2026年3月期決算説明
NCS&A、売上高・営業利益・経常利益が過去最高を更新 5期連続配当増額修正と自己株買いで株主還元強化
事業環境(情報サービス産業)

小林裕明氏:NCS&A株式会社執行役員常務経営戦略室長の小林です。決算概要についてご説明します。
まずは事業環境についてです。雇用・所得環境が改善する中、企業の投資においても持ち直しが見られます。しかし、中東情勢の影響や金融資本市場の変動などにより、先行きは依然として不透明な状況です。
また、経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を背景に、古い基幹業務システムを刷新する動きが本格化しています。
さらに、生産性向上や新たなビジネスモデルの構築を目的として、クラウドサービスや生成AIの活用が進んでおり、IT投資は引き続き堅調に推移しています。
NCS&Aは

当社の紹介です。創業は1961年、大阪市で設立しました。2026年度で創業65周年を迎えます。お客さまは約1,700社、パートナー企業は約200社です。
従業員の有給休暇取得日数は年平均16.6日、残業時間は月平均11.4時間で、10年前と比べると50パーセント減少しています。
営業利益率は12.1パーセント、ROE(自己資本利益率)は14.7パーセントです。
NCS&A 2026年3月期 ハイライト

2026年3月期のハイライトです。売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新しました。営業利益率は12.1パーセントです。
売上高は224億円、営業利益は27億円、経常利益は28億円という結果となりました。
2025年6月に平均5パーセントの給与水準の引き上げを実施しました。2026年6月も同様に実施し、3年連続で平均5パーセントの賃上げを行っていることになります。
また、育児・介護休職取得者のサポートを行った組織や、社会貢献活動を行った従業員に対してインセンティブを付与する制度を新設しました。
サステナビリティへの取り組みも継続して推進しています。この内容については後ほどご説明します。
NCS&A 2026年3月期 ハイライト

ハイライトが続きます。株主還元を推進しました。2026年3月期には、中間配当25円、期末配当33円の配当を実施します。
また、140万株、総額21億円の自己株買いを推進しており、2026年5月末時点で約124万株、総額17億円を取得しています。自己株取得終了後には、300万株の消却を予定しています。
さらに、5期連続で配当を増額修正しました。
2026年3月期 通期 経営成績

2026年3月期通期の経営成績です。売上高は主力ソリューションの伸びが寄与し、224億8,500万円となりました。営業利益は売上高の増加と利益率の向上により27億1,400万円、経常利益は28億7,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は20億6,700万円という結果でした。
売上高(売上分類別)の状況

こちらは売上分類別の状況を示したグラフです。当社は4つの売上区分に分類し、施策の進捗を管理しています。
自社製品によるソリューションは、自社製品を直接お客さまに販売するものです。システムインテグレーションは、提案・開発・保守を含めて一貫したサポートを提供するサービスです。機器・パッケージは単独で販売するものを指し、受託開発は大手メーカーからの受託業務を示しています。
当社は継続して自社ソリューションの強化を図っており、自社製品によるソリューションについては2026年3月期に約68億円、構成比30パーセントまで進捗しています。
営業利益の変動要因(前年同期比)

こちらは営業利益の変動要因を表したものです。前期末の営業利益19億9,300万円に対し、売上の増加による利益増が約6億円、売上総利益率の改善によるものが約3億円、人件費などの増加で約マイナス2億円となり、結果として営業利益は27億1,400万円となっています。
受注・売上・受注残の状況

こちらは受注、売上、受注残の状況を示したものです。2026年3月期までの3年間の推移を表しています。左側の濃い青色の棒グラフは受注高を、右側の薄い青色は売上高を示しています。その上の折れ線グラフは期末の受注残を表し、さらにその上の折れ線は継続売上を含めたみなしの受注残を示しています。
2026年3月期の受注高は219億700万円、期末の受注残は47億8,600万円でした。受注残は前期から約6億円減少していますが、これは前年度に大型のマイグレーション案件があったため、その差額が影響しています。みなし受注残は保守などの継続契約案件の増加により、前年度からほぼ横ばいの状況です。
資産・負債・純資産の状況

こちらは資産・負債・純資産の状況を示しています。資産は213億9,100万円で、前期から7,000万円増加しました。大型の自己株買いを実施しましたが、業績が好調だったこともあり、ほぼ横ばいの結果となっています。
負債合計は75億2,500万円で、前期から4億3,100万円増加しました。これは賞与引当金の増加や前受金による契約の増加による契約負債の増加によるものです。
純資産合計は138億6,600万円で、前期から3億6,000万円減少しました。これは自己株買いによるものです。
NCS&A 2027年3月期 見通し

辻󠄀隆博氏(以下、辻󠄀):NCS&A株式会社代表取締役社長の辻󠄀です。本日は決算説明会にお集まりいただきありがとうございます。私からは、2026年度の重点施策についてご説明します。
まず、2026年度の日本経済の見通しについて記載しています。こちらは4月28日付日本銀行の「経済・物価情勢の展望」から引用しています。中東情勢の影響が懸念されていますが、我が国の経済は緩やかな成長を続ける見込みです。
次に、2026年度のIT業界の見通しについて記載しています。企業のITサービス需要は引き続き高い見込みです。具体的には、クラウドや生成AIの普及、経済産業省の「2025年の崖」を背景としたレガシーシステム(古いコンピューターシステム)刷新への対応、セキュリティ強化への投資などがIT業界の成長を牽引すると見込まれています。
特にAIについては、単なる便利なツールにとどまらず、その活用領域が大きく広がりつつあります。これまでツールとして使われていたものが、今後は企業の競争力の中核を担うと予測されています。
また、AIエージェントや自律型AIの本格活用へも強い期待が寄せられています。
NCS&A 2027年3月期 対処すべき課題

先ほどAIの将来性が非常に高いとお伝えしましたが、それにより当社の事業を阻害する要因が1つ生じています。それは、メモリの長期的な供給不足です。
AI市場の世界的な需要拡大を背景に、AIサーバやデータセンター向けの高性能メモリの需要が急増しています。高性能メモリの生産が強化されているため、一般向けのメモリの供給が抑制され、長期的な供給不足が生じています。
その結果、サーバおよびパソコン機器の調達に支障が生じており、業績への影響が懸念されます。当社がビジネスを展開する中堅・中小マーケットにおいて、実際にサーバおよびパソコンの調達に支障が出ています。
企業価値向上に向けた成長投資の強化

2026年度は力を蓄える1年と位置付けます。事業への投資と人材への投資を推進し、さらなる企業価値の向上を目指したいと考えています。
事業への投資については、主力ソリューションを強化することで他社との差別化を図るとともに、社内スタートアップ制度の拡大を進めていきます。社内にとどまらず、信頼できるパートナーと互いにリスクを取った協業ビジネスを積極的に進める予定です。
さらに、シナジー効果が期待できる企業や研究機関などと連携を進めていきます。
具体的な進捗として、2025年度における研究開発費に3億1,300万円を投じたことや社内スタートアップ制度にこれまで約5億円を費やしていることが挙げられます。
また、生成AIを含む投資を現在拡大中です。
信頼できる相手と互いにリスクを取った協業ビジネスについては、当社のソリューションと介護用品のレンタル・販売業者や、当社が得意領域とするホテル業者との協業ビジネスを推進しています。
スライド右側には、人への投資について記載しています。当社は健康経営を推進し、社員が生き生きと働けるよう環境改善を継続しています。また、社員に多様な働き方を提供し、その中から自身の働き方を選べるような会社にしていこうと考えています。
具体的な進捗としては、2025年度より、育児・介護休職を取得した従業員をサポートした組織や社会貢献活動を行った従業員にインセンティブを付与する制度を開始しました。
AIに関しては後ほど詳しく説明しますが、当社の主力ソリューションへAIを組み込んだり、AIを活用してプログラムコードからドキュメントを生成したりなどの自社製品への組み込みを進めています。管理部門のスタッフを含め、すべての従業員が生成AIを安全かつ安心して自由に活用できる環境を構築しようと考えています。
レガシーシステム脱却の課題

経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」の話題です。2025年を超えても、いまだ60パーセントの企業に、レガシーシステムと呼ばれる古いコンピューターシステムが残っている状況が指摘されています。
また、2030年には国内ITモダナイゼーション市場が2兆1,000億円に達すると予想されています。
モダナイゼーションとは、老朽化したレガシーシステムを、クラウドなどの最新の技術基盤へ再構築し、近代化や最適化することを意味します。マイグレーションとは少し異なる意味となります。
主力ソリューションの強化<AirsNeo>

当社は、このようなモダナイゼーションだけでなく、ロジックを変更せずに新しい環境に置き換えるマイグレーションビジネスも推進しています。当社のソリューションである「AirsNeo」を中心に、マイグレーションを展開しています。
これまでに大規模マイグレーションを20社以上対応した実績があります。
主力ソリューションの強化<The給付>

当社には、国や自治体の給付金事業を支援するシステム「The給付」があります。このシステムは、セブン・ペイメントサービス社が提供する「ATM受取」と機能連携を開始しました。
スライドの右側に「The給付」の導入実績を記載しています。全国に自治体は1,724団体あり、そのうち124団体に当社の「The給付」を導入しています。
自社製品への生成AI組み込み

当社の主力ソリューションに生成AIの組み込みを進めています。
具体的には、データ分析を行うBIツールに生成AIを組み込む研究をしています。このBIツールを自社製品に順次組み込む計画を立てています。
自社製品への生成AI組み込み<DocHelper>

もう1つ、生成AIの取り組みをご紹介します。「DocHelper」は、プログラムを記述したコードから、各開発工程で作成される技術ドキュメントを生成AIの活用により自動生成するものです。
スライドの下部にリバースエンジニアリングと記載していますが、これは既存のプログラムを解析し、その構造や設計情報を明らかにする技術です。この技術はさまざまな場面で活用でき、例えば、「ドキュメントは揃っているけども、最新かどうかわからない」「保守する人が変わって中身がわからない」などのケースが挙げられます。
あるいは、再構築を行う際、ベンダーに現行システムの理解をしてもらうために資料提供をする場合がありますが、資料が揃っていない場合に、「ReverseNeo2.0」や「DocHelper」を活用して作り上げる使い方ができます。
また、大規模なシステムでは、システムがブラックボックス化し、保守担当者やシステム利用企業の経営者でもシステムの内容を把握できない状況に陥ることがあります。その場合に、このツールを活用することで、自社のシステムを把握し、視覚的に確認できるようになります。現在、多くのお客さまからお問い合わせをいただいています。
健康経営優良法人2026に認定(3年連続)

当社は「健康経営優良法人2026」に認定されています。社員一人ひとりが心身ともに健康で、個々の力を最大限に発揮できる環境作りが重要だと考えています。社員がいきいきと長く働けるよう、健康経営を推進しています。
先ほどもご説明しましたが、会社は社員に対して多様な働き方を提供し、社員が自分に合った働き方を選択できるような会社を現在構築しています。
サステナビリティおよび社会貢献活動

サステナビリティについてです。まず、新卒採用では27名を採用しました。コンプライアンス教育も実施しています。社内スタートアップ制度も継続しており、社内だけでなく信頼できる相手と互いにリスクを取った協業ビジネスも進めています。
環境保全活動にも取り組んでいます。
サステナビリティおよび社会貢献活動

冒頭で申し上げたように、育児休職や介護休職を当たり前に取得できるよう、その取得者をサポートした組織に対してインセンティブを付与する制度を導入しました。
また、社会貢献活動を行った従業員にも同様にインセンティブを付与する制度を導入しました。例えば、当社で現在実施している新入社員研修の講師やチューターを担った従業員、各種委員会でメンバーとして活動している従業員や、「大阪マラソンクリーンUP作戦」といった清掃活動に参加した従業員などにインセンティブを付与する制度です。
2027年3月期 通期 業績予想

2026年度の業績予想です。2025年度の業績に比べ、減収減益を予想しています。売上で約20億円の減収、営業利益で約2億円の減益となる見込みです。これは冒頭で申し上げましたように、AI市場の世界的な需要拡大を背景にサーバやパソコンのメモリの供給不足が生じている影響です。
当社はソフトウェア開発から保守、さらにはその実行環境である機器の販売まで、ワンストップサービスを提供しています。その機器販売部分で調達不足が見込まれる状況を踏まえ、減収減益を見込んでいます。
2027年3月期 配当予想

配当に関しては、2025年度と同様に58円を予想しています。
質疑応答:今期の減収減益の理由とその改善策について
質問者:今期の減収減
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