目次

小川哲史氏:太平洋工業代表取締役社長の小川です。本日はお忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。

これより、2024年度連結業績ならびに2025年度通期予想について説明したのち、中期経営計画の進捗についてご説明します。

1-1 2024年度 連結業績

それでは、2024年度業績をご説明します。

第4四半期の業績は、生産台数の回復と円安の進展により、売上高は前年比約6パーセント増の548億円、営業利益は13億円増加の46億円となりました。

通期では、上期に販売物量が減少した影響により、売上高は2,061億円、営業利益は136億円、経常利益は172億円、当期純利益は132億円となりました。

1-2 連結売上高 増減要因

売上高は、円安によるプラス影響はありますが、販売物量の減少などにより、2,061億円となりました。

1-3 連結営業利益 増減要因

営業利益は、原価改善を継続的に実行していますが、販売物量や販売価格のマイナスに加え、原価面では材料価格の影響、労務費・経費の増加により、7億円減少し、136億円となりました。

1-4 連結事業別セグメント

事業別セグメントをご説明します。

プレス・樹脂事業では、販売物量の減少により、売上高は1,486億円、営業利益は物量減少や償却費の増加などにより、81億円となりました。

バルブ事業においては、物量は減少しましたが、円安の影響により、売上高は前年並みの572億円、営業利益は償却費の減少により、55億円となりました。

1-5 連結地域別セグメント

地域別セグメントでご説明します。

日本の売上高は、前年並みの684億円、営業利益は7億円減少の54億円となりました。

欧米の売上高は、約3パーセント増加の1,000億円、営業利益は7億円増加の51億円となりました。

アジアの売上高は、約11パーセント減少の376億円、営業利益は前年並みの26億円となりました。

1-6 四半期別 連結業績推移

売上高と営業利益の四半期別推移です。

2023年度の第4四半期以降、販売物量が減少したことで、売上・利益は減少していましたが、2024年度の第3四半期以降は、国内外で生産が回復してきたことにより、売上、利益ともに回復傾向となっています。

1-7 連結貸借対照表

連結のバランスシートについてご説明します。

2024年3月末と比較すると、2025年3月末の総資産は、10億円減少しました。

なお、政策保有株式の保有残高は、みなし保有株式を含めた純資産比率が、2024年3月末の22.7パーセントから、2025年3月末には17.2パーセントに減少しています。

2-1 2025年度 連結業績予想

次に、2025年度通期予想についてご説明します。

通期の売上高は2,020億円、営業利益は130億円を見込んでいます。

自動車の生産台数は、前年より増加すると想定していますが、為替が円高に推移している状況から、1ドル145円の前提としており、その影響で通期の売上、利益は減少する見込みです。

経常利益は155億円、当期純利益は110億円と予想しています。

なお、今回の業績予想には、アメリカの関税政策の影響は織り込んでいません。関税政策に関する当社の状況は、一部の部品については、日本からアメリカ事業体に輸出していますがその販売先は、ほとんどが日系メーカーとなっていますので今後、状況を注視していきたいと思います。

2-2 通期 連結売上高 増減要因

通期の売上高は、円高の影響により、前期の2,061億円から41億円減収し、2,020億円を予想しています。

2-3 通期 連結営業利益 増減要因

通期の営業利益は、原価改善を進める計画ですが、賃上げによる労務費増加などのコストアップや、TPMSの製品構成によるマイナス影響により、130億円を予想しています。

2-4 通期 連結事業別セグメント

通期の事業別予想です。

プレス・樹脂事業の売上高は、円高影響により減収となり1,467億円、営業利益は、販売物量の増加により、104億円と予想しています。

バルブ事業の売上高も、円高の影響で減収となり550億円、営業利益は、TPMSの製品構成変化の影響で減益となり、27億円と予想しています。

2-5 通期 連結地域別セグメント

通期の地域別予想です。

日本の売上高は765億円、営業利益は54億円と予想しています。

欧米の売上高は905億円、営業利益は49億円と予想しています。

アジアの売上高は350億円、営業利益は19億円と予想しています。

2-6 連結設備投資・減価償却費

設備投資は、生産準備や改善、更新といった通常投資に加えて、将来の成長に向けた投資を行っています。

2024年度は、バルブ新工場や金型工場の建設など、287億円の投資を行いました。

2025年度は、技術開発センターや、アメリカ、オハイオ拠点でのプレス工場の建設投資を含め、320億円を予定しています。

お客さまからの受注拡大や、市場の拡大を見据え、生産能力増強を行うとともに、より効率的な生産体制の構築や職場環境の向上に向けた投資も行い、競争力強化を進めていきます。

2-7 連結キャッシュフロー

キャッシュフローについては、グループ内キャッシュマネジメントを強化し、効率的な資金運用を推進しています。

2024年度は、バルブ新工場、金型工場、技術開発センターの建設などのため、現預金残高は98億円減少しました。

2025年度も、高いレベルの投資を継続する計画ですが、フリーキャッシュフロー12億円のプラスを見込んでおり、現預金残高は54億円増加します。

2-8 株主還元

2024年度の配当については、利益、資金状況等も考慮し、前年普通配当50円より8円増配としました。期末配当32円、年間配当58円となり、総還元性向は40パーセントとなります。

2025年度の配当については、年間58円を予定しています。

3-1 中期経営計画 NEXUS-26 進捗

ここからは、中期経営計画「NEXUS-26」の進捗をご説明します。

「NEXUS-26」では、2026年度を最終年度として、財務価値目標と非財務価値目標を設定しました。

目標に対する進捗は、外部環境変化による業績影響はありますが、2026年度の目標に向けた開発や拡販などの取り組み、事業基盤を強化するための、非財務面での取り組みも含めて、順調に進捗しています。

3-2 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営の実現については、ROEとPERの向上に向けた取り組みを継続しています。

ROE向上に向けては、まずは事業の収益体質、基盤を強化することが必要と考えています。加えて、投資効率の向上も重要と考えており、投資案件については、投資回転率の向上と、資本コストを基準とした投資効率の検証を行っています。

PERの向上に向けては、当社の成長戦略を十分にご理解いただくため、事業の戦略に加え、デジタルや人財戦略も含めた財務・非財務面の開示を充実することや、サステナビリティ経営の推進による事業リスクの低減と機会の拡大を進めています。

それぞれの戦略の取り組み状況について、この後ご説明します。

3-3 事業別進捗:プレス・樹脂事業

はじめに、事業ごとの進捗をご説明します。

プレス事業では、超ハイテン技術を活かした電動車向け新製品や既存プレス部品の拡販による、受注の拡大をめざしています。

一昨年に立ち上げた、東大垣のプレス工場は、順次稼働率を上げており、今期中にフル稼働になる見込みです。アメリカでの新規受注も増加しており、生産能力を増強するため、工場建設とプレス機の導入を進めています。

樹脂事業では、バッテリーEV向けの新製品開発や、拡販による事業拡大をめざしています。海外でも、拡販は順調に進んでおり、2025年度からインド向けホイール加飾部品の供給を開始する予定です。

足元では、各カーメーカーのバッテリーEVに関する方針見直しなど、不透明な状況もありますが、長期的にみれば、バッテリーEVが拡大していく方向性は変わらないと考えています。今後の動向を慎重に見極めながら、需要に合った生産能力の増強を進めていきます。

3-4 事業別進捗:プレス・樹脂事業

プレス・樹脂事業では、新規開発や拡販に加えて、主要顧客との信頼関係の強化を重要なテーマとしています。

昨年度は、グローバルでの原価改善や品質向上、CO2排出量低減の取り組みに注力しました。これにより、国内外のお客さまから高い評価を受け、海外事業体でも多くの表彰をいただきました。

地道な活動ですが海外拠点とのコミュニケーション活性化や支援のため、拠点ごとにサポートチームを作り、課題の早期解決や日本のノウハウの横展開を行っています。情報共有と課題解決をタイムリーに行うことで、グループ全体の競争力強化につながっています。今後もこれらの取り組みを継続して、顧客との信頼関係を深め、事業基盤を強化していきます。

3-5 事業別進捗:バルブ事業

バルブ事業では、バッテリーEVやプラグインハイブリッド車の市場拡大を、成長の機会と捉えてグローバルで電動車向けバルブの開発、拡販を進めています。

市場の拡大を見据えて、昨年から建設を進めてきた新工場は、5月から順次稼働を開始していきます。また、バッテリーEV向けの新製品として、バッテリーパック用リリーフバルブを開発・受注をしています。

バッテリーパック内でガスが発生した時に圧力を開放する安全弁として、今年度から顧客への供給を開始します。今後も、より多くのお客さまに採用いただけるよう、拡販を進めていきます。

TPMSについては、拡販の取り組みとして、国内のアフターマーケット向けに、キャップ式TPMSの販売を開始しました。

従来のバルブ式TPMSは、ユーザー自身による取り付けが難しいため、法規化されていない日本国内では普及が進んでいませんが、キャップ式はユーザーが自分で簡単に取り付けることができてスマホのアプリから、いつでもタイヤ空気圧を確認することが可能です。

TPMSの必要性や利便性をドライバーの方に知っていただき、国内でのTPMS事業の拡大につなげていきたいと考えています。

3-6 事業別進捗:新事業

新事業では、モビリティ領域以外の柱を作っていくため、社会課題解決に結びつくビジネスを軸に、新しい発想で多様な商品の開発を進めています。

昨年は、工場のエネルギーの見える化ができるエネグラフや、輸送品質のモニタリングができる「e-WAVES」のBLEタイプなど、6件の新商品をリリースしました。

当社の生産過程で発生する、ウレタンの端材をアップサイクルした、防災マット「MATOMAT(マトマット)」は社会貢献度の高い商品として多方面から表彰を受けるなど、高評価をいただいています。

今後も、自社リソーセスだけでなく、オープンイノベーションも活用しながら、新商品・新事業への挑戦を継続していきます。

3-7 デジタル戦略の進捗

デジタル戦略は、DX・デジタル化、人財育成、サイバーセキュリティの3本柱で競争力を高めていく戦略です。スマートファクトリーの実現をめざし、デジタル化による業務効率化を推進しています。

デジタル部門で自社開発したシステムは、国内外の拠点にも横展開を進めています。

例えば、QRコードによる出荷時の品番照合や、生産現場のマニュアルをデジタル化して使いやすくするなど、グローバルで現場改善に活用することで、業務を効率化し、競争力を高めていきます。

3-8 人財戦略の進捗

人財戦略については、従業員エンゲージメント調査の肯定的回答率を指標として、2026年度は60パーセント、2030年度は70パーセントを目標としています。

すべての働く人が「思い」をもち活躍できる職場をめざして、4つの重点施策を推進しており、従業員エンゲージメントは前回より7.5ポイント改善しました。

具体的な取り組みとして、経営ビジョンへの共感を深めるため、社員と役員が直接対話する機会を増やしています。

また、上司・同僚との関係性を高める取り組みとして、階層別の教育や、各職場でのディスカッションに加え、部下の面倒見を大切にするなど、率直な意見を言いやすい、心理的安全性が高い職場作りを推進しています。

さらに、成長・学びの実感を高めるため、Web教育やAIツールを導入して学習機会を提供するとともに、自分のやりたいことにチャレンジできる新規事業創出プロジェクトを展開しています。

仕事のやりがいを高める取り組みとしては、工場の空調や照明など、職場環境の改善や、通年採用者の処遇改善、評価制度に関する対話の充実にも取り組んでいます。

今後も取り組みを継続することで、従業員エンゲージメントを高めて事業の成長、企業価値の向上につながる、という好循環を生み出していきたいと思います。

3-9 サステナビリティ

サステナビリティの取り組みとしては、企業価値の向上に向け、事業リスクの低減や情報開示の充実を推進しています。

2020年に特定したマテリアリティについては、外部環境変化も踏まえて、以前より重視して取り組みを進めていた自然保全や、従業員エンゲージメントを追加するなどの、改定を行いました。

当社の取り組みは、外部機関からも優れた評価をいただいており、環境面ではCDP気候変動の分野において、最高評価のAリストに初めて選定されました。

先ほどの人財戦略にもつながる、誰もが働きやすい職場作りについては、不妊治療と仕事の両立の取り組みが評価され、岐阜県の企業で初めて「プラチナくるみんプラス」に認定いただきました。

また、健康優良法人にも4年連続で認定されています。

従業員の行動ガイドラインと仕入先サステナビリティガイドラインについても、社内外の変化を織り込み、人権や環境などに関して、見直しを行っています。

この見直しを通じて、従業員や仕入先のみなさまの理解をさらに深めることで、ともに持続可能な活動を推進していけると考えています。

今後も、パーパスである「思いをこめて、あしたをつくる」を追求して、さらなる企業価値の向上に努めていきます。

引き続き、みなさまのご支援とご理解をいただきますよう、よろしくお願いします。

以上で、ご説明を終わります。