2016年度 第2四半期 決算説明会
中野祥三郎氏:それでは、始めさせていただきます。まず、この表でありますが、上期の業績と前年同期との比較をいたしております。
差異は、海外子会社を連結する際に発生する為替の差を除いたものを実質増減としています。
ドルの期中平均レートですが、前年の121円50銭から106円40銭と、15円ほど円高に動いております。
売上高の合計でありますが、1,968億円。このうち海外が1,092億円で55パーセントを占めています。
前年との比較では、表面上60億円の減収、実質では86億円、4.3パーセントの増収ということであります。
営業利益は169億円でございまして、表面上は前年並み、実質15億円、8.9パーセントの増益であります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年から55億円増加しておりまして、160億円という水準となっております。
この中には、理研ビタミンの株式売却時のみなし配当扱いによる法人税の負担の減少、約50億円が含まれておりまして、これを除くと5億円の増益ということになります。
国内売上高(対前年実績)
この後、売上高・利益の内訳についてご説明いたします。
国内事業の売上高は890億円で、ほぼ前年並みの水準であります。
しょうゆ事業は、生しょうゆ、「いつでも新鮮」シリーズが、引き続き好調に推移をしております。しょうゆ部門全体で8億円、3.4パーセントの増収ということになりました。
食品事業は、つゆ類のリニューアルに伴う価格体系の見直しによりまして、12億円の減収となっています。
飲料事業は、デルモンテ飲料が減少しておりますが、豆乳の増加により、やや増収となっております。
海外売上高(対前年実績)
続いて、海外の内訳でございます。
海外事業の売上高は実質で89億円、7.7パーセントの増収でありました。実質で北米では6パーセント、ヨーロッパは9.1パーセント、アジア・オセアニアは8.1パーセントの増収であります。アジア・オセアニアの食料品製造販売の売上が減少しておりますが、これは天候不順によるデルモンテ缶詰の供給不足によるものであります。
連結営業利益(対前年実績)
続いて、営業利益の内訳でございます。
営業利益は、国内で10億円の増益、海外で2億円の減益でございます。
持株会社の減益でありますが、オリンピック関連の広告宣伝費の増加や円高によりまして、海外からのロイヤリティの収入が減ったことが大きく影響しております。
国内営業利益の主な増減要因
続いて、国内の営業利益の主な増減要因のグラフでございます。
国内事業の営業利益は44億円から53億円、四捨五入の関係でちょっとズレますが、10億円ほど増益となっております。
売上の増加による影響が6億円、販売促進費・物流費の効率向上によりまして2億円の増益効果がありました。
また、原材料費が、円高や相場の低位の安定の影響で、8億円のコストダウンにつながっております。減益要因としては、広告宣伝費などの固定費の増加がございました。
海外営業利益の主な増減要因
続いて、海外でございます。
海外事業の営業利益は121億円から119億円と、2億円ほど減少しております。利益貢献では、売上増加の影響が22億円ほどございました。
一方で、食料品卸事業の販売管理費の増加が8億円、しょうゆ事業の製造固定費の増加が2億円の減益要因となっております。
また、海外事業の円換算による為替差が14億円ほど利益減少に影響しております。
連結計P/L(対上期予想)
4月27日に発表し、6月1日に修正いたしました上期の予想と比較したものが、この表でございます。
売上高は表面上17億円の減少となりましたが、営業利益は7億円の増加ということでございます。
国内の売上高は、しょうゆが増加する一方で、食品と飲料が予想を下回っております。
海外の売上高は、為替差を除くと、各地域で予想を上回っております。
営業利益の増加でありますが、国内では原材料費の単価の低下、海外事業は売上の増加が効いております。
連結キャッシュ・フロー
続いて、キャッシュフローの表でございます。
キャッシュフローの状況は、営業キャッシュフローが99億円創出され、固定資産の取得売却を除いたフリーキャッシュフローで、44億円のプラスとなりました。
営業キャッシュフローの中で、法人税等の支払いが98億円の大きな金額でございますが、この中には理研ビタミンの株売却に伴うみなし配当時の源泉税37億円が含まれております。この37億円は、来期に戻るということになります。
理研ビタミンの株式売却収入は、この源泉税の37億円を差し引きますと、195億円でございましたが、社債の償還に充てております。
この社債はこの理研の株式購入時に発行した社債でございまして、この償還に充てたということでございます。
下期業績予想 連結計P/L(対前年実績)
続いて、下期の予想であります。下期の予想の為替レートでありますが、1ドル100円で計算をいたしております。
このスライドは、下期の業績予想と前年同期との比較でございます。
売上高は表面上94億円の減収、為替差181億円を除きますと、実質で87億円の増収を見込んでおります。
営業利益は表面上11億円の減益、実質は8億円の増益と予想いたしております。国内・海外の内訳に移ります。
まず、国内の下期でありますが、全体で15億円の増加を予想しております。しょうゆ事業と、豆乳を中心として飲料が伸びるという予想でございます。
続いて、海外の内訳になります。海外は、全体で71億円、6パーセントの増収でございます。北米で52億円、ヨーロッパが8億円、アジアが20億円の増加を予想しております。
続いて、営業利益の予想であります。国内で5億円、海外で実質7億円のプラスを予定しております。
売上目標を達成することで、営業利益を確保していきたいと考えております。
通期業績予想 連結計P/L(対6月1日公表)
続いて、上期の実績と合わせた通期の予想であります。
従来発表しておりました予想と比較した表でありますが、売上高は為替の影響によりまして、105億円減らして3,930億円を予想しております。
国内では10億円のマイナス、海外は為替差を除くと34億円のプラスを見込んでおります。
営業利益は、国内が原料安で増加しております。海外は為替の影響で減少であります。
全体では修正なく、従来予想の通り315億円の営業利益と予想しております。当期純利益につきましても、変更はございません。
中期経営計画 連結業績目標と進捗
引き続き、2015年度から始まった中期の経営計画の進捗に移ります。
ご承知のように、今回の中期の経営計画の最終年度の2017年度の目標でありますが、売上高は4,400億円、営業利益は360億円、売上高営業利益率8.2パーセント、ROEは9パーセント以上を目標といたしております。
為替については、1ドル115円、1ユーロ125円を前提としております。
当第2四半期までの進捗でありますが、売上高・利益ともに、現地通貨ベースでは目標に対して順調に進捗しているということであります。
連結業績目標のセグメント別ブレイクダウン
この表は、そのブレイクダウンですね。地域別の内訳でございます。
今回の中期経営計画の経営課題でございますが、グループ全体としては収益性の向上を挙げ、事業別には、海外事業の成長継続、国内事業の生産性向上を課題としております。
海外事業は、各事業・各地域とも概ね順調に進捗しており、引き続き成長を目指していきます。
国内事業は、成長カテゴリーの強化・体質改善が順調に進んでおります。今後も目標の達成を目指してまいります。
経営課題と当第2四半期までの進捗
続いて、財務戦略に移ります。
中期計画の3ヶ年間においては、900億円の営業キャッシュフローの創出を見込んでおります。設備投資の400億円についても、変更はございません。
また、株主還元も経営の重要な課題であると認識しております。配当につきましては、今期から中間配当を実施することにいたしました。
自己株取得につきましては、引き続き資金需要や市場環境をふまえながら、機動的に実施したいと考えております。
さらに、事業ポートフォリオの強化に向けて、新規事業投資に取り組んでいく方針としております。
ROEの向上でございますが、9パーセント以上という目標を掲げておりますが、前期に8.7パーセントまで改善をいたしております。
引き続き、利益率の改善を図り、資産・資本の効率を向上させて、目標を達成していきたいと考えております。
以上で、私の説明を終わらせていただきます。
キッコーマングループ経営理念
堀切功章氏:堀切でございます。私からは、当社の経営理念の実践を通じた企業価値の向上について、ご説明を申し上げたいと思います。
当社は創業当初から、社会とのつながりを大切にしてまいりました。当社グループの経営理念はその姿勢を受け継ぎ、「消費者本位を基本理念とする」、「食文化の国際交流を進める」、そして、「地球社会にとって存在意義のある企業を目指す」の3つを掲げております。
ご覧いただいているのは、2011年に当社グループが策定した、企業の社会的責任体系図であります。
責任ある事業活動、健康で豊かな食生活の実現、地球社会との共生という3つのテーマで取り組みを進め、経営理念の実践につなげていきたいと考えております。
本日は、経営理念の実践を通じた企業の社会的責任の取り組みの一端を、みなさまにご紹介をしたいと思います。
責任ある事業活動
初めに、責任ある事業活動について説明申し上げます。
まず、当社のコーポレートガバナンスに関する考え方をご説明いたします。当社はグループ経営理念の実践を通じて企業価値を増大していくことが、企業経営の基本であると認識しております。
そのために、コーポレートガバナンス体制の強化は、経営上の最重要課題であると認識しております。
経営の透明性の向上、経営責任の明確化、スピーディな意思決定、経営監視機能の強化を目指して、2001年3月に執行役員制度を導入し、2002年6月には社外取締役を選任するとともに、指名委員会、および、報酬委員会を設置いたしました。
これらの制度を比較的早期から導入し、これまで継続することにより、当社はガバナンスを強化してまいりました。
この図は、コーポレートガバナンスの体制の図でございます。何度かみなさま方にもお示しをしている図でございます。
責任ある事業活動においては、環境との調和も重要な課題であります。当社グループの事業は、自然の営みに支えられてまいりました。
安全、安心が担保された原材料、きれいな水、選び抜かれた微生物など、自然循環におけるあらゆる力が合わさり、初めて私たちは事業を行うことができます。
そのため、自然環境との調和を大切にする考え方は、創業当初から、事業を行う中で伝統的に培われてまいりました。
当社は1992年に制定した環境理念の実現に向け、3年ごとに中期環境方針を定めて活動を行っております。スライドでご紹介しているCO2の削減や水使用量の削減は、その具体的な成果の一部であります。
健康で豊かな食生活の実現
次に、健康で豊かな食生活の実現についてご説明をいたします。
いつでも新鮮シリーズは、現代の嗜好にマッチした生しょうゆのマイルドな味わいと、密封ボトルによる鮮度維持と使いやすさという新しい価値を、消費者に提案しました。
これが、「すでに成熟している」と思われていたしょうゆ市場で、潜在的な消費者ニーズを顕在化させ、新たな市場を創造し、引き続き好調に売上を伸ばしています。
いつでも新鮮シリーズに続けて、おいしいことはもちろんのこと、鮮度維持・使いやすさ・健康志向・簡便性等の、消費者の視点で付加価値の高い商品開発を行い、消費者のみなさまの健康的で豊かな食生活の実現を目指しています。
また、流通のみなさまや、当社にとって収益性の向上につながる商品に育てていきたい、と考えています。
海外事業では、世界各地の食文化との融合を通じた、新しい食生活の提案を実践しております。
アメリカ市場の開拓においては、店頭デモンストレーションでしょうゆの味を知ってもらうとともに、しょうゆをアメリカ料理でどう使ってもらうかを考えてレシピを開発し、これを商品プロモーションや広告宣伝を通して発信する方法を続けてまいりました。
アメリカに販売会社を設立してから約60年を経た今日では、てりやきをはじめとしたしょうゆを使った料理は、アメリカで定着してきております。
北米以外の各地域においても、現地の嗜好や食材に合ったレシピを開発し、広告宣伝や料理教室、店頭デモンストレーション等で消費者のみなさまにお伝えし、しょうゆを現地に根づいた調味料にするという活動を続けております。
このように、世界各国で現地の食文化に溶け込み、これからもキッコーマンしょうゆをグローバルスタンダードの調味料にするという挑戦を続け、安定した成長を継続していきたいと考えております。
キッコーマン総合病院の取り組み
健康で豊かな食生活の実現の取り組みの最後に、キッコーマンの総合病院についてご説明いたします。
当病院は1世紀にわたる歴史のなかで、当社グループ社員だけでなく、地元に根ざし、近隣地域のみなさまの病院として地域医療を担ってまいりました。
現在、日本は急速な高齢化社会を迎えておるわけですけれども、やはり健康寿命を延ばす、予防医学がますます重要になっています。
みなさまの健康作りのお役に立てるよう、食に関する情報発信や、当社の商品開発・販売促進活動との連携など、日本で唯一の食品メーカーの企業立病院ならではの活動に、今後も積極的に取り組んでまいります。
地球社会との共生
続きまして、地球社会との共生についてご説明いたします。食と健康を中心としたキッコーマンらしい活動により、地球社会との共生を実現したいと考えております。
例えば、2010年に開催された上海万博では、日本産業館に料亭「紫 MURASAKI」やキッコーマンブースを出展しました。
この上海万博をきっかけにした食文化の交流は現在も続いておりまして、上海や広州では、職業訓練学校で日本料理講座を開催したり、現地の若者に日本料理の作り方を知ってもらう機会を設けたり、上海の大学での講演会や大学生の日本研修などを行っております。
また、昨年開催されたミラノの万博では、日本館に協賛したほか、ミラノ市内で和食に関する展示やワークショップ、本格懐石体感会などを行いました。
イタリアをはじめとした欧州の方々に、日本を代表する9人の日本料理人による料理やプレゼンテーションを通して、日本の食文化の奥深さ、多様性を感じていただきました。
その後、ミラノ万博のイベントでご協力いただいた料理人の方々による、和食の魅力をテーマにしたパネルディスカッションや、実際にその料理の技や味に触れていただく料理サロン等を、都内で開催しております。
和食が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたことは、創業以来、日本の食文化を支え、また、世界において和食のすばらしさを伝えてきた当社にとっても、喜ばしい出来事でありましたが、一方で、この日本において、和食が過去の遺産になってしまうことのないよう、継承していくことも当社の重要な使命と考えております。今後もこのような活動を通して、和食の魅力を国内外で発信してまいります。
食文化の国際交流、日本の食文化の継承とともに、食育活動の推進も、食にたずさわる企業として大切な取り組みであります。
小学校の授業や体験学習、講習会、あるいは、工場見学等を通じて、食の大切さを子供から大人まで広くお伝えし、「食で地球のみんなを幸せに」という当社の食育理念を実現するための活動を続けております。また、これらの活動は、当社のファンを増やしていくことにもつながっていると考えております。
これまでご覧いただいた通り、基本となるのは日々の事業活動をしっかりと誠実に行い、商品やサービスを通じて、健康で豊かな食生活の実現に貢献することであります。
そのうえで、キッコーマンらしい活動を通じて社会に貢献し、世界中の人々から「キッコーマンがあってよかった」と思われるような存在になりたい、と考えております。
私たちは、この経営理念を実践するための取り組みを誠実に積み重ねることで、企業価値の向上を図ってまいります。
引き続きみなさまのご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。