2026年3月期決算説明
蝶理、増配継続で年間171円予想で株主還元を強化 「専門性×グローバル×事業投資」を推進
2026年3月期決算説明
迫田竜之氏(以下、迫田):みなさま、こんにちは。蝶理株式会社代表取締役社長の迫田です。本日は、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
当社は、江戸時代末期の1861年に京都・西陣で生糸問屋として創業し、時代や社会の変化に対応しながら事業ポートフォリオを最適化してきました。現在では、繊維・化学品・機械を取り扱う複合型専門商社として、166年目を迎える会社です。
決算概要のポイント

まず、2026年3月期通期決算の概要をご説明します。通期の業績は、前期比で減収減益となりました。一方で、税金費用の減少により、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。この増益により、資本効率はROEおよびROICともに中期経営計画の目標を達成しています。
業績内容(前期比)

業績内容です。売上高は2,993億円で、前期比123億円の減収となりました。これは全般的に販売が低調に推移した結果です。売上総利益は収益性の改善により前期比6億円増の411億円、販管費は前期比20億円の増加となりました。その結果、営業利益は131億円となり、前期比で14億円減少しました。
連結子会社の解散および債権放棄に伴い法人税等が減少した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4億円増の120億円となりました。
税金等調整前当期純利益の主な増減要因

税金等調整前純利益の主な増減についてです。まず、売上高の減少により123億円の減収となり、その影響で売上総利益は16億円減少しました。一方で、売上総利益率の改善により、22億円のプラス要因となっています。
また、前期は一過性の損益を計上しており、その反動がマイナス10億円の要因となりましたが、四半期の業績は安定的に推移しています。
繊維事業

繊維事業の売上高は1,458億円で、前期比70億円の減収となりました。セグメント利益は71億円で、前期比6億円の減益となっています。減収の主因は、素材・資材分野が低調に推移したことです。
利益面では、テキスタイル分野で中東における情勢悪化や市況低迷の影響を受けたほか、アパレル分野でも環境や構造の変化が減益要因となりました。
化学品事業

化学品事業では、売上高は1,527億円となり、前期比で52億円の減収、セグメント利益は80億円で前期比9億円の減益となりました。
売上高は、パフォーマンスケミカル分野の市況低迷などにより減収となりました。利益は、前年に貸倒引当金戻入額を計上した反動で、減益となっています。ただし、この要因を除けば、前年並みの利益水準です。
ファインケミカル分野は市場の在庫調整が収束し、堅調に推移しました。
機械事業

機械事業の売上高は8億円で、前期比で1億円の減収となりました。セグメント利益は3億円で、前期比で3億円の減益です。売上高が非常に僅少ですが、これは収益認識基準によるものです。なお、債権発生ベースの売上高は約200億円を超えています。
事業としては、中国製自動車を欧州・中南米に輸出しています。当期は欧州向けの自動車販売が不振でしたが、中南米向けは堅調に推移している状況です。
形態別売上高

形態別売上高についてです。スライド左下の棒グラフをご覧ください。上段の国内売上高と輸入売上高は、日本市場を対象とした売上高です。これらを合算すると、前期比で9億円減少し、微減となりました。
一方、下段の輸出売上高と海外売上高を合算すると、113億円の減少となっています。これは、海外市場を対象とする売上高が苦戦した結果です。特に海外向けは、化学品事業において中国製の廉価品流入による市況低迷の影響を受け、売上が減少しました。
財政状態

財政状態についてです。総資産は1,534億円、自己資本は1,023億円、自己資本比率は66.7パーセントと、財務健全性は安定的な水準にあると認識しています。
収益性および資本効率については、ROEは12.4パーセント、ROICは11.1パーセントです。当期は、先ほどご説明した税金費用の負担が軽かったことにより、改善した数値となっています。
財政状態 連結B/S

連結バランスシートです。現金および預金・預け金は前期比57億円増の295億円です。資産側では、投資その他の資産が前期比26億円増の191億円となっています。これは、保有有価証券の時価評価による増加です。
負債側では、短期・長期借入金が5億円にとどまっており、実質的に無借金経営といえます。
キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況です。営業活動によるキャッシュ・フローは、利益によるもので115億円のキャッシュインです。投資活動では18億円のキャッシュアウトがあり、財務活動では配当金の支払いなどにより50億円のキャッシュアウトとなっています。
2027年3月期業績予想

2027年3月期の業績予想は、前期比で増収増益を見込んでいます。売上高は3,200億円で前期比207億円の増加、営業利益は145億円で前期比14億円の増加となる見通しです。
一方、親会社株主に帰属する当期純利益は105億円で、前期比マイナス15億円となっています。減少の主な要因は、当期に税金費用の負担が少なかった反動によるものです。
配当金

配当金についてです。2026年3月期の期末配当は、従来予想の72円から3円増配の75円、年間配当金は147円で、前期比5円の増配となります。
配当方針は2027年3月期から見直しを行い、連結配当性向を30パーセントから40パーセントに引き上げました。また、純資産配当率(DOE)も3.5パーセント以上に変更しました。この結果、2027年3月期の年間配当予想は、24円増配の171円を見込んでいます。
中期経営計画へのコミットメント

2026年4月末に発表した、3ヶ年の中期経営計画「Chori Innovation Plan 2028」についてご説明します。
まず、中期経営計画へのコミットメントについてです。当社は今回の中期経営計画において「グローバルな成長を遂げ、『選ばれ続ける商社』」を目指しています。新たな中期経営計画では、海外市場に成長の軸足を置き、「領域の拡大」を図ります。
新たなエリア、マーケットの開拓に取り組み、これまでメインとしていた日本市場でのビジネスに加え、当社のグローバルサプライチェーンの中核である中国・ASEANを基点に、海外から海外へのビジネスを強化し、事業領域を拡大させます。日本市場においては、社会のニーズを満たす高付加価値商材に磨きをかけ、収益性の向上を目指します。
つまり、海外では領域の拡大を進め、日本では収益性の向上を図るという戦略方針を掲げています。
これらの戦略をスピード感をもって遂行していくためには、積極的な投資が不可欠と考えています。サプライチェーンの強化を目的とした事業投資に加え、事業領域拡大に向けたM&A、そして人材やDXなど経営基盤強化への投資も重要だと考えています。
「ありたい姿」として、「選ばれ続ける商社~新地図を拓き 価値を創り 未来を紡ぐ~」を定めました。ここには「グローバルで新しい市場やサプライチェーンを開拓し、高機能・高専門性の追求により世の中に価値を創出することで、事業・会社を未来に繋いでいく」という意志が込められています。
この「ありたい姿」のもと、中期経営計画の達成に尽力し、社内外のステークホルダーの期待に応えることで、長期にわたり信頼される存在として「選ばれ続ける商社」を目指していきます。
理念体系とありたい姿

こちらは、理念体系と目指す姿を示したページです。企業理念は「私たちは地球人の一員として、公正・誠実に誇りを持って行動し、顧客満足度の高いサービスを提供し続け、より良い社会の実現に貢献します」です。コーポレートスローガンは「あなたの夢に挑戦します。」です。
この行動指針に基づき、4つのマテリアリティを着実に推進することで、「選ばれ続ける商社」という目指すべき姿の実現を図っていきます。
成長の軌跡

前中計の振り返りです。21世紀に入ってからの成長の軌跡についてご説明します。直近20年間で、経常利益は3倍以上に増加し、営業利益率は2パーセントから4.4パーセントへ向上しました。
これは、事業ポートフォリオの最適化を進めた結果、前中計で目標としていた経常利益100億円台の常態化を達成し、高収益体質を確立できたためです。
基本戦略の振り返り

基本戦略の振り返りです。海外現地法人の収益力は向上した一方で、売上規模の拡大と、それを支える人材育成には課題が残っています。
2025年度決算では、約120億円の売上減少に伴い、その影響で売上総利益も16億円減少しました。課題としては、海外売上高の停滞、新たな成長を目指す大型事業投資の遅れ、マテリアリティと事業の十分な関連付けが不十分である点が挙げられます。またDXでは、前期に稼働した新基幹システム「SAP」の活用を含む統合データ基盤の構築において、人に依存しがちな事業ノウハウを組織・会社に帰属させる経営変革の推進が課題です。
達成状況

前中計の達成状況です。各事業の収益力は向上しましたが、売上高は未達でした。これが最大の課題です。財務目標に関しては、先ほどの決算説明でご説明したとおりです。非財務目標については、採用人数に占める女性の割合は目標の30パーセントに対して35.5パーセント、男性社員の育児休業取得率は60パーセント、管理職に占める女性の割合の向上は3.8パーセントでした。
中期経営計画の前提条件

「Chori Innovation Plan 2028」の概要についてご説明します。
中期経営計画の前提条件となる外部環境としては、地政学リスクの高まり、経済格差の拡大、アンチグローバリゼーションなどにより、サプライチェーンの再構築や商社機能の価値が高まっていることが挙げられます。
また、業界再編や人口動態の変化、日本を含む先進国での少子高齢化、新興国の人口増加、さらにサステナビリティ志向の高まりといった変化に対応するため、サプライチェーンマネジメントや地域別戦略の必要性も増しています。
中期経営計画の位置づけ

今回の中期経営計画の位置づけをご説明します。まず、前中期経営計画で高収益体質構築の総仕上げを行いました。その上で、「ありたい姿」である「選ばれ続ける商社~新地図を拓き 価値を創り 未来を紡ぐ~」に向けたバックキャストとして、本計画を位置づけています。
計画の柱は、専門性の向上、グローバル化、事業投資の推進です。具体的には、高度な専門性を強みに海外事業を強化し、成長投資と領域の拡大に注力していきます。
基本方針と戦略

基本方針と戦略です。基本方針として「専門性×グローバル×事業投資の推進」を掲げています。事業戦略では、グローバル市場での領域拡大を加速させます。財務戦略では資本効率を重視し、経営基盤戦略では未来を紡ぐ経営基盤の高度化を図ります。
主な経営目標

主な経営目標です。2028年度の計画では、売上高3,500億円、営業利益175億円、ROE10パーセント以上、海外売上比率40パーセント以上を目標とし、2025年度実績比で増収増益を目指します。
また、「ありたい姿」として、売上高5,000億円、そのうち海外売上比率を50パーセントとし、営業利益300億円、ROE12パーセント以上を掲げています。
当社は、次の成長軌道に乗るためには、海外事業を含めた領域拡大が必要だと考えています。またROEについても、2025年度は税金費用が減少している実態を踏まえると、決して悪化しているわけではありません。
全社 海外売上ポートフォリオ

事業戦略についてご説明します。まず、全社の海外売上ポートフォリオと、海外売上高およびその比率についてです。2025年度は1,100億円で38パーセントでした。2028年度には1,400億円で40パーセントとし、2025年度比で300億円の増収、比率は3ポイントの上昇を目指します。
増収ターゲットは、ASEAN地域で120億円、さらに米州、欧州、インド、中東、北アフリカでそれぞれ50億円を計画しています。
日本については、現状の1,900億円を2,100億円へ、約200億円増加させる計画です。
繊維事業 成長戦略① バリューチェーンの強靭化×領域拡大

繊維事業の成長戦略についてです。繊維事業は、衣料分野と資材分野に分かれています。衣料分野では、川上から川下、繊維原料からアパレル製品まで一気通貫で価値を創出する垂直統合型の事業モデルを推進し、収益力を強化します。
一方、資材分野では取扱領域の拡大を進めます。建築資材や土木資材などの社会インフラ資材に加え、自動車内外装材では国内シェアNo.1を誇るカーシート事業を基盤に、周辺部材への領域拡大を図ります。
繊維事業 成長戦略② 海外販売の強化

繊維事業の海外販売の強化についてです。まず、ASEAN地域では繊維原料、テキスタイル、そして連結子会社であるSTXの活用によって、アパレル製品のバリューチェーンの強靭化に尽力します。
先進国の米州・欧州では、スポーツ・ファッション分野でのテキスタイルおよびアパレル製品の販売を強化します。
インド・中東・北アフリカは、人口増が見込まれる地域です。現在、中東向けの主な商材は民族衣装ですが、新たにスポーツ事業を展開します。インドでは資材分野を開拓し、北アフリカでは繊維原料やテキスタイルの生産拠点を拡充します。
化学品事業 成長戦略① No.1戦略の推進

化学品事業の成長戦略では「No.1戦略」を推進し、各分野における「No.1商材」やビジネスの強化・拡大を図ります。具体的には、輸入ナイロン原料、ブドウ糖、ガラス原料、電子材料のコンデンサに加え、当社の高収益事業である医農薬中間体についても、特に中国・インドを中心に、ハイレベルな受委託ビジネスを展開していきます。
このように、高機能、高収益、環境配慮型ビジネスへのシフトを推進します。
化学品事業 成長戦略② 海外販売の強化

化学品事業における海外販売の強化についてです。まず、ASEAN地域では中国からの生産拠点の移転を行います。続いて、インド・中東地域では、医農薬中間体の製造委託先への設備投資や合弁会社の設立を計画しています。
繊維事業・化学品事業 計画指標

繊維事業および化学品事業の計画指標です。繊維事業は売上高1,650億円、営業利益90億円を計画しています。化学品事業は売上高1,850億円、営業利益102億円を見込んでいます。
キャッシュアロケーション

財務戦略についてご説明します。まず、キャッシュ・アロケーションです。この3ヶ年の中期経営計画期間に見込まれる営業キャッシュ・フローのキャッシュインは350億円です。そのうち50パーセントを成長投資に、10パーセントを経営基盤投資に、40パーセントを株主還元、配当に割り振ります。
成長投資方針

成長投資の方針です。サプライチェーンの強化など事業領域の拡大に向けた投資に加え、外部資金の活用など資本効率の向上に資する投資を計画しています。
なお、成長投資は175億円プラスアルファを計画しており、レバレッジを活用した経営への転換も視野に入れています。
繊維事業では、グローバルバリューチェーンの強化に取り組みます。M&Aや事業投資では、グローバル市場への出口を持つ企業を候補としています。また、化学品事業では「No.1戦略」を推進します。出資ではメーカーポジションの確立や、M&Aを通じた事業領域の拡大を目指します。
株主還元

株主還元についてです。決算概要で報告したとおり、配当性向を30パーセント以上から40パーセント以上に引き上げました。純資産配当率は3.5パーセント以上としています。
ロジックツリー

当社が考える企業価値を向上させるためのロジックツリーについてご説明します。
まず、「稼ぐ力の強化」、次いで「持続的成長」です。「稼ぐ力の強化」のKPIは記載のとおりで、重点施策として、事業ポートフォリオの最適化、高付加価値商材の開発、海外売上高比率の引き上げが挙げられます。
「持続的成長」は、M&Aを含む戦略的事業投資、DXによる経営変革・事業変革、マテリアリティへの取り組みを推進するものです。
経営基盤戦略

経営基盤戦略は、サステナビリティ経営を推進し、持続的な企業価値の向上を目指すものです。当社のマテリアリティは「人材育成とダイバーシティの推進」であり、「サプライチェーンマネジメントの強化」は「人権の尊重」に取り組む施策です。
また、「ガバナンスの強化・コンプライアンスの徹底」と「持続可能で豊かな社会の実現に資する事業の推進」については、サステナブル商材の取扱拡大を通じてサステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上を目指します。
人的資本の充実

人的資本の充実についてです。当社は、人材を最も重要な経営資本と位置づけています。中長期的な持続的成長を実現するため、「選ばれ続ける商社」の実現を目指し、人材の成長と企業価値の向上が好循環する状態をつくります。
推進体制として、今期からインナーブランディング推進委員会およびダイバーシティ&インクルージョン推進委員会を立ち上げました。さらに、エンゲージメントサーベイスコアや女性管理職比率などのKPIを、役員報酬のKPIにも設定しています。
サステナブル商材の拡大

サステナブル商材の拡大についてです。切り口は「環境」と「暮らし」です。「環境」ではバイオ、再生、リサイクルにフォーカスし、「暮らし」では安全・高機能・健康に関する事業を推進します。これにより、社会への貢献と事業成長の好循環を目指します。
ガバナンスとサプライチェーンマネジメントの強化

ガバナンスとサプライチェーンマネジメントの強化についてです。現在、当社には36社の連結子会社があります。グループ・ガバナンスとサプライチェーンマネジメントを強化し、信頼性と安定性を高めることで、持続的な事業運営基盤を構築します。
DXによる経営変革

DXによる経営変革についてです。前期に「SAP」の導入を完了し、現在は統合データ基盤の構築に取り組んでいます。また、各本部にDX推進室を設置し、推進リーダーの育成を進めています。
当社のDXが導く経営変革で最も重要なのは、事業ポートフォリオの最適化です。今後も、事業を次世代につなぐため、DXの推進に努めていきます。
中期経営計画の説明は以上となります。
繊維事業 セグメント概要

Appendixを添付しています。繊維事業のセグメント概要として、当社の繊維事業における「マテリアル」「テキスタイル」「アパレル」を挙げています。
繊維事業 環境認識・競争優位性

こちらは、繊維事業の環境認識および競争優位性です。
繊維事業 オリジナルブランド


繊維事業におけるオリジナルブランドの展開について、2ページにわたり記載しています。
化学品事業 セグメント概要

化学品事業のセグメント概要です。ニッチな原料・分野・市場で独自のビジネスモデルを創出しています。
化学品事業 市場環境認識・競争優位性

化学品事業の市場環境認識および競争優位性については、スライドをご覧ください。
当社株価推移

参考資料を掲載しています。 こちらは当社株価の推移です。
市場動向

市場動向として、為替レート、石油価格を記載しています。
連結の範囲(2026年3月期)

連結の範囲です。現在、連結子会社は36社です。
親会社からの独立性の確保について

当社は親子上場の子会社です。親会社からの独立性の確保について記載しています。
最後に、昨今の中東情勢について少しコメントします。先ほどご説明したとおり、当社は中東向けの繊維事業を約100億円運営しています。3月から5月にかけて、日本やアジアからの事業は停滞しており、化学品事業では粗原料価格の高騰により、価格競争に巻き込まれている状況です。
しかしながら、当社は商社であり、新たなビジネスチャンスが生まれていることも付け加えます。私からの説明は以上です。
質疑応答:中期経営計画における増収分の東レ依存度について
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