思ったら、すぐさま10万円、20万円を用意して、自分の貯金を全部突っ込みたくなると思うのですが、それはやめたほうがよいですね。
全額を投資せずに少し余裕を持って、自分が「少し損をしてもいいかな」と思うくらいの金額で、まずは始めてください。
ナビゲーター:僕は大学生の頃に、20万円くらい突っ込んでしまいました。
馬渕:大学生で20万円はけっこうな金額ですね。
ナビゲーター:バイトやお年玉で貯めていた分を、突っ込んでしまいました。
馬渕:「今やりたい」と思って新しいことをすると、けっこう勢いづいてしまいますので、突っ込んでしまうのもわかります。
ナビゲーター:勢いづいて投資してしまいましたね。
馬渕:それが初心者ではありがちなことなのですが、投資を始めた頃は冷静な判断ができませんので、「まずは少額から始める」というのが1つ目です。
ナビゲーター:少額とは、だいたいどのくらいですか? おそらく、会社のスタッフは「手元資金は20、30万円あるよ」と言っていたと思います。
馬渕:それであれば、まずは2、3万円ですね。10分の1から始めるのをお勧めします。これは「リスク許容度」と言われており、自分の性格とすり合わせたほうがよいですね。
もし、「20万円のうち、10万円がなくなっても大丈夫」と思えるのであれば投資してもよいと思います。「この先バイトがたくさん入っているから、収入が安定している」ということであれば、20万円のうち10万円を使ってもよいですね。
しかしこの先、受験勉強が忙しくてバイトができないとしたら、収入は20万円しかありませんよね。そこから半分使うのは危険ですので、その場合は1、2万円にするなど、大きく投資しない選択肢もありえます。
ナビゲーター:素朴な疑問ですが、1万円から3万円でできる投資はありますか?
馬渕:あります。1万円からでもできますし、「単元(未満)株」であれば、100円から投資できます。
ナビゲーター:単元(未満)株とは、例えばどのようなものですか?
馬渕:「ミニ株」ともいいます。例えば、売買単位が100株で、株価1,000円の銘柄に投資しようとすると、「×100」となりますので、最低でも10万円が必要です。
ナビゲーター:けっこう必要ですね。
馬渕:単元(未満)株は100円でも買えるため、若い方でも投資ができるようになっています。したがって、1万円なり2万円なり、自分の許容できる範囲でコントロールしたほうがよいですね。
ナビゲーター:「ドン」と突っ込むのではなく、慣れるために、まずは少額から始めるということですね。
馬渕:ぜひ、少額から投資してほしいです。
投資でやってはいけないこと、その2
馬渕:2つ目ですが、「ドン」と投資した時、もしかして、1つの企業や1つの商品にすべて投資しましたか?
ナビゲーター:新作を出していたため、値動きがありそうなゲーム会社に突っ込みました。
馬渕:けっこうリスキーですね。
ナビゲーター:非常に揺さぶられましたね。株価が上がるタイミングで、どこで売ったらよいのか迷いましたが、その後落ちてしまい、「いつ損切りしたらいいんだよ」となってしまいました。
馬渕:もし、20万円をそこに全部突っ込んでいたら、それが「人生」になってしまいますね。
ナビゲーター:20万円で、「人生」でしたね。
馬渕:そうではなく、例えばゲーム株に3万円、自動車関連株に3万円と分散すれば、業種が違いますので関連性がないですし、電力株などであれば、もっと状況は違ってきます。
このように、値動きがまったく違う銘柄に投資することが大事です。「分散投資」というのですが、20万円あれば少し分散して、株だけではなく為替や、リターンは少ないのですが「国債」を持ってみたり、不動産のREITを持ってみたりすればよいと思います。
これはポートフォリオといわれていますが、分散することが大事です。分散投資をすれば、「ゲーム株で全部やられる」といったことを避けることができるため、リスクヘッジになります。
ナビゲーター:どこかが下がっても、「まあまあ」くらいになるということですか?
馬渕:そのとおりです。どこかが下がっていれば、上がっている銘柄もありますので、まずは「手元資金をどこに何パーセント振り分けるのか?」計画的に考えていきます。
私も最初は、「やろう」「やりたい」と意気込んでしまっていました。このような緻密な思考をあまりしたくないといいますか、面倒で「えいっ」と投資してしまうのです。
しかし、投資はそのようなものではなく、私も知らなかったことですが、「確保した資金を、まずはどこに何パーセント振り分けて投資しようかな?」と、計画性を持って行うことが大切です。
ですので、それができれば、分散投資が自然にできるようになります。
ナビゲーター:分散投資は大事だといいますものね。
馬渕:そのとおりです。言葉ではよく聞くのですが、面倒でできないのです。しかし逆算して先にポートフォリオを考えて、「どこに何パーセントずつ振り分けようかな?」というような計画表を作れば、必然的に分散投資できます。
分散投資をしなければと思うと、「ちょっと面倒くさい」「そんなことはわかっているよ」と、おそらくみなさま感じていると思います。しかし、計画を立てるところからスタートすればよいと思います。
投資でやってはいけないこと、その3
馬渕:3つ目は、「時間を分ける」です。「1回の購入で分散しましょう」というお話をしましたが、最後は時間を分けます。つまり、投資したいタイミングで全部投資するのではなく、毎月定期的に購入していくほうがよいということです。
ナビゲーター:企業を分散して、時間も分散するということですか?
馬渕:時間を分散すると、「リスクヘッジ」になりますね。
ナビゲーター:「つみたてNISA」などでは、毎月一定額を買うと思いますが、それと同じことですか?
馬渕:そのとおりです。株価は値動きがあるため、例えば、株価が5,000円の時に20万円買った銘柄が、半値の2,500円に下がることもあります。
しかし、株価が安くなった分たくさん仕込めますので、そこで保有数を確保します。株価は戻っていきますので、上がってくると、実はトータルで利益の幅が大きくなるという考え方です。
したがって、コツコツ時間を分散して買ったほうがリスクヘッジになりますし、資産もそのほうが大きくなりやすいと考えています。
ナビゲーター:これは、「ドルコスト平均法」というものですか?
馬渕:おっしゃるとおりです。よくご存じですね。ドルコスト平均法で、コツコツ買っていきます。
最近は「つみたてNISA」をする方が増えたようですが、若い方は「つみたてNISA」で、自分の毎月の収入の10パーセント程度にあたる1万円、2万円を定額で投資しています。「ほったらかし投資」で、何十年か経てば、資産形成できるかたちです。
ナビゲーター:今してはいけないことの裏返しで、「こうしたほうがいい」と教えていただきましたが、それがオールインワンパッケージで揃っているのが投資信託ですか?
馬渕:そのとおりです。投資信託もそうですね。
ナビゲーター:1万円から買える、いろいろな企業がパックで入っている積み立てですよね?
馬渕:ETFなどがそうですね。ETFは上場している投資信託で、何千本と数があるため、そのうち「これだったら優秀だよ」といった約200本を国が厳選しています。「つみたてNISA」はそこから選べばよく、投資家にとってかなり優しい制度ですね。
ナビゲーター:ほったらかしにしておきたい人は、「つみたてNISA」や投資信託を選んで自分で組み替えたり、自分で投資の力をつけたい人は、資金が増えてきたら、自分で投資すればよいのですね。
馬渕:そのとおりです。「つみたてNISA」などは個別銘柄がないため、個別銘柄に入れたい人は、自分でポートフォリオを組んで投資すればよいのですが、最初からは無理ですので、「つみたてNISA」などから始めてみるのもよいですね。