連結損益計算書
朝倉研二氏:長瀬産業の社長を勤めております、朝倉でございます。
まず4ページの数字をご覧ください。2017年3月期でございます。赤い列をご覧ください。売上7,223億円。これは前期比97パーセントでございます。
利益率といたしましては12.7パーセント。0.3パーセント改善をいたしております。営業利益150億円。これは前期比83パーセントの改善。当期純利益は103億円。これは前期比84パーセントでございます。
売上面におきましては円高およびナフサ価格の下落等の影響を受け全体で減収。
そしてまた利益面につきましては、これは年度の初めよりご報告申し上げておりました通り、退職給付会計における数理再計算の差異31億円を費用計上させていただいたことにより、減益となっております。
左下のフキダシをちょっとご覧いただければ、お分かりになると思いますが為替の影響をこちらに記載いたしてございます。
17年3月期におきまして、為替の影響が売上におきまして467億円、営業利益におきまして17億円ございました。加えナフサ安によりまして、前年比ですが売上で246億円ほどの影響がございました。
タラレバではございますが、このような外部環境の要因がなければ増収増益となり、私どもといたしましては事業の実態としては悪い状況ではないものと認識をいたしております。
地域(国内・海外)別売上高
次のページに、地域別の売上高につきましてグラフをお示ししております。国内は車関連また電子関連で若干の伸長がございました。海外が円高によりまして、各地域とも減収となってございます。
結果として、ここ数年50パーセントを超えておりました海外売上比率ではございますが、48.9パーセントに若干下がっておる状況でございます。
1つ付け加えますと、欧米におきまして長年当社の業績に貢献いたしておりました、感熱紙関連のカラーフォーマーという材料でございますが、この仕事が大変厳しい競業状況の関係から停滞をしております。
この辺も、欧米の減収の理由となっているところでございます。
セグメント別売上高2期比較
セグメント別の売上を前期と比べておる図をお示ししております。円高等々のことは控えますけれども、加工材料セグメントにおきましては特にASEAN地区を始めとしまして、樹脂の販売が好調に推移いたしております。
また電子におきましては私どもの関連会社ナガセケムテックスが製造いたしております、エポキシ関連の仕事が順調に伸びております。
自動車・エネルギーにおきましては、特にEVと環境対応の車が取り沙汰されておりますけれども、そのような車に用いられます機能性樹脂、エンプラと呼ばれております。
そのような樹脂の取り扱いが増え、こちらも実態としては増加傾向にあるものと考えております。生活関連セグメントにおきまして、連結子会社である林原につきましては後でご説明いたします。その他でパーソナルケア関連また医薬関連。これらはともに堅調に推移をした1年でございました。
セグメント別売上総利益2期比較
次のページに、売上総利益の比較がございますが、ここはちょっと次のページに営業利益の比較がございますので、そちらでまとめてお話をさせていただきます。
セグメント別営業利益2期比較
セグメント別営業利益2期比較をご覧ください。売上面で減収となりました結果として、各セグメントとも大幅な減益となるところではあったわけではございます。
けれど、それぞれのセグメントにおきまして、どうにか努力の結果、生活関連セグメントを除きますと増益を達成することができました。
かねてから、私どもの会社の経営課題の1つでございました、製造会社の収益改善というのが、特に昨年度に大幅な進展が見られました。
機能素材セグメント・加工素材セグメント。このあたりにおきましては、これによる増益が起こったものと判断しております。
会社名を申し上げますと、ナガセケムテックス、東拓工業、セツナン化成。加えまして、これは自動車・エネルギーセグメントでございますがキャプテックス等々、これはまだ道半ばでございますが業容の改善が達成できる状況でございます。
生活関連セグメントは、これも年初にご説明を申し上げましたが成長に向けた体制強化に伴う費用を当初より多く見込んでおりました。これは国内外ともでございます。
実際のところ、これは主に人でございます。その関連によりまして生活関連セグメントでは対前年減益という状況になってございます。
主な連結子会社の業績
主な連結子会社の業績をご説明申し上げます。林原とケムテックスにつきましては次のページでご報告いたします。
おかげさまで、ここには3つお示ししております私どもの関連する国内販売会社であるナガセプラスチック、西日本長瀬、ナガセケミカル等々でございますが、これらが全て非常に堅調に推移しております。
ナガセプラスチックも過去最高益を計上しているところでございます。西日本長瀬につきましては減収減益となってございますが、実を言いますと、こちらは数年前に1億円の営業利益もない会社でございました。ここ最近では、ある規模の基盤ができあがっているものと考えております。
一番下の海外販売会社の欄でございますが、広州長瀬が減収減益となってございます。ここは主に華南地区の車の業界への仕事をしているところでございます。この減収減益は、ほとんどが円高によるものでございます。
これもタラレバでございますが、人民元で換算しますと104パーという前期比の売上となってございます。
林原の状況
次に林原をご説明申し上げます。売上高は238億円。営業利益は46億円という状況でございます。
トレハロースでございますが、これは特に海外におけます市場の競争。市場における競争および円高により残念ながら減収となってございます。国内におきましては非常に堅調に推移している状況でございます。
医薬等に使われますカプセルがございます。飲み込むものです。こちらに使われますハードカプセル用の素材が私ども林原で作っていますプルランという原料が使用されております。
おかげさまで、この需要が非常に伸びてございます。こちらにお、きましては一番最初の冒頭に書いてございますがファーマメディカルが好調というのがこの分野に代表されるところでございます。
林原におきましては昨年来ご報告いたしましております通り、トレハロースの増産体制が完成し昨年秋からすでに稼働がスタートしている状況でございます。
数量的に申し上げますと、もともと販売量でございますが2016年度は36,000トンでございます。これを17年度につきましては、おおよそではございますが38,000トン強を予定しておりまして、この数量となりますと過去最大の出荷量という状況でございます。
その上にございますファイバリクサでございます。これは、まだまだ実績面では非常に小さいものでございますが、今後に期待する将来の主力商品というものでございまして昨年より国内におきまして実際の販売がスタートしたところでございます。
今年は倍増もしくは、それ以上の量を予定しております。これらの商品は少しレギュレーション等々での海外の販売活動に、まだ時間がかかっておりますが、ぜひ力を入れていきたいと思っております。
ナガセケムテックスの状況
ケムテックスでございます。これは昨年の秋にご報告申し上げました。非常に堅調に推移いたしておりますエポキシ樹脂が大変好調に推移しております。
また利益面におきましても、全社的な原価低減活動が功を奏し増収増益。営業利益におきましては29億円。前期比162パーという状況になっております。
つい今般も報告いたしましたが、右下にございます通り将来の糧といたしましての技術を導入するために、シロキサンという技術に長けておりますフィンランドにございますInkronという会社の子会社化も決定いたしております。
連結賃借対照表
貸借対照表に移らせていただきます。年度のおしまいの時期の2月と3月。これ全社的に身動きが非常に活発になりました。その影響で若干の売掛債権の増加がございます。
また固定資産につきましては、主に保有株式の時価上昇により、またこれも増加いたしております。結果的に自己資本比率は、1.2ポイントの増加で54.7パーセントとなってございます。
連結キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローでございます。これは営業キャッシュ・フロー145億プラス。投資キャッシュ・フローは65億のマイナス。財務キャッシュ・フローで105億でございまして、結果全体として31億円の資金の減少という状況にございます。
昨年来、私どもはワーキング・キャピタルの圧縮に会社をあげて取り組んでおります。結果として建替え期間等々の改善はありましたが、先ほど申しました通り、売掛債権の増等が次のページより、運転資金の増減で示ししているところでございます。
運転資金の増減
続きまして2018年3月期の見通しをご報告申し上げます。同じく赤の列が対象の数字でございます。7,320億円の売上。これは前期比101パーでございます。
2018年3月期通期 業績見通し
営業利益191億円。これは127パーセントでございます。当期純利益125億円。これは121パーセントとなります。
為替の設定は、2017年3月期とほぼ同じ、USDにおきましては108円。人民元につきましては若干の円高で15.6円というレートを採用いたしております。詳細を次の2ページでご報告申し上げます。
セグメント別売上高見通し
まずセグメント別の売上高の見通しでございますが、加工材料。先ほど樹脂が好調と申し上げましたが、大型の新規サプライヤーの獲得もございまして今期売上の伸長を見込んでございます。
また電子関連。これは実を言いますとプラスマイナス両方あるというのが現状でございます。ちょっと説明を申し上げます。
まずプラス面でございますが、ケムテックスで生産対応しておりますエポキシ。これに加えまして電子ケミカル。半導体や液晶の製造に使われますケミカルでございますが、こちらは今年度も堅調・順調に推移する見込みでございます。
一方でスマホ等に使われ液晶に用いられます具材、またスマホそのものに使われる具材の扱いにつきましては大幅な減収が見込まれております。
皆さんもうすでにご存知かと思いますが、ディスプレイの業界は今まさに液晶から有機ELへのパラダイムシフトが今起きているところかと思っております。
私どもすでに有機ELに向けての色々な施策を打っておりますが、今年度は残念ながら、あまり数字には貢献できない状況というふうに考えている次第です。
セグメント別営業利益見通し
次のページに、営業利益の見通しをここで述べさせていただいております。全般的な事業収益の改善に加えまして、退職給付会計に係る費用の減少が多くございます。その結果として、41億円の増益を見込んでいるところです。
また電子関連。先ほど減収と申し上げましたが、主に収益面で貢献をしております、ケムテックス製品におきましては、堅調に推移することから、収益面での営業は、割と少なく済んでいるというようなところです。
投資実績および製造業比率
これは毎年お示ししてます投資実績および製造業比率というところでございます。
中期経営計画におきましても謳っておりますが、私どもにとって、製造業の収益力向上・改善というのは大きな経営課題となってございます。
おかげさまで、先ほども申し上げました通り、まだ道半ばでございますが2017年3月期ではすでに多くの改善が見られてございます。
結果として、製造業比率(営業利益)というところを見ていただきますと、40パーセントと大きくなってございます。いたずらにこの数字を大きくするとか、そういうことを目標としているわけではございません。
私どもの差別化の1つのポイントでございます製造業につきましては、質の向上を引き続き全社をあげてやってまいろうと思っているところでございます。
投資につきまして、若干ご説明を申し上げます。17年3月期は先ほど触れましたが、林原の増設、また投資有価証券といたしましてアメリカのサイテックス社というところの株を買わせていただいたということにあります。
加えまして、ベンチャーキャピタルへの出資等をいたしました。2つの会社、これは東拓とナガセ医薬でございます。
この2つにつきましては、17年3月期ならびに今期、2年にまたいで投資活動を続けております。
東拓につきましては初めて関東に生産工場を持ちます。東拓という会社はプラスチック。土木、建築等に使われますプラスチック管を中心に作る会社でございますが復興またオリンピック需要。
そして小池知事もおっしゃってるようですが「無電柱化」等々、東関東地区におきまして需要増が見込まれることから、このような決定をいたしております。
ナガセ医薬につきましては、もうこれはすでにオンゴーイングでございまして、この秋にスタートできるかと思いますが、凍結乾燥という技術を導入するために工場を今立ち上げているところでございます。これは主として抗がん剤の設備となります。
配当状況
配当について、ご報告申し上げます。まずこれはいつも申し上げていることでございますが私どもは連結業績連動を基礎とする安定配当ということを基本方針といたしております。
そうした中この17年3月期でございますが、1年前のこの時期、地政学的また外部環境等、非常に不透明なことが多うございました。
そんなこともございまして、私ども当初は配当につきまして、前期比据え置きの32円を予定しておりましたが、報告申し上げました通り、おかげさまを持ちまして、どうにか当初予想を上回る実績をあげることができました。
ということで1円の増配を考えてまして、33円の配当とし、6月に予定しております株主総会に出すところでございます。18年3月期につきましてはさらに2円の増配を予定してるところでございます。