2025年3月期 決算サマリ

小川辰志氏(以下、小川):代表取締役社長の小川です。それでは、2025年3月期の決算についてご説明します。

まずは今回の決算のポイントです。全社実績は売上高、各利益ともに過去最高を更新しました。2025年1月に発表した計画値については、すべて達成しています。

コンクリート構造物向け工具の売上高は前年比14パーセント増の348億円、年間計画320億円に対する達成率は109パーセントとなり、好調に推移しました。

配当予想を上方修正し、1株当たり年間配当金は前期から13円増配の114円を予定しています。また、業績の堅調な推移を踏まえ、2024年4月公表の中期経営計画を上方修正します。

2025年3月期 全社実績

2025年3月期の全社実績です。売上高は918億3,900万円で前年比6.0パーセント増、営業利益は144億6,800万円で前年比14.8パーセント増、ROEは10.9パーセントとなりました。配当については、次のスライドでご説明します。

年間配当金の修正

当期業績及び配当政策を勘案し、年間配当金を上方修正しました。1株当たり年間配当金は114円を予定しています。前期から13円の増配、計画から2円の増配となり、純資産配当率は5.1パーセント、配当性向は47.1パーセントです。

2021~25年3月期 全社実績推移

スライドのグラフは、売上高と各利益の過去5ヶ年の実績推移です。売上総利益率は売価アップや円安の影響、商品構成の変化などにより、高い水準を維持できています。営業利益については、後ほどご説明します。

四半期別売上高推移

こちらのスライドは、四半期別の全社売上高の推移です。後ほどご覧ください。

営業利益の増減要因

営業利益の増減要因について、スライド左側からご説明します。為替は前年と比較すると円安で推移し、売上側で22億1,400万円の増益要因、コスト側で11億7,900万円の減益要因となりました。

構成差などを含む数量差は、19億9,700万円の増益要因です。第2四半期までの数量差はマイナスでしたが、第3四半期から数量増へ転じ、増益に寄与しました。売価は、主に2024年3月期に実施した売価アップの効果により13億7,400万円の増益要因となっています。

コスト増は3億6,400万円の減益要因、販管費は21億7,600万円の減益要因となりました。以上の要因により、営業利益は前年から18億6,700万円増益の144億6,800万円となっています。

その他の財務情報

その他の財務情報です。期末にかけて円高が進んだことにより、3億2,100万円の為替差損があります。特別利益には、純投資としていた株式の売却益を計上しました。

スライド下段は、設備投資、減価償却費、研究開発費の実績です。設備投資は、主に新製品に対する設備や鉄筋結束機の消耗品である「タイワイヤ」の生産能力の増強です。加えて、ラスベガスで開催された展示会ブースでの什器制作などにも投資を実施していますが、実行率は72.4パーセントにとどまりました。

経済指標

外部環境などの経済指標についてです。為替感応度は、始まった期の計画ベースでは売上高に対して米ドルが2億円、ユーロが8,000万円、営業利益に対しては米ドルが6,000万円、ユーロが8,000万円となります。終わった期と比べて、大きな変化はありません。

2025年3月期 セグメント実績

セグメントごとの実績です。インダストリアル機器部門は、欧米を中心とするコンクリート構造物向け工具の堅調な推移のほか、売価アップや為替の円安影響などにより、前年に対して増収・増益となっています。セグメント利益は145億9,500万円で前期比15パーセント増、セグメント利益率は21.9パーセントです。

オフィス機器部門は、オートステープラ事業の増収などにより、前年に対して増収・増益となっています。セグメント利益は44億7,700万円で前期比12.9パーセント増、セグメント利益率は20.5パーセントです。

HCR機器部門は、前年に対して増収・減益となり、セグメント利益はマイナス8,200万円となりました。海外市場での拡販や中国工場の生産性改善などを進めましたが、国内受注の低迷や為替の影響などによってセグメント利益がマイナスになっています。

四半期別セグメント実績推移

スライドのグラフは、セグメント別の売上高と利益率の推移を四半期単位で示したものです。

第4四半期は、インダストリアル機器部門のセグメント利益率が低下しています。これは、住環境機器事業の製品に対するアフターメンテナンス費用を引き当てたことに加え、1月に米国で開催された展示会への出展費用及び販管費の増加によるものです。また、前年から円高に推移した為替が主な要因となっています。

インダストリアル機器部門 2025年3月期実績

インダストリアル機器部門についてです。スライド左側の棒グラフをご覧ください。一番下が国内機工品事業の実績です。売上高は212億2,700万円、前年比1.4パーセントの減収となりました。

鉄筋結束機「ツインタイア」の累計稼働台数の増加により、その消耗品の販売が堅調に推移しています。一方で木造建築物向け工具は、新設住宅着工戸数の減少によって販売が減少しています。

棒グラフの中央が、海外機工品事業の実績です。売上高は332億8,400万円、前年比13.6パーセントの増収となりました。

北米では、インフラを中心とする非住宅市場に対する建設支出の堅調な推移などにより、鉄筋結束機の消耗品の販売が増加しました。欧州では、主要エリアであるドイツでの販売回復や市況が堅調なエリアでの活動強化などにより、鉄筋結束機とその消耗品の販売が増加しています。

棒グラフの一番上が住環境機器事業の実績です。売上高は121億9,500万円、前年比5.6パーセントの増収となりました。主力の浴室暖房乾燥機「ドライファン」の販売が、注力しているリプレイス向けで増加したほか、一部OEM先向けで伸長しています。

インダストリアル機器部門 四半期別売上高推移

こちらのスライドは、インダストリアル機器部門の四半期別売上高の推移です。後ほどご覧ください。

オフィス機器部門 2025年3月期実績

オフィス機器部門についてです。スライド左側の棒グラフの一番下は、国内オフィス事業の実績です。売上高は76億3,400万円、前年比0.1パーセントの増収となりました。文具関連製品の販売が減少したものの、新たなラベル用途の提案活動の推進などにより、表示作成機「ビーポップ」の販売が増加しています。

棒グラフの中央は、海外オフィス事業の実績です。売上高は57億8,600万円、前年比0.2パーセントの減収となりました。東南アジアでの文具関連製品の販売が下期は回復基調であったものの、通期では減少しています。

棒グラフの一番上は、オートステープラ事業の実績です。売上高は84億5,600万円、前年比11.5パーセントの増収となり、機械・消耗品の販売が増加しました。

オフィス機器部門 四半期別売上高推移

オフィス機器部門の四半期別売上高の推移です。スライドの棒グラフの一番上に記載した、オートステープラ事業の実績をご覧ください。2024年3月期の下期以降は、取引先からの受注の回復基調が継続していますが、長期的な視点ではペーパーレス化の影響による漸減傾向を見込んでいます。

HCR機器部門 2025年3月期実績

HCR機器部門についてです。売上高は32億5,300万円で前年比0.4パーセント増、セグメント利益率はマイナス2.5パーセントとなりました。国内市場で受注が伸び悩んだものの、中国のレンタル市場を中心とする海外向け車いすの販売が堅調に推移しています。

HCR機器部門 四半期別売上高推移

HCR機器部門の四半期別売上高の推移です。第4四半期は国内受注の伸び悩みに加え、第2四半期や第3四半期と比較した際、春節などの季節的な影響もあり、海外市場の実績が鈍化しています。

四半期別海外地域別売上高推移

海外地域別売上高の推移です。第4四半期の海外売上高は107億100万円となり、100億円超えの高い水準を維持しています。前年比では11.2パーセントの伸長です。通期の海外売上高比率は48.4パーセントとなりました。

重点事業:鉄筋結束機事業の概況

鉄筋結束機事業の概況です。鉄筋結束機事業を中心としたコンクリート構造物向け工具の売上高は348億円、前年比14.4パーセント増、年間計画320億円に対する達成率は108.8パーセントとなっています。

地域別では、北米において機械の累計稼働台数の増加により、消耗品の販売が伸長しました。また、1月にラスベガスで開催された展示会では、2025年発売予定の新製品を展示しました。来場したお客さまから良い評価を得られたと思います。

欧州では、南欧・東欧エリアにて実績が伸長したほか、主力市場のドイツでも販売数量の回復基調が継続しています。機械・消耗品の販売数量は、ともに前年比でプラスの実績です。

国内では、「2024年問題」の影響もあり市況は良くないものの、消耗品は堅調に推移しました。2023年に新製品の発売があった影響により、機械の販売台数は前年比で減少しています。

2030年度に目指す姿

修正中期経営計画についてご説明します。現中期経営計画は、2030年度に目指す姿に向かうための計画として立案しています。

足元の業績の状況などを鑑み、今回はスライドの図の中央にある2027年3月期の計画を上方修正しました。ROEは11.0パーセント、PBRは2倍が目標です。2030年度に目指す姿に変更はありませんが、現中期経営計画の期間で着実に歩みを進め、目標を早期に実現できるように努力していきます。

2025~27年3月期中期経営計画 基本戦略

中期経営計画では「未来を創る -事業収益力と資本収益性の向上により、企業価値の高いマックスを創る-」をテーマとし、これを実現するために3つの基本戦略を掲げました。まずは、中期経営計画1年目の進捗状況を基本戦略ごとにご説明します。

基本戦略に対する進捗の振り返り①

事業戦略についてです。スライドに記載のとおり、「海外事業のさらなる成長」は順調に進捗していると認識しています。

「国内事業の強化」については、住宅着工などのマクロ環境は低迷しているものの、木造建築物向け工具の新製品を投入し、市場シェア奪取を進めています。HCR機器部門の収益性は課題であると認識しており、安定した黒字化の実現に向けた活動を継続しています。

「新規事業の事業化」については、社内ビジネスコンテストから生まれた工具のサブスクリプション・レンタルサービス「レンツール」の認知が徐々に高まり、展開エリアを全国に拡大していく予定です。また、一部展示会に出展し、事業化が見込まれる新製品もあります。今後も持続的な成長の実現に向け、新規事業創出の活動を継続して進めていきたいと思います。

基本戦略に対する進捗の振り返り②

経営基盤強化戦略についてです。人的資本を含む「サステナビリティ経営の推進」では、キャリア採用を積極的に進め、人材の確保・強化を実施しました。

「DX推進」は順調に進捗しています。

「設備投資」については、金型治工具の投入の遅れなどによって計画に対する実行率が7割程度にとどまったものの、鉄筋結束機の消耗品「タイワイヤ」の生産能力拡充に向けた投資・研究を実施しています。

基本戦略に対する進捗の振り返り③

成長投資戦略についてです。「事業拡大投資」は、海外の鉄筋結束機事業の拡大に寄与する投資を中心としながら、M&Aを含め検討しています。

「研究開発投資」は順調に進捗しています。

キャッシュフローアロケーションの進捗状況

キャッシュフローアロケーションの進捗状況についてご説明します。中期経営計画の3ヶ年で540億円を計画したキャッシュインは、業績の堅調な推移もあり、1年目で193億円となりました。

キャッシュアウトについては、設備投資やDX投資などで構成される経営基盤強化投資で30億円の実績となっています。主な内容は、スライドに記載のとおりです。研究開発投資は43億円で、事業拡大投資は引き続き検討を進めている段階です。

配当政策に基づき、2024年3月期の年間配当は前期から23円増配の1株当たり101円とし、総額46億円の配当を実施しました。また、2024年11月に実施した株式の売出しに関連し、機動的な自社株取得を23億円実施しています。

キャッシュインや財務状況を踏まえ、中長期的な視点での事業成長を実現するために、必要な投資や施策を適時適切に行っていきます。

資本コスト及び資本収益性

こちらのスライドは、資本コスト及び資本収益性についてです。

市場評価の推移

足元の業績の堅調な推移や収益力の向上もあり、株価とPBRは大きく改善しています。時価総額も1年で1.3倍になりました。

ROE・PBRマトリックス

スライドの図は、ROE・PBRのマトリックスです。修正中期経営計画ではROE11.0パーセント、PBR2倍を計画しており、さらに右上の方向を狙っていきたいと考えています。

2026~27年3月期 全社計画

次期計画と修正中期経営計画についてです。為替レートは1ドル145円、1ユーロ155円を想定しています。

2026年3月期は売上高・各利益について、増収・増益となる計画です。売上高は前年から2.5パーセントの増収にとどまっていますが、円高による減収分を考慮すると、事業成長は実質5パーセント程度の伸びとなります。

中期経営計画の最終年度である2027年3月期の予想を上方修正しました。売上高981億円、営業利益155億円、営業利益率15.8パーセント、ROE11.0パーセントを計画しています。

2026年3月期以降は、円高が進むことを想定する中でも、安定して10パーセント以上のROEを維持あるいは向上していけるように歩みを進めていく考えです。

なお、本計画では、トランプ政権の関税措置による影響は考慮していません。関税措置には適時適切に対応し、計画上の利益を確保していきます。

2026~27年3月期 セグメント別計画

2027年3月期のセグメント別の計画です。インダストリアル機器部門の売上高は、721億円まで伸長すると見ています。鉄筋結束機事業の伸長により、収益性をさらに高めていきます。

オフィス機器部門の売上高は222億円を計画しています。オートステープラ事業の漸減を想定しているものの、文字表示機器事業の拡販を進めることで、セグメント利益を維持していきたいと考えています。

HCR機器部門の売上高は38億円の計画であり、始まった期は黒字を見込んでいます。

2026~27年3月期 サブセグメント別計画

こちらのスライドはサブセグメント別の計画です。後ほどご覧ください。

鉄筋結束機事業の推定市場規模①

鉄筋結束機事業の推定市場規模についてです。今回、推定市場規模を再試算し、800億円から900億円としました。また、コンクリート構造物向け工具の売上高について、2026年3月期は360億円、2027年3月期は390億円を計画しています。

鉄筋結束機事業の推定市場規模②

推定市場規模の見直しについて、簡単にご説明します。今回、500億円から600億円としていた推定市場規模を、800億円から900億円へと見直しました。

スライドの地図で青丸で囲ったところは、これまで推定市場規模の試算の際に対象としていた日本、欧州、北米、オセアニアといった主要エリアです。これらの再試算に加え、中期経営計画において新規探索市場として位置づけている中東や東南アジアを追加し、赤丸で示しています。

また、鉄筋消費量や単価、為替など、その他前提となる数値もアップデートしています。

鉄筋結束機事業の成長戦略①

鉄筋結束機事業の成長戦略です。先ほど少しお伝えしましたが、足元の好調な実績を鑑み、鉄筋結束機を中心とする国内外のコンクリート構造物向け工具の2027年3月期売上高は、2025年3月期実績の348億円から42億円増となる390億円を計画しています。

鉄筋結束機事業のさらなる成長を実現するために、消耗品である「タイワイヤ」の安定供給に向けた生産体制の確立、そして2025年に発売を予定している「ツインタイア 特大径モデル」や「メッシュ筋カッタ」など、製品ラインアップの拡充を積極的に進めていきます。

鉄筋結束機事業の成長戦略②

エリア別の活動状況についてご説明します。本中期経営計画期間において、中東やASEANでの実績は見込んでいないものの、現地の展示会に出展するなど市場探索を進め、将来の事業拡大に向けた準備を着実に進めていこうと考えています。

インダストリアル機器部門(2026~27年3月期 計画)

こちらのスライドは、インダストリアル機器部門の重点方針です。後ほどご覧ください。

オフィス機器部門(2026~27年3月期 計画)

オフィス機器部門の重点方針についても、後ほどご覧ください。

HCR機器部門(2026~27年3月期 計画)

HCR機器部門の重点活動方針についても、後ほどご覧いただければと思います。

配当政策 1株当たり配当金

1株当たり配当金の推移です。配当予想を上方修正し、2025年3月期の1株当たり年間配当金は、前期から13円増配の114円を予定しています。2026年3月期の配当は、さらに6円増配の120円を計画しています。

配当政策 配当性向と純資産配当率

スライドのグラフは、配当性向と純資産配当率の推移です。2025年3月期の純資産配当率は5.1パーセント、配当性向は47.1パーセントを見込んでいます。

鉄筋結束機(機械・消耗品) 四半期別数量推移(北米)

参考資料として、エリアごとの鉄筋結束機の機械・消耗品の四半期別数量推移を掲載しています。こちらのスライドは、北米の四半期別の数量推移です。後ほどご覧ください。

鉄筋結束機(機械・消耗品) 四半期別数量推移(欧州)

欧州の四半期別の数量推移についても、後ほどご覧ください。

鉄筋結束機(機械・消耗品) 四半期別数量推移(国内)

国内の四半期別の数量推移についても、後ほどご覧いただければと思います。

セグメント別消耗品売上高比率

こちらのスライドでは、セグメント別の消耗品売上高比率をアップデートしています。鉄筋結束機の消耗品である「タイワイヤ」の拡販が進んだことで、インダストリアル機器部門の消耗品比率が高まっています。

以上でご説明を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:北米インダストリアル機器部門の第4四半期の売上高について

質問者:終わった期の実績についてです。第4四半期における北米でのインダストリアル機器部門の売上高が、第1四半期から第3四半期の四半期毎の実績と比較すると減少していますが、この点は、どのように捉えればよいでしょうか?

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