AGENDA
鳥越慎二氏(以下、鳥越):株式会社アドバンテッジリスクマネジメント、代表取締役社長の鳥越です。本日は、当社の2025年3月期通期決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。
簡単に会社概要に触れた上で、2025年3月期全社業績についてご説明します。その後、事業別の状況をご説明し、2026年3月期のガイダンスについてお話しします。よろしくお願いします。
コーポレートメッセージ・企業理念
会社概要です。当社は「企業に未来基準の元気を!」をテーマとして、元気に働ける従業員を生み出し、生産性やロイヤリティの向上を通じて、企業価値の向上につなげることを目指しています。会社にとっても、従業員にとっても、Win-Winの関係を実現させようというのが当社の姿勢です。
当社の事業を通じて目指すこと
従業員が心と体、および社会的に満たされている状態、つまりウェルビーイングでいられる環境が整っていれば、会社にとどまりたいと思ったり、入社したいという気持ちにつながります。これは人材戦略上、非常に重要だと考えています。
また、生産性の向上または低下を防ぐという意味でも、ウェルビーイングは企業側に大きなメリットをもたらします。当社は、このような好循環を生み出していきたいと考えています。
沿革-1995年の創業から30周年
当社は、今年で創業30年になります。おかげさまで、売上高はほぼ毎年成長しています。利益についても、投資等でいったん落ち込みましたが、2025年3月期は過去最高益を達成しました。
会社概要 | 導入実績
当社のサービスは、健康経営を目指す多くの企業にご利用いただいています。スライドでご紹介している企業だけでなく、健康経営銘柄「ホワイト500」の約3割が、当社のソリューションを導入されています。
2025年3月期 全社業績 | 実績 サマリー
全社業績です。売上高はYoY22パーセント増の、85億5,400万円となりました。各事業でおおむね堅調に推移し、計画どおりとなっています。昨年度、Mediplat社とフィッツプラス社を買収したため、この2社の半期分の売上が貢献した数字となっています。
営業利益はYoY40.9パーセント増の、10億2,200万円となりました。事業の成長に伴って、人件費やシステム費等が増加したものの、以前より増加率が緩やかになり、収益性が改善されました。先ほどお話しした2社の収益も含まれています。
純利益はYoY47.2パーセント増の、7億4,400万円となりました。2025年3月期は、以前買収したResily社の減損を計上しましたが、吸収合併により同社の持っていた税効果を取り込んでいるため、ほぼ行って来いという結果になっています。
2025年3月期 全社業績 | 業績推移
営業利益率も12.0パーセントまで改善しています。
2025年3月期 全社業績 | 売上高推移
全社業績の売上高推移です。ストック収益は、新規の子会社分も含め、YoY32.7パーセント増と順調に推移しています。保険手数料もストック収益となり、YoY3.9パーセント増です。
フロー型収益は、メンタリティマネジメント事業のソリューション売上が好調で、YoY13.5パーセント増加と順調に成長しています。
2025年3月期 決算概況 | 当社サービスの利用者数の推移
利用者数の推移です。新しく買収した2社を加えると、600万人を超えるところまで伸びてきました。
2025年3月期 全社業績 | 新規顧客の総合提案、既存顧客へのクロスセルの状況
スライドは、契約企業社数、当社のサービスを複数ご利用いただいている企業のクロスセル率、顧客あたりの売上高を示しています。契約企業数はYoY2.2パーセント増ですが、複数利用の契約会社数はYoY約7パーセント増、クロスセル率もYoY1ポイント増加するなど順調に推移しています。
2025年3月期 全社業績 | 四半期別の売上高・営業利益推移
四半期別の売上です。第3四半期、第4四半期に子会社の売上と利益が乗っています。
2025年3月期 全社業績 | コスト推移
コスト推移です。スライドの棒グラフがコストの内訳、折れ線グラフが対売上比です。子会社が加わったこともあり、金額は当然増えていますが、対売上比はこの数年間ずっと下がっています。
コストの増加には、人件費とシステム費が関係していますが、競争力を維持するため、今後も引き続き投資していきます。
2025年3月期 全社業績 | システム投資
システム投資です。スライドの棒グラフのシステム投資額は、7億7,200万円となりました。折れ線グラフのソフトウェア償却費が増えていますが、システム投資額が2年前をピークに落ち着いたため、今後の伸びは緩やかになっていくと考えています。
2025年3月期 全社業績 | 連結貸借対照表・キャッシュフロー計算書
連結貸借対照表・キャッシュフロー計算書です。昨年は買収等があったため、借入を行っています。その結果、少し負債が発生していますが、健全性に影響はないと判断しています。
事業別の状況 | サマリー
事業別の状況です。サマリーとして、各事業部の状況と計画比をまとめています。
両立支援事業については、曇りのち晴れと評価しました。売上は好調に伸びましたが、当初想定していた契約開始時期が後ろ倒しになったこともあり、計画に比べるとややビハインドという状況です。その他の事業は、年初に立てた計画どおりに進捗しています。
事業別の状況 | メンタリティマネジメント事業
メンタリティマネジメント事業の状況です。売上高はYoY7.2パーセント増の43億6,000万円で着地しました。セグメント利益はYoY36パーセント増の9億300万円となり、大幅に収益が改善しました。セグメント利益率は、約16パーセントから約20パーセントへ改善しています。
メンタリティマネジメント事業の大部分を占めるストレスチェックサービス「アドバンテッジ タフネス」は、固定的にシステム費用がかかります。その他のソリューションでもコストが発生しますが、業務改善プロジェクトなどにも取り組んだ結果、利益率が改善されました。
事業別の状況 | メンタリティマネジメント事業 ストック収益の推移
ストック収益は、YoY5.4パーセント増の31億700万円で着地しました。こちらは価格改定による値上げ効果も含まれています。
事業別の状況 | メンタリティマネジメント事業 ソリューション売上
ソリューション売上について、スライド左側に四半期別の売上高推移、右側にYoYをお示ししています。YoY15.8パーセント増と、近年に比べると著しく成長率が高かったと言えます。
事業別の状況 | メンタリティマネジメント事業 ソリューション売上
当社のソリューションには、研修・コンサルティング、EQ研修などがありますが、ストレスチェックを行った後、ストレスやエンゲージメントの課題を洗い出し、その施策を打つところまで進んできたという手応えがあります。
ストレスチェックの義務化から10年近くが経っており、企業側で、測るだけでなく実際に改善していこうという機運が高まっています。
加えて、ストレスチェックを管掌する厚生労働省においても、労働安全衛生法の改正があり、ストレスチェック実施後の集団分析や、職場環境の改善について言及されました。そのような意味でも、手応えを得られる1年だったと思います。
大手企業への当社サービス導入状況
当社のサービス導入状況です。当社はこれまで、ストレスチェックを導入いただいた後に、ソリューションを実施するお客さまが大半でした。しかし近年、最初にソリューションをご利用いただくケースが増えています。
このように、ソリューションをご利用いただいた上で、よりきちんとしたデータ分析に基づいた効果検証のために、ストレスチェックをご提案するという売り方もできると考えています。
大手企業への当社サービス導入状況
第3四半期までに、大手企業への導入が進みました。第4四半期においても、オリンパスさまに導入いただくなど、当社のサービスをご利用される企業が増えています。
効果検証まで伴走する「サーベイ付き研修プログラム」の導入状況
当社のサーベイ付き研修プログラムについてご説明します。先ほど述べたとおり、今後は、ストレスやエンゲージメントの課題を改善する手を打った時、実際に効果があったのかどうかを検証する必要があります。
年1回のストレスチェック、エンゲージメントチェックだと冗長になるため、より短いサイクルで、質問数も少なく、マンスリーで測れる「パルスサーベイ」を本格展開しました。「パルスサーベイ」とソリューションをセットにし、実際に改善策を実行しながら、数値がどのように変わったのかが把握できるようになります。
今後は、各ソリューションがどの程度効果があるのかというデータを蓄積し、みなさまにもお示ししていきたいと考えています。
カオナビ社と販売代理店契約を締結
カオナビ社と販売代理契約を相互締結しています。どちらも企業人事向けサービスであり、双方にとってメリットがあるため、今回の提携にいたりました。当社でもすでに紹介を進めており、契約も開始しつつある状況です。
健康経営支援コンサルティングを受けた全企業が「健康経営優良法人2025」の認定取得
当社が健康経営コンサルティングを行った全企業が、「健康経営優良法人2025」の認定を取得するなど、大変評価をしていただいています。
事業別の状況 健康経営事業
健康経営事業の状況です。Mediplat社とフィッツプラス社は、それぞれ産業医・保健師の紹介および特定保健指導という、健康経営事業と重なる事業を展開しています。そのため、2社の数字は健康経営事業に含めています。
売上高はYoY111.4パーセント増の21億4,000万円、セグメント利益もジャンプアップして1億7,200万円、利益率も8.1パーセントに改善しています。
健康経営事業は、当社で独自に立ち上げ、この数年間で展開してきました。成長してはいるものの、クリティカルマスまで到達していないこともあり、規模の経済をなかなか活かせない状況でした。
今回の買収を機に2社を合わせると、売上高は20億円を超えています。今後、業務改善なども含め、規模の経済を活かせる運営ができると考えています。
事業別の状況 | 健康経営事業 売上高推移
産業医・保健師サービスは、Mediplat社が加わり、売上高がYoY約77パーセント増の12億4,200万円となりました。健診管理サービスは、従来どおり当社が行っていますが、こちらにMediplat社が追加され、売上高はYoY17.5パーセント増の3億4,900万円となっています。
特定保健指導は、従来は非常に小さな数字でしたが、フィッツプラス社が加わったことで大幅にジャンプし、売上高5億6,600万円規模の事業にまで成長しました。
M&Aによる健康経営事業の拡大
今後、2社の買収を戦略的に活かすシナジーの実現として、売上面の増加、それぞれの顧客へのクロスセルに向けた取り組みを推進します。また、スケールメリットを活かしたコスト削減の実現を目指します。
また、Mediplat社、フィッツプラス社ともに、産業医の先生向けおよび特定保健指導会社向けのシステムを保有しています。そのようなシステムと、当社の持つシステムを融合できないかという観点で、新しいサービスも検討していきます。
エヌ・エイ・シー・ケア社と業務提携契約を締結
健康診断システムについては、昨年度、新たにエヌ・エイ・シー・ケア社と業務提携を締結しました。これまで、ウェルネス・コミュニケーションズ社、バリューHR社と提携していましたが、エヌ・エイ・シー・ケア社の商品が増えたことで、よりお客さまのニーズに応えるご提案ができる体制になったと考えています。
事業別の状況 | LTD事業
LTD事業の状況です。売上高はYoY5.6パーセント増の13億7,700万円、セグメント利益はYoY4.5パーセント増の5億1,600万円と、堅調に推移しています。
事業別の状況 | LTD事業(業績推移)
既存契約が好調でした。就業障がい者支援事業のサービスは賃金と連動している部分がありますので、賃上げ効果もあり既存の伸びが比較的大きくなりました。
事業別の状況 | 両立支援事業
両立支援事業の状況です。休職者・復職者の管理システム「ADVANTAGE HARMONY」を販売している事業部です。売上高はYoY26.2パーセント増の3億4,900万円と、順調に伸びています。セグメント利益はマイナス1,300万円と赤字でしたが、ほぼトントンまで改善してきています。
セグメント利益は、2025年3月期の売上加速を意図してシニアの営業メンバーを加えたことや、システムを継続的にアップデートしていること、売上高が伸びて全社費用の配分が増えたことで、売上に比べて利益改善の幅が少なくなっています。
システム投資はすでに一段落していますので、来期以降は、大幅な利益改善を期待できると考えています。
事業別の状況 | 両立支援事業(売上高の推移)
売上高の推移です。売上高も契約社数も順調に伸びましたが、ニーズの高さを踏まえると、もう少し成長速度を上げなくてはなりません。実際、ご興味はたくさんいただいているのですが、契約の後ろ倒しが発生しています。今年も引き続き、契約をなるべく前倒しできるように進めていくことで、売上の成長を加速させたいと考えています。
休業者管理のための総合プログラム「ADVANTAGE HARMONY」のプランを拡充
「ADVANTAGE HARMONY」にLiteプランを追加しました。「ADVANTAGE HARMONY」は、各社の休職規定、復職規定に合わせてカスタマイズする機能を提供していますが、中堅クラス以下のお客さまですと、システムに合わせて休職・復職規定を作れる場合があります。
そのような中堅クラス以下の企業のニーズの高まりを見据え、Liteプランの提供を開始しました。カスタマイズの必要がないというだけで導入も早く、コストも安い「ADVANTAGE HARMONY」の簡易版というかたちで「ADVANTAGE HARMONY Lite」を販売しています。
事業別の状況 | リスクファイナンシング事業
リスクファイナンシング事業の状況です。買収で取得したアメリカンファミリー社のがん保険を中心とする事業で、毎年漸減していますが、2025年3月期に関しては、EB(Employee Benefits)という職域販売にも手を広げていきます。
我々は、これまでLTDという特殊な職域販売における専門家として展開してきました。今後は、LTDを含むすべての職域販売を一貫して販売していく方向に、業態として進んでいくのではと考えています。それに備えて、LTDで強みを継続しながらも、すべての職域販売を売れるようなEmployee Benefits事業の立ち上げを昨年来進めています。Employee Benefits事業への投資を含めているため、例年に比べると、セグメント利益は少し減っています。
2026年3月期 ガイダンス | 業績予想
2026年3月期の業績予想です。売上高は、フィッツプラス社、Mediplat社の売上が追加されます。LTD事業については、大型契約の落ちがすでに1件決まっており、その影響から、来年はいったん成長が鈍化すると予測しています。
ただし、すべてを勘案した上で、売上高はYoY16パーセント増の99億2,500万円と予測しています。コスト面は、新しい事業のための投資を考えています。そのようなコストを含めると、営業利益はYoY11.5パーセント増の11億4,000万円と予測しています。
2026年3月期 ガイダンス | 株主還元
株主還元についてです。配当は、連結配当性向35パーセント以上を念頭に、安定的・継続的な配当を実施することを基本方針としています。2025年3月期については当該方針に基づき、中間で修正していた15円から1円積み増し、16円配当というかたちに修正しています。2026年3月期に関しては、17円で配当したいと思っています。
以上、業績についてご説明しました。
質疑応答:今後のM&A戦略について
質問者:中期経営計画の中で、今後も積極的にM&A案件を模索するのか、どのようなセグメントや事業の優先順位が高いのか教えてください。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。