Agenda

志水雄一郎氏:みなさま、こんにちは。フォースタートアップス株式会社代表の志水でございます。ただいまより、2022年3月期第3四半期の決算説明会を開催いたします。アジェンダはスライドに記載のとおりです。

フォースタートアップス株式会社

会社概要です。当社は2016年9月に法人を設立しました。現在の社員数は110名で、日本で初めてのセグメント名である成長産業支援事業を展開しています。

沿革

沿革です。2013年に、東証一部に上場しているウィルグループの一事業としてスタートしました。2016年9月に法人として設立、2020年3月に東証マザーズに上場しました。

2021年8月には、フォースタートアップス1号投資事業有限責任組合を設立し、ベンチャーキャピタル事業へ参入しています。

ミッション・ビジョン・バリュー①

ミッション、ビジョン、バリューをご紹介します。まずはミッションです。昨年、新ミッションとして「(共に)進化の中心へ」というものを掲げています。「共に」の部分に括弧がついていますが、これには重要な意味があります。

私たちは「支援者」であるという立ち位置のみならず、時には自らも時代を作る「主体者・創造主」にもなる覚悟を、この括弧に秘めています。

次にビジョンです。当社は2018年に法人名を変更しましたが、その際に、ビジョンを社名にするという世界でも稀有な決断をしました。この「for Startups」というビジョンを社名としたことで、私たちの世界観は広がっています。

ミッション・ビジョン・バリュー②

最後にバリューです。私たちは「Startups First」「Be a Talent」「The Team」の3つのバリューを掲げています。このバリューのもとに人が集い、ともに闘い続けています。

創業の背景①

創業の背景です。2022年度版の世界時価総額ランキングでは、日本の会社は上位10社において皆無で、上位50社で見ても1社しか含まれません。競争力のない企業でしか構成されていない日本が、世界において強いわけはないのです。

日本は強くなれないのでしょうか? 必ず、再度強くなることができます。かつての日本は強かったのです。1989年は「失われた30年」がスタートした年と言われていますが、その時の世界時価総額ランキングは、上位10社のうち7社が日本の会社で構成されていました。上位50社で見ても、32社が日本の会社でした。

その時は、優秀層の人々が挑戦して新産業を作った結果、これが国家の競争力となりました。今では米国、中国などで新産業を生み出した人たちが、その国の競争力となり、今の時代の競争力となっています。

創業の背景②

私たちは、日本に成長産業支援の仕組みを新たに作り、日本の国際競争力を挽回します。このために生まれ、このミッションを実行すること、これが当社の目指すところです。

成長産業支援事業 概要

事業のご紹介です。私たちの事業は大きく2つにわかれています。1つ目は、人とお金を最適に投資するハイブリッドキャピタル、2つ目は、アメリカのシリコンバレーや中国の深センのように、スタートアップが育成されるために必要な情報、制度、環境などを整備するスタートアップエコシステムです。

当社はハイブリッドキャピタルとスタートアップエコシステム、この2つの要素で構成されています。

成長産業支援事業を支えるTechLab.

私たちの事業はテクノロジーが支えています。自社で抱える優秀なエンジニア陣が、自社のプロダクト、および基幹システムの構築などを行っていることが、私たちの成長に繋がっています。

フォースタートアップスの強み

当社の強みを4つにまとめています。1つ目は外部環境です。海外でも同様ですが、今やベンチャー支援は国家戦略の重要なポイントとなっています。日本においても、この市場は長期的に見て高い成長を示す可能性があります。

成長産業、新興市場への資金流入については、後ほど詳しくお話ししますが、引き続き増加傾向です。DXは、今や世界的に語られていますが、2019年から2030年にかけて、日本におけるDX市場は3.8倍に拡大すると言われています。このような外部環境が、私たちを支えています。

2つ目はネットワークです。私たちは、イノベーションに関わる多くのプレイヤーとの共同経済圏を形成しています。ベンチャーキャピタルや、スタートアップを応援する意志を持つ大企業、政府、エコシステムビルダーのみなさまに加え、日本を代表する起業家の方々が経営するスタートアップなど、多くのプレイヤーとのコミュニケーションを重視しており、そのようなプレイヤーとのコミュニティを形成しています。

3つ目は実績です。5年と3ヶ月の間に私たちがご支援した2,153名の中において、32.5パーセントが、そのスタートアップの経営および事業の根幹となるハイレイヤー人材です。

4つ目はデータベースです。私たちが誇るのは、日本を代表する成長産業を可視化するための情報プラットフォーム「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」です。2018年から構築をスタートし、運用しています。

STARTUP DB 概要

「STARTUP DB」は現在、ユーザベース社が運営する「INITIAL」と並んで国内で双璧をなす、スタートアップを可視化したデータプラットフォームへと進化しました。「STARTUP DB」は、日経産業新聞、Forbes Japanなどのさまざまなメディアにおいて、スタートアップ関連情報を取り扱う際の出典元となっています。

さらに、世界最大のベンチャーデータベースである「Crunchbase」と業務連携しており、日本のデータをお渡ししています。

「STARTUP DB」は今や、日本のスタートアップを可視化するために重要なプラットフォームとなっています。

独自のスタートアップデータベースにより、「成長産業市場」を可視化

私たちのビジネスモデルについて、スライド左上から順にご説明します。上部の箇条書きのところですが、テクノロジーを活用して、Web上に公開されている登記簿、官報などの情報をロボットエンジンで収集しています。

さらに、日本を代表する起業家、投資家のみなさまから成長戦略、事業戦略などのプレゼンを行ってもらっています。私たちのオフィスで開催する年間の勉強会の回数は、昨年度は156回となりました。

そのような情報を加味し、スライド中央の「STARTUP DB」で日本全体のスタートアップを可視化し、さらに裏側では成長性でランキング化し、日本で一番勝たせなければいけないスタートアップ群を特定します。

その上で、人材支援をタレントエージェンシーが行い、資金支援をフォースタートアップスキャピタルが行います。さらに、大企業とスタートアップをつなぐビジネスアライアンス・資本業務提携を担うオープンイノベーションがスタートアップをバリューアップします。これらを組み合わせて、必ず勝てる強いスタートアップを生み出す構造を展開しています。

調達市場・VC関連のニュース

市場環境についてご説明します。2021年10月から12月にかけて、大型の資金調達が多数生まれました。資金調達の方法も多様化し、例えば、Spiberは事業価値証券化により50億円を資金調達し、宇宙ゴミを掃除するアストロスケールはシリーズFで124億円を調達するなど、各社で大型の資金調達が相次いでいます。

参考:政府のスタートアップ企業支援策

参考として、日本政府のスタートアップ企業支援策をご紹介します。我が国では、ユニコーン企業を2025年度までに50社創出、ならびにVC投資額の対名目GDP比を2022年までに倍増することを成長戦略として掲げています。

また、新政権においてもスタートアップを応援するための施策が5ヶ年計画で発表される予定です。今後、日本のスタートアップ群がますます進化するための仕組みが整う可能性が高いと考えています。

スタートアップ資金調達市場(国内)

国内のスタートアップ資金調達市場は、親会社および融資、社債での資金調達を含めると1兆円を超えました。初の1兆円超となり、2021年の1社あたりの調達額は7.5億円で、1社あたりの資金調達額が過去最大となりました。

【タレントエージェンシー】市場規模

当社の主軸事業であるタレントエージェンシーの市場規模についてご説明します。人材紹介市場全体で5,874億円の市場があり、その中で「ホワイトカラー人材紹介市場」が3,000億円市場、「情報通信産業における人材紹介市場」が750億円市場です。そして、私どもが主たる領域として戦っている「国内有力スタートアップにおける人材紹介市場」は現在100億円と捉えています。

【タレントエージェンシー】市場の成長ポテンシャル

この100億円の市場は資金調達市場の成長に伴い、年平均成長率25パーセントで拡大、拡張し、2024年にはロジック上で250億円の市場まで拡大すると見ています。このマーケットでしっかりとシェアを握り、拡大、拡張していくことが、私たちの成長につながると考えています。

2022年3月期通期業績予想

2022年3月期の業績予想については、8月に発表した業績予想をさらに上方修正させていただきました。売上高は22億円から23億円に、営業利益は4億5,000万円から6億円に、経常利益は4億5,000万円から6億円に、当期純利益は3億1,000万円から4億5,000万円に修正しています。

上方修正について(利益面)

今回の上方修正について、利益面でのポイントをご紹介します。昨年8月に上方修正を発表した業績予想では、営業利益が4億5,000万円でした。そこに、営業活動による粗利益増加分8,100万円と、今回の大きな上方修正の主要因となる採用計画未達による人件費未消化分1億400万円が加わります。

そして、オフィス増床によるコスト増がこの利益分を押し下げますが、結果的に約6億円の営業利益として今回の業績予想を発表させていただきました。

業績予想に対する進捗

業績予想に対する進捗ですが、このたびの上方修正により、引き続き足元は堅調に進捗しています。

2022年3月期方針

2022年3月期方針はこれまでと変わらず、第2創業期、ハイブリッドキャピタル元年と捉えて、事業の成長にコミットしていきます。

年度売上高・営業利益推移

年度売上高、営業利益推移については、今回の上方修正により、年平均成長率がこれまでの31パーセントから32パーセントに上昇しました。引き続き、成長にコミットしていきます。

全社受注額推移

第3四半期業績についてご説明します。まずは、全社受注額推移についてです。人材紹介需要の安定成長が続いており、オープンイノベーションの受注も拡大しています。結果として、受注額はこの四半期において6億6,600万円まで拡大し、過去最大の受注額となりました。

【全社】正社員数推移

今回課題となっている正社員数推移についてです。第3四半期での社員数は110名です。期初の87名から、今期中にご入社いただける方を含めると最終的に117名まで拡大予定で、年間でプラス30名の人員拡大となります。

しかし、本来の目標である年間50名増員に満たない点は大きな課題であると考え、第3四半期からこの課題の解決に努めました。今期は業績も好調で、優秀な人材も多く採用できました。しかし、さらなる仲間を増やす活動の中で、私たちが市場の可能性を信じ過ぎ、慢心していた部分があったと思います。

結果として、目標を一部達成できない可能性が出てきたため、役員陣総出で採用活動にあらためて取り組んでいます。スライドに記載のように、全社的なKPIの設定、採用部門の人員強化、採用関連費用の積極投下なども行い課題解決を進めています。

この部分については、また次の説明会でもお話ししたいと思います。 

【タレントエージェンシー】ビジネスモデル

各サービスの状況についてご説明します。タレントエージェンシーについては、個人に対しては起業と転職を支援し、法人に対しては中途採用の支援を行っています。

また、ベンチャーキャピタルと連携して、より強いチームを作っています。これがタレントエージェンシーの事業モデルです。

【タレントエージェンシー】ポジショニングマップ

当社の強みの1つは、スタートアップ・急成長企業にフォーカスし、さらに経営層・経験豊富な人材に特化していることです。当社の取っているポジションは、国内では非常に稀有な存在と言えます。

【タレントエージェンシー】四半期売上高推移

タレントエージェンシーの四半期の売上高推移についてです。昨対で、同四半期比プラス98.8パーセントの成長ですが、季節要因もあるため、前四半期対比では減少となっています。入社は1月に偏るため、今までの傾向値として第4四半期が大きな売上高となります。

【タレントエージェンシー】人材紹介 取引数と単価

タレントエージェンシーにおける人材紹介の取引数と単価についてです。単価は高水準を維持しています。入社数が少ないのは、1月に入社が偏るという季節要因です。

【タレントエージェンシー】起業支援

起業支援で、我々がどのようなサービスを提供しているのかご説明します。世界で最も起業志向の低い国家と言われるこの日本において、私たちが可能性のある方の背中を押し、起業を提案しています。現在までに6社の起業をプロデュースしました。

【タレントエージェンシー】支援実績企業例

タレントエージェンシーの支援実績についてです。ベンチャーキャピタルが推奨する企業群に対し、私たちが経営幹部から組閣支援します。この分野においては、圧倒的なブランディングが形成されたチームとなっています。

【タレントエージェンシー】転職支援実績例

転職支援実績に関してですが、ビジネスサイドでは「EVANGE(エヴァンジェ)」、エンジニアサイドでは「HEROES(ヒーローズ)」というメディアで、その事例を紹介していますので、ぜひご覧ください。

TOPICS:iX HEADHUNTER AWARD 2021「ハイクラス決定人数部門 第2位」を受賞

私たちがヒューマンキャピタリストと呼んでいるタレントエージェンシーを構成するメンバーは、高い実績を誇ります。その事例の1つとして、パーソルキャリアにおけるハイクラス転職サービスにおいて、決定人数部門で第2位を受賞しました。

TOPICS:ビズリーチ「UNDER 30 MATCHING AWARDS 2021」

また、30歳未満のヘッドハンターを評価するイベント「UNDER30 MATCHING AWARDS」で、トップのベストマッチング賞を当社社員が受賞しました。社会の物差しで高く評価されるヒューマンキャピタリストを、今後もより多く輩出していきたいと考えています。

TOPICS:社員数500名の内、約50名を当社がご紹介 株式会社SmartHR

私たちが支援する企業で今回紹介するのは、クラウド人事労務ソフトのSmartHRです。社員数500名の中、当社はトップの実績である50名を支援しています。さらに、COOの倉橋さまも当社の紹介です。

フォースタートアップスキャピタル

フォースタートアップスキャピタルについてです。タレントエージェンシーとセットで、ハイブリッドキャピタルを形成する重要な役回りとなるため、今回から2つ目の事業として紹介していきます。

2021年8月に、三井住友銀行をアンカーインベスターとするファンドを設立し、今回、2社目の投資を行いました。それがユアマイスターです。スライドのカテゴリーでは、「B:起業支援を通して立ち上がった企業への資金支援」です。

TOPICS:人的支援×資金支援のハイブリッドキャピタル

投資先2社に関する2つの事例を紹介します。1社目の投資先であるフェズは、リテイルテックの企業です。こちらは2019年から取り組みを開始し、CTO、管理本部長、ビジネス側の執行役員を含め、累計25名を支援しました。人とお金を投資するハイブリッドキャピタルで、フェズの成長を支えています。

TOPICS:人的支援×資金支援のハイブリッドキャピタル ②

2つ目の事例は、今回投資したユアマイスターです。楽天の幹部候補生だった星野さまの背中を押しました。当社と、日本ベンチャーキャピタル協会会長でありインキュベイトファンドの代表パートナーでもある赤浦さんとのコラボレーションで作ったものがユアマイスターです。

現在の社員数は100名で、そのうち20名ほどが当社の支援です。また、経営幹部11名中5名についても同じく当社の支援となっています。ユアマイスターの成長も、ハイブリッドキャピタルとして支えていきたいと考えています。

【オープンイノベーション】ビジネスモデル

3つ目の事業、オープンイノベーションについてです。大企業とスタートアップ、また政府とスタートアップなど、私たちはオープンイノベーションに必要なプレイヤーとプレイヤーとをつなぐ事業を、このオープンイノベーション事業を通じて展開しています。

【オープンイノベーション】四半期売上高推移

この四半期の売上高は、前年対比172パーセントで成長してきました。

TOPICS: STARTUP DB ENTERPRISE

「STARTUP DB」のエンタープライズ版を利用してくださっている会社をご紹介します。1つは三菱総合研究所、もう1社はインテル社です。このようなメジャーな企業群に対して、私たちのサービスが導入され、スタートアップと大企業とをつなぐオープンイノベーションが実行されています。

2022年3月期「ハイブリッドキャピタル元年」と位置付け

最後は、中長期を見据えた考え方についてです。2022年3月期を「ハイブリッドキャピタル元年」と位置付け、事業の展開を行っています。

中長期の考え方

私たちは成長産業支援のインフラとして、ハイブリッドキャピタルを形成することと、そしてそのハイブリッドキャピタルが進化するために必要なスタートアップのエコシステムを構築していくことに、経営資源を集中しています。

中長期 売上高成長イメージ

当社が目指しているのは、中長期で年平均成長率プラス30パーセントの成長です。これをしっかりやり遂げる企業体でありたいと考え、経営しています。

for Startups

私たちは、世界で勝てる成長産業・成長企業を日本から生み出し、邁進していこうと考えています。今回、人材採用については少し課題がありましたが、この課題をしっかりと解決し、前に進んでいきたいと考えています。

引き続き、みなさまのご支援をよろしくお願いいたします。