2019年3月期第2四半期決算説明会
中山聖仁氏:まず最初に、弊社のこの上期の決算状況は、弊社も少しびっくりする状況でした。今期が始まる時に、「この上期は、少し厳しいのではないかな」ということは考えておりました。
開示の数字でも、「対前年で、上期は減収になるだろう」という想定をしておりまして、それに対して経費節減等に取り組んでまいりました。ただ、弊社も思った以上に厳しかったというのが、今回の状況でございます。
第2四半期累計期間の概要
まず、売上高につきましては17億3,900万円、49.0パーセント減ということなので、ほぼ売上高が半分になったと(いうことです)。このようなことは滅多に起こらないのですが、実際に起こってしまったので、そのあとの(各段階利益の)数字も、非常にひどい数字という状況になっております。
売上総利益は12億3,500万円、こちらは対前年比で57.5パーセント減となっております。
営業損益・経常損益・四半期純損益とも、前期は黒字でしたが今期は赤字と(いうことです)。しかも、赤字幅もかなり大きいという状況でして、営業損失で4億8,200万円、経常損失で5億200万円、四半期純損失で5億5,800万円という結果になっております。これは正直、「まさか、このようなことになるとは思っていなかった」という数字でございます。
こちら(スライドの左下)に(売上高推移の)グラフがございます。前々期に「レッドパワー セラム」という製品を発売しまして、これが「非常にいい製品だ」ということで、販売会社のみなさまにも、非常に多く(販売活動に)取り組んでいただきました。
実際に、弊社が毎年秋に売っていた「リンクル ローション」という美容液よりも、「レッドパワー セラム」のほうがよく売れております。ただ、前々期に「リンクル ローション」で約3倍の(在庫の)数字で取り組んでいただいたのですが、3倍は売れなかったと(いうことです)。
前期も同じようにがんばって(販売に)取り組んでいただいたのですが、前期・前々期の分が、販売会社さんのほうで在庫が積み上がってしまったということが、この上期の状況なのではないかなと、弊社は受け止めております。
このグラフで見ても(おわかりのように)通常ではあり得ないような下がり方をしているのですが、実際にはこの分しかご注文いただけなかったということなので、売上高としてはこのような結果になったということでございます。
損益計算書
続きまして、損益計算書です。
損益のなかで、まず上から2番目の売上原価のところをご覧いただきたいのですが、前期の売上原価が5億円でした。今期は、前期より売上高は約半分になりましたが、売上原価は逆に、前期よりも数字が上がっております。まず、ここをご説明申し上げます。
まず1つは、弊社のなかで売れた製品によりまして、売上原価率が違います。実際に上期に出た製品のなかでは、比較的原価率の高いものが売れて、原価率の低いものが売れなかった。つまり、「レッドパワー セラム」が売れなかったというところが、原価に非常に響いているんです。
もう1つは、このような売上高になっておりますので、弊社の(2018年)9月末の在庫につきまして、かなり引当をとりました。そのため、売上原価率がこれだけ上がったということです。去年の売上原価率は14.7パーセントでしたが、今期は29.0パーセントということで、売上原価率がほぼ倍になったということでございます。
そのため、先ほど少しお話ししましたが、売上高の下げ以上に、売上総利益に与えた影響が大きかったと考えております。
売上総利益は、前期の29億1,000万円に対しまして、今期は12億3,500万円ということで、こちらは半分よりもさらに下がったということでございます。
先ほどお話ししましたように、弊社は今期の当初、かなり経費を抑えてスタートいたしました。そのため、経費(販売費及び一般管理費)につきましては、去年よりも7億円以上下げております。
経費節減にはかなり取り組んできたつもりなのですが、ただ実際は、売上総利益よりも経費のほうが多い状況で上期を終えてしまったということで、前期は営業損益・経常損益・四半期純損益とも黒字なのですが、当期においては、符号がすべて逆になったということでございます。
また、四半期純損益のところで、経常損益よりも赤字幅が大きくなっていることについて、少しご説明したいと思います。
こちらは、通常黒字にしても赤字にしても、経常損益よりも四半期純損益の数字のほうが、絶対値としては小さくなるというのが普通です。それはなぜかといいますと、税金がそこに計算されて、通常は少なくなります。
ただ、当期におきましては、こちらの繰延税金資産を取り崩しております。これは、いわゆる税効果会計のルールに沿ってやっていって、そのなかで今後の課税所得見通しを下げたということが、一番大きな理由でございます。
そのため通常であれば、四半期純損益はもう少し小さくなるのですが、繰延税金資産を取り崩した分、赤字幅が経常損益よりも絶対値として大きくなったということでございます。
セグメント別売上高
続きまして、セグメント別売上高につきまして、少しご説明申し上げます。
この上期に起こったことをもう一度お話ししますと、販売会社が持っている「レッドパワー セラム」の在庫が非常に多かったということです。「レッドパワー セラム」は、上期の売上予算の4分の3を占めていました。これが、まったくとれなかったという状況です。
ただ、それ以外のレギュラー製品につきましては、決して悪くはなかったです。今、弊社の販売会社の動きは、決して悪くないんです。実際に販売会社から出荷される金額も、決して悪くないと思います。ただ、「レッドパワー セラム」については、手元に在庫があるので仕入れていただけなかったということです。
セグメントで見ると、レギュラー製品・「レッドパワー セラム」は、一番上の「スキンケア」に入っています。
このあたりはレギュラー製品も混ざっている部分ではあるのですが、それ以外の「メークアップ」や「ヘアケア」や「その他化粧品」等につきましては、決して悪くなかったと(いうことです)。また、レギュラースキンケアも、決して悪くはなかったと思います。
ただ、売上の比重が一番高い「レッドパワー セラム」がまったくとれなかったということで、スキンケアのセグメントにつきましては、前年比で55.7パーセント減という結果になっております。
販売組織数の進捗状況
続きまして、弊社の販売組織数の状況でございます。
先ほどもお話ししましたように、販売組織の状況は、決して悪いわけではありません。例えば、「どこかの組織が崩壊した、離反した」ということはございません。どちらかと言うと、みなさまには非常に活発に活動していただいていますし、いろいろなイベントをやっても、研修動員数は決して悪くないです。販売会社さんの、実売も決して悪くないのではないかと見ています。
こちらは毎年、増設に非常に力を入れてやっています。この第2四半期におきましても、販売会社も増えていますし、営業所も増えている。ビューティーマネージャー(BM)も増えています。ただ、増えるスピードは少し弱っているのかなと思っています。もう少し増えてもいいのかなと思いますが、(販売)組織は増えていると、弊社は考えています。
非常に、チャレンジャーの方が多いです。例えば、営業所の方で「私、販売会社(の販売員)になりたい」と思って、そのために一生懸命取り組んでいただいている方は、非常に多い状況でございます。実際に販売会社(の販売員)になるまでは非常に大変なので、「そこまでがんばりきれるか」という部分で、今はがんばっていただいていますが(実際の進捗状況としては)決して悪くないと思っています。
主な研修への新規動員数の進捗状況(4月~9月 前期比)
こちらは、研修動員数の中の新規動員数だけを取り上げています。
実際に研修動員数は、合計人数で言うと悪くないのですが、先ほど「ちょっと鈍っている」ということをお話しさせていただいたのは(どのようなことかというと)、新規に参加される方は前期と比べると、こちらに出ている主要な研修……「親と子のかかわり方教室」や「SA研修」や「美容教室」とも、少し対前年比で減ってしまいました。そこが、大きな課題ではないかと思います。
全体の動員数としてはそれほど悪くないのですが、やはり新規の方に受けていただかないとどんどん広がっていかないので、そこが課題だと考えています。
サロン展開 〈アルテミス〉
「アルテミス」です。初めて(弊社の決算説明会に)参加される方もいらっしゃるので、少し「アルテミス」について補足します。
弊社は、訪問販売の会社です。ただし、「販売会社は、店舗を持っていないか?」と言うと逆でして、ほとんどの販売会社は、店舗のようなものを持っています。
「のようなもの」とはどのようなことかと言いますと、通常の店販とはやはり違うので、一見さんがさっと入るような状況ではないのですが、お客さまが「何か買いたい」という場合は、そちらに来て、そこで何かを買うことはできるというものです。
この「アルテミス」はどのようなものかと言うと、そのようなものをブランド化して、同じファザードで、だいたい同じようなサービスで展開できないかということで、十数年来取り組んでいます。「アルテミス」は、訪問販売のいいところと店販のいいところを融合したようなものです。
先ほどお話ししましたように、訪問販売の場合、基本的に販売組織の方は増えています。ただ同時に、当然その中には、いわゆる「休眠」があり得るわけです。例えば、ある販売員さんのお客さまがいらっしゃって、「その販売員さんは、ご主人が転勤になって(そちらについていかれて)どこか遠くに行ってしまった」と言うと、そのお客さまは、買う場所を失ってしまうんです。
それをフォローするために、このような「アルテミス」という(サロン)展開をやることによって、「ここに行けば買えるんだ」というところをはっきりとさせる部分と、ある意味「みんなが集う場所」みたいなかたちで、この「アルテミス」を増やしてまいりました。
実際に、「アルテミス」をやっている販売会社の売上は、非常にいいです。とくに、5年のような中長期でとりますと、明らかに「アルテミス」をやっている販売会社が伸びていて、そうでない販売会社さんは、なかなか伸びないことがございます。
ですから、「『アルテミス』を毎年増やしていこう」ということで、当初は(オープン当初から)100店舗が目標でしたが、今(2017年3月時点)はそれを超えてきておりまして、この上期(2018年9月末)の段階で、106店舗となっています。これも、毎年毎年少しずつ増やしていくものでございます。
今期の業績予想
今期の業績予想ですが、弊社は、通期でなんとか黒字にしたいと考えています。
先ほどもちょっとお話ししましたが、「レッドパワー セラム」は、上期の売上予算の4分の3を占めています。それが(上期は)非常に大苦戦をしたという状況ですが、下期の売上予算には、「レッドパワー セラム」を入れていません。
毎年9月(の販売)ということでやっていますので、下期には入れていません。ですので、下期においては、「レッドパワー セラム」の在庫の件は、基本的に影響しないと考えています。
なので、下期は例年どおりのご注文をいただいて、先ほど「期初から経費を削ってきた」とお話しさせていただいたのですが、下期もさらに踏み込んで経費コントロールをしようということで、今取り組んでいます。そのようなかたちで、下期は売上を例年の下期くらい取って、経費を抑えることによって、なんとか黒字化を達成したいと考えています。
この(スライド下部の【見通し】の)中で、一番下のところに、「財務基盤の健全化(を行ってまいります)」と書かせていただいています。
弊社も、上期にあのような業績結果になるということを、想定していませんでした。ただ実際に、この上期の業績は、私もびっくりするくらいの数字でしたので、「これは(財務基盤の健全化について)何らかのことをやらなければいけない」と考えました。
その中で(すでに)開示をさせていただいていますが、(2018年)12月7日に臨時株主総会を開いて、(A種)優先株式を発行できるように、定款を(一部)変更する予定です。それ以上の詳しいことは、インサイダーになるのでお話しできませんが、そのような処置を取って、財務基盤を盤石にしたいと考えています。
上期の状況としては、このような概要でございます。「今後、どうなるんだ?」ということも、みなさまは気にされていらっしゃると思うのですが、今は、販売会社における「レッドパワー セラム」の在庫が適正になるまで、経費をとにかく抑えようと考えています。それが今期だけで済むのか、来期まで少しずれ込むかはわかりませんが、弊社が思っていた以上に在庫調整のスピードが速いので、意外に早く解決するかもしれないなと思っています。
やはり販売会社が在庫を調整している間は、それほどお金を使えないなと考えています。
逆に、販売会社さんの在庫調整が終わった後は、売上は……ちょっと最初のところに戻って、こちらの(左下の)グラフを見ていただきたいんです。直近5年間の、売上高推移でございます。
弊社はもともと、上期としてはそこそこの売上があった会社です。その水準までは、戻せるのではないかなと(いうことです)。前々期の数字は、弊社にとって非常にいい数字でしたので、そこまでは望んではいないのですが、そこそこの数字までは戻せるのではないかなと考えています。
それはなぜかと言うと、実際に、販売会社さんは売れていないわけではないと(いうことです)。単に、手元にある在庫を一生懸命に売っていただいている。その間、「レッドパワー セラム」については、「今は仕入れる必要がなかったので、仕入れなかった」と考えています。
この「レッドパワー セラム」の販売会社における在庫水準は、今期はかなり在庫調整が入っているので、かなりそれは進展しているのではないかと思いますが、来期くらいまで、まだ多少の影響が残るかもしれません。
それは(今のところ)ちょっとまだわかりませんが、実際に販売会社さんの実売の支援を、今全社で力を入れてやっています。ただその間、弊社には「レッドパワー セラム」についてはご注文がいただけなかったということなので、経費を抑えて、そこはなんとか利益を出せるように取り組みたいと考えています。これは来期においても、基本的には同じような考え方をしています。
ですから、まず今期がなんとか黒字になるまで、下期をがんばってやることと、経費については、今期においても来期においても抑えていくと(いうことです)。「実際に、期初から経費を抑えてきた」とお話しさせていただいたのですが、下期はもう一段踏み込んでやっていますので、来期はもっと経費を落とせるのではないかなと思います。
そのようなかたちで、販売会社さんには、在庫調整を気にせずやっていただける。その間、弊社アイビー化粧品本社は、それに耐える。実際に、販売会社さんが売っている実売の水準まで売上が回復すれば、(それと並行して)経費を非常に抑えていくので、逆にそのときは、今まで以上に利益が出るだろうと考えています。
私からのご説明は、以上になります。