第3四半期決算概況

山本員裕氏:山本です。それでは、2018年度3月期第3四半期の決算および通期の業績見通しのご説明をいたします。

まずは、第3四半期の決算の概況から、ご説明をしたいと思います。

決算ハイライト

2ページに移りまして、今期決算のハイライトといたしましては、売上高は14.9パーセントの増収。営業利益はプラス29.1パーセントの増益。当期純利益につきましても、16.6パーセントの増益となっています。

全体として、売上高は各事業とも堅調に推移している部分が多いのですが、(2017年)1月に完了しました、CSP社の連結子会社化が大きく売上高に貢献しています。

営業利益につきましても、アラミド繊維、樹脂の販売好調と(新規アルツハイマー病治療薬候補化合物の)導出等もありました。あるいは米国在宅医療からの撤収等もありまして、大きく増益になり、四半期純利益も同様に増益になっています。

経営成績

3ページにおきまして、経営成績の中身のご説明に移りたいと思います。

(2017年度3Q累計)売上高は6,147億円ということで、昨年同期比プラス795億円となっています。

営業利益につきましても、プラス127億円の563億円。営業外損益は、若干マイナス要因ではありましたけれども、経常利益はプラス110億円の568億円という結果となっています。

特別損益のうち(昨年度の)特別損失につきましては、今年売却益の計上がありまして、プラスになり、結果的には純利益が397億円で、昨年同期比プラス57億円という状況になっています。

この結果、ROEは14.4パーセント。EBITDAについても904億円ということで、順調に収益力を上げているという状況です。

設備投資、減価償却費、研究開発費につきましては、数字を見ていただければわかりますが、設備投資は炭素(繊維)の新工場も含めて、結果が下期に入りましたので、全体としては設備投資の第3四半期の実績は横ばいで終わっているということです。減価償却費はCSP社の、のれん償却等もあって、61億円のプラスという状況になっています。

PL換算レートにつきましては、円ドルが112円。円ユーロが129円という状態になっています。

営業外損益/特別損益

続きまして、4ページに移りまして、営業外損益と特別損益のご説明をいたします。

とくに大きくご説明をするようなところ、ポイントだけご説明しますと、持分法による投資利益につきまして、昨年同期対比では持分法適用会社の損益は若干下振れしたという要因があり、加えて為替差益が出ているということで、結果的には(前期比と)ほぼ同等の営業外収益になっているということです。

特別損益につきましては、先ほど申し上げました固定資産の売却益55億円の大半が大阪本社の売却による数値ということになっています。

全体として特別損益についてはプラス要因、昨年同期ではプラス77億円という結果になっています。

財政状態/キャッシュ・フローの状況

5ページに移りまして、財政状態です。

12月末の総資産は9,786億円。前期期首、3月末に対しましてプラス145億円ですが、為替ユーロ高、円安ということを中心に、為替の要因によって総資産が増えているという状況になっています。

自己資本につきましても、プラス580億円ということで、為替の影響がありますけれども、それ以外に株化の動向がかなり高水準になっていまして、私どもの保有する投資融資証券自身の価値が上がったということで、自己資本がかなり増加する要因になっています。

結果として、有利子負債の一部期限前返済をしていますので、D/Eレシオは0.88、自己資本比率は40.5パーセントという状況になっています。

総資産の増減内訳には今申し上げましたように、現預金等については一部期限前返済で数を減らしたという影響。売上債権、棚卸資産については、売上高が増加して、若干D/Eレシオも増加しています。固定資産については第3四半期までに設備投資よりも償却費が勝っているということもあって減少、投資有価証券は、株式市場の堅調さによって、評価があったというようなことを踏まえて、12月末(の総資産)は9,786億円という状態になっています。

キャッシュなどの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは560億円ですが、フリー・キャッシュ・フローが212億円。財務活動ほかによるキャッシュ・フローは長期返済もありましたので、結果的には現金および現金同等物の増減が第3四半期ではマイナス148億円という状態になっています。

EBITDA増減分析

続きまして6ページ。EBITDAの増収分析に移りたいと思います。

上に書いてありますように、大きな項目としては構造改革ということで、主として米国在宅医療からの撤退ということによって、構造改革・コストダウンはプラス70億円という効果を上げています。

2つ目として、新規アルツハイマー病治療薬というものを導出しましたので、これの対価が30億円。それに加え、販売量差ということでは、アラミド繊維が自動車向けを中心に堅調に推移していること、医薬品の分野では「フェブリク」が順調に伸長しているということもあって、この3つで収益力は大幅に改善しているだろうと思っています。

原燃量単価差と為替影響については、相殺されるような状況で、長短(前年同期比)としては、第3四半期累計では904億円のEBITDA水準になっているという状況です。

セグメント別 売上高・営業利益比較(前年同期対比)

続きまして、7ページ。売上高、営業利益の前年同期比較に移りたいと思います。

売上高については、プラス795億円ですが、この大きな基本的な要因は「複合成形材料事業ほか」のところが、プラス489億円ということで、これは買収いたしましたCSP社(の貢献)が全体としては大きいことを表しています。

それ以外につきましては、マテリアル事業全製品、ヘルスケア、IT・その他につきましても、順調に増収につながっているということになります。

一方、営業利益の段階になりますと、マテリアルは242億円でほぼ横ばい。ヘルスケアにつきましては、プラス129億円で大幅な増益になっていますが、これは増収関係によるもの、あるいは医薬品の導入対価が今期は発生ていない(ためです)。「フェブリク」(高尿酸血症・痛風治療薬)、「CPAP」(睡眠時無呼吸症候群治療器)が伸長しているというような動きも相まって、 先行投資を実施していますけれども、プラス129億円と大幅な増益になっているということです。

その他につきましては、ITを中心に検討するということで、全体としては(16年度第三四半期累計)436億円から563億円。結果的に127億円のプラスになったということです。

マテリアル

続きまして、各セグメントごとの概要についてご説明したいと思います。

8ページに移りまして、マテリアル全体としては、上のラベルに書いてありますように、アラミド繊維が自動車向け等を中心に好調に推移したということ、CSP社の連結子会社化による増収ということになっています。

その中でもマテリアル事業につきましては、アラミド関係について、昨年は若干アラミドの定修ということもありましたので、(今年は)量的には拡大するということも相まって、大きく収益貢献をしているということです。

ポリカーボネート(PC)樹脂も需要堅調で売値もそこそこキープしながら、収益が改善しているという状況だと思いますが、ここについては、コンパウンド化ということで、できるだけ高付加価値化にシフトしている効果が、徐々に表れてきているのだろうと考えています。

繊維・製品事業につきましては、昨年対比で若干プラスということで、従来から申し上げていますスポーツ・アウトドア関係、機能性繊維の状況については、堅調に推移しているということです。

一方、自動車関連部材も堅調に推移しているわけですが、その他復興需要も一巡して、若干(売上が)減少する部分と、ファッション関係が若干、全体的に市場環境が悪いという状況ながら、昨年同期ではプラスサイドに効いているということです。

複合成形材料事業(の売上)は、ほとんどがCPS社ということで、これは堅調に推移しており、順調ですが、複合成形材料ほかに含めていますリチウムイオンバッテリー用のセパレータ、これは民生用の部材提供ですが、ここは中国関係の顧客開発ということを着実に進めているのですが、その成果が想定よりも少し遅れているということで、今期は若干収益が下振れする要因になっているという状況です。

ヘルスケア

9ページに移りまして、ヘルスケアの状況です。

主力製品・サービスの販売が堅調ということで、ここは「フェブリク」、「CPAP」等を中心に、主力製品は増収に繋がっているということです。

米国の在宅医療事業の撤退効果もあって、大幅に増益しているというのが全体の現状ですが、売薬の方は「フェブリク」が順調に拡大しています。

新規の導出対価がプラスに30億円作用しました。一方、今後の医薬品のビジネスの商材を押さえるという意味で、A型ボツリヌス毒素製剤というものの導入も、(2017年)10月に決定して、若干の対価を払っています。

在宅医療向けにつきましては、HOT用酸素濃縮装置は高水準のレンタルを維持していまして、また、中でも無呼吸症候群用の「CPAP」がレンタル台数を順調に伸ばしています。

米国の在宅医療撤収影響は若干の減収ではありますけれども、(結果的に)大幅な増益に繋がったと。一方、今後の地域医療のネットワークの拡大のために「バイタルリンク」の導入も着々と進めている状況です。

その他

10ページに移りまして、その他です。

その他の中は地域医療中心にはなっています。IT事業は電子コミックの配信サービスの売上高ふぁ順調に伸びているということ。一方、IT事業の中で大きなビジネスユニットであります病院・製薬企業向けのヘルスケア分野が、いろいろな製品のラインナップを確立しながら、市場浸透させているということです。

一方、地域包括ケアに向けて、AI、IoT等の新しいテクノロジーを付加していくということも、先行投資を含め強化しているところです。一方、業務の効率化にも繋がるRPA(ロジスティック・プロセス・オートメーション)関連ビジネスにつきましても、着実に進めるということで提供の開始をしています。

業績指標推移

続きまして2018年3月期の通期業績見通しの話に移らせていただきたいと思います。

12ページに移りまして、業績指標の推移ということで、今年度が初年度となる中期経営計画で、私どもが重点指標としていますROEとEBITDAにつきまして、中期目標はROE10パーセント以上、EBITDAは2019年度で1,200億円超という目標を立てています。ROEにつきましては前回の見通しと変わっていませんが、12.4パーセントと高水準をキープすることができることを想定しています。

昨年は米国在宅の撤収に伴う税効果等の影響もありまして、15.7パーセントという飛び出た数字になっていますけれども、こういう特殊要因を除けば、ほぼ横ばいで推移しているということだろうと思います。一方、EBITDAにつきましては1,110億円。これにつきましても前回の見通しから修正はしていませんが、中期の目標に向けて1年目としては着実に進展していると思っています。

通期業績見通しの概況

13ページに移りまして、通期業績見通しの概況です。

2017年度の見通しの欄で申し上げますと、(売上高)8,400億円ということで昨年対比では大幅増収となっていますけれども、前回見通しは8,500億円ということで、マイナス100億円ほど、前回見通しから減収になるのではないかと見込んでいます。

この大きな要因は、繊維・製品関係がファッション系、あるいは新しい工場立ち上げの時期ずれというような要因もありまして、若干スローダウンするのではないかということが、売上高の減少の要因になっています。

もう1つのマイナス要因としては、先ほどご説明申し上げたセパレータ関係が、私どもは民生用を扱っているのですが、これが想定よりも若干下に振れるだろうということがマイナス要因。一方では、アラミドが堅調に推移していること等もあって、既存の製品で若干カバーできるということを想定して、マイナス100億円の減収を、今のところ見込んでいます。

一方、設備投資額、減価償却費、研究開発費等をどう見ているかと申し上げますと、設備投資は意思決定が少し第4四半期へずれ込んでいますので、若干の減少になるのではないかということを踏まえて、全体を見ているということです。

先ほど申し上げませんでしたが、営業利益、経常利益、当期純利益につきましては、前回公表どおり達成するであろうという見通しを、今のところ立てています。

この第4四半期の見通しの前提ですが、為替レートは米ドルが110円、原油がDubaiで60米ドル/バレルと見ています。また、配当金につきましては、前回見通ししていました中間30円、期末30円、年間60円という見通しを今回変更はしていません。

EBITDA増減内訳(前年実績対比)

続きまして14ページに移ります。

この通期見通しの前年対比のEBITDAの増減内訳ですが、米国在宅医療からの撤収等も含めた構造改革効果が95億円。ヘルスケアの導出関係で30億円のプラス。加えて、アラミド関係、あるいはヘルスケアの「フェブリク」、いろいろな主力製品が順調に伸びていることもあって、販売量がプラス135億円ということで、基礎収益力については、大幅に改善してきているだろうと見ています。

一方、環境要因としての原燃料単価・為替要因については、若干、原燃料価格の上昇もあって、マイナスサイドに効く。さらに、将来に向けての先行投資等も積極的に展開していますので、それを考慮しても最終的には1,110億円のEBITDAになるだろうと想定しています。

減価償却費は(2016年度の)393億円から430億円ということで、増加している要因はCSP社ののれんの償却が、大部分を占めていることだと思っています。

セグメント別 EBITDA増減内訳(前年実績対比)

15ページに移ります。

セグメント別のEBITDAの増減内訳を見ますと、マテリアルは昨年551億円、営業利益が312億円、減価償却費238億円という構造から、(2017年度は)620億円、営業利益330億円、減価償却費290億円ということで、減価償却費も増加し、営業利益も若干の増加をするということになっています。

この要因としては、フィルムの構造改革効果等も含め、アラミドを中心とした販売量の増加という貢献が大きく、原燃料あるいはCSPの償却負担も加えながら、営業利益増益につなげているということになろうかと思います。

ヘルスケアにつきましても、(2016年度の)374億円から480億円と大幅に増加していますが、この貢献要素としては在宅の米国の撤収、あるいは導出、既存製品の販売量増加ということが大きく寄与して、収益力が大幅に改善しているということになります。

一方、先行投資、研究開発も含めて積極的に投入するということの結果として、480億円のEBITDAにまで収益力はついてきているということになろうかと思います。

セグメント別 経営指標

セグメント別の経営指標です。こちらにつきましては、前回見通し対比ではマテリアルにおける、先ほど申しました繊維・製品事業のセパレータが若干不調であります。アラミド等の堅調(な売上)により収益のダウンを若干カバーしても、少しマイナスサイドに効くだろうと考えていますが、それをヘルスケアの収益力向上でカバーして、概ね前回の見通しと同等の水準になるであろうと想定しています。

セグメント別 売上高・営業利益推移(前年実績対比)

17ページに移りまして、前年実績対比での内容です。

全体として売上高は、CSP社の買収効果によって複合成形材料事業等の売上高が増加する以外にも、既存製品、既存のヘルスケア、IT・その他も順調に貢献して、987億円の増収になるだろうと、営業利益につきましてもマテリアル、ヘルスケア、とくにヘルスケアを中心に大幅に増益になるだろうという推定をしています。

セグメント別 売上高・営業利益推移(前回見通し対比)

18ページに移りまして、セグメント別の売上高・営業利益推移です。

先ほど申しましたように売上高はマテリアル事業は、アラミドを中心に健闘しているということですが、繊維・製品関連が若干スローダウン。複合成形材料のうちセパレータ事業については、当初の見込みより立ち上げ、新規採用が来年度にずれ込むのではないかということもあって(前回見通しより)マイナス100億円。

営業利益はマテリアル事業の落ち込みをヘルスケア事業でカバーするということで、680億円という見通しを立てています。

セグメント別 EBITDA増減内訳(前回見通し対比)

19ページ、これにつきましてセグメント別EBITDAの増減内訳です。

見通しとしては、販売数量等は先ほど申し上げたところでダウンするという要因を見まして、全体としてマテリアルが620億円と(前回見通しから)20億円の減益。

ヘルスケアにつきましては、順調に推移している製品群、あるいは【?? 00:23:44】が若干【?? 00:23:45】するということもあって、480億円と20億円の増益と見積もっています。

発展戦略の進捗と見通し

続きまして20ページに移ります。

発展戦略の進捗と見通しということで、全体的に2017年度ではマテリアルの拡大、とくに先ほど申し上げましたセパレータ関係を発展戦略という位置付けにしていますので、ここで若干新規採用等を期待していましたが、これが来年度にずれ込むであろうということを中心に、全体としては進捗が遅れていますが、これ以外についてはほぼ順調に推移していると見ています。

複合成形材料はCSP社のガラス繊維複合材料系を中心に、堅調に推移する見込みが立っています。一方、マテリアルの部品提供についても、いろいろな複合系の材料を提供するという活動も着実に進めています。セパレータにつきましても、民生用ではなくて車載用についての健闘も加速をしています。

ヘルスケアにつきましては、埋め込み型医療機器は小粒ではありますが、いろいろ品揃えを高めるという意味で、帝人メディカルテクノロジー社あるいはセンチュリーメディカル社からの事業譲渡等も受けまして、着実に拡大をする手立てを打っています。機能性食品につきましても「バーリーマックス」、大麦等も含め、大手食品メーカーへの対応等の方策を着実に推進しています。

新規医療機器につきましては、うつ病の治療器を(2017年)10月に国内での独占販売権を取得する等、製品の品揃え、あるいは新規用途の拡大。一方で、RFID棚管理システムが、今のところ病院関係で医療機器の管理に最適ということもありまして、「レコピック」という製品を逐次、展開しているところであります。

以上のことをできるだけ早めに推進して、発展戦略の拡大に繋げていきたいと考えています。私の説明は以上で終わらせていただきます。