2018年3月期第2四半期決算ハイライト

山本員裕氏:それでは、第2四半期の決算の概要についてのご説明を私どもからさせていただきます。全体として、売上高は前年同期比14.6パーセント増、営業利益も39パーセント増、当期純利益も(36.6パーセント増の)292億円ということで、増収増益を達成した実績となっております。

経営成績

まず経営成績なのですが、売上高は4,047億円ということで、CSP社の買収効果もありますけれども、プラス516億円の増収です。営業利益は375億円ということで、105億円の増益です。経常利益も379億円ということで、プラス112億円の増益です。

特別損益については、今回大阪本社の売却等の収益が計上されていますので、通常に比べると損益がプラスサイドで効いたということもあり、当期純利益がプラス292億円の78億円となっております。

営業外損益/特別損益

営業外損益と特別損益です。従来ですと構造改革で、このあたりの特別損益の状況はかなり変動が大きかったのですが、今回はそういうものはほぼ発生がなくなりまして、全体として申し上げるべきことは、固定資産の売却益で、上期で55億円プラスということで、このうちの大半が大阪本社の売却収益ということになっています。その他については、あまり特徴的なところはございません。

財政状態/キャッシュ・フローの状況

財政状態につきましては、総資産9,538億円ということで、為替が円安に振れているため若干増加要因にはなっていますが、それを含めても総資産の減少ということです。

この大きな要因は、有利子負債が3,411億円ということで、351億円ほど有利子負債を減少させたことだろうと思っております。

結果として、D/Eレシオは0.89。自己資本比率も40.2パーセントということで、財務体質としては堅調な数字になっているだろうと思います。

総資産の内訳としては、先ほど申し上げましたように、期首9,641億円から、現預金307億円減、あとは売上増等もありますので、棚卸資産・売上債権等の増加と運転資本の増加があり、最終的には9,538億円となりました。

キャッシュにつきましても、上下の変調という問題もありますけども、営業活動キャッシュ・フローは、運転資本の売上増・在庫増による増加ということで、若干減っていますけども、その他の項目については通常どおりで、財務活動キャッシュ・フローは借入の返済が減少したことがあり第2四半期末の現預金が307億円ほど減っているという状況です。

EBITDA増減分析

EBITDAの増減分析で言いますと、大きく456億円から601億円ということで増加しておりますが、その主な要因は、構造改革・コストダウンの効果でプラス50億円。これは在宅の米国の撤収効果がこの中の大きなウェイトを占めているということになります。

それと、医薬の化合物の導出という効果がプラス30億円。その他販売量につきましては、アラミド樹脂、医薬品分野のフェブリク、在宅のCPAP等も含めて堅調に推移した効果で60億円。このような効果が、最終的には損益的に大きな影響を出しているということです。

セグメント別 売上高・営業利益比較(前年同期比)

セグメント別で言いますと、売上高はマテリアルも堅調で(前年同期比)11パーセント増。繊維・製品が若干前年同期では苦戦している部分もありましたが、ほぼ同様の数字です。

複合成形材料は、CSP社の買収効果が大きく寄与して、マテリアル全体ではプラス458億円、(前年同期比)18パーセント増。ヘルスケア・その他につきましても、堅調に増収となっております。

営業利益につきまして、マテリアルは若干の増益ということですが、一番大きく貢献したのはヘルスケアです。

これは米国在宅医療事業の撤収影響もあり、プラス97億円ということで大幅な増益となっています。その他はIT関係の貢献ということになろうかと思います。

マテリアル

事業ごとに申し上げますと、マテリアル事業は、アラミド・炭素・樹脂等も堅調に推移したということで、増収となっております。

繊維・製品事業については、スポーツ衣料あるいは産業資材関連が堅調に推移していますけれども、ファッション関係が若干苦戦したということもあり、ほぼ横ばいの水準です。複合成形材料事業は、買収効果等もあり増収となっています。

ヘルスケア

ヘルスケアの医薬品分野については、全体の市場環境が悪い中、高尿酸血症・痛風治療薬のフェブリクが堅調に推移しているということと、(新規アルツハイマー病治療薬候補化合物の米メルク社への)導出を達成しているということで大きく増益。

在宅医療分野につきましても、睡眠時無呼吸症候群治療器(CPAP)が堅調に推移したこととと、米国事業からの撤収効果で増益となっております。

その他

その他はIT事業が大きな構成を占めていますけれども、電子書籍を中心としたネットビジネス系、あるいはIT事業で大きなウェイトを占めていたヘルスケア関係が堅調に推移したということで増収増益となっています。

以上を持ちまして、私どもの決算の状況のご説明を終わらせていただきます。

2018年3月期 通期業績見通し 業績指標推移

鈴木純氏:鈴木でございます。続きまして、通期の業績見通しに関してご説明させていただきます。

通期ROE、EBITDAともに、中期計画の中でご説明したように、10パーセント以上あるいは中期最終年度(2019年)にはEBITDAで1,200億円超、2025年には2,000億円超という目標を掲げて運営しております。

ROEに関しましては、昨年度は15.7パーセントという少し高い数字でございましたが、米国の在宅医療の撤収に伴う税効果等が110億円ばかりございまして、こちらは私どもは外部要因と考えておりますので、実力ベースでは先期もほぼ12.4パーセントだったと思っております。

ROEに関しましては、前回見通しの12.2パーセントから12.4パーセントに着地を上げたところで想定しております。

EBITDAに関しましては、先期の958億円から、前回の第1四半期の決算のときには1,070億円という数字でございましたが、上期はアラミド・炭素樹脂等が好調で、またヘルスケアも好調でございますので、通期で1,110億円というところまで行くだろうという見通しにしております。

通期業績見通しの概況

もう少し(通期業績見通しを)細かく見ていきますと、売上は8,500億円、昨年対比では1,000億円強の増収。営業利益は680億円、経常利益は680億円。ともに昨年対比では100億円強の増益。

親会社に帰属する当期純利益は、先ほど申し上げたように、501億という数字には(米国の在宅医療の撤収に伴う税効果等)110億円(が含まれるので)、当期利益ベースでは減益となりますが、実力ベースでは増益を図っていると考えております。

一番右側に、前回見通しとの差異が書いてありますけれども、売上高ベースでは繊維・製品等のところで少し落ち込みがありますので、50億円ばかり減らしました。

その他利益ベースに関しましては、営業利益でプラス40億円、経常利益でプラス30億円、当期純利益でプラス10億円と、第1四半期決算から上方修正をさせていただいております。

営業利益ROICが10.7パーセント、フリー・キャッシュ・フローが100億円、設備投資額は大幅に増やして600億円、減価償却費は430億円、研究開発は390億円という数字でやっていこうと考えております。

また中間配当金は30円。こちらは確定させていただきました。今のところまだ見通しですけれども、期末は30円。年間は60円を予定しております。

EBITDA増減内訳

EBITDA増減の内訳です。こちらは先ほど山本が上期の決算状況でご説明したものとほぼ同じでございます。

昨年対比958億円から1,110億円までの階段グラフですけども、構造改革、米国在宅とフィルム等の影響で95億円プラス。それから5月にありましたMerck社への抗アルツハイマー病の抗体(導出)が30億円。

販売数量は、先ほどから申し上げているように、アラミド・炭素樹脂、それからヘルスケア等すべて好調ですので145億円プラス側にきています。売値・構成、それから原燃料では、とくに原油が昨年対比では上昇傾向にありますので、この部分で70億円程度マイナス側にきています。

為替は若干プラス。とくに円ユーロはプラス。それから先行費用で70億円くらいかけさせていただいて、(トータルで)1,110億円となっております。

セグメント別 EBITDA増減分析

これをマテリアルとヘルスケアに分けると、よりわかりやすくなると思いますけど、マテリアル側が、EBITDA551億円から640億円。大きな要因としては30億円の構造改革・コストダウン、フィルム、それから販売量差、アラミド・炭素・樹脂等が好調のところ。

しかし、この部分が売値・構成と原燃料でほぼオフセットされて、為替影響が若干プラス。先行費用、CSP社の連結子会社化はEBITDAベースではプラスに効きます。

一方、ヘルスケアは65億円の構造改革・コストダウン。こちらはほとんど米国在宅医療(撤収効果)の分でございます。それから治療薬候補化合物導出。Merck社への導出の30億円。

そしてフェブリク。痛風・高尿酸血症薬ともに好調ですので、この部分の販売量差で50億円。先行費用で60億円使って、先期の374億円から460億円になるという想定をしております。

セグメント別 経営指標

もう少し細かい数字でございます。マテリアル・ヘルスケア・その他でEBITDAベースで640億円、420億円、70億円の見通しです。前年対比ではマテリアルもヘルスケアもEBITDAベースで増益、その他も増益です。前回の第1四半期決算から比べると、ヘルスケアを大きく持ち上げたかたちにしております。

その他の部分の要因としては、IT事業も今のところ好調ということで、こちらも5パーセントプラスにしております。

営業利益ROICは、マテリアル9パーセント。ヘルスケア24パーセント。トータル10パーセントを今回の目標にしております。

セグメント別 売上高・営業利益推移(前年実績対比)

もう少し細かい数字になります。2017年度の年間見通しで、マテリアル事業、アラミド・炭素・樹脂、それからフィルムでございますけれども、2,450億円という売上高で、昨年より169億円の増収です。

繊維・製品事業は2,873億円から3,100億円ということで、227億円の増収です。

複合成形材料事業は昨年度の245億円から800億円、これもCSP社の統合効果が555億円ということで、マテリアル全体としての売上高は6,350億円で、昨年対比952億円の増収となります。

ヘルスケアはほぼ横ばい。43億円程度の増収で1,550億円。その他は約92億円増収で600億円。全体売上高で8,500億円です。

営業利益で見ていきますと、マテリアルは312億円から350億円ということで、プラス38億円の増益。ヘルスケアは大幅な増益で、248億円から340億円ということで、プラス92億円の増益です。

その他は微増でございますけれども、53億円から55億円ということで、680億円という数字にしております。

セグメント別 売上高・営業利益推移(前回見通し対比)

こちらは前回見通しと、今回見通しの差異ですので、先ほどのご説明とあまり変更がないと思います。ヘルスケアの40億円のプラスの部分。とくに営業利益のところが前回見通しからプラスでお示しさせていただいております。

セグメント別 EBITDA増減内訳

こちらは(セグメント別)EBITDAの増減内訳でございます。

マテリアルは前回見通しから言いますと、やはり売値・ 構成差あたりをちゃんと改善していくという値でありますけども、若干先行費用がかかるということで、ほぼ横ばいです。

ヘルスケアに関しましては、大きく動いているところは、成長ホルモン剤のマイルストーン支払見直しがおそらく入ってくるだろうということで、こちらの30億円をプラスさせていただいている部分が大きな要因で、460億円になっております。

ヘルスケア発展戦略①

ヘルスケアの発展に関して、どのような手を打っているかを(スライドを)何枚か使ってご説明させていただきます。

今のヘルスケアは帝人ファーマが主体で、医薬品事業と在宅医療事業を行なっております。医薬品事業は通常の新薬創出型の製薬企業ですけれども、一般的に製薬企業というのは、病院・医師に対してのアプローチをする事業体でございます。

ただ私どもは在宅医療サービスを持っておりまして、ここは病院・医師とともに患者さんに直接コンタクトするビジネスを行なっています。

それから当然、医薬品、医療機器の規制を熟知した開発力。すべて日本の厚労行政にのっとったかたちで、すべてそれを行える力を持っている。

それからもう1つ。インフォコムを通じたITヘルスケアという展開力を持っている。このあたりが、従来型の製薬企業あるいは単なる在宅医療ビジネスを提供する会社とは違う、帝人独自の強みを持っていると思っております。

これらを生かして、ヘルスケアの新しい事業の中で、中期経営計画のところでも申し上げておりますけれども、2025年には(売上)1,500円程度の規模のビジネスを作っていくということを着々と進めています。

その内訳でございますけども、新規医療機器で1,500億円のうちの2〜3割。デジタルヘルスケアで1〜2割。埋め込み型医療機器で2〜3割。機能性食品素材で2〜3割というイメージを持って展開を進めています。

もっと簡単に申し上げますと、今、私どもが行なっているヘルスケアのビジネスは、公的保険で償還されるビジネスだけを行なっていますけれども、その部分を膨らませます。

例えば、細胞医療もございますし、埋め込み型の医療機器もそうだと思います。新型医療機器もそうだとは思いますが、デジタルヘルスケア、あるいは機能性食品素材などは、公的保険の外側のビジネスになるという認識でおります。

私どもは、ここはあまり気にせず、きちんととした技術あるいはノウハウを持った会社として、信頼を持ったかたちでご提供できる会社になりたい。カバーする範囲は、ヘルスケアの大きな広い範囲をカバーするビジネスを展開していきたいと考えております。

ヘルスケア発展戦略②

将来大きくしていくと申し上げておりましたが、実際に、2017年度に入ってから立て続けにいろんなことを行なっております。

例えば、埋め込み型医療機器の部分。人工関節をナカシマメディカルがやっておりましたが、2017年7月には帝人メディカルテクノロジーの、これはタキロンさんから骨接合材というところを買収しまして、1つ会社を中に作っております。

さらに2017年10月にはセンチュリーメディカルさんから、脊椎固定器具という部分の企業を継承するという買収を決定しております。

また2017年10月には新規医療機器でございますけども、これはrTMS治療装置という、うつ病を治療すると。これまで本当に、薬でなかなか治らない患者さんが多くいらっしゃる中で、すでに米国では承認を取れている医療機器です。

これを日本に初めて持ち込んで展開していきたいということで、2017年10月に契約しております。

また、介護ITサービスあるいはさらなる脳神経系、さらなる新規診断・治療機器。あるいはスーパー穀物のラインナップから、さらにその他の健康の増進に寄与するような機能性食品などを広げていくようなことを着々と進めて、2025年に1,500億円ぐらいの売上規模のビジネスを作っていることをご報告させていただきます。今日も順調に進行しているということをご理解いただければなと思います。

発展戦略の進捗と見通し

結果として、発展戦略は今どのような状況かというものが最後の1枚でございます。

マテリアルは2025年には約2,000億円作ると申し上げております。2016年度に293億円だったものが、2017年度にはCSP社が入ってきたことで、すでに800億円ぐらいになっています。

2019年には、1,200億円から1,300億円ぐらいになるだろうと想定しています。2025年には複合材料成形材料、樹脂グレージングなどで約1,500億円。そしてセパレータ・メンブレン等で約500億円という内訳で、2,000億円を考えております。

またヘルスケアでは、昨年度は34億円しかなかったものが、今年度で約50億円ぐらいまで成長してきました。しかし、2025年にだいたい「やるぞ」と言っているのが、1,500億円ぐらいの数字です。

2019年度、中計の最終年度に500億円ぐらいまで持っていくという目標を掲げて、今ここを動かしているところです。

こちらの内訳は、埋め込み型医療機器で400〜500億円。機能性食品素材で300〜400億円ぐらい。その他はいろいろ混ざっています。

このあたりで700億円から800億円ぐらいという数字をイメージしながら、2019年度にどのくらい、あるいは2020年度にどのくらい、という数字のイメージを持って進めていて、こちらにまとめている次第でございます。

総じてこの1年、2年の間というのは、この2025年の数字を達成するために、2019年度の中計最終年度に向けてどうなっていくかということを作っている時期だとご理解いただければと思います。

私からのご説明は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。