本日の内容

小國勇氏(以下、小國):ただいまご紹介いただきました、オプテックスグループ株式会社の小國でございます。本日は大変お忙しい中、当社のIRセミナーにご参加いただきまして誠にありがとうございます。短い時間ではございますが、できるだけわかりやすくご説明させていただきたいと思いますので、最後までよろしくお願い申し上げます。

それでは本日の内容です。グループ概要、成長戦略、株主還元、ESGの取り組み、質疑応答の順番でご説明します。

我々はセンサーの総合メーカーで、キャッチフレーズは「見えないものを、見るしごと。」です。こちらのスライドの写真は看板で、JR京都駅新幹線上りホーム、東京行きの10号車付近に、だいたい3メートル×4メートルくらいの大きさの広告を掲載しています。機会があればぜひご覧ください。

1. グループ概要

オプテックスグループは純粋持株会社で、いわゆるホールディングスというかたちをとっています。先ほどお話ししたとおり、センサーの総合メーカーで、「見えないものを見る仕事」をしています。

オプテックスグループという名前は「OPtical TEchnology」から作った造語です。OPTEXの最後の「X」は未来を表すという意味で「オプテックス」という社名にしています。所在は滋賀県の大津市、創立は1979年5月で今年で42年目です。

資本金、昨年の売上、営業利益はスライドのとおりで、売上、営業利益については後ほどご説明します。決算は創業期から、カレンダーイヤーで12月です。連結で従業員は全世界に約2,200名で、中国に持っている工場には約550名がいます。

1. グループ概要_沿革

沿革です。1979年の創立で、その翌年に世界で初めて赤外線を使った自動ドアの開閉用センサーを開発しています。1985年に、アメリカに販売子会社を設立しています。1986年に東京営業所を開設し、実は東京営業所のほうがアメリカの子会社よりも設立が1年後という、少し変わった経歴です。

1991年に現在のJASDAQに相当する店頭公開、すなわち株式公開し、1996年に屋外防犯用センサーを開発しています。我々は屋内用を多く開発してきましたが、やはり強みを発揮していくというところで、この年くらいから屋外用の防犯センサーに特化して開発してきています。

2001年に東証二部上場、2002年に産業機器のセンサーを扱っているオプテックス・エフエーを分社して設立しています。私は2016年までこの会社の社長に就任していました。

2003年には東証一部上場しました。2005年にオプテックス・エフエーが株式を公開し上場しました。2016年にはシーシーエスを子会社化しています。2017年、上場していたオプテックス・エフエーを完全子会社化し、オプテックスグループ株式会社を持株会社として新体制に移行しています。

昨年12月に産業機器を手掛けるサンリツオートメイション、先月にはミツテック株式会社を子会社化しました。

1. グループ概要_体制図

グループ全体像です。直系8社のうち、事業会社が5社です。ほかの3つはソフトの開発会社や生産マネジメント会社、アウトドアや福利厚生といった事業に取り組んでいる会社に分かれています。孫会社を入れるとグループ全体で40社のグループです。

1. グループ概要_業績推移

2008年からの業績です。2008年にはリーマンショックがあって翌年にガクンと落ちて2010年から回復しました。2016年にはシーシーエスを子会社化しています。

2017年、2018年と右肩上がりで上がってきましたが、2019年に米中貿易摩擦が発生しました。世界中が影響を受けて落ち込み、その翌年には、みなさまご存じのとおり新型コロナウイルスの影響がありました。現在は、ものづくりも回復し、今年7月に上方修正しています。

売上は400億円から450億円、営業利益は45億円に上方修正しています。1年前倒しで計画が達成されているため、来年や再来年については、意欲的な中期計画を立てたいと考えています。

1. グループ概要_売上構成比

昨年の売上約350億円のそれぞれの分野の内訳です。地域でいいますと海外が56パーセント、海外のうち約半分強がヨーロッパという構成になっています。

1. グループ概要_マーケットシェア

マーケットシェアについてです。我々は小さい会社同士の集まりを特徴とし、創業時からニッチな分野でビジネスを展開しようと「グローバルニッチNo.1」を掲げています。ニッチではあるが全世界にマーケットがあり、先ほどご説明したように、防犯用では屋外用の侵入検知センサーは全世界の40パーセントのマーケットシェアを持っています。

自動ドア用センサーは全世界の30パーセント、国内では約50パーセントのシェアで、我々は赤外線を使ったセンサーのパイオニアです。

画像検査用LED照明は、全世界で30パーセント、国内では50パーセントになります。こちらは産業機器で使われるカメラの補助照明ということですが、照明を当てないと物が見えないような仕様になります。

防犯センサーの実物をご覧いただくと、こちらにはカメラとセンサーがあり、センサーで検知してカメラで誰が入ってきたかということがわかるというもので、現在力を入れているのは我々だけです。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):こちらは屋外用センサーですか?

小國:屋外用です。屋外は風が吹いたり、葉っぱが飛んできたり、犬が来たりといった誤動作の要因が多いです。

坂本:雨などもあります。

小國:おっしゃるとおりです。そういった対象をキャンセルする機能を持っています。屋外用を扱っているメーカーはなかなかいません。我々はここに非常に強みを持ち、今後も力を入れていきたいと思っています。

自動ドア用センサーについては、マーケットシェアが非常に高いです。自動ドアの上部に付いている赤外線を使ったものです。また、自動ドアの「押して下さい」と記載されているタッチスイッチは、みなさまも見かけたことがあるかと思いますが、ほとんどが我々の製品です。国内では50パーセントのマーケットシェアがあります。

小國:そしてこちらが画像検査用照明です。全部LEDです。この円の真ん中にカメラが入ります。照明を当てて傷を見たり、普通ではなかなか見えないものを見ることができます。

続いて、工場用の変位センサーは、いろいろな細かい傷や、高さがたわんでいないかというミクロン単位でのたわみといったものを見ることができます。これは非常に付加価値の高い製品です。自動ドア以外はあまり一般的ではないため、イメージが付くようにご紹介いたしました。

坂本:御社の製品について大まかにご説明いただきました。グローバルニッチのシェアが高い製品として防犯自動ドア、画像検査用の照明についてお話しいただきましたが、こちらのシェアが取れる理由を教えてください。

小國:まず自動ドアのセンサーについてご説明します。赤外線を使った自動ドアの開閉用センサーというのは、我々がパイオニアです。それ以前は、ゴムマットという、足踏みで開閉する製品が多く取り扱われていました。しかし、よく故障し、子供が使用しても開かないといった事例がありました。そこで何とか非接触で開閉できないかということで、我々は赤外線を使ったセンサーを世界で初めて開発しました。これがパイオニアであるということで、今日までの強みになっています。

次に、画像検査用の照明については、先ほど事業会社でお話ししたシーシーエスが最初に開発しました。それまでは、ハロゲンランプや蛍光灯を使っており、頻繁に球切れしていました。工場の中で使うと頻繁に交換するわけにもいかないため、LEDは長寿命で熱が出ませんので、非常に適した商品として普及しました。やはりこちらもパイオニアという強さがあります。

屋外用の侵入検知センサーについては、先ほどもお話ししましたが、屋外は多くの誤動作の要因があります。

坂本:風や犬といった要因ですね。

小國:そのとおりです。我々は屋内用のセンサーも開発していますが、やはり強みを発揮するために、他の会社がやりたがらない屋外用のセンサーにもかなり特化して開発し、誤動作しないノウハウを積み上げてきました。もう25年ほど、最初の開発からいうと30年近く屋外用を開発し販売してきたため、そこが我々の信頼感であり強みとなっています。

坂本:スライド7ページで地域別の売上のお話がありましたが、ヨーロッパの売上が多い理由を教えてください。

小國:例えば防犯センサーについては、やはりアメリカが世界一のマーケットになります。国別でいうとアメリカが世界一にはなりますが、イギリスやフランスといった国々をトータルすると、ヨーロッパのマーケットのほうが大きくなります。そのため、最初にヨーロッパのマーケットにかなり注力してきました。

また、工場用センサーでは世界ナンバーワンと言われているドイツのSICK社という産業用センサーの会社があるのですが、そちらにもOEMでセンサーを供給しています。つまり、セキュリティーに関連したものを合わせると、ヨーロッパのマーケットが大きくなります。今後の課題は、北米などの地域も強化していくことです。

星野彩季氏(以下、星野):今後はどの地域に注力していくかというと、北米になりますか?

小國:北米と、やはり中国になります。

坂本:中国は人口も多いですしね。

小國:中国は、我々だけではなくいろいろな分野での大きなマーケットということになりますので、我々にとってはこの2つが非常に大きいです。

坂本:M&Aを行ってきたという話があり、直系と子会社を含めるとかなりの企業のグループになっていますが、これはどういう会社を対象にグループに入っていくのでしょうか?

小國:当然のことながら、もともとやっている現業のビジネス、あるいはグループの中で現業に近いところにあるビジネスとのシナジーを出していくという観点を一番に置いています。したがって、まったく新しい分野に注目するということはありません。あくまでも本業に近いところ、なおかつシナジーが発揮できるというところがポイントです。

星野:本社が滋賀県にあるとのことですが、その理由やメリットはありますか?

小國:本社が滋賀県にある理由は、創業の地が滋賀県ということですが、今は相談役である創業者が、学生時代にボートに取り組んでおり、琵琶湖が川になり瀬田川、最終的には大阪の淀川になりますが、その瀬田川で毎日練習をしていました。やはり琵琶湖が大好きということで、会社を滋賀県の琵琶湖の近いところに持ってきたかったということです。

メリットは、結果的なことですが、滋賀県に上場企業が非常に少ないことです。東証一部の上場企業は、我々を入れて6社しかありません。京都へ行くと非常に多いですし、そのような意味では、注目していただけるというメリットはあります。

坂本:7ページ左の事業別の図を見ると、防犯用センサーの35パーセントがトップで、工場用の画像検査照明、工場用センサーと続きます。この中で一番伸びている事業はどこか教えてください。

小國:今、非常に伸びているのは、工場用センサーと工場用の画像検査照明です。これらは産業機器の分類に入りますが、その分野が非常に大きくなっています。

坂本:ありがとうございます。イメージが湧きました。

1. グループ概要_防犯用センサー

小國:実際の防犯用センサーのイメージについてです。みなさまもご存知のように、名前を言えばすぐ思い浮かぶような大手の警備会社が何社かあります。日本国内では、センサーが家の中に付いていて、誰もいない時に何かあると警備員の方が駆け付けるシステムです。

そのようなところで我々のシステムが使われるのですが、我々は非常に海外が多いです。スライドにお示ししている海外の高級住宅など、日本とかなり趣が違うようなところに付きます。部屋の中のみではなく、外周警備に使われます。

また、変わったところでは、発電所とか石油コンビナートなどインフラ施設に付きますし、空港など大型の重要施設にも付きます。こちらが防犯用センサーにおいて、私どもの主力にしている場所とお客さまということになります。

1. グループ概要_自動ドアセンサー

小國:次に、自動ドアセンサーです。1980年当時と記載していますが、当時はまだ踏むタイプのマットスイッチです。その右隣に記載の自動ドア用センサー1号機は、赤外線を使って自動ドアを開閉し、なおかつ非接触ですので故障しにくいというメリットがあったため、一気にお買い求めいただきました。

新しいものは、先ほどお伝えしたように、頭上に設置されています。ショッピングセンターやコンビニなどさまざまなところに付きますが、ここ最近は病院や食品工場など、あまり手を触れたくないところへの設置が非常に増えています。

そのほかには倉庫にも使われています。

坂本:赤外線をドアセンサーに応用されたというお話をいただきましたが、なぜこの赤外線をドアセンサーに使うことになったのか教えてください。

小國:赤外線は、当社も含め、世の中ではもともと防犯センサーに使われていました。自動ドアに使えないかと思った理由ですが、実は自動ドアを見ていただくと半分は屋外です。屋外では誤動作要因が多いため、使いにくいというところにチャレンジしました。創業者が技術屋で、赤外線の技術に非常に自信を持っていたため「一回やってみよう」ということでチャレンジしたところ、誤動作が非常に少ないことで評価をいただき、スタートを切ったということです。

坂本:防犯センサーは、米国では防犯グッズ店のようなところにありそうですが、インターホンもそのようなところで売っているという話を聞いたことがあります。御社の赤外線ドアセンサー、防犯センサーと自動ドアセンサーに関して、国内と国外の販売チャネルについて教えてください。

小國:防犯センサーの販売チャネルは、国により違いますが、半分弱は警備会社に販売します。残りは、ディストリビューターという言い方をしますが、日本で言いますと小売販売店にも販売しています。一部は、セキュリティの受信機などを作っているメーカーへのOEMということで、相手先ブランドへの納入もあります。

自動ドアセンサーについては、国内では自動ドアを作っているメーカー、もしくはそのようなメーカーの代理店、販売店であり工事をする工事業者へ納入しています。海外においては、ほとんどが自動ドアメーカーのOEMとして、相手先のメーカーのブランドで納入するところが多いです。

1. グループ概要_工場用センサー

小國:スライドにお示ししているのが、私どもの工場用センサーです。先ほどお見せしたものが変位センサーで、ご覧のとおり、半導体、電気、電子部品業界向けです。スマートフォンでは、表の液晶部分がぐにゃぐにゃしていないかどうか、たわみを測ります。

また、スライド左下に記載していますが、基板の傾きやソリの測定に使われます。基板のソリは、ミリ単位ではなくミクロン単位で測定するもので、非常に精度を要求されるところに使われます。

画像センサーについては、私どもは賞味期限や消費期限、ロットナンバーなどの文字を読み取るところに特化しています。ご覧いただくとわかるように、食品、医薬品、化粧品の三品業界に向けて販売しています。

また、光電センサーと呼ばれるものがあります。物が来ると信号を出して「来た」ということを教えて機械が働くことになります。このようなものが、私どもの工場用センサーの具体的なところです。

食品工場 包装工程イメージ

食品工場の包装工程イメージの動画があります。(こちらの動画の「26:11〜29:02」で視聴できます)

工場の中は写真が撮れませんので、イメージです。カステラをほとんど人がいない状態で、最後の包装まで自動で行う工程です。

パレットが自動で流れてきます。透明のトレーが「来た」という信号を出します。次に、トレーにカステラを入れる工程になります。この透明トレーが流れてきたら、「来た」という信号を受けて、本当は横からカットされ出てきますが、こちらから運ぶ機械があってカステラを上に載せます。そして、載せたものを順番にまた送っていきます。

そこで検査をして、包装紙、透明のフィルムを巻いたりする工程になります。次に、またこれを送っていきます。

坂本:こちらがさっきのトレーですね?

小國:はい。そのとおりです。

坂本:そして、この後にカステラが入る?

小國:はい。ここでは、そのような工程が全部終わって、実は小さな1個ずつの箱にも賞味期限や消費期限を打ちます。光電センサーで、また「来たよ」という信号を受けて、インクジェットプリンターで賞味期限の数字を打ち、それが合っているかどうかを画像センサーで全部見ます。光電センサーで検出し、自動で箱の中に積んでいきます。

最終的には梱包のところまで自動で行います。これは全部、センサーがあってできる仕事というかたちになります。ほとんど無人でこれが動くイメージになります。

1. グループ概要_工場用画像検査照明

坂本:このようなかたちで今の工場用センサーを見せていただきましたが、この御社の工場用センサーの他社製品との違いや強みを教えてください。

小國:私どもの強みは、特定の用途のものを作ることです。ニッチですが、たくさんの市場があります。このようなところを見付けて特定の用途向けに、先ほどのように印字検査のみを行うセンサー、判断するセンサーというものを作っています。普通は、印字のみではなく、「傷も見ます」「◯◯も見ます」と、全部できるようなものを作ります。

坂本:汎用的なものを営業力で売っている会社もありますね?

小國:おっしゃるとおりです。そうすると値段が高いです。「これだけでしかできない」ということですがコストは安く抑えられます。そのため、この用途にはこれが一番よいとなります。

坂本:確かに、そうですね。その用途だけにすると、価格競争力が自動的に出るということですね。

小國:そのとおりです。我々としても利益性は非常によいです。

坂本:シンプルだからということですね?

小國:おっしゃるとおりです。

坂本:非常によくわかりました。画像検査用照明についてはどうでしょうか?

小國:照明がこちらです。イメージを示す動画があります。(こちらの動画の「30:09〜31:50」で視聴できます)

向こう側から照明を当てて、傷を見付けます。「不良品」と出ていますが、これは良品か不良品かの判定を行っています。中に少しごみや傷が付いていないか見る時にこの照明を当てています。

坂本:目では追い付かないですね。

小國:目では追い付きません。動画ではゆっくり流れていますが、実際にはスピードがもっと速いです。このようなところで使われているとイメージしていただきたいと思います。中々普段は見えない傷を見付けることを、検査用照明は非常に重要視している分野です。

坂本:これは先ほどの瓶以外にも、缶などいろいろなものにも使えそうです。

小國:そのとおりです。光っているところにある傷のため、非常に見付けにくいのです。

坂本:そこを、LEDを当てることにより見やすくして、センサーで見付けるということですか?

小國:はい。この照明も波長や色がいろいろあり、どれが適しているか選定する必要があります。どの色でも見つけられるわけではないのです。

坂本:赤色のみではなく、商品ごとに見付けやすい色があるということですか?

小國:おっしゃるとおりです。

坂本:なるほど。そこが強みということですね。

小國:強みです。そして、パイオニアということもあります。

2. 成長戦略_「製品売り」から「システムソリューション販売」へ

成長戦略についてです。当社はもともとセンサー単体の事業からスタートして、防犯センサーや自動ドアセンサーの事業にも取り組むようになったとお話ししました。今は、単体からシステムへと移行しようとそれぞれの分野で動いています。

防犯センサーは、先ほどお見せしたカメラが付いているセンサーのことです。画像で誰が入ってきたのかがわかる「画像確認ソリューション」を展開していこうと考えています。

自動ドアセンサーは、マーケットシェアが国内50パーセントあります。国内では非常に多くの自動ドアセンサーを設置しています。例えば、全国に数百店舗あるチェーン店のドラッグストアにアプリを登録してもらうと、店舗の自動ドアの前に行くと、いろいろな情報が入ってくるようにすることもできるというサービスです。

ビーコンやBluetoothなどを使って、いろいろなデータサービスを行えるため、当社はそのようなものの使用料を得るような事業を展開しようと思っています。

工場用センサーについては、予知保全のような、センサーの状況を全部通信で教えていくことにも取り組んでいます。

工場用画像検査照明については、照明だけではなく、そこへカメラ、レンズ、画像システムを含めて、ワンストップでのシステムを提供していこうと取り組んでいます。単体でビジネスを行っていたものから、システムに広げていこうというのが、当社の今後の成長戦略です。

市場環境の追い風により更に拡大

成長戦略では今、特に製造業の設備投資が非常に活況となっています。今後、非常に息が長く伸びていくであろうと見ているのは、5Gの分野や、車ではEV(電気自動車)の分野です。EVには、スマートフォンとは桁違いの数の電子部品が使われています。つまり、部品メーカーは倍の量を増産しており、そこにはセンサーなどのいろいろなものがすべて付いています。さらには、ロボット、AIも入り、いろいろとレベルも上がっています。

そのような中で、設備投資が非常に活況であるため、今後は我々の産業機器系のFA関連、照明関連に対する大きな追い風になると考えています。

坂本:市場環境は追い風で、ラインの自動化や精密製品の製造をすることによって、昔に比べて工場の中にあるセンサーの数は増加していると思いますが、どのくらい増加しているのでしょうか? 「加速度的に増加している」または「こういうものにも新たにセンサーが使われ始めたぞ」というような最近の状況を伺いたいです。

小國:もともと、工場の中のセンサーは、人の代わりに目や耳になるかたちで置き換わってきました。人がどんどん機械になっていくため、センサーが使われる数の分だけ、人は減っていきます。人が機械やセンサーに置き換わるということです。

現在は、要求される品質のレベルが圧倒的に上がってきているため、非常に細かいところを検査したり、見たりする必要があります。実は10年前と比べるとセンサーの使用量は桁違いに上昇していて、その違いは倍以上です。その分、マーケットが大きくなっているということです。

坂本:御社のビジネスチャンスも増えているということですね。

小國:おっしゃるとおりです。当社だけではなく、いろいろなところに携わっている企業も同様に、チャンスを増やしています。

バランスの取れた事業ポートフォリオ

先ほどお伝えしたような防犯センサー、自動ドア用センサーは安定型、工場用センサー、画像検査用照明などは設備投資連動型となっています。今この設備投資連動型が、非常に大きい伸びを示しています。

防犯用センサー、自動ドア用センサーは安定的に、今はだいたい年率で5パーセントから6パーセントほど伸びています。工場用センサー、画像検査用照明は毎年10パーセント以上伸びています。

坂本:市場規模が非常に大きいからですね。業界的に、それほどの増加は中々ありません。

小國:そのとおりです。安定的に伸ばしていくものと、ぐっと伸ばしていくビジネスとなっています。我々としては、スライドの赤色で示している設備投資連動型のビジネスのほうに、今後はより注力して強化していきたいと思っています。ですが、安定型のビジネスも非常に大事であると考えています。

自己株式取得

株主還元についてです。今、10億円、65万株を上限に自社株買いを行っています。スライドにあるように2018年、2019年と自社株買いを行ってきました。2020年は新型コロナウイルスにより、いろいろと大変な状況のため止まっていましたが、今年はスライドで示しているとおりに進めています。

3. 株主還元_配当金・配当性向・ROE

次に、配当についてです。ROEは、10パーセント以上を目標にしています。米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響がある中で、ROEはかなり押してはいますが、今期は10パーセントに戻ると思います。

配当金については、スライドに示しているとおり、減配は今まで1回も行っていません。その代わりに、配当性向は非常に大きく、7割を超える年もありました。我々としては、今年は約3割にしたいと思いますが、最終的には配当金を安定的に配当したいと考えています。

坂本:業績の部分についても伺わせてください。今も走っている2021年12月期の業績は、非常に好調で、7月にも上方修正されており、売上、利益ともに目標を上振れしている状況だと思います。来年度、再来年度の目標は引き上げていないのでしょうか?  また、足元は好調だと伺いました。おそらく発射台がかなり高くなっているため、そのまま成長していくともう少し伸びるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

小國:今年度はもともと売上高400億円、営業利益30億円で計画しており、それに基づいて上方修正したとご説明したと思います。実は、これは来期の計画の1年前倒しとなっています。

坂本:それでも達成したということでしょうか?

小國:おっしゃるとおりです。今は中期計画を作っていますが、先ほど言ったように、かなり意欲的に作りたいと思っています。時期もあるため、数字はお伝えしづらいのですが、非常に前向きに、意欲的な計画を作っている最中です。

坂本:計画がまだ完成していないため聞きにくいのですが、当然ながら目標にはM&Aなども入っているのですか? また、そのようなことも完成時にだいたいのイメージを教えていただけるのでしょうか?

小國:来期の売上高の450億円にM&Aは入っていません。また、11月に買収したミツテックなども入っていません。繰り返しになりますが、「意欲的で前向きである」というような理解をしていただければと思います。

坂本:セグメントのイメージは、今までの話でだいたいわかりました。センサーの事業が伸びていき、もともと意欲的に伸びている市場の部分と、安定的に伸びている部分とを組み合わせて事業を行われるということですね。

小國:そのとおりです。特に設備投資関係が今は非常に伸びているため、そこは今後も非常に前向きなかたちで進めていきたいと思っています。

4. ESGの取り組み

ESGの取り組みについてです。当社は、もともとはセンサーに取り組んでいる会社のため、「センシング」はエネルギー効率を大きく上げていくことになります。自動ドア用センサーは、「横切るだけの動きには反応せずに、向かってくる動きだけに反応する」といった機能があるため、これによって空調効果を大きく上げていこうと考えています。

また、当社にはLEDとセンサーを使ったライティングもあります。センサーを使った照明を使うことで電力の消費を抑えられます。このような我々ができることによって、環境問題を解決していこうと考えています。

それから、先ほども少し出てきましたが、ESGの取り組みのSocial(社会)の部分についてです。福利厚生を目的にしたオーパルオプテックスという会社があり、CSR活動の一環で、地元の滋賀県や京都府の小学生、中学生に体験学習のプログラムを提供しています。

年間1万数千人の児童や生徒の方に来てもらって、カヌーに乗ったり、外来魚を調べたり、プランクトンを見たりというような体験学習をしてもらう取り組みを、小さい規模ですが運営しています。

最後に、Governance(ガバナンス)についてです。役員は社外も含めて、弁護士のほか、女性の会計士の方もいらっしゃいます。非常にきっちりとした、独立的な社外役員に入ってもらい、十分に取り組んでいます。そのようなところでも、ガバナンスの強化をしています。以上が、ESGの活動を含めた当社の概要でございます。

質疑応答:経営目標達成のための要件について

坂本:目標とする経営指標として、ROEや売上高成長率、営業利益率などがあります。これらを達成するにあたり、現状で御社に不足しているところや、「ここを伸ばしたらもっとうまく経営が回るよ」というところがあれば、教えてください。

小國:当社の目標は、ROEは10パーセント以上、売上高成長率も10パーセント以上、営業利益率は15パーセントとしています。現在そこに至っていないものも多く、やはり企業活動として、かなり効率的な活動をしていく必要があります。そのため、先ほどお話ししたような「モノ売り」から「コト売り」、事業の転換を行っていくことによって成果を上げます。今は、利益率が上がる方向にいるのです。

効率よく事業を運営することについては、この間、オンラインでいろいろなことができることや、在宅でできることがだいぶわかってきたため、人も仕事も非常に効率化した動きができると考えています。このような中では、販管費の抑制も非常に大きな課題であると考えています。

質疑応答:「モノ売り」から「コト売り」施策の取り組みについて

坂本:「モノ売り」から「コト売り」は非常に力を入れられているところで、取り組みとしてはすごくおもしろいと思います。スライドにもありましたが、追加でご説明いただける部分があれば、ぜひお願いします。

小國:「製品売りから、システムソリューション販売へ」ということで、冒頭にもお話ししましたが、防犯センサーはセンサーと監視カメラを一体化するものです。

実は、センサー単体の成長率は5パーセントから6パーセントくらいですが、カメラについては2桁も伸びています。そこで、我々もカメラの成長率についていけるようなビジネスを展開していきたいと考えました。

それが画像確認のことで、センサーで検出してカメラで確認するまでを1つのシステムにしています。警察や警備員の方の無駄な出動を削減できるものです。例えば、これでパッと見たら、人ではなくて他のものだったということもあります。

坂本:「犬だった」ということもあるのですね。

小國:よく見たら、社員の方だったということもあります。

坂本:それもわかるのですか?

小國:服などで確認できるため、お客さまにとっても非常にメリットがあります。例えば、アメリカでは何かあると警察が飛んでいきます。そのような無駄な出動もなくなるため、みなさまにメリットがあります。

ただ、新型コロナウイルスの時期で、営業活動がなかなかうまくできていなかったり、動けなかったりという状況でした。今はだいぶ落ち着いてきたため、活動に拍車がかかっているところです。イメージ的には、このようなセキュリティ製品を広げていきたいと思っています。

坂本:画像で判断するとなると、カメラの数も増えますか?

小國:カメラも増えます。

坂本:そこもまた、ビジネスチャンスとなるのですね。

質疑応答:半導体の不足や材料価格の高騰等の影響について

坂本:半導体の不足がいろいろなところでニュースになっています。また、材料価格の高騰は、御社にも若干関係があると思っています。これらの影響がもしあれば、教えてください。

小國:今は非常に深刻です。電子部品だけではなく、プリント基板やハーネスまで材料の不足が広がってきており、調達するためにはコストが大幅に上がっても買わざるを得ない状況です。原価率はだいたい1ポイントから1.5ポイントくらい上昇しており、これは非常に大きい金額です。他国の売上で言うと、原価率が1パーセント上がると、コストが10億円上がることになるため、部品自身は小さい値段でも影響は大きいです。

来年の上期後半くらいにはよくなっていく想定のため、今は耐え忍び、「製品をお客さまにお届けする」というところに、全力をあげています。

坂本:価格転嫁はまだ行わずに、耐え忍んでいけそうですか?

小國:耐え忍ぶだけではなかなか辛い部分があり、やはり価格に転嫁すると思います。ただ、世の中全体がそのような動きになっているため、結構ご説明はしやすいです。

坂本:「納期をちゃんと守ってくれるならいいよ」ということでしょうか?

小國:そうですね。最近の現状は、それよりも「物をきちんと入れてほしい」というような話になっています。