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植松誠一郎氏:みなさま、こんにちは。株式会社植松商会、代表取締役社長の植松です。本日は、当社の概要および事業内容、2025年3月期決算概要、今後の取り組み、配当金、トピック等についてご説明します。

会社概要

まず、会社の概要についてご説明します。弊社は1950年5月に宮城県仙台市にて個人 植松商会として創業し、1955年6月に機械工具の販売を目的とした株式会社植松商会を設立しまして、今年で創業75年を迎えました。

弊社は、宮城県仙台市に本社を構え、東北および関東を拠点とするお客さま(各種工場)に工具や機械をご提供する「機械工具専門商社」です。

事業内容

当社は、機械、工具及び産業機械・器具等の販売事業の単一セグメントですので、取扱商品についてご説明します。

工作機械分野では、FMS生産システムの新たな可能性を追求しています。「FAシステム」は、加工分野における省力化、無人化、高精度化、多品種少量生産の対応のため、日々進化を続けています。FA化時代を先導する主力メーカーのハイテク製品から、お客さまにとって最適なFAシステムを提案しています。

取扱品目として、マシニングセンタ、CNC旋盤、CNC五面化工機、放電加工機、ほかを扱っています。

機械工具分野ではファクトリーオートメーション(FA)分野へ幅広く対応しています。NC・MCツーリングシステムや切削工具などの関連工具を、一流メーカーの豊富な品揃えで取り揃えています。生産設備のメカトロニクス化と共に、高性能・高精度・高速化が進む工作機械の機能を充分に活かし、ファクトリーオートメーション(FA)分野へ幅広く対応しています。

取扱商品として、切削工具、測定工具、作業工具、電動工具、ツーリングシステム、ほかを扱っています。

産業機械分野では、当社ならではのFA思想が息づいています。多品種少量生産をはじめとする幅広い業種のフレキシブルな対応が求められている産業機器分野において、当社は各々の市場ニーズに対応した有機的生産システムの開発に取り組むと共に、FAシステムのトータルプランニングを積極的に推進しています。

取扱商品として、物流搬送機器、保管機器、FAメカトロ機器、油・空圧機器、ほかを扱っています。

伝導機器分野では「すべてのシステム創造をここから」と考え事業に取り組んでいます。産業機械のパワートラッシュミッションを構成する動力伝導機器のニーズは、年々拡大し、多様化しています。当社ではこれらのニーズに対応するため幅広い商品を取り扱うと共に、技術革新への積極的な努力を続けています。

取扱商品として、ベアリング、直動機器、軸受関連機器、変・減速機、ほかを扱っています。

環境関連分野では、地球環境主義時代のベストパートナーを目指しています。地球環境問題解決へのニーズが世界的に高まっている中、当社では省エネルギー、省資源、環境負荷低減に役立つ施策と廃棄物の減容、減量化、資源リサイクルを実現すべく、環境のネットワーク化に積極的に取組んでいます。

取扱商品として、空調機器、各種洗浄機、分別回収容器、環境改善機器、ほかを扱っています。

株式会社植松商会は、より良いモノづくりを目指すお客さまのために、最初の一歩からまだ見ぬゴールのその先まで、機動力と独自のネットワークを活かし、共に走り続ける機械工具専門商社です。

企業概要のご説明はここまでとして、次に2025年3月期決算の概要についてご説明します。

決算サマリー

当事業年度(2024年3月21日から2025年3月20日)における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や円安の状況を受けてのインバウンド需要の拡大など、緩やかな回復基調で推移しました。

一方で、中東やウクライナ情勢の長期化といった地政学リスクの影響によりエネルギー価格などの物価は依然として高止まりの状況にあり、中国経済の低迷に加え、米国による関税の引き上げ政策等の影響から世界経済の下振れリスクも多く、先行きは更に不透明な状況となっています。

当社の属する機械工具業界においては、半導体産業では生成AI関連等の一部回復が見られましたが、市場全体の需要回復までには至らず、また、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響もあり低調に推移しました。

このような状況のもと、当社は、「中期経営計画 モノづくりにおける持続的成長発展を支える(2023年3月期~2026年3月期)」の3年目として、目指すべく「社員の働き甲斐を追求し、高い収益性を保ち、顧客と社会に貢献する。より良いモノづくりの伴走者」の重点施策である収益力の向上、企業価値の向上、人材育成の各取り組みに努めてきました。

以上の結果、当事業年度における売上高は63億600万円(前年同期比13.1パーセント減)となりました。

利益面については、売上減少に伴う利益減の影響が大きく、営業利益は4,400万円(前年同期比52.2パーセント減)、経常利益1億4,100万円(前年同期比15.6パーセント減)、当期純利益8,600万円(前年同期比23.0パーセント減)の減収減益の結果となりました。

損益計算書(P/L)

四半期別の業績については、第1四半期は売上高15億2,000万円、営業利益700万円の損失、経常利益600万円、四半期純利益400万円の損失となりました。

第2四半期は売上高16億1,400万円、営業利益3,000万円、経常利益6,500万円、四半期純利益5,300万円となりました。

第3四半期は売上高16億6,000万円、営業利益1,400万円、経常利益4,800万円、四半期純利益3,200万円となりました。

第4四半期は売上高15億1,200万円、営業利益700万円、経常利益2,200万円、四半期純利益500万円となりました。

売上高・営業利益の四半期推移

スライドは四半期別の売上高と営業利益の推移をグラフで表したものです。

商品別状況

商品別の売上高については、「機械」は高水準な受注残に支えられた前期の反動減もあり3億7,700万円となり、前期比66.1パーセント減となりました。「工具」は機械の売上減少に伴う切削工具類の減少により14億1,900万円で前期比14.1パーセント減となりました。「産機」は物流搬送機器、油空圧機器等の増加により32億2,900万円で前期比2.6パーセント増となりました。

「伝導機器」はベアリング、軸受関連機器の減少により6億9,700万円で前期比0.2パーセント減となりました。「その他」の商品は5億8,100万円で前期比9.5パーセント減となりました。

キャッシュ・フロー

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因について、ご説明します。営業活動によるキャッシュ・フローは3億1,700万円の使用(前期は7億1,600万円の獲得)となりました。その主な要因は、仕入債務の減少額4億1,400万円と法人税等の支払額9,800万円等によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは1,100万円の資金使用(前期は4,300万円の獲得)となりました。その主な要因は、投資有価証券の取得による支出2億2,100万円と投資有価証券の売却による収入2億900万円によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは7,900万円の資金使用(前期比26.9パーセント減)となりました。その主な要因は、配当金の支払額6,700万円とファイナンス・リース債務の返済による支出1,200万円によるものです。

その結果、当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ4億900万円減少して、5億9,800万円、前期比40.6パーセント減となりました。

貸借対照表(B/S)

貸借対照表(B/S)の概要についてご説明します。資産の部については、当事業年度末における資産合計は、49億9,700万円となり前事業年度末に比べ4億3,400万円減少しました。

この主な要因は、流動資産において、売掛金は3,800万円増加しましたが、一方で、現金及び預金4億800万円、受取手形4,600万円、電子記録債権2,900万円、商品5,300万円等の減少により、流動資産合計は4億9,200万円の減少となりました。

固定資産において、有形固定資産は増加200万円と減価償却による減少1,400万円となりました。無形固定資産はソフトウエアの取得300万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券が市場価格の上昇等により7,400万円の増加となりました。この結果、固定資産合計は5,800万円の増加となりました。

負債の部については、当事業年度末における負債合計は、19億1,000万円となり前事業年度末に比べ4億9,300万円減少しました。この主な要因は、流動負債において、支払手形2,400万円、電子記録債務2億4,900万円、買掛金1億4,000万円、未払金2,700万円、未払法人税等4,500万円等の減少により、流動負債合計は5億1,100万円の減少となりました。

固定負債において、リース債務は1,200万円減少しましたが、一方で、退職給付引当金500万円、役員退職慰労引当金700万円、繰延税金負債1,700万円の増加により、固定負債合計は1,700万円の増加となりました。

純資産の部については、当事業年度末における純資産合計は、30億8,600万円となり前事業年度末に比べ5,900万円増加しました。この主な要因は、当期純利益8,600万円と配当金の支払6,700万円により、利益剰余金合計は1,800万円の増加となりました。その他有価証券評価差額金は4,000万円増加となりました。

なお、当事業年度末における自己資本比率は61.8パーセントとなり、前事業年度末に比べ6.1パーセント上昇しました。

次期業績予想

今後の見通しについては、地政学的リスクの影響、中国経済の減速や米国トランプ政権の政策動向による世界経済の原則等の影響により、先行きは景気が下振れするリスクも懸念されます。

このような情勢のもと、当社は2023年3月期から2026年3月期の4ヶ年を対象とした中期経営計画を推進しています。その最終年に当たる次期も、以下の重点施策を推進していきます。

「収益力の向上に対する取組」「企業価値向上への取組」「100年企業を目指すにふさわしい人材養成」を柱に据え、これらの取組を通じて変化するニーズに柔軟に対応し、持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。

このような条件下での2026年3月期通期の目標は、売上高68億円(前期比7.8パーセント増)、営業利益7,800万円(前期比76.4パーセント増)、経常利益1億5,000万円(前期比5.9パーセント増)、当期純利益1億300万円(前期比19.5パーセント増)とします。

当社が目指す機械工具商社像

当社は、中期経営計画を作成し、2021年12月に公表しています。その概要について、ご説明します。

名称を「ポストコロナの新中期経営計画」として、期間は2023年3月期から2026年3月期までの4年間としています。

当社が目指す機械工具商社像について、「社員の働き甲斐を追求し、高い収益性を保ち、顧客と社会に貢献する健康企業へ」創業の精神である「東北の産業開発と生活文化の向上に貢献する」という土台に立ち、市場開発に常に積極的であり社会の持続的発展に貢献し、顧客に常に寄り添い顧客と共に成長し、顧客の圧倒的支持を受ける企業を目指します。

当社が目指すべき方向性として、次の3点に取り組んでいます。1つ目は、差別化と財務体質の健全性保持による収益基盤の確立、2つ目は、コーポレートガバナンスとサステナブル経営による企業価値向上、3つ目は、顧客と寄り添い顧客と共に成長する健全企業を目指すことです。

中期経営計画についてのご説明は以上です。

配当金の推移

当社の過去2年及び当期の配当金についてご説明します。2023年3月期の期末配当は、1株当たり普通配当25円として配当性向143.7パーセントを実施しました。

2024年3月期の期末配当は、1株当たり普通配当30円として配当性向60.9パーセントを実施しました。

2025年3月期(当期)の期末配当は、4月24日開催の取締役会において、1株当たり普通配当30円に、創業75周年記念配当2円50銭を加え、32円50銭として配当性向84.5パーセントを実施することを決議しました。

なお、当社の剰余金の配当等の決定に関しては、株主への機動的な利益還元を行うことを目的に取締役会決議で行うことを定款に定めています。

株主優待について

当社の株主優待制度についてご説明します。毎年3月20日時点の当社株主名簿に記載された1単元(100株)以上の当社株式を保有されている株主さまを対象として、保有株式数に応じて、500円、1,000円、3,000円分の当社オリジナル「QUOカード」を毎年1回、定時株主総会終了後にお送りする決議通知に同封して贈呈します。

サステナビリティ経営

当社は、2023年4月にSDGsを宣言し、サステナビリティ経営を推進しています。2022年に社内の若手スタッフを中心にSDGs委員会を設置し、サステナビリティ推進の第一歩を踏み出しました。

まずは、当社を取り巻く状況を把握するため、社内外のステークホルダーの多くのみなさまから多数のご意見を募り、ブラッシュアップしていきました。その結果、植松商会のSDGsの基本方針を「私たちは、地域とものづくりに貢献し、100年企業を実現して、未来を提案し続けます」として、弊社が取り組むべき6つの重点課題を掲げました。

1つ目は「商社として、お客様に未来を提案します」、2つ目は「将来のビジョンを見通した職場環境をつくります」、3つ目は「環境活動を通じてSDGs普及に貢献します」、4つ目は「個性が活きる会社にします」、5つ目は「絆ネットワークで地産地商を広げます」、6つ目は「会社の基礎をより強固にします」です。以上の6つの重点課題に取り組んでいます。

以上、簡単ですが、当社の2025年3月期決算説明を終了します。なお、中期経営計画の取り組みを着実に実行し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。みなさまには、今後ともご支援を賜わりますようお願いします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。