経営理念
南條博昭氏:株式会社タクマについてご紹介します。当社は、1912年に日本で初めて純国産技術によるボイラを発明した田熊常吉が、1938年に創業した会社です。
当時は、ボイラを通じて社会に貢献するという「汽罐報国」の精神を理念として掲げていました。現在のサステナビリティにも通じるこの「汽罐報国」の考えを受け継ぎ、当社グループは自らが生み出す財・サービスによって世の中に貢献することを経営理念とし、事業活動を展開してきました。世の中が必要とするもの、世の中に価値があると認められるものを生み出すことで、社会に貢献します。
現在は、ごみ処理プラントやバイオマス発電プラント、水処理プラントなど、環境とエネルギーの分野を中心に製品やサービスを提供しています。持続的な社会の発展に、当社の技術やサービスが求められていると考えています。
沿革
当社は、田熊常吉による純国産ボイラの発明をルーツとしています。1938年の創業時はボイラの製造を手掛けていましたが、ボイラの技術を高めていく中で燃焼技術や水処理技術を培い、その技術を活用してごみ焼却プラントなど環境設備の分野へ進出し、1963年には日本初の連続式ごみ焼却プラントを納入しました。
以来、環境保全とエネルギー利用の技術を発展させ、その時々のお客さまや社会のニーズに応じた製品・サービスをご提供してきました。
業績推移
近年の業績はこのように推移しています。1999年にダイオキシン類対策特別措置法が制定されたことで、2000年前後にかけてごみ処理プラントの更新・改造工事が一時期に集中しました。その後数年間は反動で建設需要が減少したため、新たな需要を取り込むべく2000年代中頃に海外へ展開しましたが、大きな損失を計上する結果となりました。
2000年代後半から、ごみ処理プラントの需要回復に伴い国内へ軸足を移すとともに、ベース収益となるアフターサービスの取り組みに注力しました。2012年にFIT制度が始まったことでバイオマス発電プラントの需要が急増したこともあり、売上高・経常利益ともに安定的に推移するところまで回復しています。
2030年に向けた長期ビジョン(Vision2030)
今後の当社グループのビジョンとしましては、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Vision2030」を掲げています。お客さまや社会とともに持続的な成長を目指すESG経営を推進し、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心に、リーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続けることを目指しています。プラント納入後のメンテナンスや運転管理などのストック型ビジネスを成長ドライバーとして現在の事業を維持・拡大し、2030年度に経常利益200億円を目指します。
事業セグメント
長期ビジョンの実現に向けて、現在は4つのセグメントで事業を展開しています。環境・エネルギー(国内)事業、環境・エネルギー(海外)事業、民生熱エネルギー事業、設備・システム事業の4セグメントがありますが、環境・エネルギー(国内)事業が売上高の約8割を占めています。利益も同事業が牽引しています。
また、同事業の売上高の約6割が自治体向けごみ処理プラントなどの一般廃棄物処理プラント事業、3割が民間企業向けバイオマス発電プラントなどのエネルギープラント事業、1割が水処理プラント事業その他であり、それぞれプラントの設計・調達・施工(EPC)と、アフターサービスを中心に手掛けています。
ビジネスモデル(環境・エネルギー(国内)事業)
環境・エネルギー(国内)事業におけるプラントエンジニアリング(EPC)とアフターサービスのビジネスモデルの概要をご説明します。
当社の納入するプラントは、地域のごみ処理を支えるほか、電力や熱を供給する重要なインフラとして、20年、30年と長期にわたって安定的に稼働することが求められます。技術的に信頼性の高いプラントの建設と、引渡後、継続的にプラントの運転管理やメンテナンス・改造工事を行い、性能を維持・改善することで安定稼働を実現し、お客さまの行政サービスや事業活動を長期にわたり支え、信頼関係を築いていきます。
1つのプラントを建設してお客さまへ引き渡すまでには、概ね2年から5年の工期が必要です。契約後、プラント全体を設計し、必要機器をサプライヤーへ発注、もしくは自社工場で製造を行い、建設場所へ輸送します。
現地工事では、施工管理者として機器の据付工事や配管工事、電気工事などの指揮をとり、プラントとして建設していきます。プラント完成後の試運転では、各機器や設備が計画どおり稼働するか検査を実施した後、プラント全体の性能を確認します。所定の性能が発揮できることを試験で確認した後、お客さまへお引き渡しします。
その後、運転管理やメンテナンス・改造工事といったアフターサービスを継続して行っていきます。なお、一般廃棄物処理プラント事業では、民間企業が持つノウハウを活用する観点から、運転管理とメンテナンスを10年、20年といった長期にわたり一括契約するO&M(Operation & Maintenance)やDBO(Design,Build,Operate)事業での発注が増加しています。
DBO事業 売上高・受注残高の計上イメージ
よくご質問をいただく、受注高・売上高・受注残高の関係を記載しています。DBO事業の業務は、大きく建設事業(EPC)と運営事業(O&M)に分かれます。EPCは、契約時にその総額を受注計上し、工事の進捗に応じて売上高に計上していきます。工期は概ね2年から5年程度ですので、期末時点でまだ売上高に計上されていない部分、すなわち受注高からそれまでの売上高を引いた額が受注残高として認識されます。
O&Mは、契約時に契約期間にわたる受託金額の総額を受注計上し、その後プラントが竣工して運営を開始した日以降、事業期間にわたって売上に計上していきます。したがって、受注高や受注残高にはその10年、20年分の受託金額も含まれることとなります。
なお、EPCの売上は、現地での建設工事が進捗するプロジェクトの後半にかけて多く計上される傾向にあります。
財務データ(四半期毎)
以降は四半期毎の財務データを記載しています。受注高は、主力事業であるごみ処理プラントの1件あたりの受注金額が大きいため、四半期で見ると契約時期によって変動があります。
財務データ(四半期毎)
売上高は、納期が年度末となる工事が多く、第4四半期にかけて進捗、引渡が多くなる傾向にあるため、第4四半期が他の四半期と比較して大きくなる傾向にあります。ご参考にしていただければ幸いです。
最後になりますが、タクマグループは、お客さまに寄り添い、リーディングカンパニーとして従来の枠にとらわれない発想と積極的な取り組みによりESG経営を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
お客さまや社会とともに、持続的に成長していく企業として価値を高め、私たちを信頼してくださる、お客さま、株主さま、従業員やタクマグループの企業活動に協力してくださるお取引先など、すべてのステークホルダーのみなさまの満足を目指します。 みなさまにおかれましては、一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。