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株式会社マツモト7901

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Today’s Topic

松本大輝氏(以下、松本):株式会社マツモト代表取締役社長の松本大輝です。本日はどうぞよろしくお願いします。

まずは当社についてご説明します。今回は、初めて当社をお知りになる個人投資家のみなさまに向けて、私たちがどのような会社なのか、また現在取り組んでいる挑戦、そしてその挑戦がどのように企業価値へつながるのかを、できる限りわかりやすくお伝えします。

本日、私どもがお話しするメインテーマは、株式会社マツモトの再定義についてです。

当社はこれまで、全国約7,000校との取引を行い、卒業アルバム業界でシェア第2位という確固たる地位を築いてきました。一方で、社会環境の変化により、教育のあり方や記録のあり方、さらには価値の定義そのものが大きく変化しています。

私たちはこれを再構築の機会と捉え、教育分野への新しいサービスやデジタルプラットフォームの開発を進めています。

伝統的な事業基盤をどのように進化させ、新たな価値を創造していくのかについては、後ほど詳しくご説明します。

Agenda

松本:本日の流れです。前半では会社概要と当社の成長を支える事業基盤についてお話しします。後半では、当社の未来を担う新規事業の展開について詳しくご説明します。

会社概要

松本:それではまず、当社の90年にわたる歩みと現在の事業内容についてご紹介します。

当社は1932年に小さな写真工房として創業しました。創業の地は福岡県北九州市にある門司です。当時そこには三菱重工や新日鐵といった日本の製造業の基盤があり、多くの人口が集まる場所でした。創業者である私の曽祖父にあたる人物が長崎から門司に出てきて、兵士の写真撮影を行ったことが当社の原点だと聞いています。

その後、日本の成長とともに卒業アルバム事業へと展開しました。これはベビーブームにより生徒の数が増加し、自然と学校側から「卒業アルバムというものが作れないか」といった相談が寄せられたことをきっかけに始めたものです。現在では全国で7,000校と取引を行うまでに成長しました。

当社の特徴として、世代ごとに社会構造の変化に応じて業態を変えながら成長してきたという歴史があります。

2022年には私、松本大輝が代表取締役に就任し、前社長で現在は相談役の松本敬三郎が行った印刷機導入による効率化を継承するとともに、新しいWebサービスやWeb3.0事業「ShinoVi」を開始し、デジタルシフトへの挑戦を加速させています。

現在の主力事業 アルバム事業

松本:当社の収益の柱であるアルバム事業についてご説明します。業界に先駆けて制作のフルデジタル化を実現した技術力を強みに、現在は年間約7,000校、約62万冊という膨大な卒業アルバムを発行しています。現在、業界シェアは第2位を誇っています。この圧倒的な学校ネットワークと、長年培われた信頼が、当社の最大の資産です。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながらおうかがいしていきたいと思います。ご説明の中で「フルデジタル化をいち早く実現」という話がありましたが、これはいつ頃から始められたのでしょうか? 

松本:当社の特徴として、先ほどお伝えしましたように、時代の流れに応じて徐々に会社のかたちを変えてきた部分があります。

フルデジタル化については、1980年代にアメリカで「マッキントッシュ」が誕生し、そこからDTP(DeskTop Publishing)という、コンピューターでデータを作成してそれを印刷にする技術や、CTP(Computer to Plate)という印刷データを版に焼き付けて大量印刷を行う技術が進化してきました。

当社も1980年代頃からそのようなフルデジタル化設備を取り入れ、一気にシェアを拡大させて成長した会社です。

坂本:全国7,000校と取引があるというお話ですが、どのような営業手法なのか教えてください。自社で撮影を行っているのでしょうか? また、印刷や製本の前段階はどのようなかたちで事業を展開されているのかについて教えてください。

松本:非常にわかりづらい点ですが、学校のアルバムというのは学校と当社だけではなく、その間に写真館の方々が関わっています。つまり、学校の近くにある写真館が写真を撮り、それを当社が受け取り卒業アルバムを作るという仕組みです。

そのため、7,000校のネットワークを急速に構築するには、当社の先輩社員がまず写真館との関係をしっかり築き、一気にシェアを獲得したという歴史があります。

坂本:業界で御社は2位とのことですが、1位の規模感について公表されていることや、推測できることがあれば教えてください。

松本:業界1位は、約9,500校を手掛けているとうかがっています。

未来を見据えた新しい印刷スタイルを実践

松本:当社の技術的優位性についてご説明します。当社の特徴として、従来の印刷については、ほとんどの印刷会社と同様に版を使い、プレートにデータを焼き付けて印刷を行っています。

一方で、デジタル印刷を拡充しています。デジタル印刷はデータから直接印刷が可能な方式で、家庭用インクジェットの業務用版と考えていただければわかりやすいと思います。当社は、このような業務用インクジェット印刷を全国に先駆けて導入し、人口減少に伴う小ロット化に対応しています。

以前、導入当初はインクジェットによる印刷の品質が従来の印刷方式と比べて劣る部分がありましたが、現在ではオフセット印刷を上回る非常に高精細な仕上がりとして評価をいただいています。これにより、小ロット・高精細・スピード生産を可能にしています。

また、全国に数台しかない全自動インクジェットタイプの輪転機を保有しています。この輪転機はスライドに写真がありますが、ロール状の紙を用いて、人の介在なしに一気に出力まで行う印刷機です。これにより、製造面でも未来を見据えた新しい印刷スタイルを実践しています。

加えて、当社独自の技術として、「ホロニス」という印刷加工技術を有しています。この技術はもともと日本で誕生したものですが、現在では中国が先行しています。フィルムを活用して印刷面に段差をつけ、そこで生じる光の反射によりキラキラとしたホログラム効果を生み出す技術です。

「ホロニス」は全国でもほぼ当社のみが保有しているものであり、独自技術の開発を進めている点でも当社は特異な存在だと言えます。印刷会社として、技術の優位性は当社にとって非常に重要な無形資産となっています。

株価推移に関する振り返り

松本:続いて、当社の市場評価に対する振り返りと、今後どのような姿を目指していくのかについてご説明します。まずは、これまでの株価推移についてです。

少子化による生徒数の減少に伴い、卒業アルバム事業への成長期待が低下していたため、当社の株価はしばらく低迷していました。しかし、2022年6月頃から当社の株価が急上昇し、この時期におおよそ10倍にまで達しました。

それが期待値だったかどうかは市場の評価に任せるしかありませんが、2022年秋頃に当社がWeb3.0への取り組みを公表して以降、株価は再び上昇しました。その後、現在は少し落ち着いており、「次にマツモトさんは何をするんだ」と、多くの方々が不安と期待を抱きながら待っている状況だと感じています。

現在、時価総額は10億円強となっています。この金額は、当社としても「あまりにも低い」「もっと上げていかなければならない」と考えており、厳しい評価として真摯に受け止め、最大限努力していきたいと考えています。

中期ビジョン

松本:本日は「マツモトの再定義」を実現するために、まず「時価総額で100億円企業を目指す」という目標を掲げました。

2027年4月期は事業構造転換の年と位置づけ、既存のアルバム事業と新規事業のシナジーを最大化する体制を整えていきます。

2028年4月期には、それらの施策を結実させ、AI×EdTechといった教育分野とIT分野への参入、成長投資枠の拡大を目指します。そして、2029年4月期には売上高50億円、営業利益6億円という高い目標を達成するため、現在、計画と実行を進めています。社会に新たな価値を提供する企業へと進化を遂げたいと考えています。

また、単なる規模の拡大ではなく、利益をしっかりと確保し、利益を伴う持続可能な成長を実現することで、株主のみなさまの期待に応えていきます。

Web1.0〜Web3.0の特徴

松本:これらの成長目標をどのように達成するのか、その具体的な戦略についてお話しします。当社が現在最も注力しているのは、「Web3.0」と呼ばれる事業です。

1990年代から始まった「Web1.0」は、ユーザーが一方的に情報を閲覧し、世界各国のWebサイトにアクセスする形態でした。2000年初頭からは「Web2.0」が始まり、FacebookやXなどのSNSによる相互交流が徐々に広まりました。

最近になり、「Web3.0」という言葉が注目されるようになりましたが、その理論は難解なものが多いです。しかし、当社はそれを実体経済に即した社会実装を目標として取り組んでいます。

私たちがWeb3.0を初めてマーケットにリリースしたのは2023年春です。この時はNFTの販売やマーケットプレイスから開始しました。現在は時代の変化に伴い、ステーブルコインなどのキーワードが登場し、Web3.0の技術が金融分野に活用され、社会実装がさらに進んできていると認識しています。

また、当社が非常に注目しているのは、デジタル上で信頼を証明する技術です。これを具体化し、実体経済へと浸透させていくことを目指しています。

さらに、ブロックチェーンと暗号資産を活用し、データを個人に分散させる世界を目指しています。現在のWeb2.0の世界では、データは企業が所有しているかたちですが、Web3.0ではデータが個人に付属し、個人がすべてそのデータを所有する仕組みとなります。この個人分散型のデータ管理を導入することで、従来の記録管理の信頼性と融合し、新たな価値を生み出していこうと考えています。

印刷会社としてこの領域に本格的に参入するのは非常に珍しく、私が耳にした範囲では世界中に類似事例がなく、当社のみだと考えています。業界の枠にとらわれない、先進的な取り組みであると自負しています。

坂本:ブロックチェーンと暗号資産の技術を活用してデータを個人に分散させることで、記録と管理の融合や、新しいサービスの創出が話題に上がっていますが、どのようなかたちで実現されているのか、イメージを教えてください。

松本:まず、私たちがWeb3.0をどのように始めたかと言うと、先ほどお伝えしたように、マーケットプレイスを作ることから始まりました。しかし、進めていく中でWeb3.0と本業がかみ合わないと、単発的な「打ち上げ花火」で終わってしまうと考えました。そのため、一昨年ほど前から、NTT Digital社と卒業アルバムのブロックチェーン化に取り組みました。

これは、学校に対していくつかのモデルケースを提案し、「やろう」という段階まで進め、さまざまな話が進んでいました。しかし、今年の春頃、私たちの業界でランサムウェアの事件が発生しました。ランサムウェアの侵入によって、同業他社が大きな被害を受けました。

その結果、Webのアルバムは納品直前になってリスクの問題が浮上し、やむを得ず見合わせることとなりました。

そういうところから、私たちはWeb3.0の取り組みをスタートさせています。

中期ビジョンにおける成⻑ドライバー

松本:中期ビジョンにおける成長ドライバーとして、現在主力であるアルバム事業の信頼を基盤に、印刷からWeb3.0まで多角的に事業を展開しています。DATやWeb3.0だけでなく、それをアルバムの領域にも広げている点が特徴です。事業多角化における大きな強みは、既存事業と新規事業が互いに高め合う成長のフライホイールを形成しているところにあります。

この90年で培った信頼と7,000校のネットワークという当社の強固な基盤を活用し、さまざまな海外のアライアンスを通じて国内へいち早く先進技術を届けることを目指しています。また、AI分析の導入によりWeb3.0やAIといった新しい技術を組み合わせ、新しいサービスを創出することが現在の方針です。

これら両輪、すなわち卒業アルバムとWeb3.0、AIの融合によって、当社にしかおそらく成し得ない全国規模の独自の成長サイクルを構築しようと考えています。

坂本:次世代のDAT構想についてですが、こちらは教育や金融テックが融合する、非常に大きな絵図となると思います。しかし、これを御社単独で内製化するのは非常に難しいのではないかとも思っています。

そのため、今後御社はこのプラットフォームの設計者に徹し、それ以外の部分を外部と連携してオープンイノベーション型で進めるという方向性でしょうか? 今後の構想の話でかまいませんので、お話しできる範囲で教えていただけますでしょうか?

松本:まずお伝えしたいのは、先ほどお話ししたとおり、私たちはWeb3.0を2023年春からスタートさせました。手探りで進めてきた中で、卒業アルバムのブロックチェーンを発表しました。この2年間で学んだこととしては、自社で完結させようとすると成長スピードが非常に遅くなるということです。これについては非常に痛烈な反省を持っています。

そのため、今回は構想というかたちで発表しましたが、さまざまな企業と連携を組みながら進めていくことを考えています。先日の発表を契機に、当社の考えを理解していただき、多くの企業と商談や戦略事業連携を進めている状況です。まだ発表前のため詳しくはお話しできませんが、現在さまざまな契約を進めています。

成⻑を支える資本体制

松本:さらに成長を加速させるため、私たちは資本体制も強化しています。2025年5月には、筆頭株主である創業家が「Brand New Retail Initiative Fund(投資事業有限責任組合)」というファンドに戦略的に移行しました。

これは単なる株式の変更ではなく、投資銀行出身者によって設立されたファンドで、資本政策の設計、事業投資の評価、資金調達戦略、M&Aやアライアンス設計といった分野で戦略性や専門性を持つファンドです。

もともと、創業家の株式比率が高かったのですが、当社は変革を進めなければならないという私の強い思いがあり、それを反映した意図的な選択でもあります。

このファンドはAIやブロックチェーンといった先端テクノロジー領域への投資を行う企業であり、その分野に非常に精通している点が、実際に株式を持っていただくに至った決定的な要因となりました。

当社が掲げる「DAT構想」は非常に難易度が高く、取り組もうとしている企業は多いものの、仮想通貨の暴落リスクをどう管理するか、トークン設計やエコシステム構築、資金の循環手法など、さまざまな課題が存在します。

これらは金融のノウハウを持たないと理解が難しい部分もあり、当社1社では対応が困難な点もあると考えています。そのため、筆頭株主を含むパートナーと相談しながら進めている状況です。

この新しい体制により、先端テクノロジー領域の知見を直接事業に取り込み、個人の成長を価値に変える新しい教育・金融インフラを、最速で社会に実装していく考えです。

坂本:現在の製造印刷業からの大転換を図り、外部の知見を取り入れながらスピードを上げて成長するというお話でした。確かに、専門人材を迎えることで加速化は進むと思います。ただ、現在の印刷業や内部で働いている方々のカルチャーを大きく変えていく必要があるのではないかとも思います。

この取り組みを始められてから、すでに2年から3年が経過しているとのことですが、社内ではどのようなかたちで人材の投資・育成を行っているのかについて教えてください。

松本:ご指摘のとおり、これは非常に大きな難しい課題です。基本的には、私たちは単独で抱え込まず、共創というかたちで他社との事業連携をしながら進めています。

冒頭で私たちの創業から現在に至るまでの流れをお話ししたように、例えば、創業者は写真を撮っており、これは個人の記録を残していたものでした。その後、印刷技術を用いて卒業アルバムという形式で個人の記録を残すようになりました。

では、これからの時代において、どのようにして個人を記録として残すかという点において私が現在考えているのは、その人が持つ能力や成長を可視化し、それを記録として残していくことです。実はこれは、当社のDNAに非常に合致した構想だと思っています。そのため、それほど無理のない変化であると考えています。

ただし、技術的な面で言えば、先ほどおっしゃったとおり、社内で取り組もうとすると、さまざまなハレーションが生じてしまいます。そのため、まずは他社との事業連携を進めながら、徐々に社内でも教育や学びを重ねることで、変化を目指していくかたちになると考えています。

Digital Asset Treasury

松本:当社の未来を担う最重要プロジェクト「次世代DAT構想」について詳しくご説明します。

「DAT」というのはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「Digital Asset Treasury」、つまり「デジタル資産金庫」を意味します。

これから生まれてくる人たちはもちろん、現在いる人も含めて、子どもたちには「見えない力」があります。私たちのビジョンは、これを資産に変えることだと考えています。

「見えない力」とは何かということですが、人間が生きていく中で、「テストの点数」というのは非常にわかりやすいものです。例えば、学校では1から5までの点数が付与されており、その評価は明確です。

しかし、日々の挑戦や努力については、人々が感覚的な基準で測っているというのが現状です。これらをすべて数値化し、信頼できるデジタル資産として確立することで、そこに教育資金を循環させる仕組みを構築します。このようなエコシステムの構築を目指しています。

現状の評価システムにおける課題

松本:なぜこれが必要なのでしょうか。一般的な学校や企業にも当てはまるかもしれませんが、現在の評価システムには3つの大きな課題があると考えています。

1つ目は「成長記録の分断」です。成長記録が1つに集約されていません。そのため、情報が完全に分断されています。

例えば、成績、部活動、家庭での活動などが、それぞれ独立しており統合されていません。わかりやすい例として、小学校・中学校・高校と進むにつれて、それぞれの場所で見る視点や評価が異なり、一貫性がない状態です。

2つ目は「客観的な証明の欠如」です。先ほどお伝えしたように、最終的には数学が「3」や「5」といった点数で評価されますが、日々この子がどのように努力したか、継続力や改善の過程といった「がんばったプロセス」を証明する仕組みは、現在のところ存在していないと認識しています。

その結果、3つ目の「企業との人材ミスマッチ」という課題が生じていると考えています。例えば、就職活動において企業が面接を行う場合、企業側は面接などで得られる限られた情報をもとに判断せざるを得ません。具体的には、エントリーシートや履歴書、グループディスカッションといったものが主な判断材料となっています。

現在はAIが大きく発展し、書類においてはどうにでもなってしまう時代になりつつあるため、それも1つの問題であると感じています。

数値化しにくい真の潜在能力、「この子は本当にどのような能力を持っているのか」「どのような環境下でそれが発揮されるのか」といった「非認知能力」と呼ばれる要素を把握するのが難しい現状も課題として挙げられます。

Proof of Growth

松本:DAT構想では、この課題を「計測・証明・価値化」の3ステップを用いて解決しようとしています。

ここに、私たちが2022年から取り組んできた「NFT」を活用できると考えています。まず、AIと行動科学を用いて非認知能力を「計測」します。非認知能力とは、先ほどご説明したように、学校の成績などでは証明できない能力を指します。リーダーシップ性のような多様な人間の能力で、これらが潜在的にどの程度備わっているかを計測します。

その上で、それがどのような活動を通じて、どれほど進歩したかを計測し、これを当社が発表している「Solana(ソラナ)」という仮想通貨、ブロックチェーンに刻むことで、改ざん不可能な活動履歴として「証明」していく考えです。

そして最後に、このトークンエコノミーを通じて学習記録を「価値化」します。ここに価格をつけていこうと考えています。そして、その人に対して資金提供など、さまざまな取り組みをつなげていくことを検討しています。結果という「点」ではなく、プロセスという「線」を価値に変える仕組みを考えています。

非認知能力の科学的定量化

松本:どのようにして個人の能力を可視化するかについて、これは非常に難しい課題ではありますが、私たちは科学的根拠を基に、これらを定量化しようと考えています。

具体的には、自己認識や社交性など、これまで数値化が難しかったソフトスキルを、単なる多面評価にとどめず、「IAT(潜在的連合テスト)」を用いて測定することを目指しています。

本人も気づいていない能力があります。このような能力を潜在的な意識や特性も含めて、客観的なデータとして抽出することが可能になると考えています。

マルチモーダル AI解析

松本:さらに、この客観性を極限まで高めるのが「マルチモーダルAI」と呼ばれるものの活用です。

これは、本人の音声や表情の変化、記述されたテキスト、日々の行動ログなどを多角的に解析することで、人間による主観、「この子はこうだ」といったバイアスを完全に排除できると考えています。

とにかく、ブロックチェーンを活用して誰に対しても公平な評価を実現します。これが、当社が提案する新しい評価のスタンダードだと考えています。

Solanaブロックチェーンを活用し、個人の実績をデジタル上で安全かつ低コストで証明

松本:このように測定された膨大な活動履歴を「Solana」というブロックチェーンを使用して、改ざん不可能なかたちで永続的に保存することが今回のプロジェクトの目的です。

これにより、偽造不可能な信頼性を担保しながら、個人の実績を安全かつ低コストで証明することが可能になると考えています。

ここから発行されるデジタル証明書は、単なる記録ではありません。「Solana」は世界基準のブロックチェーンであり、世界基準の信頼性を備えています。これにより、進学や就職の際に個人の実績を安全に証明できる、一生涯の「信頼インフラ」となります。これを目指すのが今回のプロジェクトです。

Sustainable Ecosystem

松本:こうした技術の先には、私たちが最終的に目指す姿があります。それは、人材と資金が永続的に循環する自律型の循環経済圏を構築することです。

「DAT」と呼ばれるものがどのような役割を担うかというと、個人の成長に対する中央銀行的な役割を果たすと考えています。学習者の成長プロセスにおいて資金を寄付したり、投資を行ったりすることが想定されています。

また、資金を得て成長した学習者が社会に出た際には、企業がその検証済みデータに基づいて精度の高い採用を行うことが可能となります。このような環境を目指していこうと考えています。

さらに、採用した企業からの手数料や、成功した学習者からの収益還元が再び「トレジャリー」に戻り、次の世代の学習者へと引き継がれていきます。

教育を「コスト」ではなく「投資の循環」へと変えていくことが、私たちが目指す自律型経済圏です。

個人と企業のWin-Winを実現するソリューション

松本:このエコシステムが完成すれば、個人は正当な評価と支援を受けられるようになり、企業のミスマッチも減少します。本当に必要な人材の採用が可能となり、採用される側にとっても行きたい企業に行くことが可能になる、Win-Winの関係につながると考えています。

教育を「コスト」から「投資と循環」へ

松本:このエコシステムにおける具体的な支援のかたちは、大きく2つあると考えています。

1つ目は「即時給付型」です。これは、学習時間や課題の提出状況といった現在のプロセスを評価し、学習を継続する支援となるものです。有能な人材が経済的理由で離脱するのを防ぎ、人材プールに引き留めるための重要な投資と位置づけています。

また、2つ目は「将来投資型」です。これは、キャリアアップや起業による収益など、将来のアップサイドを狙うものです。

学習者が社会で大きな価値を生むことで、システム全体の資産価値を増やす強力なエンジンになると考えています。

中央プールを介して学習者の成果を資産化し、還元し続けます。この仕組みこそ、マツモトが提唱する新しい時代の教育支援のあり方であると考えています。

実装ロードマップ 構想から社会インフラへ

松本:スライドは、この構想を実現するためのロードマップを示しています。現在は実証実験の段階にありますが、今後は試験的運用やシステムのさらなるブラッシュアップを経て、速やかに社会実装に進んでいく予定です。単なるビジョンでは終わらせず、着実なステップを踏んで市場への浸透を図っていきたいと考えています。

マツモトが掲げる3つの柱

松本:最後になりますが、株式会社マツモトは、90年の歴史で築いた信頼を基盤に、最先端のAIとブロックチェーンを融合させ、「未来の教育と記録」を再定義していきたいと考えています。

株主・投資家のみなさまには、この株式会社マツモトの大きな変革と挑戦を、ぜひ末永く見守っていただければと思います。

質疑応答:学校教育に関連する取り組みとテック活用について

坂本:この資料の中で、「努力のプロセスの資産化」という部分があります。ここには、おそらく御社がこれまで実施してきた学校との関係性や、今後テクノロジーを活用した連携によって新しい価値を創出する可能性が示されていると感じています。

実際に、学校教育の中で御社がどのような取り組みをされるのか、具体的なイメージを持てていない方もいるかもしれません。まだ確定していない点もあるかと思いますが、まずはそのあたりを教えていただけると、より具体

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