2017年度第2四半期決算説明会
大山晃氏:2017年度第2四半期の決算概要についてご説明いたします。
「リコー再起動」(2017年4月公表)の主な構造改革施策
2018年3⽉期(2017年度)は、4⽉に社⻑の⼭下から公表した「リコー再起動」に基づいて、構造改⾰に注⼒し、主要な施策をやりきる年と説明してきました。規模の拡⼤から“利益重視”へ、および総花的な拡⼤戦略から収益性の視点から“事業の絞り込み”へ戦略転換しています。主な施策は、「コスト構造改⾰・スリム化」「業務プロセス改⾰」「事業の選別の徹底」です。
2018年3月期第2四半期累計<概略>
リコー再起動に基づく事業の⾒直しを⾏い、10⽉27⽇にリコーインドへの財務⽀援を⾏わないことを決定しました。加えて、本⽇、リコー電⼦デバイス(株)の株式譲渡を決定し、開⽰しています。
なお、リコーインドに関する決定については、すでに10月27日に適時開⽰を⾏っていますが、改めて概要をご説明いたします。
当社は、リコーインドの事業再建に向けて⽀援してきました。しかし、リコーインドと主要取引先との関係悪化の⻑期化などを受け、その事業性について、4⽉以降改めて検証を⾏ってきました。その結果、リコーインドへの追加の財務⽀援を⾏わないことを取締役会で決定しました。
これに伴い、想定しうる損失を通期の業績⾒通しに反映し、10⽉27⽇に開⽰を⾏いました。このような事態となったことを重く受け⽌め、グループ全体で再発防⽌に取り組んでまいります。
「リコー再起動」では、過去のマネジメントからの決別を決意表明しており、過去の負の遺産については今年度中に可能な限り清算し、来年度からは成⻑に向けた活動に邁進したいと考えています。
基盤事業の変⾰については、過去のリコーの5⼤原則の中の「マーケットシェア追求」「MIF(市場稼動台数)拡⼤」「フルラインナップ」が必ずしも適正な価格付け、利益志向に結びついていませんでした。
2017年度上期は、売価適正化を徹底的にコントロールし、不採算MIF削減を実施しています。また、「直売・直サービス」「ものづくり⾃前主義」が固定費の増加につながっていました。
2017年度上期は、北⽶の販売体制・⽣産体制の最適化を進めました。とくに第1四半期は、直売顧客の代理店への移譲、あるいはデジタルセールスへ販売アプローチを変えていく等、SMB(中⼩)向けの販売体制を⾒直しました。
2018年3月期第2四半期累計<主要指標>
第2四半期は、中⼤⼿向けの販売体制の改⾰に取り組みました。その結果、2018年3⽉期第2四半期累計の連結売上⾼は9,988億円と前年同期⽐プラス2.8パーセントの増収となりました。
ただし、為替を除くとマイナス0.7パーセントの減収となります。営業利益は220億円と前年同期⽐プラス33パーセントの増益となりました。
これは、構造改⾰施策の展開とその効果の取り込みが予定以上に進展しているためです。親会社の所有者に帰属する当期純利益は45億円と前年同期⽐マイナス9パーセントの減益となりました。
ファイナンス事業を除くフリーキャッシュフローであるFCEFは、159億円の収⼊となり、前年同期からプラス234億円⼤きく改善しました。
2018年3月期第2四半期累計 営業利益増減要因
主な指標の中で、前年同期の営業利益との増減を説明します。当第2半期累計の営業利益は220億円と、前年同期の営業利益165億円に対し増益となりました。
ただし、前年度の営業利益には特殊要因としてインド関連費⽤マイナス69億円が含まれているため、それを除いた234億円を実質的な前年同期の⽔準として主な増減要因を説明します。
「販売・MIX」は、今回の実績から、単価要因と数量要因に分解してお⽰しします。「単価」要因による減益影響はマイナス25億円でした。製品ミックス変化やノンハード価格の継続的な下落影響などはあるものの、売価適正化により、減益幅を抑えることができています。
⼀⽅「数量」要因による減益影響は、第2四半期を中⼼にマイナス121億円となりました。これは、第1四半期に実施した⽶州のMIF売却によるノンハード収⼊減少に加えて、第2四半期で実施した⽶州の中⼤⼿販売体制改⾰の影響による販売活動鈍化の影響が⼤きいです。
「製品原価低減」「研究開発費」「その他経費」は第1四半期と同様、期初⾒通しに沿って予定どおり推移しました。
「構造改⾰効果」は前年度施策の効果に加えて、第2四半期までに実施した施策による効果として204億円となりました。204億円のうち63億円は第1四半期に実施した⽶州のMIF売却分となります。
第2四半期累計の「構造改⾰費⽤」は174億円となりました。なお、費⽤には第2四半期に計上したインド関連費⽤65億円も含まれています。
年度の構造改⾰費⽤⾒通しには、事業⾒直しの中で発⽣する費⽤も含まれています。今回第2四半期で計上したものはその計画の範囲内のものです。
「為替影響」は、想定より円安に推移したため前年同期⽐で増益要因となりました。社内計画に対しては、「構造改⾰」施策の予定以上の進展などにより、上振れて着地しました。
(参考)「リコー再起動」に基づく新たな開示セグメント
第1四半期から新しい事業セグメントでの開⽰を⾏っています。その新しい区分を再掲します。この区分に沿って各事業の説明を⾏います。
事業セグメント別業績(1)
OP(オフィスプリンティング)は、売上⾼5,593億円、前年同期⽐マイナス2パーセントの減収となりました。
MFPハードは、収益重視の販売展開継続に加えて、⽶州での販売体制改⾰の影響による販売活動鈍化などにより、台数が前年同期⽐減となりました。
MFPノンハード売上も前年同期⽐マイナスとなりました。継続的な単価下落の影響に加えて、北⽶での販売改⾰に基づくディーラーへのMIF移管による影響も第1四半期に続き含んでいます。
営業利益は507億円と前年同期⽐マイナス7パーセントの減益となりました。MFP売上減少に伴うものです。
OS(オフィスサービス)は、売上⾼2,120億円、前年同期⽐9パーセントの増収となりました。国内のITサービスの販売が拡⼤しました。
営業利益はマイナス25億円となりました。これはお客様価値提供を拡⼤する新たなサービスの開発費などの増加によるものです。前年同期⽐では増益となっています。
事業セグメント別業績(2)
CP(商⽤印刷)は、売上⾼905億円、営業利益114億円とノンハード売上の増加などにより、前年同期⽐増収増益となりました。
IP(産業印刷)は、売上⾼88億円、営業利益はマイナス9億円となりました。産業⽤インクジェットヘッドの販売が引き続き拡⼤したことに加え、産業向けプリンタの販売も拡⼤し、⼤幅増収となりました。
IPでは、第2四半期は、戦略製品として、DTG(⾐料)向けプリンタ「RICOH Ri100」と、建材向けプリンタ「RICOH Pro T7210」を発表、今後の更なる事業拡⼤を⾒込んでいます。
IPの営業利益の⾚字は、こうした新製品の開発投資などの先⾏費⽤によるものです。今後の事業拡⼤により、早期⿊字化を⾒込んでいます。
TH(サーマル)は、売上⾼294億円、営業利益は28億円となりました。サーマルペーパーやインクリボンのメディアが堅調に拡⼤し、増収となりましたが、⼀時的な費⽤増により営業利益はほぼ横ばいとなりました。
総じて、成⻑領域と位置づけている「プリンティング」では、第1四半期に引き続き、戦略に沿って着実な収益拡⼤が続いており、将来の収益拡⼤に向けた戦略製品の投⼊も順調に進んでいます。
事業セグメント別業績(3)
その他事業の売上⾼は984億円、営業利益は21億円となりました。ID(産業プロダクツ)では、オプトモジュールの販売拡⼤で収益を拡⼤しました。また、⾞載⽤ステレオカメラの量産を開始し、売上に貢献しています。
SV(SmartVision)では、製品絞込みなどにより売上減となりました。OT(その他)に含まれるファイナンスビジネスは増収となりましたが、競争激化の影響などにより、前年同期⽐では減益となりました。
連結財政状態計算書
総資産は、28,260億円と前期末から667億円の増加となりましたが、為替換算影響(主にユーロ)を除くと、実質的には146億円の増加にとどまりました。
連結有利⼦負債合計はファイナンス⼦会社の事業拡⼤にともなって増加しました。⼀⽅で、ファイナンス事業を除くネット有利⼦負債はほぼ横ばいとなっています。その他の項⽬では⼤きな動きはありません。
連結キャッシュフロー計算書
営業キャッシュフローは88億円の収⼊となりました。当期利益・償却費が増加した⼀⽅で、第1四半期に⽇⽶APA協議に基づく⽶国での税⾦納付の⽀出などにより、前年同期から減少となりました。
投資キャッシュフローは、マイナス200億円の⽀出となりました。資産⾒直しに伴う収⼊などがあり、前年同期からは収⼊増となりました。
以上の結果、フリーキャッシュフローはマイナス112億円の収⼊となりました。ファイナンス事業を除いたフリーキャッシュフローであるFCEFは、159億円の収⼊となり、前年同期から234億円の増加となりました。
2018年3月期通期見通しの考え方
2018年3⽉期業績⾒通しは、10⽉27⽇に公表したとおり、リコーインドに関する決定に伴い、新たに⾒込まれた損失300億円を反映しています。
構造改⾰の施策展開と効果創出は第2四半期まで想定以上に推移していますが、今回は年間の効果⾒込み額は据え置きます。
構造改⾰費⽤については、当初の⾒通しの450億円から395億円に修正します。第2四半期までの進捗で、想定よりも費⽤の⽀出を抑えつつ効率的に施策が進んでいます。
また、構造改⾰費⽤には改⾰に伴う事業リスクも⼀部費⽤として⾒込んでいました。これは、⽶州の販売減少などで粗利減として表れています。こうした状況を踏まえて⾒直しました。
下期の為替レート前提もユーロのレートを⾒直し、ドル105円/ユーロ125円に変更しました。その他、経済環境、事業環境に対する⾒⽅は変更していません。
2018年3月期(2017年度)通期見通し
通期⾒通しの数字は、10⽉27⽇に開⽰したものから変更はありません。売上⾼⾒通しは、国内が好調に推移していることと、為替レート前提の⾒直しなどを踏まえ、2兆400億円に引き上げました。
利益項⽬は、リコーインドに関する損失⾒込みを反映して、残念ながら引き下げました。研究開発投資、設備投資、減価償却費などの投資関連の変更はありません。
2018年3月期見通し 営業利益前年比増減
「販売・MIX」は、期初申し上げた継続的な価格下落を⾒込むことに加えて、⽶州で第2四半期に⾏った販売体制改⾰に伴う販売活動減の影響を加味し、減益幅を⾒直しました。これに対しては、収益性を重視した販売活動を継続し、下落幅を抑えていきます。
「その他経費」は、上期に経費を抑制できた実績を踏まえ、前回から減益幅が縮⼩しました。「構造改⾰効果」は、前回⾒通しと同じ390億円としています。
「構造改⾰費⽤」は、今回の⾒直しで395億円となりました。「為替影響」は、第2四半期までの実績と、下期のユーロ想定レートを変更したことにより、増益に寄与する⾒込みです。
リコーインドに関連して今回新たに⾒込んだ損失300億円を除くと、これまでの⾒通しを上回って推移しています。この状況を踏まえて、上期配当⾦は、期初公表した年間配当⾦⾒通し15円の半額となる7.5円に決定しました。
前回の業績⾒通しを修正することとなり、株主・投資家のみなさまにはご⼼配をおかけしております。繰り返しになりますが、2017年度は過去の遺産を聖域なく⾒直しを⾏い、来年度以降の回復と次の成⻑に確実につなげていく年としています。
今回のリコーインドについても、その動きの中で決定したものであることをご理解いただきたいと思います。