BtoBの「SPEEDA」
新野良介氏:みなさま、こんにちは。ユーザベースの新野です。今日は、お集まりいただきまして、ありがとうございます。我々、代表が2人いますので、前半部を私が、後半部を梅田(梅田優祐氏)が説明します。
最初にお伺いしたいのですけれども、弊社のプロダクトは、「SPEEDA」と「NewsPicks」があります。NewsPicksはBtoCなので、だいぶ知っているかなと思いますけど、BtoBの「SPEEDA」ですね。実際に、触ったことがある、知っているという方、教えていただければと思います。ちょっと説明の力点の参考にしますので。
(会場挙手)
聞いたこともないという方もいらっしゃるということですね。はい、わかりました。知っている方には重複するところもありますけれども、事業の紹介ということで、プロダクトを少し見ていただく時間も最初に持ちたいと思います。知っている方にはちょっと冗長になる部分があるかと思いますが、よろしくお願いします。
最初に、ミッションですね。我々は、「経済情報で、世界をかえる」というのをうたっております。
BtoCでプライベートな情報というのは、Facebook、Twitterと、テクノロジーの進歩でどんどん変わっている。ところが、ビジネス情報の分野というのは、本当にまだテクノロジーが及んでいません。
30年前、20年前から、金融情報や企業情報を提供しているすばらしい会社が他にもスタンダードでいらっしゃいますが、これから先、5年、10年、20年と考えたときには、状況は劇的に変わってきます。
ビジネス情報を取られるので苦労されたことは、みなさん共通であると思うんですけど、必ず5年後にはもっと楽に情報を取得できるようになっています。それらを解決するのが、我々の仕事で、プラットフォームのかたちでグローバルに展開できるものを供給し、経済情報で世界をかえたいと思っています。
今、2つの事業がありまして、最初に始めたのが、SPEEDAで、法人のお客様に販売しています。もう1つはNewsPicksで個人のお客様に使っていただいているものになります。
まずはSPEEDAからですね。実際に見ていただくのが早いと思いますので、ここでデモンストレーションをさせていただきます。
(スライドを指して)ちょっと小さいので、イメージで見ていただければと思うんですけど、IDとパスワードがあれば、どなたでもどこからでもアクセスができます。SaaS型の仕組みですね。今、日本語で見てますけど、英語に切り替えることもできます。海外のお客様は英語で見ています。
SPEEDAには、大きくわけると業界の情報と、企業の情報と、M&Aの情報があります。さらに、NewsPicksと連携をすることで経済ニュースを提供することで、さらにコンテンツを強化しているというところです。例えば、いつもユニクロさんの例を使わせていただいてるんですけど、ユニクロさんを調べたいなということでしたら、ユニクロと(検索で)打っていただければ、ユニクロさんに関連するような情報が出てきます。
いろんなメニューがありますけども、ユニクロさんが今どういう業績なのかパッと知りたいということでしたら、資料自動作成を押していただくと細かく分析することもできますし、クイックに今SPEEDAがみなさんの代わりに資料を作り出してくれます。このようにパワーポイントができまして、ユニクロの状況がわかりますね。
ストック、フローの2つの情報を持っている
なので、理想的には、ぜひ御社内でも使っていただきまして、弊社の決算説明会に来るときも、ダウンロードしてくれば過去の推移などがまとまっている状態で、会社の情報をワンセットで表示できます。会社の概要だとか、プロファイルだとかですね。マーケットの動きだとかをパッと見ていただくことができます。
例えば、ユーザベースを知りたいので、会社のプロファイルや過去の推移、「利益率が今こういう状態で、推移で見るとこうだから、こういう質問をしよう」という分析のヒントを見ていただけます。合わせて、やはり最新のニュースも見たいと思いますし、業界の動きというのも見ていきたいと思う。それらをワンストップで見れるのがSPEEDAですね。
さらに、ファーストリテイリングであれば、カジュアル衣料品業界を見たいということでしたら、カジュアル衣料品業界。我々であれば、金融情報サービスという業界がありますので、そういったかたちで、業界の動向も見ることができます。
世界をだいたい550の業界に分けておりまして、今はもう少し多いですけれども、それぞれに各国のそういう情報がありますので、例えば、中国のカジュアル衣料品業界でなにが起きているか、シンガポールでなにが起きているかというのを合わせてチェックいただくことができます。
(スライドを指して)今、「世界」のタブにいますので、例えば、下げていただくと、カジュアル衣料品業界というのは、世界のなかで今どういう動きをしていて、H&Mさんとファーストリテイリングさんは、グローバルで見るとどういう違いがあるのかというのを見ていただきますと、「H&Mさんは今アジアでかなり出されてますけれども、アジアはどう考えているのか」といったことがすぐにわかると。こんなかたちで、企業、業界の情報が、ワンストップでとれるところですね。
加えて、例えば、ちょっと気になる動きがあるので、世界中の上場企業のなかで小売だけを抽出して、過去5年の利益率を欧州と米州とアジアで分けて、どういう推移をしてるか平均を取りたいというと、けっこうデータを回さなきゃいけないので、そういったことがありましたら、サポートデスクに「ちょっとこういうデータ取って」「こういう情報調べて」と言うと、みなさんの代わりに調べてデータを送ってくれます。
このような、人とシステムの両面で対応するという仕組みになってます。ぜひよろしければ、お使いいただければと思います。
SPEEDAというのは、ストック型の情報に強いんですね。過去の情報を大量に持っている。他方でニュースというのはフローの情報ですね。我々は、そのニュースのフローの情報を2013年からNewsPicksの発足を始めまして、今は、ユーザベースグループ内に、ストックの情報を持っているSPEEDAとそれからフローの情報を持っているNewsPicks、この2つを持っている状態というかたちになります。
NewsPicksのほうは後ほど、梅田からご説明をします。
第3Qの売上21.8億、1年で70パーセント伸長
事業の紹介はこれくらいにして、決算に移ります。
まず、SPEEDA事業につきましては、開示されています契約のID数というのが、成長のKPIになっておりますのが、国内、海外ともに、順調に推移しております。業績予想の中で、だいたい1,500IDを年内に取るということでやっていますけれども、順調に推移しています。
NewsPicksのほうは、有料課金と広告売上の部分。広告売上の中でも、リクルーティングサービスと、それからブランド広告、両方入りますが、それがすべて堅調で、業績は予定通り進捗しております。
具体的には、第3Qの売上で、21.8億に達しています。青がSPEEDA事業、15.5億、それから、紺色がNewsPicksで6.3億ですね。昨年の前年の段階と比べますと、12.8億が昨年ですので、だいたい1年間で70パーセント伸びているというかたちになります。
他方、利益面ですけれども、昨年までNewsPicksとSPEEDAの海外の投資が先行してまいりましたけれども、損益分岐点をSPEEDA側は超えまして、NewsPicksもかなり損益分岐点に近づいてきていて、だいたい今期でトントンくらいになってますので、一気に損益分岐点から出て、利益が出始めております。
だいたい第3Qで、今2.4億ということで、前期比で見ると、プラス5.4億の営業利益の増加というかたちになります。
進捗率ですけれども、今期の予想で(売上高は)30.5億を出しまして、現状第3Q終わったところで21.8億。今期はSPEEDA事業がだいたい3分の2、NewsPicksが3分の1になります。SPEEDAのほうは、ストック型のビジネスですから、後半に行くほど収益が大きくなります。
したがってこの(進捗率)72パーセントというのは、今期の見込みを見ると、予想に対しインラインになっているかなと思っております。
第3Q終了時点の営業利益は2.4億円
続きまして利益の進捗です。営業利益は会社予想で上場時、目論見書提出時に今期は1.5億と出しています。今第3Q終わった時点で2.4億円ということで、すでに会社の予想を上回っているという状況ですね。しかしながら非常に売上の成長も早いですし、しっかり投資していきたいと思っております。
我々の投資というのは、人への投資、データへの投資、そして販売面で広告への投資というかたちになりますが、それぞれ第4Qでしっかり投資をしていきたいと思っておりますので、これらを(第4四半期で)実施しますと、現時点では上方修正はしないと考えているというかたちになります。
構造としては、SaaS型とストックビジネスで損益分岐点を超えると、限界利益が直接利益にあがってきますので、固定の部分の投資をしなければどんどん利益が上がってくるというかたちになります。逆に、固定の部分の投資が、遅れてしまうと利益がどんどん出てくるということです。今期は、データ仕入れや人の採用を慎重にやっていますので、利益が出てきており、(計画を現時点では)上回っているということになります。
ただ、(売上高成長率は)、全体で70パーセント、SPEEDA事業も40パーセントを超える前年比の成長率で伸びておりますので、もっと加速できるという感覚を持っております。(したがって、)目の前の利益ももちろん大事ですが、ちゃんと投資もしていきたいということで今期は1.5億の予想を変えずというスタンスでやってまいりたいと思っております。
ただし、使いきれない見込みがはっきりした時点で、もし使いきれなければ上方修正ということもあり得るかなと思ってはおります。現時点では使う可能性があるということになります。
以上まとめますと、これが我々の推移ですけれども、もう一度理解のためにまとめますと、もともとはSPEEDA事業を国内でやっておりまして、黒字でありました。キャッシュが国内事業から上がってくるなかで、ベンチャーキャピタルさんからの投資を受けて、2つの成長分野に投資をしたわけですね。1つはNewsPicks、もう1つはSPEEDAの海外です。それが両方とも売上に寄与し始めて、投資が一巡して寄与し始めたことで、収益が上がってきていると。今第3Qで大体10パーセントくらいの利益率ですけど、昨年がマイナス17.4パーセントというかたちになっています。
それぞれの事業でございますが、NewsPicksが通期を通して大体トントンくらいですかね。来年はフルで収益貢献する。SPEEDAは今年は期初から利益貢献が始まっていますので、もう少し早めに利益が出ています。合わせますとだいたい全体として10パーセントの利益を第3Qで出しています。以上が決算のハイライトになります。
SPEEDAの事業ハイライト
続きましてSPEEDA事業の方を簡単に申し上げます。これはIDになります。
簡単にID×販売単価、これがおおむねSPEEDAの売上の構造になりますので非常にシンプルです。ID数は、四半期ごとに開示されていますので、トップラインの状況のモニタリングなどにはぜひIDを見ていただければと思います。
重要視しているセグメントといたしましては、まずは国内と海外がありまして、海外の方は2013年から売り始めましたけれども、直近で加速しておりまして、だいたい146ID、国内が1,305IDということでだいたい11パーセントくらいが、海外のお客様が使っているという状態になります。結果として、売上は(SPEEDA全体で)41パーセント前年比で売上が成長しているというかたちになります。
以上がSPEEDAになります。ちなみに利益率は第3四半期累計で16.8パーセントというかたちになっています。ですからSPEEDAは今期から利益が出始めて、放っておけばどんどん利益が出てくるので、他方でデータ投資、人的投資も実行しきり、この40パーセント超のグロースをちゃんと維持していきたいと考えています。
続きましてNewsPicksのほうに移ります。
NewsPicksの事業ハイライト
梅田優祐氏:NewsPicksも、簡単にサービスの概要をお伝えします。NewsPicksは経済ニュースのソーシャルプラットフォームになっております。大きく3つの特徴がありまして、今、共同通信さんだったり、The Wall Street Journalさんだったり、さまざまなニュースをユーザーさんが投稿し、ワンストップで見ることができるというプラットフォームの価値です。
そのニュースに対してさまざまな識者の方、ユーザーさんがコメントをされている。例えばトランプさんと安倍さんが会うというニュースに対して、民進党の細野さんがコメントされていたり、そのようにニュースと世の中の専門家の反応がセットで見ることができます。
こういう方々をフォローすると、タイムラインというところに流れてきますので、ソーシャルとビジネスコミュニティが組み合わさっているというのが2つ目の大きな特徴ですね。
3つ目が、このようなプラットフォームでありながら、自ら編集部を抱え、NewsPicksでしか読むことができないオリジナルのコンテンツがあるということになります。昨日トランプさん(が大統領に)になりましたので、さっそく編集部でトランプさん特集というのを今週から始めております。
(スライドを指して)ここに書いてあるのはNewsPicks編集部ということで、編集部の佐々木を中心に、NewsPicksでしか読むことができないというコンテンツを作っているというところがございます。こういうコンテンツを作るというメディアとしての役割もあるという3つの特徴が、NewsPicksになります。
ではそのNewsPicksの決算についてご説明していきます。まず有料会員数ですね。これがもっとも重要なKPIの一つでして、累計で26,255人ということになります。成長率でいきますと過去最高の成長率ということで大幅に増加、順調に増加しております。
次の重要なKPI、DAUですね。こちらのDAUも順調に増加しておりまして、会員・非会員含める総DAU数は51万を超えてきたというところであります。
これらを合わせ業績面で見ますと、昨年が売上高がだいたい3.6億円くらいの売上高でした。それが(当期は)3Qまでで6.3億円になっているという状況になります。
収益面は、今までNewsPicksはとにかく場を作っていくという投資フェーズでした。ずっと投資をしてきたんですが、それがようやく収益化フェーズに入ってきたというのが、この2016年になります。
今回の3Qだけ、この3ヵ月で見れば、黒字化しているというかたちになります。1Q、2Qは投資フェーズでしたが、3Qから黒字転換してきたというかたちになります。ですから投資フェーズが終わって、収益フェーズに入ってきたというのが、今このNewsPicksのフィナンシャルの状況になります。
以上NewsPicksの業績開示ですね。私の方から今後の展開についてもご説明いたします。
今後の方針について
大きく3つ重要な方針があると思っております。まずは今まで、3年間投資フェーズということで、投資ということをやってきましたが、NewsPicksもSPEEDAの海外も立ち上がってきまして、収益化されてきましたので、その基盤をしっかり安定的な、確固たるものにしていくこと。収益基盤の強化というのがまず1つ目ですね。これを優先的にやっていきます。
2つ目が、両事業のシナジー創出というところで、NewsPicks事業を始める時に、SPEEDAのある意味宣伝のためにやる補完事業にするのか、単独事業として高収益事業にしていくのかという大きな選択肢がありました。
それを、我々はシナジーは最初は考えないと。NewsPicks単独で高収益事業にしていくということで、単独でずっとやってきましたが、ようやくNewsPicks単体で収益化されていくフェーズになりましたので、ここからしっかり両事業のですね、資産を活用したシナジーを追及していくというのが2つ目になります。
3つ目は、これはSPEEDA中心になるんですが、海外というところは、我々にとって、非常に大切なマーケットになりますので、ここのアクセルをより踏んでいくということを掲げております。少しずつ、詳しくお話しさせていただきます。
両事業の収益基盤強化ですね。SPEEDAは成長エンジンとしましては、海外と、あと国内の事業会社が成長エンジンの1つとしてあります。今まで事業会社というのは、このような調査をするフェーズだったりですとか、分析するときに、使えるプラットフォームがなかったんですね。
ですから、コンサルティングファームに頼んだり、調査会社に頼んでいたんですが、そこにはじめてフィットしたのがSPEEDAというもので、新しいマーケットを開拓しています。
その事業会社が、日本では今成長率が高いマーケットになっておりますので、この事業会社向けの機能というのを優先的に開発していく予定になっております。
そしてSPEEDAの最終的な強みというのは、やはり、最後はコンテンツになってきますので、いかにSPEEDAにしか取れないコンテンツを作っていき、そのシェアを増やしていくのかというのが重要になってきます。オリジナルコンテンツの拡充というのは、引き続き投資をしていくというのがSPEEDAになります。
NewsPicksの収益基盤強化に関しましては、有料会員向けのサービスというものを、より拡充をしていきます。今、有料会員向けのサービスというのは、日々出る5本から10本くらいのオリジナルや他社から配信される有料記事、そして一部の検索機能しかないんですね。
それ以外に、年内に、NP Booksという機能を開発する予定になっておりまして、ブックというのは、今までNewsPicksの編集部だったり、パートナーメディア様から配信頂いた有料記事、溜まっています。
それらの有料コンテンツというのは、ストック型の読み物で、時勢を問われないものが多くありますので、そういうものを全部まとめて、簡単にまとめ読みできるようなものですね。スマートフォンでビジネス書籍を見る体験のようなものになります。
そのような機能を開発していこうと、できれば年内に開発していきたいと思っているのが、ここになります。これは有料会員向けのコンテンツになります。
まずはアジアでナンバーワンに
もう1つ、収益の大きな貢献をしていくだろう、成長率が高いと思っているのが、リクルーティングサービスですね。このリクルーティングサービスというのは、NewsPicksのユーザーとそれに対して、企業が求人を出して、ユーザーと企業をマッチングさせて、それで採用が決まると、我々に成功報酬が入ってくるというものになります。
これは、インテリジェンスさんとも提携をいたしまして、より体制を強化いたしました。これが両事業の収益基盤の強化になります。
次はシナジー創出の部分ですね。今までNewsPicksというものは、個人向けに対して、個人の方々が、自分たちのクレジットカードやApple IDで課金していただいておりましたが、今後は法人向けの販売、法人向けの開発ということをやっていきます。
SPEEDAは法人向けのアカウントを多く持っておりますし、強い営業チームもあります。そことも協力していきますし、SPEEDAのコンテンツをNewsPicksに入れていきまして、法人契約で、あくまで例えばですが、パナソニックさんのような特定の企業さまが全社的にNewsPicksを法人契約していただくようなプランを考えておりますので、法人向けにサービスを開始していくというのは、1つ、シナジーを出していくものとして考えているものになります。これは、来年以降やっていきたいと思っています。
最後、海外成長への投資というところで、やはり、まずはアジアでナンバーワンになるというのが、一番優先順位として高いものです。しっかり基盤ができてきましたので、ここを引き続きやっていくということになります。
もう1つですね。やはり米国マーケットというのは、最大の市場規模があるところになりますので、ここへの準備をしっかり始めていくということが大切かなと思っております。
アジア市場も3年前に準備を始めて、ようやく、3年間かけて、今芽が出てきたという状況になりますので、今しっかり手を打っていくことが3年後、4年後に芽が出ていくことになりますので、今からですね、準備を始めていくというのは、米国マーケットとして考えております。
以上が説明になります。ありがとうございます。