(1)事業環境の振り返り

小林郁見氏(以下、小林):みなさま、こんにちは。2025年4月1日付で株式会社ユアテック取締役社長社長執行役員に就任した小林です。本日はお忙しい中、2025年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。さっそくですが、これより資料に沿ってご説明します。どうぞよろしくお願いします。

はじめに、2025年3月期決算概要です。まず、2025年3月期の事業環境を振り返ります。建設市場においては、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資は堅調な企業収益などを背景に持ち直しの動きが見られました。

建設コストは人件費、資材費の高騰に伴い上昇する一方、コスト上昇分が適正に工事価格へ反映されています。東北地方においては、大型風力発電所の建設計画が進み、受注競争は激化している状況にあります。

電力市場においては、カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーの導入拡大に伴う基幹送電網の増強・整備工事が進行しています。また、電力の安定供給やレジリエンス強化に向けた送配電設備の計画的な更新工事などが底堅く推移しました。

(2)決算ハイライト[連結]

連結決算のハイライトです。売上高は、当社および海外子会社において大型工事が順調に進捗したことなどにより、増収となりました。利益については、売上高の増加および工事採算性の向上により、各利益とも増益となりました。

(3)売上高の増減要因[連結]

売上高の前期比の増減内訳です。空調管工事は前年同期に大型工事の売上が集中したことなどによる反動減となった一方、海外工事において、手持工事が順調に進捗したことなどにより、140億3,200万円の増加となりました。

(4)営業利益の増減要因[連結]

営業利益の前期比の増減内訳です。主に個別の売上総利益が増加したことなどに伴い、56億6,100万円の増加となりました。

(5)地域別売上高の推移[連結]

地域別売上高の推移です。「東北地方および新潟県」は、高経年化設備対策工事などが順調に進捗したことから、前期比で119億1,200万円の増加となりました。「東北、新潟以外」は、前年度に複数の大型物件が竣工したことによる反動減で、前期比52億8,000万円の減少となりました。

「海外」は、ベトナム事業において大型の複合ビルや工場、インフラ設備工事などが順調に進捗したことから、前期比で74億円の増加となりました。

(6)決算ハイライト[個別]

個別決算のハイライトです。売上高については、配電線工事や土木建築工事が増加したことなどにより、66億6,000万円の増加となりました。利益については、売上高の増加に加え、人件費や外注費などのコスト上昇分が適正に工事価格へ反映されるよう努めたことや、原価管理の徹底による工事採算性の向上により、各利益とも増加しました。

また、手持工事についても高水準で推移しています。

(7)工事別受注工事高の推移[個別]

工事別受注工事高の推移です。屋内配線工事は、前年度に大型工場などを受注したことにより、反動減となりました。配電線工事は、高経年化設備対策工事などの受注増加により、前期比で87億4,800万円の増加となりました。また、発変電、土木建築工事においては、前年度に大型風力関連工事を受注したことにより、いずれも反動減となりました。

(8)工事別売上高の推移[個別]

工事別売上高の推移です。空調管設備工事は、前年度に大型の工場や商業施設が進捗したことなどにより、反動減となりました。配電線工事は高経年化設備対策工事などが順調に進捗したことにより、前期比で増加となりました。また、発変電、土木建築工事は、主に土木建築工事において地中埋設管路工事などが順調に進捗したことから、前期比で増加となりました。

(9)工事別手持工事高の推移[個別]

工事別の手持工事高の推移です。前期比で減少している部門もありますが、高水準で推移しています。

(10)得意先別受注工事高の推移[個別]

得意先別受注工事高の推移です。ここでは、民間企業や官公庁向けの一般得意先と東北電力グループ向けに分けて、受注工事高を記載しています。一般得意先については、前期比で減少していますが、大型物件の発注遅れによるもので、今期に受注が見込まれています。

(11)得意先別売上高の推移[個別]

得意先別の売上高推移です。一般得意先については、空調管工事が減少したことなどにより、前期比で減少しました。

東北電力グループについては、配電線工事や土木建築工事が増加したことなどにより、前期比で増加しています。

(12)受注工事高・売上高のうち主な物件

受注工事高・売上高のうち、主な施工物件を記載しています。商業施設や工場、再生可能エネルギー関連工事など大型物件を中心に施工しています。

(13)連結貸借対照表

連結貸借対照表です。資産合計は2,335億5,400万円となり、前期比で20億7,500万円増加しました。

(14)連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書です。現金および現金同等物の当期残高は22億8,200万円増加し、476億8,800万円となりました。

(1)2026年3月期 通期業績予想

業績の予想および推移をご説明します。2026年3月期の通期連結業績予想です。中期経営計画に基づく5つの基本戦略、主要施策のもと、グループ一丸となって増収増益を目指していきます。

(2)業績の推移および予想[連結]

19ページから24ページにかけて、連結個別の業績推移および予想と、工事別の予想を記載しているため適宜ご覧いただければと思います。このページは、連結の業績の推移および予想です。

(3)業績の推移および予想[個別]

個別の業績の推移および予想です。

(4)工事別売上高の推移および予想[個別]

個別の工事別売上高の推移および予想です。

(5)工事別受注工事高 予想[個別]

個別の工事別受注工事高の予想です。

(6)工事別売上高 予想[個別]

スライド23ページについて補足します。個別の工事別売上高予想です。前期比で空調管工事については約2割、情報通信工事については約3割の増加を見込んでいます。空調管工事については、複数の大型物件の竣工が計画されていることに加え、大型の商業施設などの進捗が見込まれていることから、増加の見通しとなっています。

情報通信工事については、データセンターや官公庁物件の取り組みに加え、屋内配線および空調管工事に付帯する情報通信工事の受注強化にも取り組んでいることから、増加の見通しとなっています。

(1)配当金の推移

株主還元についてご説明します。配当金の推移です。2025年3月期の期末配当金については、1株あたり45円とします。これにより、先に実施した中間配当金23円と合わせ1株あたりの年間配当金は68円、配当性向は40パーセントとなります。なお、2026年3月期の配当金については、現時点での業績予想に基づき、年間配当金は1株あたり72円とさせていただく予定です。

(2)自己株式の取得

自己株式の取得です。安定的な配当に加え、自己株式の取得により、株主還元の強化に取り組むこととしており、2024年11月1日付で300万株あまりを約45億円にて取得し、その後、全取得株式の消却を完了しました。これに伴い、東北電力は親会社に該当しなくなりました。

今後も中期経営計画期間中の自己株式取得を予定しており、東北電力だけでなく、一般市場からの取得も検討していきます。

(参考)株価の推移

直近1年の株価推移です。好調な業績に加え、1月の増配公表などを背景に、日経平均株価を上回る上昇率となっています。今後も持続的に利益を伸ばし、資本効率を高めることによって、企業価値の向上に努めていきます。

(1)中期経営計画(数値目標)の進捗状況

2024年度をスタートとする5ヶ年の中期経営計画についてご説明します。当社は2024年3月に中期経営計画を公表しています。このたび、中期経営計画の数値目標である営業利益およびROEを達成したことから、数値目標の見直しを検討しています。

引き続き収益拡大に向け、既存事業のさらなる深化と成長分野への取り組みを加速していきます。

(2)収益性の向上

収益性の向上については、こちらの事業ポートフォリオに基づき、既存事業の深化と成長分野への取り組みを加速させていきます。

(2)収益性の向上

収益性の向上に向けた事業分野に関する考え方を示しています。具体的には、創業以来の事業エリアである東北・新潟での事業のさらなる深化を前提として、「東北・新潟以外」、「海外事業」、「再エネ関連工事」、「リニューアル工事」の4事業を重点事業として設定しています。

これらの重点事業は、当社事業との親和性が高く、いずれも高い成長が見込まれる分野です。各事業の詳細については、後ほどあらためてご紹介します。

(3)経営資源の適切な配分

経営資源の適切な配分に向けた施策です。当社は、企業価値向上に向けた経営資源の配分、いわゆるキャピタルアロケーションを策定しています。効果的な成長投資と株主還元を両立した経営資源の適切な配分により、企業価値の向上に努めていきます。

(4)東北・新潟以外(関東圏他)

収益性の向上に向けた4つの重点事業についてご紹介します。1つ目は、「東北・新潟以外」です。2024年度の売上実績179億円に対し、2028年度は264億円の売上を計画しています。

本計画の達成に向け、屋内配線・空調管・情報通信工事については、建設需要が旺盛な関東圏を中心に、成長市場に強みを持つお客さまへの営業や体制強化を継続しつつ、その他エリアへの進出も検討していきます。また、成長分野であるデータセンターや地域熱供給工事の受注拡大に取り組んでいきます。

(参考)東北・新潟以外における近年の主な施工実績

スライドには、関東圏における近年の主な施工実績を掲載しています。参考までにご覧ください。

(5)海外事業

2つ目の重点事業は「海外事業」です。2024年度の売上実績172億円に対し、2028年度は291億円の売上を計画しています。本計画の達成に向け、コロナ禍からの建設需要が回復傾向にあるベトナムにおいては、シグマ社を中心に大型ホテルや複合ビルにおける屋内配線・空調管工事、洋上風力をはじめとする再エネ関連工事の受注拡大に取り組んでいます。

また、東南アジアやアフリカなどにおけるODA案件へも積極的に取り組んでおり、現在、スリランカでの送電、ケニアでの配電設備の整備工事を受注・施工しているところです。引き続き、社会インフラ整備事業を通じたODA案件の受注拡大に取り組んでいきます。

(参考)海外における近年の主な施工実績

スライドには、海外における近年の主な施工実績を掲載しています。こちらも参考までにご覧ください。

(6)再エネ関連工事

3つ目の重点事業は「再エネ関連工事」です。2024年度の売上実績109億円に対し、2028年度は277億円の売上を計画しています。2050年のカーボンニュートラルに向け、東北各地で洋上風力を中心に、大型風力発電の建設が計画されています。材料費高騰や、2023年5月に施行された盛土規制法への対応などによる着工延期の影響などを受け、2025年度の売上計画は落ち込むものの、将来案件の調査・設計依頼は依然として活発です。

本計画の達成に向け、2023年7月に再生可能エネルギー事業本部を設置し、機動力を持って対応できるよう体制強化を図っています。

また、再生可能エネルギーの天候や時間帯により発電が安定しないといった課題を踏まえ、今後、蓄電池導入の流れが加速すると想定されますので、当社としても、関連工事への参入を目指していきます。

(6)再エネ関連工事(洋上風力発電の導入)

国では、東北エリアを風力発電の適地と示しており、2040年までに大型発電所6基から9基分に相当する約590万キロワットから900万キロワットの発電量を目標に掲げています。

当社は、変電所の工事から電線ケーブルの敷設まで、総合設備エンジニアリング企業としての多岐にわたる工事施工はもとより、送電ルートの確保など立地点の土地勘があることや、地元業者との日常的なお付き合いも多いことから円滑に工事を進めることが可能です。このことは、地元企業としての強みであると考えています。

(6)再エネ関連工事(基幹送電網整備)

事業基盤である東北では、カーボンニュートラルを見据え、再生可能エネルギーの大量導入に必要となる送電網の増強に伴う大規模な設備投資が計画されており、東北地内では約6,500億円、東北・東京間では約2,000億円の投資が必要と試算されています。

当社としても複数の工事を受注しており、この計画における直近の想定売上高は約100億円規模になるものと見込んでおり、今後もさらなる受注拡大を目指していきます。

(7)リニューアル工事

4つ目の重点事業は、リニューアル工事です。2024年度の売上実績355億円に対し、2028年度は423億円の売上を計画しています。本計画の達成に向け、当社はリニューアル営業の特性を踏まえ、過去の工事実績を基に建物を時間軸で管理できるデータベースを整備しており、お客さまにとって適切な時期、適切な設備への提案を強化し、受注拡大を図っていきます。

また、全国的に、バブル期前後に建てられたオフィスビルなどが改修期を迎えており、建て替えや改装の需要が増加している状況となっています。この機会を逃すことなく、リニューアル工事の受注拡大を図っていきます。

(8)DXの推進による収益拡大

4つの重点事業に加え、経営基盤強化に向けた施策にも注力しています。まずはDXに関する施策です。デジタル技術の活用による現場業務の効率化、経理業務や契約業務のデジタル化、学習管理システム導入などの継続的なDXの推進により、競争力強化を図り、収益拡大につなげていきます。

(9)人財戦略

人的資本の充実に向けた施策です。当社の価値創造の源泉は人財であり、「2030ビジョン」および「中期経営計画」の達成に向け、多様な人財が活躍できる仕組みづくりと、すべての社員が積極的に挑戦し続け、夢と誇りを持ち、安心して働くことができる環境整備が大切であると考えています。

この考えに基づき、当社では2024年10月に「ユアテック人財戦略」を策定し、主要施策として、「人財確保」「人財育成」「労働環境」および「エンゲージメント」の4つのテーマを設定し、各種検討、施策展開を進めています。

(9)人財戦略

人財確保に向けた具体的な取り組みです。奨学金代理返還支援制度の導入により、募集要件の改善に努めるとともに、当社を退職した方を再度受け入れるジョブリターン制度の利用条件を大幅に緩和するなど、人財確保に向けた各種制度を整備しています。

今年度より、定年の年齢を60歳から65歳に引き上げるとともに、65歳以降、最長で70歳まで働くことを可能とする新たな再雇用制度を導入し、シニア層活躍の環境を整えました。

建設業における働き手不足の解消に向け、4月1日より新たに施工体制強化委員会を設置しました。各種施策を立案、実施するなど、課題解決に向け積極的に取り組んでいきます。

(10)人財育成

人財育成に関する施策です。当社は、技術継承の拠点として、宮城県富谷市に300人規模の研修施設「人財育成センター」を構え、技術の高度化、専門化などに対応できる人財育成や能力開発に取り組んでいます。

加えて、2015年に「安全啓発センター」を開設し、作業現場で直面する危険を疑似体験できる設備を用いて、グループ会社や協力会社を含む全従業員に危険への感受性を高める教育を行っています。

若年層の育成による技術の底上げや、お客さま満足度の向上、安全文化の定着を目指した教育を充実強化し、ユアテックブランドである安全、品質、信頼にさらなる磨きをかけていきます。

(11)サステナビリティへの取り組み

サステナビリティへの取り組みです。当社グループは、サステナビリティの推進を優先的に取り組むべき経営上の重要課題と位置づけています。ユアテックグループサステナビリティ方針のもと、事業を通じて地域や社会が直面する課題の解決に努め、未来世代にわたるステークホルダーと共に、社会の持続的発展と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。

(1)「ユアテック統合報告書 2024」を発行

当社は2024年11月に「ユアテック統合報告書2024」を発行しました。今回の統合報告書では、「2030ビジョン」策定の背景、中期経営計画における戦略テーマなどをご紹介しています。また、財務戦略、人財戦略、マテリアリティ、経営層と若手社員による座談会の様子なども掲載しています。見どころも、4分程度にまとめた紹介動画とともに当社Webサイトに掲載していますので、ぜひご覧ください。

(2)新テレビCMを制作

当社はおかげさまで2024年10月に創立80周年を迎えました。この節目に合わせ、7年ぶりにCMを制作しました。

「2030ビジョン」の実現に向け、「企業ブランド力および知名度向上」、「リクルート効果向上」、「従業員のエンゲージメント向上」を意識したつくりになっています。若手を中心としたプロジェクトチームを発足させ、チームの若い感性にすべてを任せました。

それでは、実際のCMをご覧ください。

CM特設サイトはこちら

ご視聴ありがとうございました。次のスライド以降は、当社の基本情報などを掲載していますので、参考までにご覧ください。

(3)基本情報

当社の基本情報です。

(4)営業エリア

当社の営業エリアです。

(5)事業展開

当社の事業展開です。

(6)一般得意先工事

一般得意先の工事です。

(7)東北電力グループ工事

東北電力グループの工事です。

(8)ユアテック企業グループ

ユアテック企業グループを掲載しています。

(9)株式の状況

株式の状況です。

おわりに

当社は、「お客さまの心ゆたかな価値の創造に協力し、社会の発展に貢献します。」を企業理念とし、持続的成長と中長期的な企業価値向上に努めています。

今後も、より一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

質疑応答:利益率改善の継続性について

司会者:「2025年3月期は利益率が大きく改善していますが、利益率改善の継続性についてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

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