2016年12月期決算説明会
奥田好秀氏:それでは、アサヒグループホールディングスの平成28年12月期決算について、概要をご説明させていただきます。
お手元に決算短信をお配りしておりますけれども、説明につきましては、巻末に記載をしております補足資料にしたがって説明をさせていただきます。
なお、今回の期末決算より国際財務報告基準、IFRSで開示をしております。ですから、比較年度であります2015年度決算数値もIFRSでの数値と切り替えたかたちで表示をしております。
昨年の第3四半期までは日本基準で開示をしておりましたので、今回の決算発表にかぎりまして、日本基準での決算状況について、補足資料の18、19ページに記載をしておりますので、これは後ほどご覧いただければと思います。
決算概要
それではまず、決算概要についてご説明をいたします。
アサヒグループは、2016年度を初年度といたします中期経営方針のもと、稼ぐ力の強化、それから資産・資本効率の向上、そしてESG(Environmental=環境、Social=社会、Governance=企業統治)への取組みの強化という3つを重点課題として、企業価値向上経営のさらなる深化に取り組んでまいりました。
初年度にあたります2016年の売上収益は、前年比174億円増収の1兆7,069億円となりました。
なお、IFRS導入によりまして、売上収益の金額は売上に直接連動するリベートを控除した純売上での開示となります。
次に、事業利益は前年比78億円増益の1,485億円となりました。ちょっと聞き慣れない言葉だと思いますけど、この事業利益というのは、売上収益から売上原価と販管費を控除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標になります。
IFRSで定義されている指標ではありませんが、事業本来の稼ぐ力を表すものとして、事業別の業績につきましては、この事業利益を中心に説明をしてまいります。
また営業利益は、前年比403億円増益の1,369億円となりました。IFRSの営業利益は、日本基準の営業利益とは異なりまして、固定資産除売却損益や減損損失などの一時的な損益を含んだものとなっております。
最終損益の、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年比135億円増益の892億円となりました。
以上が昨年度の決算の概要でございます。ひと言で申し上げると、各事業が堅調に推移し、増収増益の決算となりました。
それでは、事業別に見てまいりますので、補足資料3ページの損益計算書をご覧ください。
損益計算書
酒類事業は、「クリアアサヒ プライムリッチ」のリニューアルや、「クリアアサヒ・スーパードライ」を中心とした季節イベントに合わせた販促活動を強化したことで、家庭用市場向けの缶製品が伸長し、ビール類全体の販売数量は前年を上回ることができました。
またビール類以外の酒類では、RTDの「もぎたて」や輸入ワイン、ビールテイスト清涼飲料のドライゼロが好調に推移し、酒類事業トータルで増収となりました。
また飲料事業は、重点ブランドに集中したマーケティング投資と健康を軸にした商品開発を実施したことで、炭酸やコーヒーなどのカテゴリーで前年を上回り、増収となりました。
食品事業は、不採算事業の見直しを行いましたが、ミンティア、またベビーフードなどの主力ブランドが好調に推移し、前年並みの売上を確保することができました。
国際事業では、既存事業での着実な成長基盤の拡大に加えまして、すでに発表しておりますが、昨年10月に欧州においてペローニ、グロールシュ、ミーンタイムの各事業を取得いたしました。
この結果、既存事業が円高の影響を受けましたけれども、欧州ビール事業の新規連結効果264億円が加わり、国際事業トータルはほぼ前年並みの売上となりました。
セグメント別業績
次に事業別の事業利益についてですが、酒類事業は積極的なマーケティング活動や販促強化により、広告販促費が増加いたしましたけれども、増収効果に加えて、原価低減の取組みにより、前年比11億円の増益となりました。
飲料事業はその好調な増収効果に加えまして、最適生産物流体制構築の取り組みであるとか小型ペットの比率を高めたことが奏功いたしまして、前年比71億円の大幅増益となりました。
食品事業は、主力ブランドが好調であったことや不採算事業の見直し効果などによりまして、前年比18億円の増益となりました。
また国際事業は、円高の影響や、10月に買収した欧州ビール事業の買収に係る一時費用の発生がありました。そういったマイナス要因があり、前年比16億円の減益となりました。なお国際事業の既存事業におきましては、補足5ページの参考資料に記載のとおり、為替影響を除いたベースでは各地域で増益となっております。
引き続き3ページにおきまして、営業利益につきましてご説明させていただきます。
営業利益
事業利益からの調整項目として主な一時的な損益を個別に記載したうえで、営業利益への推移を示しておりますので、事業利益の下のところをご覧ください。
まず、資産・資本効率の向上への取り組みとして遊休不動産の処分を推進したことで固定資産除売却損益は前年比51億円改善しております。これは、すなわち不動産市況がいいということもありますが、売却益が出ているということになります。
まだ減損損失はのれんの等の減損損失の減少によりまして、前年比で208億円の改善となりました。
これらの他に、オセアニアでの事業統括関連費用が減少したことなどにより、営業利益は前年比403億円の増益となりました。
次に、最終損益である親会社の所有者に帰属する当期利益までの決算状況についてご説明いたします。
持分法投資の関連で中国の康師傅飲品の株式の一部を売却したことによる売却益、これが勘定科目名では持分法で会計処理されている投資の売却益の表示がありますが、この122億円を計上いたしました。
一方で、前年の持分法投資損益に計上した特別利益がなくなったことや、法人所得税費用の増加などにより、トータルでは親会社の所有者に帰属する当期利益は前年比135億円増益の892億円となりました。
以上の結果、収益性を示すROEは11パーセントとなり、中期経営方針のガイドラインを達成できております。
IFRSの導入影響と日本基準との比較
続きまして、IFRSの導入影響として、これまで開示してきた日本基準との比較について簡単にご説明をいたします。
2016年日本基準での決算概要はそこに記載のとおり、売上収益1兆8,903億円、事業利益1,408億円ということです。
このIFRSの売上収益は日本基準で比べまして、1,834億円減少しております。これは主に、直接売上に連動するリベートを売上から控除したことによるものであります。
すなわち、今まで販促費として計上していたものを売上控除項目ということで。売上にあげたということです。
一方で、事業利益につきましては、日本基準の営業利益と比較すると対象給付費用や減価償却費で基準間差異によるマイナス影響がありましたが、のれんの非償却化といったところが108億円のプラス影響がありまして、事業利益は日本基準で77億円増益になりました。
また、最終損益であります親会社の所有者に帰属する当期利益は、持分法損益でのれん非償却化のプラス影響、その他、基準間差異によるマイナス影響があり、トータルでは日本基準比で74億円の増益となりました。
こういったところが主な業績状況となっております。
貸借対照表
次に貸借対照表について簡単に触れたいと思います。
総資産につきましては、欧州ビール事業の買収により各資産が増加した一方で、資産・資本効率の向上で成長資金確保のため不動産や株式の流動化を推進した結果、トータルでは前期末比2,817億円の増加になりました。
また金融債務につきましては、10月の欧州のビール事業の買収でありますが、3,000億円弱の事業買収に係る資金需要が発生いたしました。
しかし、既存事業が好調に推移し、営業キャッシュフローを稼いだこと、また資産流動化によるキャッシュ創出効果によりまして、期末残高は5,704億円と前期末比1,559億円の増加にとどまっております。
配当予想
以上の業績を受けまして、平成28年12月期の期末配当でありますが、当初配当予想53円でありましたけれども、それから1円増配し、一株あたり28円といたします。
この結果、中間配当と合わせた一株あたり年間配当金は前期比4円増配の54円となります。以上が平成28年12月期の状況です。
2017年度の業績予想
次に、今期平成29年12月期の業績予想についてご説明をいたします。補足資料10ページの業績ハイライトをご覧ください。
売上収益は前年比1,131億円増収の1兆8,200億円を計画しております。また、事業利益は前年比165億円増益の1,650億円。営業利益は前期比91億円増益の1,460億円。そして親会社の所有者に帰属する当期利益は68億円増益の960億円を目指しており、各利益で着実な増益を見込んでおります。
各事業の状況につきましては、補足資料11ページの通期予想をご覧いただければと思います。
国内外の各事業で増収増益を見込みまして、とくに国際事業では欧州ビール事業の連結の通年効果をふくめ大幅な増収増益を計画しております。
これによりまして、今期の海外比率につきましては、売上収益・事業利益ともに約2割の水準になる見込みであり、海外事業の成長エンジン化を推進してまいる所存でございます。
なお昨年12月に発表いたしました中東欧のビール事業の取得につきましては、まだクロージング前でありますので、その影響を織り込んではおりません。
今期は期中で業績取り込みというふうになる予定でありますけれども、買収完了後に改めて影響額を算定したうえで、業績予想の修正になるのか、そういったことを開示していこうと考えております。
最後に、平成29年度12月期の配当についてご説明をいたします。お手元の決算短信をご覧いただければと思います。配当の状況をご覧ください。
今期の年間配当は、先ほどご説明いたしました。親会社の所有者に帰属する当期利益で960億円を達成する前提で、一株あたり前期比6円増配の60円を計画しております。
配当性向は28.6パーセントということで、前年が27.7パーセントですから、約1パーセント強配当性向が上がると。
これは中期経営方針で、2018年にはIFRSベースでの当期純利益に対して、30パーセントの配当性向に着実に増配していくということを申し上げております。
この配当性向30パーセントという目標に向かって着実な増配を目指していくという足取りを示しているものでございます。
以上をもちまして、決算の説明を終わらせていただきます。