2017年度第3四半期決算説明会

見浪直博氏:財務責任者の見浪でございます。それでは、2017年度第3四半期決算についてご説明をいたします。

全社実績

はじめに2017年1−9月の全社実績をご説明いたします。全社利益指標である、為替一定調整後営業利益は、国内たばこ事業および加工食品事業の減益を、海外たばこ事業・医薬事業の堅調なパフォーマンスによる増益が上回り、対前年同期比で2.8パーセントの成長となりました。

財務報告ベースでは、売上収益は国内たばこ市場における紙巻総需要の減少を主因とし、1.6パーセントの減収となりましたが、調整後営業利益は、海外たばこ事業における不利な為替影響を受けても、2パーセントの増益となりました。

営業利益・四半期利益については、不動産関連売却益の減少などにより、それぞれ5パーセント・4.7パーセントの減益となっております。

海外たばこ事業実績①

続きまして、事業別の実績をご説明いたします。まず海外たばこ事業です。

1−9月の実績は、通期利益目標に対してほぼ想定どおりに進捗しております。総販売数量はイランのSeeding marketsにおける堅調なパフォーマンス、およびフィリピンにおける買収効果があったものの、さまざまな市場における総需要の減少と競争激化を主因に、対前年で2パーセントの減少となりました。なお、買収効果除きでは2.6パーセントの減少となります。

一方、GFB販売数量については、複数の主要市場におけるシェアの伸長、Seeding marketsでの力強い成長を背景に、0.2パーセント増となりました。

為替一定ベースでは、自社たばこ製品売上収益はプライシング効果が販売数量減少の影響を一部相殺し、対前年で1.5パーセントの減収。調整後営業利益については、拠点最適化による製造コストの低減効果が着実に発現したことを主因に、9.2パーセントの利益成長となりました。

財務報告ベースでは、現地通貨安がネガティブに作用し、自社たばこ製品売上収益は2.1パーセントの減収。調整後営業利益は4.6パーセントの増益となりました。

円ベースの実績については、円安によるポジティブな影響を受け、お示ししたとおりの実績となっております。

海外たばこ事業実績② クラスター別実績

7-9月のクラスター別実績をご説明いたします。

まずSouth & West Europeクラスターです。「Winston」「CAMEL」の堅調なモメンタムによるシェアの増加に加え、イタリア・スペインにおけるポジティブな流通在庫調整が、総需要減少の影響を上回り、総販売数量・GFB販売数量ともに増加いたしました。

North & Central Europeクラスターでは、UKおよびドイツにおける総需要の減少、競争激化によるシェア減により、総販売数量・GFB販売数量はそれぞれ6.4パーセント・5.6パーセントの減少となりました。また為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益が大きく減少していますが、これは数量減およびUKにおける価格戦略の影響が主たる要因です。

UKでは、総需要は想定よりも強めに推移しております。しかしながら、Fine cutカテゴリーでの競争激化に加え、製造体制の最適化を進める中、想定よりも総需要が底堅く推移したことにより、一時的な供給不足が生じたことから、総販売数量・GFB販売数量はそれぞれ7.2パーセント・6.7パーセントの減少となりました。

なお、直近では供給不足は大幅に改善され、解消に向かっております。引き続き総需要や競争動向などを注視してまいります。

続きましてCIS+、Rest-of-the-Worldクラスターの実績です。

CIS+クラスターについては、ロシア・ウクライナなどにおける総需要の減少を背景に、総販売数量・GFB販売数量はそれぞれ4.3パーセント・1.0パーセントの減少となりました。

ロシアでは7−9月の総需要が対前年で8.6パーセントの減少と、上期の7.0パーセント減と比べ、減少幅が大きくなっております。

またミッドプライスおよびバリューセグメントでの競争も継続しております。しかしながら、シェアについては「Winston」が引き続き好調。「LD」も堅調に推移し、トータルシェアは年初来力強く回復し、前年第4Qと比べ、7−9月では2パーセント増の33.8パーセントとなりました。

柔軟な価格戦略を背景としたこのシェアモメンタムもあり、7−9月のロシアの販売数量・GFB販売数量は、それぞれ4.4パーセント減・1.2パーセント減と、4−6月の9.9パーセント減・7.4パーセント減から大きく改善しました。

Rest-of-the-Worldクラスターについては、イランのSeedingマーケットでの堅調なモメンタム、およびフィリピンにおける買収効果により、総販売数量は8.0パーセント、GFB販売数量は4.8パーセントの成長となりました。

「Winston」が牽引し、イランでの総販売数量・GFB販売数量は、それぞれ6.1パーセント・14.9パーセントの成長となりました。

台湾では6月増税前の流通在庫充実による反動減があったものの、シェアは引き続き伸長しております。

海外たばこ事業実績③ 自社たばこ製品売上収益/調整後営業利益

続いて為替一定ベースの1−9月の財務実績です。自社たばこ製品売上収益については、販売数量の減少影響がプライシング効果を上回り、対前年で1.5パーセントの減収となりました。

一方、調整後営業利益は新興市場および「Emerging Products」への投資は実施しつつ、製造コスト低減効果の発現を主因として、対前年で9.2パーセントの増益となりました。

こちらでは、財務実績における為替影響をお示ししております。

現地通貨vs米ドルの為替影響は、英ポンド・トルコリラ安のネガティブな影響が、ロシアルーブルのポジティブな影響を上回り、結果として不利に対応しております。

ドル円レートについては、前年に比べ円安に推移しており、円安が現地通貨安のネガティブ影響を相当程度相殺した結果、利益に対する為替のインパクトは限定的なものとなりました。

国内たばこ事業実績①

続きまして、国内たばこ事業です。まず数量実績です。すう勢減およびT-Vapor市場拡大の影響を受け、紙巻総需要・JT紙巻販売数量ともに11.8パーセントの減少となりました。

シェアについては「MEVIUS」が定価改定による影響を受けたものの「Natural American Spirit」をはじめとするその他の注力ブランドが堅調なパフォーマンスを見せ、トータルでは前年比同水準の実績となっております。

国内たばこ事業実績②

財務実績をご説明いたします。自社たばこ製品売上収益は「MEVIUS」などの定価改定による単価効果、およびPloom TECHの販売エリア拡大による売上の伸長があったものの、紙巻販売数量の減少により対前年で8.7パーセントの減収となりました。

調整後営業利益については、紙巻への投資水準最適化を通じた160億円超のコスト減などがあるものの減収影響が大きく、対前年で10.6パーセントの減益となりました。

Ploom TECH

6月末より東京都心部において、Ploom TECHの販売を開始し、デバイスおよびカプセルともに順調な売れ行きで、手応えを感じております。

また10月30日より都内での販売エリアを拡大し、デバイスおよびカプセルをともに販売している店舗数は約500店舗となりました。

加えて、11月1日から都内全域のコンビニエンスストアで、専用たばこカプセルの販売を順次開始すると同時に、2銘柄の新商品を発売しております。

今後は大都市圏への流通を段階的に拡大し、来年上半期には全国展開の予定でございます。最優先課題としての製造能力の増強についても、引き続き取り組んでおります。

医薬・加工食品事業実績

医薬・加工食品事業の実績です。医薬事業では、導出品の販売拡大に伴うロイヤリティ収入の増加、および抗HIV等販売好調による子会社の売上の伸長により、対前年で135億円の増収、116億円の大幅な増益となりました。

加工食品事業については、調味料の売上は伸長したものの、その他商品の販売減少により対前年で28億円の減収、8億円の減益となりました。以上が実績の説明となります。

全社業績見込

2017年度の修正見込みについてご説明をいたします。はじめに全社の修正見込みです。為替一定調整後営業利益については、国内紙巻販売数量の前提を見直したことを主因に、50億円の下方修正といたします。

為替影響を含む、財務報告ベースでの業績については、為替レートの前提を主要現地通貨対ドルは総じて、またドル円についてもポジティブ方向に見直したことから、売上収益は50億円、調整後営業利益は20億円の上方修正といたします。

営業利益・当期利益については、調整後営業利益の上方修正があるものの、海外たばこにおける買収関連費用の計上などを見込んでおり、前回見込みから変更はいたしておりません。

変化が激しい事業環境の中においても、グループ全体としてはさまざまなリスクを適切にマネージし、為替一定での増益を確保するとともに、当期利益については年度当初の見込みを維持しております。

海外たばこ事業見込

各事業の修正見込みをご説明いたします。まず海外たばこ事業です。

総販売数量については、フィリピンにおける買収効果を主因に70億本の上方修正。一方、GFB販売数量は、一部の市場におけるたばこ事業や競争環境の前提を見直し、20億本の下方修正といたします。

為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益は、前回見込みから変更しておりません。これは、総販売数量は70億本上方修正するものの、主に低単価市場での修正であるため、売上収益の影響は限定的であり、他の市場の数値の下振れ影響に相殺されるためでございます。

また、こうしたトップラインにおける市場構成の変化は、調整後営業利益に対してネガティブに作用しますが、経費の効率的執行などにより9パーセントの利益成長目標に変更はございません。

財務報告ベースでは、ロシアルーブルおよびイギリスポンドなどの為替前提の変更に伴い、自社たばこ製品売上収益は140ミリオンドル、調整後営業利益は50ミリオンドル上方修正いたします。

円ベースでは、ドル円レートの見通しも反映し、自社たばこ製品売上収益は180億円、調整後営業利益は60億円の上方修正といたします。

国内たばこ事業見込

続いて、国内たばこ事業の修正見込みをご説明いたします。

紙巻数量について、前回見込みにおいては13パーセント前後の減少と見ておりましたが、足下の数制限拡大を勘案し、13パーセント台後半の減少へと見通しを変更しております。その結果、JTの紙巻販売数量は対前年13.4パーセントの減少となる見込みでございます。

紙巻販売数量の前提を前回見込みから修正したことにより、自社たばこ製品売上収益および調整後営業利益を、それぞれ110億円、50億円引き下げいたします。

なおT-Vapor市場のシェアは通年で11パーセント程度、年末時点では18パーセント程度という見通しに変更はございません。

医薬・加工食品事業見込

医薬事業および加工食品事業の修正見込みをお示ししております。

医薬事業は、想定を上回る好調なモメンタムによる海外ロイヤリティ収入の増加を見込んでおり、売上収益・調整後営業利益ともに10億円の上方修正といたします。

加工食品事業については、足下の販売動向を反映し、売上収益は20億円、調整後営業利益は5億円の下方修正といたしますが、5期連続の増益を目指してまいります。

厳しい事業環境の中、総需要の減少や競争の一層の激化が見込まれますが、2017年通期の利益成長達成を目指してまいります。

また、Emerging Productsへの投資や新興市場への地理的拡大などの、将来の利益成長に向けた事業投資を着実に推進してまいります。

年間配当金につきましては、すでにお示ししている140円から変更はございません。ご清聴ありがとうございました。