マクニカ 会社概要
原一将氏(以下、原):マクニカホールディングス代表取締役社長の原一将です。さっそくですが、マクニカの会社概要をご説明します。マクニカは1972年に創業し、今期で54期目を迎える、IT・エレクトロニクス関連商品を扱う技術商社です。IT関連系の企業としては、比較的歴史のある会社となります。おかげさまで、50周年の区切りとなる2022年度に売上高1兆円を達成しました。
マクニカの強みは、技術力、グローバルカバレッジ、先端テクノロジーパートナーの3つです。まず技術力について、マクニカは商社でありながら、社員の3人に1人がエンジニアです。お客さまの技術支援からオリジナル商品の企画、設計、開発と、幅広い技術的価値を提供し、他社との圧倒的な差別化を図っています。
グローバルカバレッジについては、26ヶ国92拠点にネットワークを有し、2万3,500社以上のお客さまをグローバルでシームレスにサポートしています。
先端テクノロジーパートナーについては、本日一緒に登壇しているCrowdStrikeのように、先端技術を有した仕入先は世界300社以上と、業界でも群を抜いたテクノロジーとインテリジェンスを確保しています。
マクニカ 事業内容
原:事業内容についてご説明します。マクニカは、収益の柱となっている2つのコア事業である、半導体事業とネットワーク事業、そして新事業として、最先端ソリューションやサービスを創出するCPS(Cyber-Physical System)ソリューション事業に取り組んでいます。
コア事業は、半導体事業が売上の約9割を占めており、株式市場でも半導体事業に注目していただくことが多いです。しかし、近年はネットワーク事業が急成長しており、事業活動においても存在感を増しています。
ただ、このネットワーク事業の競争優位性を株式市場で十分にご理解いただくことがなかなか難しく、バリュエーションにおいても株価に十分に反映されていないと考えています。そのため、本日の説明会を機に、ぜひ理解を深めていただけると幸いです。
安心を、ビジネスの推進力にできるか?
原:ネットワーク事業についてお話ししていきます。もともとマクニカはエレクトロニクス専門商社として創業し、その後半導体に注力して成長してきました。しかし、約40年前に仕入先である某半導体メーカーから、米国の先端通信ボードメーカーの紹介を受けたことがきっかけで、半導体を組み合わせたシステムを取り扱うようになりました。これが、現在のネットワーク事業の始まりとなります。
その後、LANカードなどネットワーク関連のシステム製品の取り扱いを増やし、ネットワーク事業と名称を定め、今日に至っています。
ネットワーク事業 売上構成比
原:ネットワーク事業の売上構成比についてご説明します。スライド左側の円グラフは、地域別の内訳です。日本が7割弱と過半数を占めているものの、海外にも注力して拡大してきています。
スライド中央の円グラフは、日本国内のエンドユーザー顧客の産業別の内訳です。販売先は多くの場合、システムインテグレーター経由となりますが、エンドユーザー顧客にはさまざまな業種の企業があります。
具体的には製造業、金融業、官公庁などの情報システム部門や、テレコムやサービスプロバイダーなど、設備として利用される部門が主なお客さまです。今後、いずれの産業分野でもサイバーセキュリティへの投資が伸びていくことは、言うまでもありません。
また、スライド右側の円グラフのとおり、マクニカが取り扱っているプロダクト製品の売上の約4割は、売上上位のCrowdStrike、Box、Splunk、Trellix、CyberArkの5社で占めています。残りの約6割は、未来のビジネスに向けて先行投資をしているベンチャー企業などになります。
サイバーセキュリティにおいては技術の移り変わりが激しいため、先端の技術を多く取り扱っていることがマクニカの特徴であり、強みでもあります。
ネットワーク事業 サイバーセキュリティ取り扱い
原:一口にITといってもいろいろな商品がありますが、国内のネットワーク事業の売上のうち、サイバーセキュリティ関連の商品が実に7割近くを占めています。本日登壇いただいているCrowdStrikeの商品は、マクニカが世界で初めて代理店として取り扱いを始め、現在でも国内シェアNo.1のポジションを維持しています。
ちなみに、マクニカがサイバーセキュリティ商品の取り扱いを始めたきっかけは、ハードディスクの暗号化で世界的なリーダーであったオランダのSafeBootと2001年に契約したことです。
そして、そのSafeBootで2004年から2007年の間CEOを務めていたのが、本日登壇いただいているガーハード氏です。SafeBootの日本での大躍進をきっかけに、マクニカでも多くのセキュリティ商品の取り扱いを開始しました。
実際、情報通信の活用が広がることで、サイバーセキュリティの重要性が日々高まっており、その需要に比例してビジネス領域も拡大し続けています。また、サイバーセキュリティ事業活動で特筆すべきことは、マクニカ自身が技術商社の枠を超え、自社ソリューションを開発していることです。
具体的には、「Macnica Attack Surface Management(ASM)」という国内シェアNo.1の独自サービスを展開しています。これは、企業のIT部門が気づいていないサイバー攻撃の対象となりうる資産、すなわちAttack Surfaceを洗い出し、問題がないか監視するサービスです。
このサービスは、競合他社と比べても非常に競争力が高く、富士キメラ総研の「ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」のASMツール市場で2年連続国内シェア第1位、また同様に、ITRのアタックサーフェスマネジメントサービス市場でも2年連続国内シェア第1位と評価されています。
ネットワーク事業 継続的な成長性
原:このようなサイバーセキュリティ商品の需要を受け、ネットワーク事業はこれまで国内、海外ともに継続的に売上を伸ばしています。2024年度は1,500億円規模の売上が予想され、国内でも有数のセキュリティ専門商社へと成長しています。
ネットワーク事業 グローバル展開
原:先ほどもお話ししたとおり、競合他社と比較しても、マクニカグループは積極的にグローバル展開しています。海外市場における成功のポイントは、各国のセキュリティ成熟度です。
セキュリティ成熟度とは、サイバーセキュリティに対する危機感や投資意欲の違いを示しており、国によってセキュリティ成熟度のフェーズはさまざまです。日本は、アジア太平洋地域や中東地域に比べると体感では2、3年進んでいるため、現地の競合に先んじて、日本で導入しているセキュリティ商品を各リージョンに投入する戦略を取ることで、競争に打ち勝っていきます。
市場環境としても、アジア太平洋地域、中東地域ともに今後も高い成長性が見込まれているため、引き続き海外市場へより積極的に注力していく方針です。
このように、ネットワーク事業が安定的かつ高い成長率を実現してきたことがご理解いただけたかと思います。そして、この持続的成長は今後もより加速して実現していけると考えています。
CROWDSTRIKE
司会者:続いて、ガーハード会長からCrowdStrikeの概要についてご説明いただきます。まず、CrowdStrikeの会社紹介動画をご覧いただきたいと思います。
(動画流れる)
Gerhard Watzinger
ガーハード・ワッツインガー氏(以下、ガーハード):本日はイベントにお呼びいただき、ありがとうございます。私からは、CrowdStrikeのこれまでと現状、そして今後についてお話しします。
プレゼンの前に、簡単な自己紹介をしたいと思います。私は、CrowdStrikeに会長として創業から関わっています。創業時の会社規模は小さかったですが、今は非常に大きくなりました。サイバーセキュリティのビジネスには、ほぼ25年とかなり長い期間関わってきており、これまでの変遷を見てきています。
また、私の経歴は暗号学から始まりました。もともとマクニカとの関係が始まった時に、エンドポイントの暗号化を日本の市場に導入しました。私自身もマクニカとすばらしい関係を築くことができ、20年以上この関係を楽しんでいます。
CROWDSTRIKE
ガーハード:私は2011年頃に、CrowdStrikeの創業者でCEOのGeorge Kurtz氏とMcAfeeで出会いました。George Kurtz氏は、従来のITセキュリティのやり方は、これ以上うまくいかないと考えていました。なぜなら当時は、新しいコンピューターウイルスが毎日6万から7万出てきており、サイバーセキュリティのシステムは常に遅れ、侵害されるリスクがある状況でした。
したがって、会社が侵害されるのを防ぐためにも、システムを将来的に保護するやり方が必要であると考えました。行動様式に基づいた、パターンを見たテクノロジーが必要だと考えたのです。
これはまったく新しいコンセプトであり、クラウド上でのセキュリティは前例もないことから、非常に難しいものでした。実際にできるのかという疑念の声もありましたが、我々は大規模なインフラおよびクラウドを作り、インフラに提供するデータを準備して、お客さまを守ることにしました。
わかりやすく言うと、例えばディズニーランドのテーマパークを建築するとします。この場合、1つだけ乗り物を作り数人のお客さまに満足してもらえばよいということではなく、ディズニーランドのテーマパーク全体を、大投資をして作らなくてはなりません。そのような状況が我々でした。
我々はまずインフラ全体を作り、その後、この技術がうまくいくということを示す必要がありました。しかし、当時はSymantecやMcAfee、Trend MicroやKasperskyなどの競合も多くいて、彼らは市場の70パーセントを占めていました。我々はその時まだアイデアしかありませんでしたが、どのようなことをやりたいのかは明確にわかっていました。
そして、問題を解決するには我々の技術が適切なものだと確信を持っていました。そのため、クラウドネイティブのAI主導のセキュリティプラットフォームを作ると、当初から決めていました。
CROWDSTRIKE
ガーハード:我々はまず、2011年から2013年に初期の技術インフラを構築しました。この3年間は、お客さまがいない状態です。そして2012年に、信頼できるパートナーであるマクニカを訪れ、「このような新しいテクノロジーを作っています」とお話ししたところ、パートナーとして初めてこの新しいコンセプトを導入してくれました。
当時は質問もたくさんきましたが、状況や進捗を共有しつつ連携して進めた結果、ようやくリリースできる状態になりました。
2013年から2016年の間に新規顧客を獲得し、マクニカとパートナーシップを結ぶことになりました。つまり、マクニカは我々にとって世界で初めてのパートナーとなったわけです。
そこから9年後、我々の売上は40億ドル、日本円で6,000億円、バリュエーションは1,000億ドル、おそらく日本円で15兆円、そして顧客数は3万、従業員の数は1万人となりました。パワーポイントで思索していた時から考えると、かなりの道のりだったことがわかると思います。
CrowdStrike Among Fastest to Reach $1B, $2B, $3B & $4B Run Rate Revenue Among Peers
ガーハード:次に、成長についてお話しします。スライドのグラフは、有名なクラウドの企業が売上40億ドル、日本円でいうと6,000億円を達成するまでにかかる期間を示しています。ServiceNowは16年、Workdayは15年、Salesforceは約14年かかりました。
これに対し、我々は12年で達成しました。ここまでのスピード感を持って達成したクラウドの企業は、世界でも初めてです。
Cybersecurity is $300B + Market Opportunity in 3 Years
ガーハード:スライドの数字を見ると、非常に大きな市場だということがわかります。Gartnerの発表では、向こう3年での市場の機会はドル建てで3,000億、日本円で45兆円と、非常に大きな数字が見積もられています。一方、年間の平均成長率は12パーセントとなっていますが、この3年間でさらにスピード感がついてきていることから、おそらく15、16パーセントではないかと考えています。
また、北米・ヨーロッパ・APAC・中国・アフリカ・ラテン米国などの地域を見ると、各地域において成長率は2桁成長となっています。これだけの規模で、かつ2桁成長しているところは、他のビジネスではありません。
Cybersecurity Ecosystem
ガーハード:サイバーセキュリティのエコシステムも拡大しています。20年前には、約100社以上の関連するサイバーセキュリティ会社があり、そのうち4社が世界市場の約70パーセントを占めていました。今日では、関連する会社が5,000社以上あります。
CSO(最高セキュリティ責任者)が自社に最適なソリューションを選択する時、5,000社以上の企業から選ぶことはかなり難しい上、すべてをテストすることもできません。またシステムを選んだとしても、それらをインテグレーションしてうまく機能させる必要があります。これは、非常に大きな課題です。
CrowdStrike’s Winning Formula
ガーハード:最初からセキュリティプラットフォームのコンセプトを持っていました。基盤となる技術を構築し、私たちの場合はデータを収集する1つの小さなセンサーを構築し、次に脅威分析を処理するためのクラウドインフラストラクチャを構築します。基本的なインフラストラクチャを構築したら、新しいソリューションやモジュールを構築または取得し、それらをプラグインすることができます。
スライド左側に記載している、新世代のエンドポイントのセキュリティシステムが初めてのモジュールで、その後徐々にモジュールの数を増やしていきました。現在は36以上のモジュールがあり、開発中のものも4つあります。
CSOにとっても、実行しやすくなっているということになります。「CrowdStrike」上で標準化を行えば、これらのモジュールをつなぐことができ、シームレスなかたちでうまく機能させることが可能です。
Adversary Trends
ガーハード:最後に、サーバーセキュリティにおける3つの重要なトレンドについてお話しします。CrowdStrikeのWebサイトから無料でダウンロードできる最新の脅威レポートもぜひご覧ください。
1つ目はブレイクインの時間です。攻撃者が最初に接触してからシステムに侵入し、拡散するまでの平均時間は48分であることが判明しました。侵入されたことを発見し、侵入を阻止するための時間がほとんどないため、良いシステムが必要です。
2つ目に、敵対者は初期アクセスの段階で脆弱性を利用することが多く、実際には50パーセント以上の攻撃がマルウェアを含んでいませんでした。つまり、ウイルススキャナー、ファイアウォール、侵入防止システムでは侵入を検出できなかったのです。
さらに、敵対者は生成AIを使ってソーシャルエンジニアリングを行うことが増えています。これにより、多くの新しい方法でユーザーにアプローチし、攻撃を拡大することができます。例えば、フィッシングメールの多くは現在、生成AIで生成されています。
Evolution of eCrime
ガーハード:そのような状況があるため、新しいサイバー犯罪というのはよりスピード感が上がっており、ステルス化が図られ、マルウェアもほとんど使われていません。生成AIに関しても使われる回数が増え、攻撃者が正規ユーザーとして振る舞っています。したがって、従来のシステムは大きな困難に直面しています。
サイバーセキュリティの世界がどのように進化し、従来のセキュリティソリューションが正当な活動と敵対者の攻撃を区別するのがいかに難しいか、そしてCrowdStrikeがその先を行くために何をしているかについて、少しでもご紹介できたことを願っています。
Q. マクニカにおけるクラウドストライクビジネスの変遷は?
司会者:ここからは、原社長とガーハード会長に、2社の関係性やサイバーセキュリティ事業の今後の成長性、見通しなどをうかがい、サイバーセキュリティ市場の最前線に迫っていきます。
まずは原社長に、マクニカにおけるクラウドストライクビジネスの変遷についてうかがいたいと思います。
クラウドストライク創業前からの信頼関係で、代理店契約が実現
原:マクニカの基本戦略としては、成長が見込める新しい商品を市場に先駆けて発掘、契約し、自ら市場を作っていくことを使命として、これまで事業を拡大してきました。
これは、競合他社が市場拡大が明らかになったタイミングで参入するのと大きく異なります。ご質問のCrowdStrikeについては、CrowdStrikeが注目されるはるか以前にその将来性を見込み、CrowdStrikeが創業した2年後の2013年に、世界初の代理店として契約しました。
世界初の代理店となった結果、マクニカは売上を伸ばし続け、国内の圧倒的な市場シェアを獲得しています。ここまでの成長はマクニカでも経験がなく、本当にCrowdStrikeのすごさを感じるばかりです。
また、アラブ首長国連邦のドバイを拠点とする、マクニカのグループ会社であるCyberKnightでもCrowdStrikeを取り扱っているため、今後もマクニカグループを挙げてCrowdStrikeの成長に貢献していきたいと思っています。
Q. クラウドストライクとの契約の経緯は?
司会者:CrowdStrikeとの契約の経緯についてうかがいます。マクニカがどのように、当時創業直後のCrowdStrikeを他社に先駆けて見つけることができたのかについてお願いします。
Gerhardさんとマクニカの関係
原:先ほどからいろいろとお話ししていますが、ガーハード氏とは、CrowdStrikeの創業前から関係を築いてきました。マクニカは2001年よりSafeBootの代理店をしておりますが、日本のサイバーセキュリティ黎明期のこの時期にガーハード氏と出会い、一緒にビジネスを成長させ、大きな成功体験を得ました。
その後、当時世界最大級の米国のセキュリティベンダーだったMcAfeeがSafeBootを買収し、ガーハード氏は2007年から約5年間、McAfeeでエグゼクティブバイスプレジデントを務めています。そのご縁もあってマクニカもMcAfeeの代理店になり、当時は最後列からのスタートにもかかわらず、最終的に国内シェアNo.1を達成できました。
このように、ガーハード氏とマクニカは苦楽を共にし、一緒に成功してきました。そのため、本当に信頼できるビジネスパートナーとして、CrowdStrikeの世界初の代理店に選んでいただけたのではないかと考えています。
Q. ビジネスパートナーとしてのマクニカの印象は?
司会者:ガーハード会長にうかがいます。今までマクニカと一緒にビジネスを手がけていく中で、マクニカに対し、どのような印象を抱いていますか?
ガーハード:マクニカは、日本国内のみならず世界的にも非常にユニークなビジネスパートナーだと考えています。マクニカとは20年ほど関係がありますが、マクニカは新しい技術を導入する前にデューデリジェンスを行い、技術をしっかり見ています。
具体的には、まず理解し、どのようなかたちであればお客さまに最適なかたちでサービスを提供できるかを検証します。そこを理解した上で、営業の戦略を考えます。マーケティング、セールス、技術、お客さまサポートの部隊も入り、予算も付け、人もプロジェクトに入れて行います。
このように、マクニカは非常に専門的なやりかたを取る代理店です。他の代理店は技術だけを持っていくのですが、プロとして市場に持っていっていただいているからこそ、非常にうまくいっていると思います。すべての商品に関してうまくいっている理由は、これだと思います。
Q.サイバーセキュリティにおけるAIの活用事例は?
司会者:ガーハード会長への質問です。サイバーセキュリティ事業の今後の成長性や、見通しをうかがっていきたいと思います。サイバーセキュリティにおけるAIの活用事例を教えてください。
ガーハード:AIというのは最前線ですが、先ほどもお話ししたとおり、我々はサイバーセキュリティ会社として初めてAIを使いました。2012年から2013年には使い始めています。当時はまだAIではなく、機械学習あるいはクラウドネイティブアーキテクチャという名称でした。我々はサイバー脅威に立ち向かうために活用していたため、AIをよく理解しています。
今日はかなりの量のデータを持っていますが、それに対して高度なAIのシステムが必要になります。データを解釈して、何が重要なのか、何が重要でないのかを理解しなければいけません。これは、従来のシステムではもうできません。
我々は2024年に、Charlotte AIというものを導入しました。これはChatGPTのようなもので、セキュリティの中で使います。セキュリティのエンジニアは、サイバーセキュリティについて、通常の言語で質問できます。
例えば攻撃について、何をすればよいかを聞いて、それに対応するツールを開発者に提供しています。我々はすでに、CrowdStrikeの「CrowdStrike Falcon」のプラットフォームにAIを組み込んでいます。
一方で、攻撃者がAIをより使い始めている状況も見られます。まだ黎明期ですが、昨今のアプリケーションでは新しい攻撃者が出てくるとともに、エコシステムに入り始めている状況が見られます。AIを使うとそこまでスキルがなくてもハッキングできるため、ハッカーになることもできるわけです。そのため、AIを使う攻撃者がさらに増えたり、攻撃者がさらに出てきたりすると思います。
具体的な適用方法に関しての事例を挙げると、北朝鮮にラビリンス・チョルリマという攻撃者がいます。彼らはAIを活用しており、大規模なフィッシング攻撃を行っています。まず、AIを使ってコンテンツを作っているため、これまでに比べかなり拡大化できます。ディープフェイクの動画や音声も使い、身元のなりすましを行っています。よく知られている例を挙げると、CFOの動画がディープフェイクされ、この動画が2,600万ドルの送金承認に使われてしまったことがあります。
攻撃者もAIを使っているため、我々のお客さまのほうでもきちんと準備していく必要があります。そうしないと、この新しいタイプの攻撃に対応できません。
Q.地政学的な緊張が高まる中で、サイバーセキュリティの需要の変化は?
司会者:ガーハード会長にうかがいたいと思います。サイバーセキュリティ事業の見通しについてです。現在、世界中で地政学的な緊張が高まる中で、サイバーセキュリティの需要に何か変化はありますか?
ガーハード:今日も実際に起きていますが、地政学的な緊張があるような状況で、サイバー活動や犯罪は急激に増えます。サイバーセキュリティのピラミッドの一番上には国家があります。スパイは国家や他の政府をハッキングします。
今はいろいろな活動が行われていますが、次の段階として、サイバー犯罪があります。これは商業的に犯している犯罪です。その下にはハクティビズムがあります。例を挙げると、米国の政府には今緊張感があるため、かなりハクティビズムが起こり、政治的な意見が影響を受けています。インドの選挙や中国でも事例があります。日本でもこのような事例はあります。
地政学的な活動は常に侵害のリスク上昇につながっているため、我々はお客さまや政府系のお客さまを守るために、侵害がなく保護できるように、緊張感を高めています。
Q. CrowdStrikeがモータースポーツF1のスポンサー、ガーハード氏がドライバーになった経緯は?
司会者:ここまでで、2社の関係性やサイバーセキュリティ市場の最前線をうかがいました。ここからは会長のお人柄についてうかがいます。まず、CrowdStrikeがモータースポーツF1のスポンサーになった経緯と、会長がドライバーになった経緯について教えてください。
ガーハード:このトピックスについては1時間でも話せてしまうため、端的にまとめたいと思います。F1をスポンサーシップのプラットフォームに使うことにした理由は、世界中を見回してもF1だけがグローバルで行われるスポーツだからです。
オリンピックは4年に1回行われていますし、サッカーのワールドカップも4年に1回行われています。ただ他のスポーツに関しては、すべて国内で行っています。最大のイベントはサッカーのユーロカップですが、それでも欧州のみです。F1だけが国境をまたいで行われているスポーツなのです。そう考えた時に、我々の行っていることと合致してきます。
スピードがあって、攻撃しなくてはいけませんし守らなくてはいけません。行っていることでは、スピードが一番重要になります。
さらに、我々CrowdStrikeの名前を世界中のみなさまに示すことができます。F1は年間で10億人が見ており、スポーツイベントとして世界最大です。
もう1つの質問への回答は、創業者のGeorge Kurtz氏も私も、ドライバーとして運転しています。ビジネスの感覚を持ちながら、我々の情熱も推進しているということになります。
Q. ビジネスパートナーとして今後期待することは?
司会者:ガーハード会長と原社長からお互いの会社に対し、ビジネスパートナーとして、今後期待するところを教えてください。
原:私としては、CrowdStrikeにさらなる技術革新を期待しています。CrowdStrikeの先進的なサイバーセキュリティ技術を活用し、マクニカのお客さまに対してより強力なセキュリティソリューションを提供し、サービスの質の向上、市場シェアの拡大を目指していきたいと思います。
今後もマクニカとCrowdStrikeのパートナーシップがさらに強固なものになり、両社のビジネス成長に寄与することを期待しています。
ガーハード:原社長、ありがとうございます。すでに我々はマクニカと非常に良い関係を構築しています。ビジネスに関しても、ここ数年の間で大幅に拡大しています。
CrowdStrikeは新しい技術をさらに出し、日本と世界中のお客さまを侵害から守っていきます。今後に関しても、専門家としての信頼に足るパートナーシップを、パートナーのマクニカと築いていきたいと考えています。
Q. サイバーセキュリティの市場への啓蒙やプロモーション活動はどのように行っている?
司会者:「サイバーセキュリティの市場への啓蒙や、プロモーション活動はどのように行っていますか?」というご質問です。
多彩なプロモーション戦略
原:マクニカは年間を通して商品のライフサイクルに応じたプロモーション戦略を展開し、効果的なマーケティングを実現しています。スライドは2023年度のネットワーク事業のマーケティング実績ですが、その注力具合をご理解いただけるかと思います。
例えば、まだ世の中に浸透していない導入期の商品は、展示会や初期導入ユーザー向けラウンドテーブルを積極的に開催し、商品の特徴や利点を広く伝えています。また、SEO戦略を駆使したコンテンツマネジメントにより、オンラインでの認知度向上にも注力しています。
一方で需要が拡大する成長期を迎える商品は、具体的な使用事例や成功事例を紹介するセミナーを開催し、潜在顧客に商品の有用性を具体的に伝えています。既存顧客に寄り添ったカスタマーサクセス戦略で、ブランドの信頼性も高めています。
2024年6月にはセキュリティに特化したオンラインカンファレンス「Macnica Security Forum 2024」を開催し、生成AIやゼロトラストなどの最新トレンドや企業の取り組み事例など80セッションをご紹介しました。
マクニカの優位性:セキュリティ研究センター
原:さらに、マクニカ事業部門とは独立した純粋な研究機関であるセキュリティ研究センターを有しており、日本を狙ったサイバー攻撃動向や対策ソリューションをリサーチしています。得られた知見は、業界で著名なセキュリティカンファレンスへの登壇や、執筆活動、官公庁や公的機関との取り組みなど、さまざまなかたちで社会に還元しています。
幅広い専門分野を有するメンバーの下、日本企業が実際に受けている攻撃情報の入手、対策ソリューションや手法の調査、お客さまの声や日本市場の熟知などを掛け合わせることで、世界に通用するセキュリティサービスを日本国内に提供しています。
今後もイベントやソリューション提供、脅威情報の発信などを通じて、日本企業のセキュリティ強化をより一層支援していきたいと考えています。
質疑応答:ネットワーク事業におけるサブスクリプションの比率について
司会者:「ネットワーク事業のサブスクリプションの比率を教えてください」というご質問です。
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