エグゼクティブ・サマリー

西山剛生氏(以下、西山):財務経理部長の西山です。スライドは本日のエグゼクティブ・サマリーです。まず、2025年3月期の業績概要についてご説明します。

売上高は、前期比0.6パーセント増収の361億3,500万円となりました。経常利益段階では、販売管理費が1.4パーセント増加したことにより、前期比23.3パーセント減益の9億6,400万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比65.2パーセント増益の6億7,000万円でした。

2026年3月期の業績予想は、売上高375億円、経常利益は10億円と、増収増益の見通しです。

経営戦略については、我々のビジョンである「地域に必要とされる店に」の実現に向けた実施事項について、スライド下部に記載しています。

目次

スライドは、本日のご説明内容の目次です。

会社概要・事業概要

当社グループの概要についてご説明します。まず当社の会社概要と事業概要についてです。当社は本年、創業者が個人創業してから70周年となります。これもひとえにみなさまのご支援とご愛顧の賜物と心より感謝します。

事業内容は、主にメンズ・レディスのビジネスウェアとその関連洋品の販売を行っており、2025年3月末時点でのグループの合計店舗数は370店舗となっています。

スライド右側に、ショップブランドについて記載しています。「はるやま」は、主にロードサイトに展開している、創業当時からの主力ブランドです。

「P.S.FA」は正式名称を「パーフェクトスーツファクトリー」と言い、20代から30代をターゲットにしたショップブランドです。ショッピングセンターや都心ターミナル駅などに展開しています。

さらに、大きいサイズのお客さまを対象にした、ビジネスからカジュアルまでファッションアイテム全般を展開している「大きいサイズの店 フォーエル」があります。ほかにも、「TRANS CONTINENTS」というショップブランドでは、ファッション感度の高いビジネスパーソンに向けたウェアを展開しています。

「モリワンワールド」は、北陸地方を中心に展開しているアパレルショップです。そして、大きいサイズのメンズ向けオンラインストア「ミッド・インターナショナル」は、当社グループである株式会社マンチェスが運営するECショップブランドです。

2025年3月期 連結損益計算書

2025年3月期の業績概要についてご説明します。まず連結損益計算書です。スライド左側の表は、2024年3月期と2025年3月期の損益計算書の比較です。右側のグラフは、売上高と経常利益・経常利益率の5ヶ年の推移です。

今期の売上高は前期比で0.6パーセントの増収となりました。主な要因は、レディス向け商品の売上とフレッシャーズ商戦が堅調に推移したことによるものです。また、EC売上高は前期比で4.5パーセントの増収となっています。

売上高を、スライド右上のグラフで過去から長めに見ると、コロナ禍で売上高は大きく落ち込みました。しかしながら、その後、店舗統廃合に着手し、2021年3月末の445店舗から、2025年3月末には370店舗と、75店舗減少しました。この間に1人当たりの売上高は回復しています。

損益面では、2025年3月期の計上利益は9億6,400万円となりました。積極的な店舗修繕・改装、システム導入による販管費増加などにより、前期比で2億9,200万円減益となっています。

一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前々期に発生したシステム開発の中断による特別損失4億5,900万円がなかったことから、前期比2億6,400万円増益の6億7,000万円となっています。

既存店売上高推移

スライドは、2025年3月期の販売動向を月ごとに表したグラフです。既存店ベースでの売上高、お客さま1人当たりの買い上げ客単価、客数を前年度と比較したものです。

売上高は、気候変動の影響もありましたが、フレッシャーズ商戦が堅調に推移したこともあり、通期では前期比101.3パーセントの結果となりました。

客数は、春先に不調であったことと、長引く猛暑の影響による秋物需要の遅れがありました。下期にブラックフライデーや年末商戦などの戦略を行ったものの、通期では前期比97.3パーセントの結果となりました。

買い上げ客単価は、昨年に続き100パーセント以上を維持し、通期では前期比103.9パーセントと堅調に推移しました。前期から取り組んでいる販売価格の見直しが奏功した結果ですが、原価の上昇も続いており、引き続き見直しに取り組んでいきます。

経常利益 増減要因分析

スライドは、2025年3月期の経常利益の増減を、個別の要因に分解したグラフです。売上高の増加により1億3,200万円の増益となりましたが、売上総利益率が前期比で0.4ポイント減少し、1億5,200万円の減益となりました。

人件費で6,200万円の増益、広告宣伝費で8,500万円の減益、家賃地代で6,500万円の増益となっています。その他販売管理費では、システム導入や、積極的な店舗の修繕・改装・ほっとひと息ステーションの増設などで3億2,300万円の減益となりました。

これらの要因を通算して、経常利益は前々期の12億5,600万円から2億9,200万円減収の、9億6,400万円となりました。

2025年3月期 連結貸借対照表

連結貸借対照表です。負債勘定では、金融債務の圧縮が大きく進展しています。長期借入金の約定返済が進んだことで、前期比で14億5,600万円の借入圧縮となりました。

借入金返済が進んだため、負債総額が前期比で40億6,300万円減少し、総資産も前期比で38億4,100万円減少しました。自己資本比率は50.6パーセントから55.6パーセントに向上しています。

財務の安全性を高めることで、今後は前向きな成長投資を伴う経営戦略を展開できる環境を整えていきます。

2025年3月期 連結キャッシュフロー計算書

連結キャッシュフロー計算書です。2024年3月期と2025年3月期のキャッシュフローを比較しています。

営業キャッシュフローは、1億3,800万円のキャッシュアウトとなりました。買掛金の減少と未払金の減少などが主な要因です。

投資キャッシュフローは、店舗関連の投資やソフトウェアへの投資を進めたため、11億8,700万円のキャッシュアウトとなりました。

財務キャッシュフローは、長期借入金の返済が進んだことで、19億4,900万円のキャッシュアウトとなりました。その結果、期末現預金は105億5,100万円と、 前期比で32億7,500万円減少しています。

2025年3月期 出退店状況

店舗数の推移です。スライドのグラフは、過去5年間の出退店の動きを示しています。2025年3月期は、9店舗出店し、13店舗退店しました。

なお、出退店のうち7店舗は多様化するニーズにマッチした売場作りを目的とした移転と、ショップブランド変更による移転です。移転はショッピングセンター内移転が多く、従来のスーツ売場からオフィスカジュアルやレディス売場を拡大するなど、販売率を高め、時代にマッチした売場作りを進めます。

また、2026年3月期も、店舗力を高めるための移転や、不採算店舗の退店を進めていきます。

現状分析

2023年3月に、東京証券取引所から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請が発せられています。

弊社としては、2024年の決算説明会で対応方針をお伝えしましたが、今回はその後の経過をご説明します。このテーマについては、前々期の決算説明会から継続的に取り上げてきました。

前回の説明会でもお話ししましたが、株価を引き上げ、PBR1倍以下という現状を打破するために、まず収益力を高め、持続的な成長力を取り戻すことを課題として認識しています。そして、そのためには、コロナ禍の前後から抑制してきた投資活動を適切な規模で進める必要があると判断しました。

その上で、今期の取組課題として「投資活動のギアを上げる」ことを掲げ、店舗の改装や修繕、DX投資、人的資本投資への取組もスタートしています。一方で、スライドに記載のとおり、PBRは依然として0.4倍台と、1倍割れが継続しています。

2025年3月期までの取組み経過

スライドに、2025年3月期までの具体的な取組経過について示しています。

1つ目は、投資活動の取組状況です。「ほっとひと息ステーション」は、10店舗増設し、合計61店舗まで展開拡大しました。「ほっとひと息ステーション」をご利用されるお客さまも19.8パーセント増加しており、レディス商品の売上好調につながっていると認識しています。

店舗修繕、改装も120店舗以上進めており、今期も店舗力を高めるための改装、移転を進める計画です。なお、投資状況に関しては、経営戦略の中でご説明します。

2つ目は、自己株式の取得です。株主のみなさまへの還元と資本効率を高める策として、70万株を上限とする自社株買いを進めています。

また、創業70周年における記念配当を実施します。年間配当は1株当たり普通配当15.5円に、記念配当4.5円を加えて、20円としています。

3つ目は、投資家や株主のみなさまへの情報開示策です。2025年3月期決算より、決算説明会の資料を多くの投資家のみなさまに届けられるように、複数のIR情報発信チャネルへ掲載しています。

さらに、2024年12月より、当社ホームページを全面的にリニューアルし、デザインの一新と見たい情報へのアクセス向上を図っています。リニューアル後の3ヶ月で見ると、アクセス数は前年同期比で107.6パーセントとなっています。

私からのご説明は以上です。

2026年3月期 業績予想

中村宏明氏:代表取締役社長の中村です。私から業績予想についてご説明します。スライドの左側に前期の業績、中央に今期の業績予想を記載しています。

売上高は375億円、前期比プラス3.8パーセントと増収予想です。オフィスカジュアル・レディス向け商品の販売強化、Eコマースの強化を行いながら、「ほっとひと息ステーション」を増設するなど、店舗力の向上を進めていきます。

営業利益は6億3,000万円、経常利益は10億円と、増益を予想しています。これらの背景については、後ほど経営戦略の中でご説明します。

配当方針並びに配当予想

配当についてです。2026年3月期はこれまでどおり安定配当の実施を考えており、1株当たり15.5円での配当を予想しています。

利益還元については、引き続き経営上の最重要課題の1つとして位置付け、安定的な配当の維持、継続を基本方針として踏襲していきます。

ビジョン「地域に必要とされる店に」を実現する為の経営戦略

ここからは、経営戦略についてご説明します。当社では、ビジネスウェア市場の変化を睨みながら、企業文化の変革にチャレンジすべく、経営戦略のテーマとして「シン・HARUYAMA」を掲げています。

スライド上段に表示している「シン・HARUYAMA」の「シン」は、当社のビジョンである「地域に必要とされる店に」を実現するための柱となるもので、「信頼」「進化」「自信」「新規」の4つの「シン」の実現を目指しています。

この4つの「シン」を実現し、企業文化の変革に取り組むための課題が、スライド下段に示した5つです。

1点目は「商品・サービスを再編成する」、2点目は「デジタルを起点とした新たな事業改革を加速する」、3点目は「店舗力を高める」、4点目は「企業文化を変革しエンゲージメントを向上する」、5点目は「サステナビリティの重要性を認識し社会的責任を果たす」です。以上の5つに全社で取り組んでいきます。

商品・サービスを再編成する

1つ目の「商品・サービスを再編成する」を実現するための取組として、「NEW BIZ WEAR」をキーワードに、各事業部において、オフィスカジュアル商品の販売強化を行っていきます。

はるやま事業部では、前期よりご好評をいただいているメンズの「KATHARINE E HAMNETT」とレディスの「INDIVI」の展開に加え、お客さまにより快適にご着用いただくため、ストレッチや速乾など高機能な商品を充実させ、オフィスカジュアル商品の販売を強化します。また、健康関連商品の1つであるリカバリーウェアの展開店舗の拡大を計画しています。

P.S.FA事業部では、トレンドの素材やパターンを用いたオフィスカジュアル商品の販売を強化します。

自分のライフスタイルに合わせ、ファッションを楽しむビジネスパーソンに向けた、「TRANS CONTINENTS」の商品ラインナップを拡大していきます。レディスは、ソフトスーツの展開数やインナーのバリエーションを増やすほか、オフィスカジュアル商品を中心とする売場の拡大を計画しています。

フォーエル事業部では、お客さまの声を反映させた商品シリーズである「+LABO」商品のラインナップを増やし、「お客さまが本当に欲しいウェア」を提供します。

また、猛暑と長引く夏を快適に過ごすための商品を増量するなど、お客さまに寄り添った商品を増やし、おしゃれを楽しみたい、日本中の身体が大きい人を笑顔にできるお店を目指していきます。

商品・サービスを再編成する はるやま事業部

また、はるやま事業部では、「モノ」ではなく「トキ」を提供するサービスとして、2018年からロードサイドの店舗を中心に導入してきた「ほっとひと息ステーション」の展開拡大を予定しています。

「ほっとひと息ステーション」とは、月額会費をお支払いいただくことで、はるやまの店舗内でお好きな時にさまざまなサービスを利用できる、健康をテーマとしたサービスです。

これらのサービスは、地域に必要とされる店になるために、商品をご購入いただく時だけでなく、ふだんから気軽に店舗をご利用いただきたいという思いで導入しています。

前期末までに61店舗を展開していますが、今期はさらに3店舗の増設を計画しています。すでに展開済みのステーションでも、コンテンツや内装の模様替えを随時行い、より多くのお客さまにリラックス空間をお楽しみいただけるよう努めていきます。

デジタルを起点とした新たな事業改革を加速する

2つ目の取組課題である「デジタルを起点とした新たな事業改革を加速する」についてです。前提として、ECは、地理的制限・時間的制限がなく、お客さまにはるやまでお買い物を楽しんでいただくことを目的としています。

今期には、EC限定ブランドの「Muscat(マスカット)」がデビューしました。デイリーで着用するカジュアルウェアの提案を通して、新たな顧客接点を創出したいと考えています。

また、お客さまの利便性をより高めるため、ECと店舗のクロス利用を加速します。例えば、店舗にお求めのサイズがないなどの場合、商品を店舗にてオンラインで注文し、レジでお支払いいただいて、お客さまのご自宅にお届けする「EC注文店舗決済」サービスを始めます。

スライド右側の棒グラフは過去4ヶ年のEC売上高、折れ線グラフが全社の売上に対するEC比率を示しています。どちらも継続的に上昇しています。自社ECに加え、「ZOZOTOWN」や「Amazon」といったECプラットフォームでの商品展開も強化し、売上の拡大に貢献していきます。

店舗力を高める

3つ目の取組課題である「店舗力を高める」についてです。スライド上段の写真のとおり、従来のスーツメインの売場から、オフィスカジュアルやレディス売場を拡大するなど、イメージ刷新を目的とした改装を計画しています。

また、前期に引き続き、店舗不動産や駐車場を有効に活用するため、転貸事業にも注力し、アパレル事業以外での収入を確保します。

新たな経営体制

ここからは、新たな経営体制についてご説明します。当社の代表取締役の異動については、5月15日にお知らせしましたが、あらためてご紹介します。

現取締役会長の治山正史が代表に復帰し、会長職と兼務しながら、当社グループの経営を指揮します。創業70周年を節目に、新たな経営体制の下で今後の社会環境の変化に迅速に対応し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。

正式には、6月27日の株主総会および取締役会で決定します。

ビジョン「地域に必要とされる店に」を実現する為の経営戦略

経営戦略でお話ししたとおり、当社は戦略テーマとして「シン・HARUYAMA」を掲げています。具体的な取組課題は、画面上の5つです。

新たな経営体制の下で、5つの取組をより深化・加速させ、従来のスーツ中心の販売からオフィスカジュアルへの移行を進めていきます。

その上で、新規事業開発事業部を立ち上げ、M&A室・健康商品開発室を新設し、新たなビジネス領域への進出や、DX化を推進していきます。

さらに、ビジネススタイルを進化させ、会社を次のステージに導くために、「ゲームチェンジ」をキーワードに、新たな企業価値の創造を目指していきます。

グループ会社紹介

最後に、当社のグループ会社についてご説明します。競合他社との差別化のポイントとして、我が社には特徴的なグループ会社があります。これらのグループ会社とともに、今後もさまざまな事業展開を進めていきます。

以上が、はるやまホールディングスの今期の経営戦略です。

質疑応答:前期に好調だった商品について

司会者:「スーツ市場が縮小する中、全社売上は前年から伸長しているとのことでしたが、前期はどのような商品が好調だったのでしょうか?」というご質問です。

西山:主には、レディス向け商品の売上が好調でした。メンズでは、ジャケットなどのオフィスカジュアルウェアが好調に推移しています。そのほかにも、リカバリーウェアや制服の販売が好調でした。

今期は、「商品・サービスを再編成する」ための取組として、「NEW BIZ WEAR」をキーワードに、オフィスカジュアル商品の販売をさらに強化していきます。

質疑応答:店舗不動産の有効活用の見通しについて

司会者:「店舗不動産の有効活用が損益にどのように貢献しているのですか? また、今後、転用可能な店はどの程度ありますか?」というご質問です。

西山:売上高に対する比率としては、まだ決して高くありませんが、転貸事業の収益は、営業外収益の受取地代家賃として前期には3億3,200万円を計上しており、年々拡大しています。今後も、店舗不動産の有効活用の拡大を視野に入れていきたいと考えています。

転用可能な店舗については具体的にはお話しできませんが、まだまだ今後も拡大する余地はあると認識しています。