小林亮平氏の紹介

小林亮平(@ryoheifree
三菱UFJ銀行にて個人・法人営業を経験後、金融リテラシーの普及を目指し、YouTubeチャンネル「BANK ACADEMY」を開設。初心者にもわかりやすい資産形成・投資情報の発信が支持され、チャンネル登録者数は70万人を超える。著書『世界一やさしい 新NISAの始め方』はAmazonベストセラー1位を記録。現在はYouTubeや書籍を通じた情報発信に加え、講演・メディア出演など幅広く活動している。


銀行員からYouTuberという、異色のキャリア変遷をお持ちですが、なぜYouTuberの道を選ばれたのでしょうか?

自分の根っからの性分ですが、自由な生き方を求めて独立を決意しました。その上で投資は新卒の頃から多少やっていたので、銀行で学んだ知識と合わせて発信活動に活かせないかと思い、NISAなどの投資の入門知識をYouTubeで発信してみようと思いました。

「BANK ACADEMY」を立ち上げたきっかけはなんでしょうか?

自分が投資を始めた頃に、何もわからないまま「えいや」と始めてしまい、結果的に損する経験をしました。当時からお金についてやさしく教える人がいて欲しかったと思い、自分がその役割をしたいと思って立ち上げました。

「損をした」という体験から「BANK ACADEMY」は生まれたのですね。小林さんが「BANK ACADEMY」で発信する上で、大切にしている軸は何でしょうか?

自前の図解やイラストを駆使して、難しい言葉を使わずに分かりやすく伝えることです。また、SNSでいただいた質問にはできるだけ自分が手作業で回答しています。毎日数件、多い時は数十件回答しています。

なぜ今「お金を学ぶ必要性」があるのでしょうか。金融教育の大切さをどのように感じていますか?

お金は人生において大事な役割を果たすからです。お金についてあまり考えてこなかったばかりに、借金や破産などで苦労する人も多いです。そうならないように金融教育がより普及することで、貯金や投資の大事さを実感する人がもっと増えればと思っています。

今、現役世代が資産形成の第一歩としてまずやるべきことはなんでしょうか?

貯金は「先取り貯蓄」で手取り収入の5パーセントを貯めることだと思います。投資も同じく、収入の5パーセントで新NISAを始めるとよいと思います。月20万手取りの人なら、月1万ずつ貯金と投資に回すイメージです。

初心者が一度やりがちなNG行動とはなんでしょうか?

一度に大きな資金を入れて、ちょっとのマイナスで怖くなってすぐに退場してしまうことだと思います。

そのNG行動に対するリカバリー法を教えてください。

まずは少額からコツコツ始める、積立投資なら相場が下がった時も安く買えるメリットを理解することがリカバリーにつながると考えています。

投資初心者が「情報に振り回されないため」に意識しておきたいことはありますか?

「誰がそう言うか」ではなく、「なぜそう言うのか」という裏側を自分で考えることです。例えば米国株投資家は米国株を推す理由を挙げますが、それが本当に正しいのかを自分で考えて腹落ちする意識が大事だと思います。

つみたてNISAやiDeCoを使う上で、初心者がつまずきやすいポイントは何でしょうか?

つまずきやすいポイントとして、短期間で運用して、思ったより利益が出ないからやめてしまうケースがあると思います。投資はあくまで長期でじっくりとやることが大事なので、NISAもiDeCoも5年、10年と長く続けるスタンスでいるとよいと思います。

自分に合った制度や投資法を選ぶために意識したいことは何でしょうか?

まずは自分の投資方針を整理することが大事です。投資の目的は何なのか、どれくらい運用期間を考えているのかを明確にした上で、将来的に上昇が期待できると思う投資先はどこなのかを考えてみるとよいと思います。

今後、新NISAや金融制度はどう進化していくと考えていますか?

少子高齢化によって将来の年金は減っていくことが避けられず、自助努力でお金を用意していくことが必須になるので、さらに投資に追い風になるような制度が拡充されると考えています。

小林さんの投資家としてのスタンスと考え方をおうかがいします。ご自身のポートフォリオ設計の基本的な考え方について教えてください。

米国株と現金を半分ずつ保有しています。米国株はeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、高配当ETFのVYM、個別株はNVIDIAです。

今のポートフォリオや考え方に「最も影響を与えた出来事」は何でしょうか?

米国株の過去150年の平均リターンが年7パーセント程度という圧倒的なパフォーマンスです。今後も人口増加やハイテク株の躍進などで、さらなる上昇が期待できると思っています。

ポートフォリオの中で、個別株はどのような位置づけで取り入れていますか?

NVIDIAはAIがさらに発展する中で、必要不可欠な半導体分野において重要な役割を担うと思うので、長期で保有しています。

今後の金利上昇やインフレリスクを前提にした資産設計は、どのように考えていますか?

米国金利については程よい水準に落ち着くと考えています。インフレリスク(通貨の下落)には注意しないといけないので、今は株式:現金=50:50で保有していますが、できるだけ株式の比重を上げることも考えています。

個別株を選ぶ際に、特に重視しているポイントや判断軸はありますか?

今後の拡大が期待できると思う業界かどうか、そしてその業界の中でシェアを取っていけるかどうかを考えて判断しています。

上記を重視する理由を教えてください。

米ハイテクのNASDAQ100は、近年、S&P500を上回るパフォーマンスを発揮していて、近年の米国株の成長はハイテク株が牽引していると言っても過言ではないと思うからです。

個別株との付き合い方は、投資経験を重ねる中でどのように変わってきましたか?

投資信託やETFといった商品より、さらにリスクとリターンを取っていく選択肢になりました。ただし短期売買は考えず、あくまで長期の将来性が期待できるかどうかを重視しています。

「自分の投資観」を育てるために役立った書籍があれば教えてください。

『2050年 世界人口大減少』(文藝春秋)。今後の世界各国の人口予想がさまざまなデータからわかりやすく示されており、その中で米国は移民の受け入れで今後も増加が期待できることを学びました。

投資と日々の生活のバランスについて、意識していることはありますか?

日々の生活のストレスに巻き込まないために、短期売買はしないことを意識しています。淡々と積立しながら、大きく下落した時だけ買うようにしており、今年は年始に1回、4月に1回スポット購入しただけです。

個人投資家が長く続けるために「意外と大事」だと思う習慣はありますか?

鈍感であることです。「大きく下がっても、まぁいいか」とほったらかしにしているほうが、焦って売買するよりも高いパフォーマンスが往々にして期待できると思います。

「BANK ACADEMY」の展望についておうかがいします。「BANK ACADEMY」が目指す未来像とはどういったものでしょうか?

バンクアカデミーがやさしい投資の学校になり、誰もが投資について楽しく語り合い、投資が文化として根付く未来を目指しています。

金融教育がより当たり前になる社会のために、今後やっていきたい挑戦はありますか?

いつも大都市ばかりでやっているので、全国セミナーツアーなど、もっと広いエリアでセミナーをやっていきたいと思っています。また、高校生や大学生にも積極的に伝える機会を作っていきたいと考えています。