目次

三好栄祐氏(以下、三好):代表取締役社長執行役員の三好です。これより2025年3月期の決算説明と、今年度からスタートする中期経営計画についてご説明します。

スライドが、本日のアジェンダです。

1-1.決算発表のポイント

2025年3月期決算説明です。まず決算発表のポイントをご説明します。

2025年3月期の実績として、売上高は544億1,100万円で、前年同期比でわずかに伸長しました。営業利益は59億300万円で、前年同期比でわずかにマイナスとなりました。こちらは特に海外の人件費を主として、販管費などが円安の影響もあって増加したことが要因です。

経常利益および当期純利益は、為替差益の減少などにより減益となっています。

期末配当は、期初予想比5円減配の、1株当たり23円を予定しています。年間配当は45円です。

2026年3月期の計画としては、新たな中期経営計画のスタートとなり、日本やインドをはじめとする圧縮機の売上拡大を中心に、すべてのエリアで増収を目指しています。人件費の増加は続くものの、本中計の核となる戦略になってくるため、新規事業やIT投資などへの成長投資を継続的に行っていきます。結果として、減益を見込むことになります。

また株主還元指標としては新たにDOEを採用し、年間配当金は1株当たり83円を予定しています。

自社株買いは、中期経営計画中に実施します。

1-2-1.決算ハイライト

2025年3月期の決算ハイライトです。先ほどお伝えしたように、売上高は544億1,100万円、営業利益は59億300万円で、その他各段階の利益が減少し利益率が低下しています。

販管費の中でも、特に人件費が増加しています。人件費全体を100パーセントとすると、実際に人件費として上がったのは50パーセントで、残りの50パーセントは為替の影響によって上がっています。

その結果、利益を押し下げるようなかたちになっています。

1-2-2.営業利益増減の要因分析

先ほどお伝えしたように経費の関係が大きく影響し、営業利益を押し下げるかたちになってしまっています。

売上原価率は、もともとあまり利益率の良くない塗装設備の売上が低かったことで、商品ミックスの変動などにより若干良くなったものの、販管費率の上昇が原価率の低下を帳消しにしてしまったかたちです。

1-2-3.地域別業績

地域別の業績としては、その他エリアを除いたすべてのエリアにおいて増収しました。特に欧州の塗装機器が年間を通じて好調に推移し、全体を牽引したかたちになっています。

1-2-4.エアエナジー事業の概況

エアエナジーの事業概況です。売上高は合計で336億900万円となっています。日本は、価格改定での値上げ効果により売上が拡大しました。一方で、欧州はOEM先の需要動向の変化により減少、中国も内需が非常に悪いということで減少してしまいました。

対してインドは、今後中心となってくると思いますが、小形圧縮機の売上が伸長したという結果になっています。

1-2-5.コーティング事業の概況

コーティング事業の概況です。売上高は合計で206億7,900万円となっています。欧州では新製品を中心としたエアーブラシの需要が拡大しました。また欧州、米州では、自動車補修用のスプレーガンや木工塗装用のユニットが非常に好調でした。

中国では今回、機械部品や樹脂成形品などに関する塗装設備の引き合いが多かったことで前期比増を達成しています。

ただし、中国自体は現在の景況が非常に悪いため、スポット的な引き合い以外は大変苦戦をしている状況です。

1-2-6.その他の事業の概況

その他の事業の概況です。今後の我々の事業活動にとって非常に重要な事業を「その他」事業として切り出しました。今中期において1つの大きな活動の核になってきますが、新規事業を立ち上げるために、ANEST IWATA A.I.R.という子会社を設立しています。

その子会社の活動が、その他の中に入ってくることになります。日本では、エアーブラシを中心としたECサイトが好調に推移しました。BtoBのビジネスとBtoCとの境がなくなってきているため、現在はBtoCにシフトしてきています。

また、我々は塗装機を作っている会社ですが、その塗装機を実際にユーザー側で使って、ユーザー側のビジネスを立ち上げていこうと考え、現在社内でいろいろなプロジェクトを行っています。その中で目をつけたのがフィリピンです。

フィリピンでは、車に非常にお金をかけます。10年前に比べるときれいな車がたくさん走っていますが、修理する業者や整備屋は十分にはありません。したがってここに早くから目をつけ、我々自身が整備業に進出していこうと、フィリピンでの整備業が新しくスタートを切ったところです。

1-2-7.貸借対照表の概要

貸借対照表の概要です。有価証券の期末残高が減少したことに加え、株主資本の増加や為替変動の影響により、自己資本比率は67.7パーセントに上昇しています。

1-2-8.設備投資計画・研究開発費の状況

設備投資計画です。2025年3月期は26億円という計画だったものの、設備投資は約33億円の実績で、減価償却費、研究開発費ともに100パーセント以上の進捗率となっています。

具体的に言うと、日本ではよりスピード感を持って新たな製品開発に結びつけるため、本社に試作棟の建設を行い、そこに試作機などを入れました。

インドでは中形圧縮機の組立工場を建設しており、今月完成予定です。

2026年3月期に計画しているのは、工場のDX化です。積極的な開発投資を行い、デジタル基盤を構築していきます。また各エリアにおける生産設備の増強のため、2026年は34億5,000万円の設備投資の計画を立てています。

1-3-1.2026年3月期 通期見通しの概要

2026年3月期の通期見通しの概要です。売上高はエアエナジー事業が358億円、コーティング事業が221億円、その他事業の1億円と合わせて580億円、営業利益は55億5,000万円という計画を立てています。今中期は設備投資と新規事業への投資を徹底的に行っていくため、営業利益は減益を見込んでいます。

1-3-2.2026年3月期計画の前提条件

前提条件としてはまず、国内外の人件費や物流コストの他、原材料および部材の調達価格の上昇を見込んでいます。対円為替レートは、2025年3月期と同水準を想定しているものの不確実性が非常に高いため、目標値自体には為替差益、損益は含めていません。

またトランプ関税に関しても、日本からの米国向け輸出に影響の可能性はあるものの動向が非常に不透明なため、今回の目標値の中には含めていません。

1-4-1.株主還元策

株主還元策です。2025年3月期の配当は、配当性向を前提とする方針に基づき年間45円予定と、減配になりました。

今後は還元強化のため、株主資本配当率(DOE)を還元指標に採用します。今中期経営計画期間内は、期間中のDOEを7パーセントから7.5パーセントに設定しています。

1株当たりの年間配当金額は、2026年3月期を下限として累進的に増配を行っていきます。自己株式の取得については、今中期経営計画期間中に30億円から35億円規模を実施していきます。これにより、2026年3月期の年間配当金額は83円を計画しています。

1-4-2.<Appendix>損益計算書の概要

参考資料のため、ご説明は割愛します。

1-4-3.<Appendix>業積推移

参考資料のため、ご説明は割愛します。

2-1-1. 代表挨拶

2026年3月期から2028年3月期の第一次中期経営計画についてご説明します。あらためまして、今年4月に社長に就任した三好です。

今後、10年後を見据えたバックキャスティングを徹底的に仕組みとして取り入れていこうと考えています。その中で今回は1回目の中期であるため、第一次中期経営計画という呼び方をしています。

第一次の3年が終われば第二次、第三次と進み、第四次の途中で10年目となります。我々がこれから描く「Vision2035」に向かって、計画を立てていきます。

第二創業期に向けた6つのお約束

第二創業期に向けたお約束を6つ挙げています。中でも特にお伝えしたいのは、バックキャスティングによる戦略の構築です。10年後の2035年にアネスト岩田としてどうありたいかということを、社内の経営陣と、第二創業メンバーである次期幹部候補生メンバー18名とで徹底的に議論しているところです。ここで議論したことが今後計画になり、このような説明会の中で報告をするかたちになります。

また、アネスト岩田は来年100周年となります。99年間、どちらかというと堅い真面目な会社として継続して企業運営を行ってきましたが、この世の中、次から次に予測もしていなかったことが起きていくことを考えると、今のままではいずれ立ちゆかなくなるだろうと思います。

したがって社内のインターナルブランディングをしっかりと構築した上で、新規事業や新しい領域に積極的にチャレンジしていく文化を醸成し、新しい市場の開拓に結び付けていきたいと考えています。

2-1-2. 沿革

アネスト岩田の沿革になりますので、ご確認いただければと思います。

2-1-3. 当社の起源と現在の事業概要

当社の起源と事業概要です。もともとは、99年前に国内初のスプレーガンを創業者が開発し、スプレーガンを吹くのにはコンプレッサーが必要であることから、コンプレッサーの開発につながりました。その中で事業が分かれ、それぞれ特徴のある製品を開発してきました。

2-2-1. Vision2035実現までの道筋

前中期の方針であった既存事業の深化とグローバル拡張に加え、新領域の創造という軸を設定し、立体的な成長を実現していきます。これにより、2035年には売上高1,000億円の達成を目指します。

2-2-2. 創業100周年を迎えるにあたって

先ほどもお話ししたように、変革を担う従業員一人ひとりの行動や態度といった企業体質を徹底的に変えていかなければ、今後厳しい時代の中で勝ち残っていけません。この点をあらためて重要視した上で社内の風土改革を行っていくため、100周年を機に、インターナルブランディングとして100周年プロジェクトの推進を行っています。

2-3-1. 前中期経営計画の振り返り(KGIの達成状況)

前中期の振り返りです。前中期は海外成長戦略が当たり、当初の連結売上高目標は1年前倒しで、連結営業利益目標は2年前倒しで達成しました。

一方で、ROEは11.7パーセントから9.4パーセントに下がっているため、こちらは今後の課題として、経営陣が資本政策の中でコミットしていきます。

2-3-2. 前中期経営計画の振り返り(基本戦略における取組み)

基本戦略における取組みです。基本はインド向けの製品展開が中核になってくる見込みです。前中期はインドに工場を建設したことによって伸びたため、そこをさらに加速させていきます。

また、前中期では4つの戦略を挙げていました。世界で各地域に見合った商品をつくりシェアを獲得するという戦略に対しては、うまくいったのではないかと自負しているため「〇」評価としています。

2-3-2. 前中期経営計画の振り返り(基本戦略における取組み)

子会社間のシナジーの最大限活用については、「△」評価になりました。我々は海外に三十数社を展開しているのですが、成功事例をどこに持っていくか、どことどこで組んで新しいシナジーを生み出すかなど、横のつながりについてのグローバルでの管理という面では、まだ課題があります。

日本におけるサービスビジネスについては、現在積極的に投資をしています。日本は成熟市場のため、勝ち残っていくには、サービスを含むアフターマーケティングに力を入れていくしかありません。

したがって現在、サービス拠点を大きく増やしていっているところです。加えて、そのサービスができる人材の育成も非常に重要なため、徹底的な教育も行っている最中であるということで、評価は「△」としています。

新規事業の開発については、ANEST IWATA A.I.R.という会社を立ち上げて軽板金塗装ビジネスを新たに始めましたが、まだスタートしたばかりということで評価は「△」としています。

2-3-3. 前中期経営計画の振り返り(株主価値向上に向けた取組み)

株主価値向上に向けた取組みとして挙げていた2点については、業績連動型株式報酬制度の継続実施は「△」評価、株主還元の強化は「◯」評価としています。

2-3-4. 前中期経営計画の振り返り(サステナビリティ経営の強化における取組み)

サステナビリティ経営の強化における取組みについては、スライドをご確認いただければと思います。

2-4-1. 第一次中期経営計画策定の背景

第一次中期経営計画策定の背景についてご説明します。我々は第一次中期経営計画期間を「第二創業期」と呼び、100周年を機に新たに次の創業をするという位置付けにしています。

第一次中期経営計画の策定にあたっては、我々経営陣と、次世代経営幹部候補者として選出した18名の第二創業メンバーが結集しました。次は何に取組むべきなのかという議論を日々行いました。

アネスト岩田の持続的成長を実現するため、2035年に向けた売上高目標は1,000億円としました。創業からこれまでの99年で約540億円だったため、あと10年で倍にしなければいけないことになります。

非常にチャレンジングな数値ではありますが、しっかりとPDCAを回しうまくアウトプットしていけば、決して難しい数字ではないと思っています。ここについても経営陣と第二創業メンバーで、1,000億円を越える上での課題や対策を腹落ち共有させながら進めているところです。

現在、塗装ビジネスの市場規模が縮小している状況です。塗装に代わる技術がいろいろと出てきていることに加え、環境問題などにより塗装の需要が少なくなってきています。

その周辺ビジネスにおいても縮小していますが、当社グループは保守的な意識の蔓延により、新たにどこかの会社をM&Aしたり、新しい技術を生み出したりするといったことが大きく不足していたことが成長鈍化の要因と考えています。ここは我々にとって過去の大きな反省点です。

現在の認識としては、売上高1,000億円を達成するためには既存事業に匹敵する新規事業の創出が不可欠です。この新規事業については後ほどご説明しますが、まっさらな飛び地ではなく、陸がつながっている出島をイメージしてください。

コンプレッサや塗装機といった市場の周辺には、我々がまだ攻略できていないような市場も多々あります。このような部分も含めた上で新たな領域に挑戦していきます。

現有の開発リソースを新規事業などに振り分けると同時に、M&Aをインオーガニック戦略で獲得していく必要があります。したがって、今中期はM&Aが戦略の核となるであろうと考えています。

第一次中期経営計画の方針としては、本中期経営計画期間の取組みによって確実に橋頭保となる拠点をしっかりと築いていきます。また社員の熱量を高めて、意識改革や行動変容等を促していきます。

2-4-2. 第一次中期経営計画の全体像

第一次中期経営計画の全体像です。アネスト岩田の成長を継続させていくため、それぞれの領域においてしっかりと計画を立てて実践していこうと考えています。

事業戦略では、どこで売上を稼いでいくのか、どのような戦略を立てていくのか、そこでいくら稼いでいくのかなどを突き詰めつつ、このお金を使って資本政策やM&A、株主還元を行っていきます。

さらに、ESG戦略としてしっかりとガバナンスを効かせていきます。このような枠組みで中期経営計画を進めていきたいと思っています。

2-4-3. 第一次中期経営計画における経営指標

経営指標です。EPSをKGI指標に採用することで継続的な収益力向上を図るとともに、資本効率性を向上させ、今中計最終年度にはROE11パーセントの達成を目指します。

2028年3月期には、売上高620億円、営業利益61億7,000万円、営業利益率10パーセント、ROE11パーセント、EPS132円を目標としています。ここに経営指標を置き、先ほどご説明した取組みをしっかりと行っていきます。

2-5-1. 第一次中期経営計画における注力領域

新規事業を始めるからといって既存部分をそっちのけにするのではなく、しっかりと既存事業に軸足を置きつつ、新しい領域へもチャレンジしていきます。周辺領域から出島へのM&Aを含むインオーガニックでの新領域の創造、および海外の重点エリアを中心とした販路拡大を行っていきます。

スライド下部の図は、縦軸が市場・顧客、横軸が商品・ビジネスモデルですが、既存事業の延長線上にある「新しい消費・消費者の特定」「まったく新しい市場・ビジネス創出」「新しい商品・サービスによる競争ルールの変革」の部分が、先ほどお話しした出島の領域です。

社内では現在、経営陣と第二創業メンバーで、オーガニックで成長できる売上は1,000億円のうちどこまでなんだろうということを徹底的に議論しているところです。現状の結論としては、オーガニックでの売上の限界は700億円くらいと予想しています。

残りの約300億円を周辺領域と新規事業で取っていこうということです。スライド真ん中の薄い水色、およびその外側の紺色の部分で、その30パーセントを稼いでいくという取組みになっています。

2-5-2. 成長戦略・事業戦略目標の全体感

事業戦略目標の全体感です。

新規事業開拓は、アライアンスなど他社との共創を含め、M&A以外の手法で開発していきます。

中核となるのがM&Aの実施です。新規事業関係のM&A、既存事業のM&Aを、中期はしっかりとお金をかけて行っていきます。

一番下はオーガニックグロースです。エリアの拡大や新製品の派生モデル等の開発で、ここの部分はしっかり稼いでいきます。

2-5-3. 既存事業におけるPF構想と成長投資方針

既存事業におけるPF構想と成長投資方針です。

将来の成長を牽引する事業や、プロダクトの投資を強化していきます。スライドに、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの図を示しています。縦軸が市場成長性、横軸が事業収益性です。

現在、市場成長性があって事業収益性があるのが、オイルフリーコンプレッサ、真空ポンプです。我々は、成長牽引事業でオイルフリーという他社に負けない技術を持っているため、より収益が上がり、なおかつ他社にはできない新たなオイルフリースクロールコンプレッサなどを開発し、さらに事業を成長させていきます。

この中で1つ課題なのは、コーティング事業の中の塗装設備(コーティングシステム)です。このセグメントは、今までなかなか収益が稼げなかったため、その改善に向け新たに現在、取組みを始めたところです。

コーティングシステムは、どちらかというと塗装の設備になるため、他社との差別化が非常に難しいのが実情です。

塗装ラインはパネルで組まれていて、中にロボットが入っていたり、コンベアが入っていたりするのですが、非常に差別化が難しくなっています。どこと競合になるかというと、地元の設備会社などと競合になります。価格勝負となった時に、我々の価格がなかなか合わず、収益性が下がります。これが、今のコーティングシステムの現状です。

収益性を改善するために中身を改善するのは当然のことなのですが、新たに製品開発も進めています。現在、キュービックラインといって、機能ごとに区切った小さな設備を組み合わせていくような製品の開発を進めており、展示会等でも発表しているところです。

これがうまくいけば、コーティングシステムに関しては、スライドの右上部分に持っていくことができるため、今取り組んでいるところです。

2-5-4. 事業環境の理解と取組み方針

事業環境の理解と取組み方針です。

エアエナジー事業、コーティング事業ともに、グローバル経済に対応した現地戦略、M&Aを含めた技術力の獲得などにより、事業環境の変化に対応していきます。スライド右側に、第一次中期経営計画における取組み方針を記載しています。こちらはご確認いただければと思います。

2-5-5. 成長戦略:エアエナジー事業

エアエナジー事業で、具体的にどのようなことを行っていくのかのご説明です。

現状337億円の売上を、中期経営計画の最終年度には377億円まで持っていきます。スライドの真ん中に記載されている青い文字の部分、「環境配慮を追求した新商品創出」を伸ばしていきます。

コンプレッサは、ガソリンを使わずに走る低燃費の車と一緒で、電気を使わずに大空気量を出すものが求められます。お客さまは、電気をあまり使わずに大空気量を出してくれるコンプレッサを求めます。大空気量を出すことで工場のラインが動き出す、そんなコンプレッサを求めています。

したがって、そこがコンプレッサメーカーの宿命となります。とにかく省エネで電気代がかからず、大空気量を出すものが求められます。これは、モーターの能力も当然ですが、圧縮機の構造も大きく問われますので、現在、徹底した開発投資を行っています。

また、成長市場であるインドは、我々がこれから徹底的に力を入れていくところです。インドに対しては、まだ行うことが多々あるため、まずはマーケティングを強化した上で、しっかりと取り組んでいきます。この部分の売上目標はプラス15億円と、一番大きなボリュームゾーンとなっています。

2-5-6. 成長戦略:コーティング事業

コーティング事業の成長戦略です。

現在207億円の売上を、243億円まで持っていきます。一番のボリュームゾーンは、下から2番目に青い文字で記載した「研究機関・技術ベンチャーと機能性液剤塗布技術の確立」というところです。

先ほどもお話ししましたが、我々は塗装機メーカーです。ただし、我々には過去の反省があります。

みなさまのご自宅の、シャワーを浴びる時のシャワーヘッドですが、おそらくシャワーヘッドだけ取り替えていませんか? シャワーヘッドを替えることによって、霧が細かくなってインクが取れる、といったテレビCMが流れていますが、これは我々の霧化技術からいくと、簡単にできてしまいます。

ところが、我々自身に、そのような市場があるからチャレンジしなければいけないという文化があったかというと、まったくなかったわけです。

そのような霧を求めている市場は、まだ多々あります。しっかりと視座を高めた上で、塗装機だけではなく、新たな市場に対してチャレンジを行っていきます。

我々には、既存事業をしっかりと行っていけばよいという、99年間の堅い風土がありました。ただ、今後はそれだけでは消えていってしまうため、新たなチャレンジをしていくところです。

コーティング事業は、このような取組みに注力していくことで15億円を稼いでいきます。具体的なことはまだお話しできませんが、さまざまなことを進めている状況です。

2-5-7. エリア別の売上計画

エリア別の売上計画です。市場の成長率を見つつどこのエリアに力を入れていくのかといった時には、「その他」に含まれるインドになります。インドに注力して投資を行っていきます。

「その他」についてはスライド下部に書いていますが、インド、韓国、ASEAN、オーストラリア、南アフリカにおける事業活動の合計を、「その他」と呼んでいます。

2- 6-1. KPI指標と実現方針

「M&A推進強化」に沿う・阻害しない・支える資本政策に基づき、意欲的な成長投資と適切な株主還元を両立します。

投資方針としては、保有現預金、営業キャッシュフローなどを原資に、260億円以上の投資を実行します。内訳としては、設備投資に80億円、M&Aなどの成長投資に180億円以上で、260億円以上の投資を行います。

株主還元方針としては、今中計期間のDOEを7.0パーセントから7.5パーセントに設定します。また、今中計期間において30億円から35億円規模の自己株式取得を実施します。

ROE達成目標は11.0パーセントに設定し、そこを目指します。

2- 6-2. キャッシュアロケーション

キャッシュロケーションの内訳です。スライドに示してある内訳で推進していきます。こちらはご確認いただければと思います。

2- 6-3. 株主還元方針

今中計期間中のDOEは7.0パーセントから7.5パーセントを目安にし、累進的に増配します。自己株式取得は、総額30億円から35億円規模を実施します。

2- 7-1. 取締役会構成と保有スキル

取締役会構成と保有スキルです。

経営方針に則り、新たに取締役に求めるスキル項目を更新しました。新規事業開発・M&Aについては、先ほどから核となるとご説明していますが、このスキルを入れて、あえて取締役会の中の取締役それぞれのスキルアップおよび実効性の向上を図っていきます。

現在、独立社外取締役の構成比は56パーセント、女性取締役の構成比は22パーセントとなっています。

2- 7-2. コーポレートガバナンスの強化方針

コーポレートガバナンスの強化方針です。

取締役会のあり方、運営の改善を今後検討していきます。適切な取締役会の構成では、意思決定の促進を目的に、執行と監督の適切な分離を行います。

実効性向上のため、取締役会議題の選別を行います。中長期的な戦略事業の深化などは、中期経営計画のPDCAが回るように、取締役会でしっかりと議論をしていくところです。

取締役による貢献の強化策の検討として、取締役報酬体系の見直し、取締役評価方法の見直し、取締役および取締役候補者に対する研修プログラムの導入を行います。取締役が株主のみなさまのために、より貢献していけるようしっかりと見直し、仕組みを作り上げていきます。

2- 7-3. グローバルガバナンスの強化方針

グローバルガバナンスの強化方針です。

以前よりグローバルでの課題の1つとなっていましたが、海外の売上が現在約70パーセントとなっている中で、よりガバナンスを効かせていかなければいけないと思っています。例えば移転価格の問題など、さまざまな問題が出てきます。今後は本社機能がヘッドクォーターとなり、しっかりと管理を行っていきます。

今回は、経理・財務機能の強化を目的に、まず欧州に管理者を配置しました。

また、すでに経営会議の中でも議論されている内容なのですが、グローバルでのデータの統合について、ERPシステムをどうするのか、我々にとって何が一番ベストなのかという検討を進めています。今中期の中でまとめていきたいと考えています。

2- 7-4. その他ESGに関する取組み

その他ESGに関する取組みです。スライドの、E・S・Gにそれぞれ記載しています。

その中でも一番やらなければいけないことは、人的資本経営の推進です。経営資源のヒト・モノ・カネ・情報の中で、ヒトは、もう待ったなしの状態になっています。ヒトがいなければモノも作れないため、ここに対して徹底的に投資を行い、なおかつ我々にとっての戦略人事は何なのかも考えながら取り組んでいきます。

2-8-1. <Appendix>組織図

組織体制についてご説明します。

組織はこれまでと大きく変わってはいないのですが、1つ大きく変わったのは経営企画部です。経営企画は、我々にとって大きく不足していた機能ですので、今回機能を強化することで、経営企画がヘッドクォーターの役割を持って統括していきます。

また、中期経営計画が始まり、現在7つのプロジェクトを立ち上げていますが、第二創業メンバーを集結させた上で、管理進捗を行っていきます。ここが大きく機能しなければ、先ほどご説明した内容もうまくいかないため、しっかりと組織として構築していきたいと考えています。

以上、駆け足になりましたが、2025年3月期の決算説明と、2025年4月からスタートした中期経営計画のご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:業績予想の売上高成長率について

司会者:「業績予想について質問させてください。中期経営計画で提示されている売上高目標を見ていると、おおよそ売上高成長率がCAGR4.5パーセント程度になっています。過去5年では7パーセントから8パーセント程度の成長率を見せていましたが、保守的に算定している背景にはどのような事情があるのでしょうか?」というご質問です。

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