アリババ、スナップディール…アジアのEコマースへ重点投資

孫正義氏:次に、もう1つのソフトバンクの重要な経営の柱である、インターネット企業群経営ということであります。ソフトバンクには多くのインターネット企業があります。

最近ではアリババが上場し、ソフトバンクが海外で植えた種が着実に大きくなってきている、ということが顕在化してまいったということでありますが、特にまた最近、インド、アジアを中心に新しくこのインターネット分野への投資を増やしております。

特に4つの分野に我々は注力しております。1つがトランスポーテーション、これは新しく我々が取り組んでおる分野であります。もう1つが広告、メディア、ゲームの分野ですね。そしてEコマース、4番目が全く新しいグロースエリア、小さなスタートアップエリアというのをまとめております。

まず最初にEコマースですけれども、ここで何と言いましても我々の中核企業になったのはアリババでございます。アリババはすくすくと大きくなっております。とりわけ最近は、アリババがモバイルのほうでも急激に存在感を出しております。

このモバイルにおきましては、日に日に伸びている状況でございます。ですからアリババはこれからも大きく伸びていくという風に、私は強く信じておるという状況でございます。

次に、インドにおける次のアリババ、と我々が目しておりますのはスナップディールであります。この会社もすでに前回発表させていただいておりますけども、大変急激に伸びておるということでございます。

次に同じくEコマースでありますけども、インドネシアでNO.1のなった会社のトコペディア、こちらのほうもソフトバンクが筆頭株主になりました。

ということで、Eコマース、この分野は我々のグループの今、中核分野になってきております。

Uberに代表されるトランスポーテーション分野にも投資

次にトランスポーテーション。トランスポーテーションって何かということですけれども、タクシーなどの配車サービスでございます。アメリカでは最近大変Uberが有名になって、急成長しておりますが、同じく中国、インド、そして東南アジアという風に伸びております。

オラがインド、クアディが中国、グラブタクシーが東南アジアということになっております。

まず最初にオラですけれども、インドでNO.1のプラットフォームになりました。大変急激に成長しております。

次にグラブタクシー。これは東南アジアですが、こちらも東南アジアでNO.1として着実に伸びてきております。

またさらに、直近でございますけれども、アリババグループのクアディ、こちらに我々が一部資本参加をすることになりました。これらお互いがノウハウを共有しながら、お互いのシナジーを出しながら、成長していくと。ソフトバンクのシナジーグループが増えてきたということでございます。

コンテンツ分野や、その他スタートアップも逃さない

次のグループは、広告、メディア、そしてゲームの分野でございます。つまりコンテンツ分野ですね。

こちらにおいても続々と伸びてきておりますが、直近の新しいものとしましては、ハウジングドットコム。

これはインドでオンライン、インターネットを使った不動産売買ですね。マンションだとか家だとか土地だとか、そういうものをインターネットを通じて専門に売買する。その分野でNO.1の会社になりました。こちらもソフトバンクが今筆頭株主になったところであります。

これらの分野が我々が注力しておるところでありますけども、それ以外にもスタートアップの企業を細かく、ソフトバンクが投資をしておるということでございます。これらも一歩一歩その種が大きくなってきているという風に信じております。

PCソフトの卸売りから現在まで、ソフトバンクは挑戦の連続だった

ざっとまとめましたけれども、我々には通信のインフラ部分と、そしてインターネットのサービスの部分と、車の両輪という風に考えております。

ちょうど創業から33年が経ちました。我々が創業したときにはパソコンのソフトの卸売りという業態から始まりました。パソコンのソフトの卸し売り、つまりソフトのバンクですけれども、そこから今のソフトバンクというのは随分とその業態、内容が変わってまいりました。

しかし一貫して行っておりますのは、情報革命であり、その情報革命の最先端の分野を常に切り開いていくという立場で我々はやってまいりました。その途中には、紆余曲折、大変な苦難もありました。ブロードバンドのインフラを立ち上げるんだということで、1000億円級の赤字を4年間も続けるというようなこともありました。

倒産の危機を何度も体験したわけですけれども、しかし、何とか生き残って今日に至っておるわけです。

我々は今、スプリントに挑戦しております。先ほどから申しておりますように、決して甘い状況にはないと、今回の米国スプリントにおける減損も、厳粛に受け止めております。

しかし、挑戦してみて、登ってみて見えてくる景色がある。これが私の想いであります。山も登ってみなければその高さは分からない。川も渡ってみなければその深さは分からない、ということであります。挑戦してみて初めて、見えてくる景色。

最近、日本の企業は、もっともっと挑戦していいのではないかと僕は思うのですが。……ソフトバンクは挑戦しすぎと(笑)、いう風に言われるかも知れませんが、とにかく我々はこれからもいろいろと挑戦をしていきたい。

スプリントでは苦労していると、国内は何とか安定期に入っておると。いろいろございますけども、でも、ソフトバンクはこれまでも、そしてこれからも挑戦していくんだということを申し上げて、私の発表を終わらせていただきます。

「情報革命で人々を幸せに」というのが我々の企業理念でございます。以上でございます。よろしくお願いします。