受注高推移
中山俊樹氏:中山でございます。本日はお集まりいただきありがとうございます。さっそく資料のご説明に入らせていただきます。
まず決算概況についてご説明します。スライドに記載のとおり、受注高は4,749億円で、前期比284億円増、6.4パーセント増となりました。メガソーラー等が一巡した環境社会イノベーション事業を除いた、グラフで青、赤、緑で示した3事業区分で受注が増加しました。コロナ禍で対面営業ができないなど営業活動が大きく制限され、非常に不安な外部環境、状況下でしたが、良好な数字を達成できました。
高度無線環境整備推進事業については、マルチキャリアの部門で新規顧客である楽天から受注をいただきました。また、通信キャリア各社の5G基地局への投資を本格化し、ICTソリューション分野ではGIGAスクール関連などの文教系ビジネスを拡大させました。コロナ禍における国を含めた政策面での後押しをフォローの風としてしっかり捉えることができた成果と考えています。
売上高推移
売上高は4,637億円で、前期比226億円増、5.1パーセント増と、5期連続の増収となりました。受注と同様、環境社会イノベーション事業を除く3つの事業が増収となり、特にスライドの緑のICTソリューション事業が大きく成長し、過去最高を更新しました。
NTT事業
NTT事業は売上高1,570億円で前期比微増となりました。主要顧客のNTT東西をはじめ、設備投資の減少が中長期的にトレンドであるため、売り上げ増加が相対的に難しい事業ではあります。
アクセス系の分野はリモートワークの拡大などを背景に、新型コロナウイルス感染拡大防止に最大限の注意を払いながら工事が継続されたことで堅調に推移しました。土木分野は減少しましたが、この数年進めている設備運営、保守の業務が拡大したことで全体としては増収で終えられました。
マルチキャリア事業
マルチキャリア事業についてです。現在、通信キャリア各社の5G基地局工事が本格化していることから、売上高は982億円で、前期比10億円増となりました。通信キャリア各社ごとに5G戦略が異なるうえに、一部キャリアでは機材の納期遅延を原因とした工事の遅れもあり、状況はさまざまです。コロナ禍も含めた通信事業の拡大を背景に工事が続行されましたので、CATV会社をはじめ、ネットワーク増強工事も含めて堅調に推移をしました。
環境社会イノベーション事業
環境社会イノベーション事業についてです。売上高は581億円で、前期比86億円減と、この分野だけ少し減収となりました。
原因として、前期にあった大型の電気工事の反動減が挙げられます。加えて、この数年事業をけん引してきた太陽光の分野で、FITが終局局面に入ってきたこともあり、大型から中・小型の案件に切り変わったことも影響しています。その結果、全体として減収になりました。
一方、5Gネットワークの設備拡大に伴い、局社内の空調工事や、東京都水道局の工事が拡大しています。そのため、全体的には当事業も向上転換の途中にあると考えています。
前期の減収はある意味想定どおりでした。今後はエネルギーマネジメントシステム(EMS)や、スマートシティ、スマート土木といった分野が当社の成長を担う部門になると考えています。引き続き、大型プロジェクトにおけるリスク管理を徹底しながら良質な案件を選別して取り組んでいきたいです。
ICTソリューション事業
ICTソリューションについてです。売上高が1,503億円、前期比295億円増の大幅増収となり、好決算をけん引しました。日本以上に新型コロナウイルスの影響を受けたグローバル事業を担う子会社のLanTroVisionだけは、残念ながら減収を余儀なくされました。
アジアの状況は減収に大きく影響しています。一方、国内においてはコロナ禍も含めて、テレワーク、リモート会議、遠隔事業が増加・拡大しました。そのような世の中の働き方、社会環境そのものが変化する中、通信設備の増強というニーズをしっかりと捉えきれたことで当事業は大きく成長しました。
LAN配線やWi-Fi設備の需要が好調でした。加えて、モバイル関連の商材や、GIGAスクール関連など文教向けのPC商材といった物販の分野が飛躍的に拡大しました。ICT事業は当社が最も力を入れている事業であり、さらなる成長を目指す上で引き続きけん引役として期待しています。
営業利益推移
利益の面をご説明します。9ページをご覧ください。営業利益は301億円で、前期比82億円増、36.9パーセント増と過去最高を更新しました。営業利益率も6.5パーセントと、昨年から1.5ポイント増加しました。
営業利益詳細
少し因数分解して内訳をご説明したいと思います。非常に好決算でしたので、増益の原因がどこにあるのか、スタッフといろいろ詳細分析をしました。1番目は売り上げそのものの増加です。これはICTを中心とした売上の増加がきちんと利益に反映したということです。
2番目に工事総利益率の改善、3番目に販管費率の低下と因数分解できるだろうと考えています。グラフの中央に「+60」と書いていますが、特にそこの部分において、各事業の利益重視を最大のテーマに掲げて、生産性の向上、利益率アップに努めてきました。業務効率化を強力に推進して、全分野で利益率の向上をはかることができました。
環境社会事業の売上は減収となりましたが、利益という面では決算に貢献しています。加えて、販管費は5億円増加したものの販管費率が0.2ポイント減少したことで、利益の押し上げにつながったと考えています。
当期純利益推移
11ページについてです。当期の純利益は242億円で、前期比90億円増、59.2パーセント増の結果となりました。営業利益の増、利益率の改善、さらには、前期に特別利益として政策保有株式の売却益を計上したことも寄与しました。
現中期経営計画(2020/3期~2022/3期)目標と実績
総括として、中期計画との関係です。前期である2020年3月期は、2019年度を初年度とする3ヶ年の中期計画のちょうど中間年度、2年目という年でした。
前期のスタートは、お伝えしたとおり新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令されるなど、極めて不透明な船出でした。しかし、コロナ禍においても通信キャリア各社さまが通信インフラ整備を継続されたこと、またICT事業を中心にリモートワークなどが拡大しました。その結果、ソリューション事業の分野でフォローの風が吹いたことで、全体として好決算となりました。
スライドにあるように、現在の中期計画の目標として「売上高4,500億円」「営業利益270億円」「営業利益率6パーセント」「ROE8パーセント以上」という4項目を掲げています。いずれも1年前倒しで、大幅に達成することができたというのが昨年の結果です。
2022年3月期 通期計画
2022年3月期の事業計画についてです。前期の不透明な事業環境の中、受注高4,800億円、売上高4,700億円、営業利益305億円の通期計画を、5期連続の増収、大幅な増益という好決算で達成することができました。高度無線環境整備事業、もしくはGIGAスクールなどのコロナ禍における国の諸政策もあり、全体として後押しされたことも事実です。
今期も関東関西エリアをはじめとして、多くの都道府県に緊急事態宣言等さまざまな蔓延防止措置がなされる現状にあります。前期同様、非常に不透明で必ずしも安定しない見通しの中でスタートしています。
そのような中でも、前中期計画をクリアした前年の業績をしっかりと自分たちの実力値にし、定着させていきたいと考えています。さらに、それを超えて2022年度以降もしっかりと発展し続けていくことを目指します。2022年度3月期はスライドにある数字を計画値として、さらなる経営基盤の強化に取り組んでいきたいと考えています。
株主還元
株主還元についてです。増配と自己株の取得についてはスライドのとおり政策をとろうと思っています。
もともと、有価証券報告書等で業績資金状況などにも配慮しながら、総還元性向30パーセント以上の株主還元を安定して継続的に行うと公表しています。
実際のところ、過去数年間を平均すると総還元性向は50パーセントを超えています。当社としては、今後も株主還元を一層強化していきたいと考えています。
今期については配当金を45円から50円に増配、そして期初から30億円の自己株取得をすることで、積極的な株主還元を目指すことを現段階で決定しています。
マルチスキル化の推進
次にトピックスです。4つほどご紹介します。1つは17ページのマルチスキル化の推進についてです。これは生産性向上の取り組みの一環です。現在、通信キャリア各社の5Gの基地局整備が当初の予定から前倒しされて加速化している状況にあります。
当社は以前から5Gの工事の本格化を展望して、固定とモバイルの工事を複合的に実施できるマルチスキル技術者の育成に取り組んでいます。スライドにあるとおり、固定技術者によるモバイル業務の全国展開を開始し、両点検作業を電柱の設置型基地局工事として実施しています。
5G基地局の工事は非常に小規模で件数が多いため、いかに効率的に実施していくかがポイントです。労働力の不足問題にもマルチスキル化でしっかり対応していきたいと考えています。
モバイル関連業務の集約・統合
モバイル関連業務の集約・統合についてです。これは効率化推進の取り組みのひとつとして、当社傘下のグループ会社を集約・統合するということです。
スライド中央の「ミライト・モバイル・ウエスト」「ミライト・モバイル・イースト」と書いてあるところをご覧ください。分散していたモバイル関連業務について、本社およびグループ子会社から一部業務を東日本エリア、西日本エリアの2つの子会社に業務移管し、集約をすることにしました。
これにより業務フローの統一を目指し、集約による生産性の向上、一層の業務効率化の推進を目指します。加えて、ガバナンスの強化や採用力の強化といった、さらなる狙いもあります。
eスポーツ実証実験に参画
ローカル5Gを活用した取り組みの事例として、eスポーツイベントの実証実験のご紹介です。当社は5Gに強いグループを目指しています。5Gの導入を検討している企業さまに対して、5Gビジネスのポテンシャルを訴求し、各種ソリューションの提供を行っています。
このスライドでご紹介するのは、総務省によるローカル5Gの実証実験についてです。NTT東日本さまと遠隔地間、この事例では東京と北海道をつなげて行うeスポーツイベントにおいて、ローカル5G設備の構築実証実験を実施しました。eスポーツの観戦地でのマルチアングル映像の配信、もしくは施設の機能性向上など、最適な5Gエリアの構築をサポートし、地域の活性化の実現にも貢献していきたいと考えています。
コロナ禍でのドローンの活用
最後のトピックスはドローンを活用した抗菌・抗ウイルスコーティングサービスのご紹介です。コロナ禍においては、除菌作業を行わない室内イベントはあり得ないので、主催者のみなさまには大変な労力がかかっています。私どもは、グループ子会社のミラテクドローン社を通じて、ドローンを活用したビジネスの展開に努めてきました。
その一環として、今年の4月から抗菌・抗ウイルスコーティングサービスの提供を開始しました。抗菌・抗ウイルス効果の高い薬品を会場の座席等に散布することで安心・安全な空間を提供します。さらに、ドローンを使えば、毎日人が行ってきた除菌が月1回程度の除菌作業で済むため、大幅な人手と作業時間の削減に貢献することができます。こうした取り組みはテレビ・新聞等でも大きく取り上げられました。
3社再編成・合併への取り組み
昨年度の中間決算時に少しアナウンスしました事業構造転換加速のための3社再編成・合併状況の展開、検討の進捗状況について、中間報告をさせてください。
スライドの一番左にあるとおり、今年の4月からソリューション事業のワンチーム化をスタートしています。具体的には、ミライト社、ミライト・テクノロジーズ社それぞれのソリューション部門の事業戦略かつ事業計画を共存化します。さらには、営業・施工両面においてオフィスやロケーションの一体的な運営、共同化を加速しています。
スライド中央にあるとおり、グローバル分野についても7月には海外子会社の管理業務等を一元化して効率化・一体化をはかり、事業開発機能も強化していきたいと考えています。
さらに10月には、フロンティアと呼んでいる新しい分野を開発する事業のワンチーム化を行って、人材資源を集中させます。それにより、先ほどお伝えした5G、デジタルツイン、エネルギーマネージメント、スマートシティといった分野における事業創造を加速していきたいと思います。
そしてスライド下段にあるとおり、7月には新グループ設立準備室を新設します。2022年度の新統合会社の設立に向けて、新たなグループ展開に向けた準備をいよいよ本格化させていきたいと考えています。
新統合会社の概要
最後に、現在検討を進めている新統合会社の概要についてご説明します。スライド上段にあるとおり、新しい会社では事業分野別のカンパニー制を導入するという方向で検討を進めています。各カンパニーにおいてそれぞれ高度な経営を実践することで、1社の中でスピーディかつ柔軟な事業運営をし、売り上げ利益の最大化を目指していきたいと考えています。
ソリューション分野では、ミライト、ミライト・テクノロジーズ社の事業をワンカンパニーとして運営し、営業体制の強化、事業利益の拡大を図っていきます。キャリア分野は利益体質の強化に向けて、固定とモバイルの一体化、そして重複する支店の統廃合など徹底した効率化をはかるとともに、地域顧客に根差した事業運営を構築します。
それらの観点から、東日本と西日本それぞれにカンパニーを設置する予定です。また、1社に統合するからにはオーバーヘッド機能、共通部門は最大限集約し、徹底して効率化をはかります。それにより経営基盤を強化させ、事業構造の転換を加速化していきたい考えです。
以上が私からのご説明です。ご清聴ありがとうございました。