2016年度決算説明会 業績概要
佐久間英利氏:まず最初に、本年4月よりスタートした中期経営計画および現在取り組んでいる各種施策について説明します。
銀行単体の業務粗利益は1,440億円となりました。資金利益は日銀のマイナス金利政策に伴う市場金利の低下などに要因があり、前期比43億円の減少でした。貸出残高の増加が11月に公表した計画を4億円上回りました。
また役務取引利益等につきましても、法人関連の収益が大幅に伸長したことで金融商品販売の収益の減少をカバーし前期比プラスとなりました。
なお債権関係損益は、11億円の費用計上となりました。これは米国で利上げなども見込まれる中、ポートフォリオの改善のため外国債権等の売却を進めたことなどによるものです。
経費は税制改正に伴う外形標準課税の増加などにより、前期比10億円増加の831億円となりました。
与信関係費用は不良債権の新規発生が引き続き低水準で推移したことから、前期比14億円と良化し37億円の取り崩しとなりました。
これらの結果、単体の当期純利益は39億円減少の486億円でした。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比27億円減少の527億円となりました。
マイナス金利の影響もありましたが、右下のグラフのとおり、過去3番目の高い水準の最終利益を計上することができました。
資金利益
資金利益ですが、まず国内業務部門は貸出金の増加ペースが加速しており、平均残高は前期比4.1パーセント増加の8兆6,310億円となりました。
貸出金利回りは前期比10ベースポイント低下の1.16パーセントとなりましたが、マイナス金利の影響を除きますと、5ベースポイント程度の低下であり、低下幅は着実に縮小しています。
なお有価証券利息配当金は前期比13億円減少しました。投信解約益の減少が主因です。
国際業務部門では調達コストの上昇などにより、全体で前期比7億円の減少となりました。
預金・貸出金の状況
預金・貸出金の末残ですが、預金は前期比4,255億円。3.8パーセント増加の11兆5,657億円。貸出金は同じく5,079億円。5.7パーセント増加の9兆3,053億円となりました。
特に中小企業向け貸出金が、前期比3,550億円。9.3パーセント増加の4兆1,416億円と大幅に増加しました。
また住宅ローンは、前期比1,412億円。4.4パーセント増加の3兆2,817億円と堅調に増加した。そして無担保ローンは、前期比184億円。17.1パーセント増加の1,263億円と高い増加率を維持しています。
地域別では、千葉県内店舗で前期比4パーセント増加。千葉県外店舗で前期比9.8パーセント増加となりました。どちらも順調に増加をしています。
特に千葉県外リテール店舗は、16.6パーセント増加と高い伸びとなっています。
有価証券の状況
有価証券投資ですが円貨については、日銀によるイールドカーブ・コントロールが続く中、収益性と流動性を勘案し国債から地方債権や事業債権。投信などへのシフトを進めております。
ただし、金利リスクには十分留意し、平均デュレーションは前期末並の4年弱の水準を維持しています。
外国債権につきましても、調達コスト、金利リスクに留意しながら米国債権などのソブリン債や政府保証債や非日系優良企業に発行した社債などを中心に運用を行っております。
米国金利の上昇が見込まれております。しかし、金利リスクには十分留意しています。外国債権の半分以上はアセットスワップにより、金利リスクをヘッジ済みで、平均デュレーションは1.8年となっています。
3月末現在の有価証券の評価益は合計で、1,471億円となっています。
なお外国債権については、23億円の評価損となっています。アセットスワップの評価益を加味いたしますと、9億円の評価となっています。
役務取引等利益
役務取引等利益は私募債やシンジケートローンなど、法人ソリューション関連の手数料が、前期比33億円増加し投資信託や保険といった預りや資産関連の手数料の減収をカバーした結果、役務取引等収益は前期比3億円、増加しました。
一方ローン残高の増加に伴い、支払保険料や保証料など役務取引等費用の3億円分増加しました。全体では前期比プラス水準となりました。
なお、団体信用生命保険からの配当金収益は1億円増加しました。当行ではこれを臨時損益の項目として計上をしています。
経費
経費は税制改正に伴う外形標準課税などを主因として、前期比10億円増加の831億円となりました。
今後、業務効率化や成長に向けたIT投資を進めて参ります。経費削減を推進するために設置したコスト管理委員会を中心に「働き方改革」の徹底や、他行とのアライアンスを通じた共同化などによる徹底的な経費削減策を立案・実行するとともに経営陣が、しっかりモニタリングを行っていくことで全体の経費水準については厳格にコントロールして参ります。
与信関係費用
与信関係費用は不良債権の発生が、前期比37億円減少の39億円に留まったことなどから、全体でも37億円の戻り利益となりました。
現状、倒産件数も低位で推移しています。不良債権の新規発生が、増加する兆しは見られません。
今期についても与信費用を10億円の戻り利益と見込んでいます。これは新規発生を70億円と相当に保守的に見た前提となっています。
業務計画
今期の業績ですが、業務粗利益は前期比29億円増加の1,470億円を計画しています。資金利益は16億円の減収を見込むものの、減収幅は前期から大きく減少する計画です。
また役務取引等利益は、法人役務を中心に13億円の増加を見込んでいます。これに経費は、ほぼ横ばいとなっています。
与信関係費用は保守的に27億円の増加を見込むことで、単体当期純利益は、8億円増加の495億円。親会社株主に帰属する当期純利益は、2億円増加の530億円を計画しています。
第12次中期経営計画の総括
4月よりスタートいたしました中期経営計画について説明いたします。
前中期経営計画の「ベストバンク2020 - 価値創造の3年」では、経費回復が進展する中、攻めの姿勢を強く打ち出しました。「新たな企業価値の創造」「人材育成の一層の充実」「持続可能な経営態勢の構築」といった3つの主要課題に取り組みました。
法人分野において、「事業性評価に基づく積極的な提案営業の強化」「都内への出店」を進めたいほか、個人分野において、「金融商品販売の専門人員育成」や「ローン推進室等の推進体制の強化」「相続関連業務や無担保ローン」といった新たな収益分野の拡大を進めました。
さらに、「千葉・武蔵野アライアンス」や「TSUBASAアライアンス」では、経営統合に寄らない千葉銀行連携という新たな枠組みの連携を行い、スピード感を持ち、幅広い分野で連携施策に取り組みました。
環境認識
環境認識ですが、千葉県経済は圏央道・外環道などの交通インフラの整備や、地方創生プロジェクトの進展、東京オリンピック・パラリンピック開催にかかる経済効果などにより引き続き高い成長が見込まれます。
国家戦略特区に指定されている成田市では、本年4月に国際医療福祉大学の医学部が開学いたしました。
成田市では学生や職員と3,000人程度の人口増加や、建設および消費に伴う1,000億円超の経済波及効果があると試算しています。
医師不足の解消や医療関連産業の集積により、今後のまちづくりに様々な効果をもたらすことが期待されています。
一方、現状の予測では千葉県においても、2020年頃を境に人口が減少に転じる見込みであるほか、デジタル化の急速な進展や異業種の参入・人工知能の普及も相まって、近い将来に経営環境の大きな変化が生じることも予想されます。
第13次中期経営計画の概要
こうした中、本年4月より2020年3月末までの3年間を計画期間とする中期経営計画「ベストバンク2020 Final Stage - 価値共創の3年」をスタートさせました。
タイトルが示すとおり、第13次中期経営計画は第12次中期経営計画を継承発展させていくものでございます。
第12次中期経営計画で掲げた2020年の目標であるリテール・ベストバンクグループを作り上げ、人口減少など2020年以降の厳しい環境変化にも揺るがない強固な経営基盤を構築するための総仕上げの3年と位置付けています。
第13次中期経営計画では、「お客さまとの共通価値の創造」「すべての職員が輝く働き方改革の実現」「持続的成長に向けた経営体制の強化」の3つの主要課題に取り組んでいきます。
主要計数計画
第13次中期経営計画の最終年度である2020年3月期に到達すべき計数目標は、親会社株主に帰属する当期純利益は600億円。連結ROEは7パーセント台。
連結普通株式等 Tier 1 比率12パーセント台。貸出金残高は10兆5,000億円。預金残高は12兆5,000億円。グループ資産の預り残高は、2兆5,000億円を計画しています。
各種施策を着実に実行することで、目標達成を目指して参ります。
収益計画の内訳
中期経営計画最終年度の業務粗利益は、2017年3月期比223億円増加の1,663億円を目指します。資金利益については、中小企業向け貸出を中心とした、貸出金ボリュームの増加により、62億円の増加を目指します。
なお、マイナス金利からの出口を見据え、市場金利の緩やかな上昇を想定する中、円貨貸出金利回りについては、最終年度にかけて反転を見込みます。
また役務取引等利益については、引き続き法人関連収益の増強を図るとともに、他行との提携やグループ会社機能を活用した金融商品販売の強化などにより、109億円の増加を目指します。
収益計画の内訳
計画で掲げた各種施策を着実に実行し、計数を達成していくため、第13次中期経営計画では「ヒト・モノ・カネ」を重点分野にメリハリをつけて配分をして参ります。
人員については現状程度の稼働人員数を維持しつつ、抜本的な業務改革等により営業人員やグループ会社・本部の推進支援、企画担当等に250名を再配置する計画です。
投資については総額300億円を計画しデジタルバンキング戦略や働き方改革、業務効率化などの戦略分野へ150億円を投資します。
お客さまへのサービス向上を図るとともに、抜本的な業務効率化を実現させることで、事務人員を成長分野へ再配置することにつなげていきます。
経費につきましては、戦略投資に伴う減価償却費の増加に対し時間外労働の削減や店舗軽量化などにより経費全般を徹底的に見直すことで、中期経営計画最終年度も2017年3月期比、ほぼ横ばいの835億円を計画しています。
<続きは近日公開>