会社概要

鈴木浩氏(以下、鈴木):当社はMITホールディングスと申します。ホールディングスとしては2009年に設立しましたが、母体であるシステムイオは1990年に設立しています。現在、ホールディングスとしての従業員は14名います。グループ全体は350名強で、そのうち300名弱がエンジニア職です。

グループ会社概要

鈴木:ホールディングスの配下に6社の事業会社があります。システムイオおよびNetValueではSI(システムインテグレーション)ビジネスを行っています。東日本で展開しているのがシステムイオ、西日本で展開しているのがNetValueです。

また、ビーガルは主にパッケージメーカーとしてソリューションサービスを日本全国で展開している会社です。ある意味、営業会社と言えると思います。

他にも、当社唯一の海外子会社であるVision Links Myanmarがあります。ご存知のとおりミャンマーは非常に厳しい状況ですが、昨年、社員を半数にすることでなんとか継続しています。立ち上げた以上はできる限りサポートしていきたいと思っているため、海外拠点として進めていきます。

新たに2社を連結子会社化いたしました。

鈴木:新たに当社グループに入ってきた会社が2社あります。まず、昨年11月にオレンジコンピュータが連結子会社になりました。この会社では、Linuxなどの組み込み系やファームウエアの開発を行っています。

また、今年1月にはエーピーエスが連結子会社となりました。この会社は、主にNECを顧客として、開発業務が8割で、一部ソリューション系のビジネスも行っています。以上、国内5社・海外1社の計6社で当社グループは運営しています。

事業系統図

鈴木:事業系統についてです。先ほどお伝えしたとおり、システムイオ、NetValue、オレンジコンピュータの3社は事業の100パーセントがSIビジネスです。

エーピーエスはSIビジネスが8割、ソリューションビジネスが2割となっています。最近、「GIGAスクール」という言葉をよく耳にすると思いますが、「GIGAスクール」への関わりも強くしています。

逆に、ビーガルはソリューションビジネスが8割、SIビジネスが2割くらいです。ただし、SIビジネスについてもソリューションに関わる開発事例が非常に多くなっています。

システムインテグレーションサービス①

鈴木:それぞれのサービスについてです。当社は、社会インフラ系のシステム開発をベースにSIサービスを立ち上げています。その関係で、現在も富士通、日立、NEC、NTTグループなどが主なお客さまです。

システムインテグレーションサービス②

鈴木:主な事業内容は公共、通信、金融です。また、最近は電力自由化に伴って、エネルギー系の会社も非常に増えています。

当社では、単純な開発だけではなく、設計・開発からハードを含めた保守運用まで一貫したサービスを提供しています。近年は公共系の発注もいったん落ち着いていましたが、ここ数年で公共系の開発案件も増えてきている状況です。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):社会インフラ系の基幹システム構築の受注が事業の柱とのお話ですが、ここを柱にしている理由を教えてください。長期的に安定した収益が見込める反面、ライバルが多く価格競争が激しい印象です。

鈴木:当社が設立した当時は、今はもう解体された社会保険庁という年金関係の役所がありました。その開発や、郵便貯金・通信系の料金計算システムなど、非常に大規模な社会インフラ系のシステム開発から立ち上がっています。

そのような経緯があるため、継続的に高品質なサービス・開発を提供できる会社としてかなりのノウハウが蓄積されています。この点を信用していただいていますので、競合があまりいない中でサービスの提供を継続できていると考えています。

坂本:顧客の77パーセントが大手メーカーあるいは大手のシステムインテグレーターとのことですが、1つのグループに偏らず継続的な受注ができる理由として、御社の強みを教えてください。

鈴木:設立当初から独立系を非常に強く意識しています。スライドに記載している企業はいわゆる旧電電公社系ですが、メーカー色にとらわれずに事業を進めてきたことが今にも活きてきています。メーカー側からすると、メーカー色がないシステムのほうが使いやすいのだと思います。

坂本:いろいろな企業から受注することで、いろいろなノウハウを蓄積でき、それが製品の使いやすさにつながっているのですね。スライドの円グラフにあるプライム案件とは新規の会社の案件のことですか?

鈴木:そのとおりです。

坂本:安定した受注があるにもかかわらず、さらに新しいところも取っていくのですね。

鈴木:おっしゃるとおりです。

【DX開発事例】システムインテグレーション

鈴木:最近ではインフラ系の案件だけではなく、DX関連のSIも行っています。これは主にビーガルが担っている領域ですが、例えば駐輪場の管理システムをキャッシュレス・ペーパーレス・個人情報レスで開発しています。

また、東京都の高校向けのアンケートクラウドシステムや、工場管理のモニタリングシステムなども開発しています。これらの案件のほとんどはエンドユーザーから直接受注しています。

坂本:このシステムを他の自治体や企業に売ることもできるのですか?

鈴木:当然できますし、そのような取り組みも実際に行っています。

坂本:利益率はどうしても高くなりますよね。

鈴木:そのような傾向にあります。

坂本:先に需要があって開発しているのですか? あるいは、御社が作ってから販売しているのですか?

鈴木:先に需要があっての開発です。マーケティングの中で需要を発掘しています。

坂本:開発して販売し、それを他のところでまた売るということもできるのですね。最近の状況がよくわかりました。

デジタルマーケティング(Wisebook)

鈴木:ソリューションサービスについてです。大きく分けると4つあり、デジタルマーケティング、CADソリューション、認証ソリューション、ドローン関連です。

デジタルマーケティング領域では「Wisebook」という独自製品を展開しています。これはPDFやExcelのファイルをドラッグ&ドロップするだけで数秒で電子書籍化できるという優れたツールです。

さらに、マーケティングツールとしても使うことができます。例えば、電子カタログではお客さまがどこに一番興味を持って検索しているかがわかるヒートマップ機能を搭載しています。また、動画を扱うこともできるため、自治体の名所案内を動画付きで制作できるなど、非常におもしろいツールです。

一方、企業における文書管理という側面もあります。公開パターンでも非公開パターンでも使えるため、ファイルをダウンロードすることなく閲覧でき、セキュリティが非常に高く使い勝手のよいシステムになっています。

坂本:「Wisebook」にはサーバープランとクラウドプランがありますが、サーバープランはサブスクリプションモデルで、専用にカスタマイズして使うという認識でよいですか?

鈴木:おっしゃるとおりです。

【DX関連サービス】デジタルマーケティング①

鈴木:昨年から、「WisebookONE」という企業向けの文書管理サービスを新たに展開しています。月額4,800円から使えますので、今後普及してくるのではないかと思います。また、通信キャリア系のプラットフォーマーに対するOEMの提供などの話も進んでいるため、非常に期待しているサービスです。

坂本:「WisebookONE」はどのような時に使われるのですか? 文章の閲覧がメインですか?

鈴木:例えば、お客さまに自社製品のパンフレットを送る時に、普通ならPDFを添付して送りますが、そのようなことをせずに、ID・パスワードだけ送れば、直接見てもらうことができます。

社内文書に関しても同様です。会議における文書閲覧や書き込みに使うことができるため、非常に優れたツールです。

【DX関連サービス】デジタルマーケティング②

鈴木:シャープの「BIGPAD」というタッチディスプレイ向けにも「Wisebook」を展開しています。現在、高校などですでに使われています。

坂本:企業向けかと思っていたのですが、「GIGAスクール」などの最近の流行りも取り入れて展開しているのですね。

鈴木:もちろん企業でも使っていただいています。

坂本:大きさはどのくらいですか?

鈴木:ディスプレイの大きさによります。

坂本:数十インチくらいですね。

CADソリューション(DynaCADシリーズ)

鈴木:CADソリューションについてです。30年近く販売しており、多くの地方自治体で使われている商材です。スライドに記載のとおり、累計12万ライセンスの実績があります。

CADソリューション

鈴木:昨年には「DynaCAD CUBE(キューブ) Ver1.0」という3次元CADを開発し、サービスの提供を開始しました。当社はもともと建築・土木に特化したCADの開発を行っていましたが、i-Constructionや電子納品などのDX化の流れの中で、3次元CADに着手したという経緯があります。

坂本:CADを扱ったことがない人に伝えるのはなかなか難しいとは思うのですが、御社のCADソリューションを使うことで、どのようなことができるのか簡単に説明していただけますでしょうか?

鈴木:昔の建築設計図面はすべて手書きでした。しかし、現在では地方自治体においても電子納品が推進されています。

10年以上前から国土交通省はデジタル化を推進していましたが、なかなか進んでいない実情の中、世界的なi-Constructionの流れが一気に日本のデジタル化を推し進めました。そのため、設計から納品まですべての段階でデジタルデータが必須になってきたということです。

そのような経緯から、建築・土木の領域においてもより充実したサービスを提供するために3次元CADを開発しました。

坂本:15ページに、11県で全庁採用、200以上の自治体で導入とありますが、これには早くから取り組んでいたとうかがいました。それ以外に何か強みなどあれば教えてください。

鈴木:当社では「DynaCAD官公庁版」を適用しているため、そのような意味では自治体に強いのではないかと思います。

CAD自体では、日本の自治体向けNo.1メーカーを目指そうと、現在、力を入れているところですが、やはりサービス形態が1つの大きな強みです。ライセンス、サーバー、サブスクリプションのいずれの形態でも提供できるため、ユーザーにとって使い勝手のよいパターンを選べるということです。

特に官公庁は年度予算ですので、サブスクではどうしても使いにくいようです。毎回入札しなければいけないなどの決まりがあるため、その点で当社のサービス形態が非常に使いやすいと言われます。

坂本:ライバルはやはりCADソリューション関係が多いのでしょうか?

鈴木:そうですね。いわゆる汎用CADに関しては「AutoCAD」があり、ここには弊社も当然かないません。汎用CADではほかにも「Jw_cad」がありますが、ライバルは国内の建築土木系で言いますと2社あります。

認証ソリューション(セキュリティ)

鈴木:認証ソリューションです。こちらは顔認証を利用したソリューションですが、実は当社は十数年前から3D認証を使ったサービスを展開しています。以前は、例えば病棟の出入りや、高度なセキュリティ対策が必要な部屋のドアコントロール、あるいは原子力関連の施設などのコントロールを行っていました。

そこから派生して、現在は顔認証を使った入退管理、勤怠管理、そのほかには食堂決済システムを展開していますが、これは高校の学食で顔認証を使って決済するシステムです。

坂本:それはすごいですね。

鈴木:このサービスはもう4年、5年くらい前から行っています。

飯村美樹氏(以下、飯村):かなり前から展開していたのですね。

鈴木:当社のマーケットへの売り込みが下手なせいか、なかなか認知度が上がっていかないのですが、かなり前から取り組んでいます。

【DX関連サービス】認証・クラウドソリューションサービス

鈴木:最近は学校のみならず、企業の寮などの食堂で顔認証を使った予約システム「TheMeal」を販売開始しています。これによってどのようなメリットがあるのかと言いますと、いわゆるフードロスをなくすことができます。

坂本:「今日は食べます」「食べません」などと、事前に伝えるということですね。

鈴木:労働環境の改善にもつながっていきます。先ほどの「Wisebook」もそうですが、「TheMeal」も、ESG関連という意味では時代のニーズに非常にマッチしたサービスです。すでに導入事例は多数出ており、引き合いもかなり多くなってきています。

ドローン操縦技術者講習団体「DIA(ダイア)」

鈴木:ソリューションの最後はドローンです。これを立ち上げた経緯ですが、当社はCADを扱っていますので、CADを使っているゼネコンを含めた工事業者、あるいは自治体から、ドローンを使った筐体検査などの需要が出てきていました。

そのような中で、当社も積極的にドローンを使ったサービスを提供していこうと、2017年に立ち上げたのが「DIA(ダイア)」です。この団体は当社のグループ企業であるビーガルが管理しています。

現在は、講習団体・管理団体として国交省から認定された団体になっており、講習団体としては「オープンスカイパイロット」というドローンパイロットの養成を行っています。

現在450名強の生徒が卒業していますが、今後はドローンも夜間飛行などさまざまな問題が出てくるため、免許制になっていきます。当然「DIA」も免許発行できる団体を目指し、計画を推進しています。

飯村:ドローンというのは、御社のほかの業務と何かシナジーはありそうでしょうか?

鈴木:ドローンで空撮した映像を元に3D映像を作り、そこから3Dの地図を作っていくようなことが、特に災害現場においては非常に役に立ってくるだろうと思います。シナジー効果としては、高校や大学、自治体からの講習依頼も多くなっており、グループ全体のサービス提供の機会が非常に増えてきているため、よい効果は出ていると思います。以上が当社の提供しているサービスです。

決算ハイライト(サービス別)/システムインテグレーション売上高

鈴木:昨年11月の決算ですが、数字だけ簡単にご説明します。システムインテグレーションについては、前々期と同程度の売上になっています。理由としては、やはり新型コロナウイルス拡大の影響で、なかなか営業活動ができなかった点が1つあります。

さらに、残念なことに1件品質問題が起きた関係で、機会損失を含めて1億円強の影響がありました。そのため、システムインテグレーションは35億円ほどの売上になっています。

決算ハイライト(サービス別)/ソリューションサービス売上高

鈴木:ソリューションも前々期から比べると落としています。また計画値からも相当落としている状況ですが、これは完全に新型コロナウイルス拡大の影響で、営業活動ができなかったことが直接的な原因になっています。

2022年11月期連結業績見通し

鈴木:このような状況を踏まえ、今期の連結売上高は42億7,000万円、経常利益は1億円の見通しです。コロナ禍も収束していない状況のため、非常に堅い数字で組んでいます。当然我々としては、これ以上の売上・利益を上げることを目標に営業活動を行っています。

坂本:ソリューションが伸びる予定になっているのが、やはり御社の将来的な利益に直結するのではないかと思います。

鈴木:昨年、前期末あたりから「Wisebook」などの問い合わせが非常に増えてきており、バックオーダーも多くなっています。スタートダッシュという意味では、とてもよい流れで来ているため、今期に関しては我々も取りこぼすことなく確実に積み上げていきたいと思っています。

グループ成長戦略

鈴木:当社の成長戦略として、SIに関しては、お伝えしたようにすでに30年以上の歴史があります。開発しているプロジェクト自体が官公庁系の太い幹であるため、ここは安定的に、今後も確実に成長していくだろうと予想しています。

それをベースに、利益率の高いソリューションサービスをより確実に伸ばしていく考えで、成長戦略を立てています。

サスティナブルな成長に向けて、バランスの取れた高い成長性を確保していきます。

鈴木:非常に簡単ですが、以上が当社の概要と今期の目標です。

坂本:御社はホールディングス化され、M&Aなども行っていますが、M&A戦略についてうかがいます。今後はやはりソリューションを伸ばしていくようなM&Aが多いのでしょうか? そのほかに何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。

鈴木:ソリューション系を、ということではありません。全体として、SIのほうもエンジニア不足の問題がありますし、今後も続いていくと考えられるため、積極的に行っていきます。

当然ソリューションに関しても、当社が支援することによって成長が見込めるものであれば、積極的に取り組んでいきたいと思っています。

ただし、ホールディングスである以上、活かすべきはホールディングスの形態であるため、それぞれの企業文化をしっかりと活かした上で、成長を遂げていけるようなM&Aを目指していきたいと考えています。

質疑応答:ソリューションとSIの違いについて

坂本:「ご説明をかなりいただいておきながら、基本的なことで申し訳ありませんが、ソリューションとSIの違いは何でしょうか?」というご質問です。

鈴木:システムインテグレーションは、一言で言いますと、お客さまからのオーダーに従って、お客さまの要望に沿ったシステムを構築していくことだと思います。ソリューションは、今お客さまが困っていることを、我々がコンサルティングも含めて解決するサービスと考えていただければと思います。

例えば、コロナ禍で旅行業者は「パンフレットなんか触りたくないよね」「じゃあ、どうするんだ」といったことがあると思いますが、「Wisebook」を使えば、QRコードを撮ってスマホで簡単に見られます。

旅行業者のお客さまからすると、ヒートマップ機能を使ったマーケティングにもつながるため、そのような解決策を提案していくことがソリューションビジネスのおもしろさではないかと思います。

坂本:投資期間はあると思いますが、高い利益率が期待できますよね。

鈴木:おっしゃるとおりです。

坂本:社員のモチベーションもそちらのほうが高いですか?

鈴木:SIにもエンジニア思考の人間がいるため、そのような人たちは逆に技術力を高めていきたいのだと思います。

坂本:お客さまからいただいた課題を解決することが大事だと思っているのですね。

鈴木:あるいは生産性をどのように上げていくかです。当社が取り組んでいるプロジェクトは、特に社会インフラ系では、数十億円から100億円くらいの規模になります。

当然のことながら、当社だけではそれほどのリスクは負えないため、どうしてもメーカーのアンダーで行うかたちになります。その中でも生産性を上げていくためには、どのように技術力を向上させればよいのか、課題は常についてまわりますが、その部分を追求したいエンジニアは当社にも非常に多いのです。

飯村:エンジニアも個性はそれぞれでしょうね。「わくわくするほうがいい」などあると思います。

質疑応答:強みがある分野について

飯村:「歴史がある中でもっとも強みになっているのは、どの分野だとお考えですか?」という質問です。

鈴木:やはり年金関係と金融ですね。最近はエネルギー系が非常に増えてきており、関西、東京、北陸関係はだいたい関わっています。

坂本:金融も、債権の考え方などいろいろ面倒ですよね。

鈴木:金融に関しては、大手において基幹システムの開発はだいたい終わっているため、今は少し終わりつつある傾向になっています。

質疑応答:プロパー、派遣・外注の割合について

坂本:開発する時は、社員と派遣の方も使われているのかということと、その割合も教えていただければと思います。

鈴木:当社も外注やビジネスパートナーを使っていますが、だいたい東日本はプロパー、派遣・外注の割合が6:4、関西は7:3くらいです。

坂本:今の仕事量が続くのであれば、社員を増やしてもよいという考えはありますか?

鈴木:当社もそこは非常に重要視しており、東日本ではエンジニアの数を3年で倍増させる計画を立てています。当然西日本もそれに比例して拡大させていきますが、まずは東京での拡大を考えています。

坂本:会社がすでにホールディングスで別会社になっていると、人の融通などはあまりないのでしょうか?

鈴木:以前はありましたが、最近はそれほどありません。

坂本:移動コストなどを考えればもっともだと思います。

質疑応答:コロナ禍における教育体制やテレワーク体制について

坂本:コロナ禍でおそらくかなりの在宅率になっているかと思いますが、状況はどのようになっているのか、また、OJTなどうまくいっているのか、そのあたりをお聞かせください。

鈴木:OJTはハイブリッド形式で行ったりしていますが、現在は、基本的には出社のかたちをとっています。やはりものを教えるには、対面での教育が一番効果があると実績としても残っているため、なるべく通常の形態に戻していく方向で動いています。

要員は、マルチに動ける人材を育てたいと考えています。テレワークについては、多くの社員が最近になって慣れてきました。特にベテランの社員に関しては、もう違和感なく、生産性も担保した上での動きになっていると思います。

一方で若手社員ですが、プロジェクトというのは1人ではできないため、成長度合いに関しては、まだまだ取り組まなければいけない課題が多いと思います。

質疑応答:成長分野および拡大事業について

飯村:先ほど私たちも、顔認証で決済ができる仕組みを初めて知り驚いたのですが、もしよろしければ、ぜひその他にも、もう少し説明しておきたい新しい分野などがありましたら、お聞かせいただけますか?

鈴木:今後伸ばしていきたい分野は、ソリューション系と考えているのですが、実は周辺ビジネスについても、拡大しています。

例えばCADは、紙で図面を保管している企業が非常に多いため、それを電子化するお手伝いする、当社では「B@図」と書いてビーズと呼んでいる図面電子化サービスがあります。

このサービスをCAD関連ビジネスとして展開しており、これが近年かなり伸びてきています。電子化することによって、古い図面をこの丸い図面を持ち歩くこともなく、非常に効率的に作業運営に資するものであるということで、非常に伸びています。

昨年にコロナ禍がなければ、大手の流通系や、あるいは鉄道関連、運送関係などから案件が取れたのですが、残念ながらどうしても新型コロナウイルスの影響があり、延期になっているという状況も一部あります。

飯村:図面は非常に大きいですよね。どのような手順で電子化できるのですか?

鈴木:基本的にはCADを使ってトレースしていくイメージです。国内の業者や、当社のミャンマーの会社にアウトソースしているかたちで行っています。

飯村:図面を送付して、電子起こしをしてもらうということでしょうか?

鈴木:そのとおりです。

質疑応答:ミャンマー事業について

坂本:ミャンマーでは、それ以外にどのような仕事をされているのですか?

鈴木:ミャンマーでは、もともとはキリンHD関連の物流システムの受注を手掛けていたのですが、ご存じのようにキリンHDは待機状態であるため、現状は日本からのオフショアと、一部はタイの日本企業からの受注で運営しています。

坂本:ミャンマーは、ほとんどが現地スタッフですか?

鈴木:全員現地スタッフです。

坂本:ミャンマーの方の技術力は高いのですか?

鈴木:国内と比べると技術力は70パーセントくらいだと思います。ただし、意識は高いです。

坂本:優秀な方がいらっしゃるのですね。

質疑応答:株主還元について

坂本:株主還元について、「直近で自社株買いを発表されていますが、株主還元において、配当と成長のバランスをどう考えていますか?」という質問が来ています。具体的に、配当性向などについて教えていただけますか?

鈴木:今回は、株価が想定よりも少し低いという状況も確かにありました。しかし、株主還元という部分は、当然事業目的の1つとして考えています。

配当性向に関しては、安定的な配当を目指していますので、まずは配当原資を着実に確保していくことを第一に考えています。

今回は自社株買いを実施したことにより流通株等は減っていますが、配当原資を減らす方針ではなく、配当原資は確保をした上で、安定的に還元していく考えです。

坂本:総還元性向を重視し、自社株買いは機動的に決めていくということですね。

質疑応答:ドローン事業について

飯村:ドローンについてもう一度伺いたいのですが、ドローン操縦技術者講習団体「DIA」ですよね?

鈴木:そのとおりです。管理団体にも認定されています。

坂本:講習団体と管理団体では、グレードが全然違うのでしょうか?

鈴木:違います。講習団体は、単純に講習団体独自の認定を出すというものです。管理団体は、公的に認められた団体と言えます。

坂本:最初の講習団体からは「ドローンの講習をあなたは終わりますよ」という、免状のようなものが出されます。管理団体からは「国に定められたカリキュラムを終了しました」といった、免状なのかはわからないですが、認定が出されるのですね。

鈴木:ライセンスをあげるということです。

坂本:免許ということですね。

鈴木:逆に言いますと、ライセンスにお墨付きが与えられているということです。

坂本:管理団体は、去年の8月現在では、まだ64団体しかないということでしょうか?

鈴木:日本においてはそうです。今回、「DIA」については、広島のある団体に向けて、管理団体になっており、各地域の団体と提携を進めています。

飯村:どのくらいの日数でライセンスを取れるのでしょうか?

鈴木:「オープンスカイパイロット」という、基本的なパイロット資格については2日間です。座学が半日で、飛行が10時間ほどです。また、「オープンスカイパイロットインストラクター」というインストラクター資格用コースがあり、こちらは4日間くらいかかります。

坂本:それが終わると、インストラクターとして講習ができるのでしょうか?

鈴木:そのとおりです。

飯村:テレビなどを見ていても、ドローンはかなり使われているようで、ドローンを操縦できる人は、人手不足ではないでしょうか?

鈴木:おっしゃるとおりです。

坂本:興味がある人も多いですよね。

飯村:講習の予約状況はいかがですか? かなり引き合いがあるのではないでしょうか?

鈴木:当社は、教える人間がそれほど多くいないため、なかなか対応しきれていない現状はあります。

坂本:もともと御社でエンジニアなどをされていた方が、ドローン講習を始めるのでしょうか? それとも、一から始められているのでしょうか?

鈴木:一からです。

飯村:みなさまがどのようなきっかけで始められるのかが、気になります。

鈴木:お客さまがきっかけとなっています。

坂本:きっかけはお客さまで、そのほかに、CADのソリューション事業と実際うまくいくかもしれないという、シナジー効果があるということですね。空撮のサービスも行っていますか?

鈴木:行っています。

質疑応答:IRの活動方針について

飯村:「IRの活動方針は今後変えていきますか?」という質問です。

坂本:このようなセミナーに出て、IR活動を進めていくのか、それとも他にもいろいろ行う方針があるのかということですね。

鈴木:このようなかたちでのIR活動は、今後も進めていきたいと考えています。まだまだ認知度は上がっているとは言えないため、ある意味、IR活動とマーケティングをセットにして、積極的に行っていこうと考えています。

飯村:今日のご説明の中でも、「それは一体なんだろう」とワクワクするようなお話がたくさんありました。視聴者の中でも、多くのご反応があるのではないかと思います。

坂本:ソリューションが伸びてくると収益体系も変わりそうですね。

鈴木:また、よいニュースをお伝えできると思います。

坂本:他社との提携などでも、またできそうなことが多くありそうですね。

鈴木:そうですね。

坂本:御社の本社は、幕張ですか? 

鈴木:千葉の幕張です。

坂本:もともと幕張にずっといらっしゃったのですか?

鈴木:設立は東京の大井町です。システムイオという会社を大井町で設立し、当時は本当に8人くらいでマンションの一室から始めました。

坂本:大井町から出発して、後に、ホールディングスを幕張で設立されたのですね。これはすべてが幕張というわけではなく、西日本にもありますか?

鈴木:MITホールディングス自体は幕張です。こちらはバックオフィスと教育関連や採用を行っています。事業会社については、登記上の本店は千葉になっていますが、実態としては本社は東京の田町にあります。

質疑応答:採用について

飯村:「人材採用はなかなか難しいと思いますが、いかがでしょうか?」という質問です。

鈴木:人材採用に関しては、新卒は毎年だいたい、東京と関西地区あわせて35名くらいを採用していますが、退職者もいますので、エンジニアの数としては急に増えていくことはありません。

今は、専用のカリキュラムを作って、未経験の方を採用して教育し、エンジニアを確保していく考えです。そのため、先ほどもお伝えしたように、3年で倍増させる計画を進めています。

飯村:その育成枠で、中途の採用も実施しているのでしょうか?

鈴木:中途の採用も行っています。

飯村:どれくらいまで人数をお考えですか?

鈴木:今期で40名ほどを考えています。

飯村:年齢的に言いますと、層はどのくらいになりますか? 完全に未経験の方でも採用されるのでしょうか?

鈴木:中途採用でも未経験の方も含めて考えています。年齢に関しては、限定的には捉えていません。

坂本:採用のステージに乗った方は採りたいということですね。

質疑応答:連結子会社について

坂本:「最近傘下に入れられた2社は、どのようなご縁でグループに入られたのでしょうか?」という質問です。

鈴木:オレンジコンピュータに関しては、同じ業界の方からの紹介です。もう1社はエーピーエスで、代表を務めている人間は、実は当社の元社員です。

坂本:独立された方なのですね。

鈴木:独立後、あらためて「一緒にやらないか」ということでお声掛けし、このようなかたちになっています。

坂本:ホールディングスにするとそのような事業拡大も進めやすいですよね。

鈴木:そうですね。いわゆるM&Aや吸収合併というスタイルはなるべく取りたくないため、そのように考えています。

坂本:他社ではカルチャーも歴史も違う、というところもありますよね。

飯村:ということは、とても素敵な「おかえりなさい」になりますよね。

坂本:確かに、そうなりますね。

鈴木氏よりご挨拶

鈴木:上場して1年が経ち、右も左もわからない中でしたが、「企業というものは、継続的に確実に成長していく事業をベースにしなければ成り立たない」ということをあらためて感じています。

その意味で、安定的に成長しているSIビジネスをベースに、さらなる発展を目指すために、より一層投資し、今期に関してはソリューションを伸ばしていこうと考えています。ぜひみなさまのご理解を賜りたいと思います。

また、みなさまのご期待に応えられるように、我々も一致団結してがんばりますので、今後ともよろしくお願いいたします。