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大亀裕貴氏(以下、大亀):代表取締役社長CEO・CIOの大亀です。株式会社ダイキアクシスにおける、2025年から2027年の中期経営計画をご説明します。

こちらは本日のアジェンダです。新しい中期経営計画についてお話しする前に、まずは簡単にサマリーとして、2024年12月期の実績および前回中期経営計画の振り返りをご報告します。

2024年12月期の実績(サマリー)

2024年12月期の連結売上高は468億円となり、過去最高を更新しました。営業利益についても10億4,000万円と、前期比58.8パーセント増となりました。

それぞれの要因についてはAppendixで詳しくご説明していますので、そちらをご覧ください。

前中計の振り返り(サマリー)

前回の中期経営計画の振り返りです。前回の中期経営計画では、最終年度である2025年度の売上目標を450億円としていました。これを1年前倒しで達成することができています。一方、営業利益の目標は20億円としていましたが、こちらは未達となりました。この要因として、当初計画策定時に想定していた外部環境が、想定をはるかに超えて変動していることによります。

例えば、1ドル100円台から150円台まで円安が進み、原材料の価格高騰なども一気に進んでいます。ただし、目標は未達ながらも、コロナ禍での大幅な利益の落ち込み以降は、着実に成長を続けています。

ホットトピックスとして、グローバルではインドにおいて、ようやく成功モデルが確立できました。また、国内では環境機器関連事業のメンテナンスが着実に伸びています。後ほど新しい中期経営計画の中でも触れていきます。詳しくはAppendixをご覧ください。

経営戦略|世界の深刻な状況

ここからが本題になります。当社は2027年度までの新たな中期経営計画を作成しました。本日は限られた時間の中で3点をご説明します。まずは経営戦略、次に経営戦略を支える基幹事業の戦略、最後に財務戦略となります。

まずは、経営戦略についてです。今回の中期経営計画を作成するにあたり、「ダイキアクシスが世の中から求められるものは何か」を考え直してみました。当社の主力事業の1つは、衛生設備の提供です。

ご存じのように、我が国は世界と比較しても稀に見る水衛生大国だと言えると思います。世界では4人に1人は劣悪な衛生環境で暮らし、下水処理の不備による疫病蔓延や産業排水による公害に多くの人々が苦しんでいます。

そして、水質汚染は他の地域にも広がる上に、サプライチェーンを通じて間接的に世界中に広がっていきます。つまり、開発途上国にとどまる問題ではないということです。

一方で、スライド右側のグラフをご覧いただくと、水衛生インフラの整備と経済発展には相関関係があることがわかります。

「水衛生インフラを整えると、それが経済の発展に寄与していくのか」

「経済が発展していくと、水衛生インフラを整える必要が増していくのか」

いずれにしても、今後途上国が発展していくと同時に、水衛生インフラの需要は爆発的に拡大していきます。考え方を変えれば、現在の途上国は50年、60年前の日本と同じ状況にあります。

したがって、日本で試行錯誤の末に培われた衛生技術は、そのまま途上国でのソリューションとなり得ます。言い換えると、この地球上の時間差こそが絶好の商機ということです。

以上、当社の存在意義を再確認する上での出発点をご説明しました。

我々の社会的使命

会社を「社会の公器」として捉えた場合、当社が社会に貢献する方法は、日本の試行錯誤で培われてきた数々の公衆衛生技術に磨きをかけ、それを世界の国々に技術移転することです。

このような活動により、安全で安心な世界の実現に寄与していきたいと考えています。「日本の当たり前の安全安心を、世界の『日常』にしていく」、これこそが当社の存在意義だと考えています。

当社のビジネスとして言い換えると、「ダイキアクシスは『海外における水衛生インフラの整備』を今後の成長エンジンと捉えていく」ということに他なりません。つまり、成長の主軸は海外であり、水に関する商材の拡充を図っていくことになります。

経営戦略|目指す姿

現在、当社はおかげさまで「国内有数の浄化槽メーカー」と言っても過言ではありません。しかしながら、ご案内のとおり、今後はグローバル市場への本格的な進出を開始します。

国内で培われた浄化槽技術を、途上国の発展段階に合わせて展開していきます。まずはアジア、インドを足がかりに、中東、アフリカを目指していきたいと考えています。

さらに、我々にはもう1つ野心があります。上水、下水、産業排水、海水淡水化などを水ビジネス全般として捉えると、2030年には世界で100兆円を超える市場が見込まれています。当社としては、「浄化槽メーカー」から「グローバルな水ビジネスのプレイヤー」へのシフトを模索していく必要があると考えています。

経営戦略|経営モデル

これまで当社は、国内と海外それぞれで、独立したかたちでの環境機器関連事業がありました。これらに並列で住宅機器関連事業があり、近年では再生可能エネルギー関連事業も開始しています。

つまり、4つの主力事業がそれぞれ独自の戦略を持ち、独立して運営されるという、ポートフォリオ型の経営モデルを採用してきました。

今後、当面はグローバルな途上国市場を成長の主軸として捉え、日本市場の事業で培われた技術やソリューションを展開していきます。

つまり、日本市場は今後のグローバル展開に向けたR&D機能を果たしていく、という言い方もできます。

グローバル展開については、現在インドで成功を収めつつあるモデルを成熟させ、他国に展開していきます。従来から、当社の得意技は「ルール作りから取り組んでいく」というものでした。実はインドでも同様に、政府とのルール作りから始め、ようやく軌道に乗ってきたところです。こちらについては、後ほど詳しくご説明します。

海外市場への足がかりができてきたところで、次は商材になります。こちらについては現在、3段階で考えています。

まずは、国内の環境機器関連事業における商材、すなわち「日本の公衆衛生」を海外に展開します。ここでは、これをWave1としています。

対象国の公衆衛生環境が整ってくれば、人々の安全安心が実現されます。そうなると、マズローの欲求5段階説と同様、次は「快適」が求められます。したがって、現在の住宅機器関連事業の商材やソリューションを展開していきます。これがWave2です。

それ以降については、再生可能エネルギー関連や現在パイプラインにある新規事業を検討していくことを考えています。

従来は、ポートフォリオ型の経営モデルだったとお伝えしましたが、今後は各事業が連携して海外事業を拡大するという意味で、シナジー型の経営モデルに移行していくことになります。

グローバルレベルでのシナジーを創出していくためにも、従来のような、国内と海外といった区分けではなく、まずはグローバル戦略があり、その一部として日本戦略がある、というかたちに変えていきます。

調達や製造コストの削減、工事会社や代理店との連携、人材調達や育成など、グローバル全体で事業の横串を通すことによるシナジーは少なくありません。そのための組織構造や管理体制に順次移行していきます。

経営戦略|グローバル化への梃子

ここまでお話ししたように、自国に有力事業があり、その商材を機会があれば海外にも販売していくといった今までの「インターナショナル企業」から、ヒト・モノ・カネをグローバルで一元化することで、シナジーを創出する「本格的なグローバル企業」へのシフトを図っていきます。

ただし、何事にも1歩ずつという考え方が重要かと思います。

まずは、現在の海外拠点の存在、あるいは代理店や工事会社とのネットワークに磨きをかけます。それに加え、グローバル化のパーツとなる、現在の主軸事業の抜本的強化を図りたいと思っています。各事業の戦略については、後ほどご説明します。

さらに、私は海外生活が長かったこともあり、海外文化に関する知見および人的ネットワークを有しています。これらを最大限に駆使し、グローバル化への陣頭指揮を執っていきたいと考えています。

ここまでは当社のミッション・ビジョン、経営モデルのご説明でした。以降は、主力事業における今後の戦略と、目指すべきゴールについてご説明します。

事業戦略|各事業 概要説明

事業戦略についてです。当社は、環境機器関連事業、住宅機器関連事業といったダイキアクシスの屋台骨を支える2つの基幹事業に加え、再生可能エネルギー関連事業を手がけています。

環境機器関連事業については、日本市場では下水道が未整備である地域に対し、以前から生活排水を処理する「浄化槽」の導入を行っています。さらには、食品や化学系の工場、あるいは病院などの大規模施設向けに、産業排水を処理する「排水処理システム」の導入を開始しています。

それぞれで、製造、販売、設置工事からメンテナンスまでを一気通貫で手がけています。特にメンテナンスについては全国規模の24時間サービスを開発し、それを強みとしています。

一方、グローバルにおいては、途上国の下水処理問題に対する解決策として「浄化槽」を展開しています。2024年時点で、インド、インドネシアなどに進出し、30社を超える現地代理店と提携しています。

当社は国内事業の展開においても自治体とのルール作りから始められることを強みとしており、インドへの展開でもそれが強みとなって成功を収めつつあります。

次に、住宅機器関連事業については、トイレ、キッチン、バス周辺の「水回り設備の卸売事業」を展開しています。それと並行し、タイルなどによる外壁や内装の工事事業を行っています。

さらに昨今、「木構造事業」を手がけています。こちらは資材調達から構造設計、施工までを自社で行います。強度を保持しつつ、自然との調和が図れるという特徴により、教育・介護施設などからの引き合いが増加しています。

再生可能エネルギー関連事業については、太陽光発電所運営が主力です。これまでに200サイトを超える実績があり、EPC(案件の精査、工事業者の手配、地域住民への説明会など)から売電までトータルで対応しています。その他、首都圏の大手コンビニチェーンの配送車両にバイオディーゼル燃料の提供を開始しています。

全体のポートフォリオについては、2024年の売上ベースで、環境機器関連事業、住宅機器関連事業、再生可能エネルギー関連事業の順に、10対10対1程度と考えていただければよろしいかと思います。一方で、利益ベースでは20対5対1程度の割合です。

環境機器関連事業のグローバルについては、トータルで見ると利益が確保されていない状況ですが、さまざまな試行錯誤の中で、ようやくインドでの展開が成功しつつあります。この「インドモデル」を標準化し、他地域に展開できれば、形勢は一気に良くなるポテンシャルを秘めていると考えています。

次に、2027年度に向けた各事業の計画について、詳しくご説明します。

事業戦略|環境機器関連 日本市場

当社の主力事業である環境機器関連事業からご説明します。

まずは、日本国内の事業についてです。繰り返しお伝えしているとおり、日本国内の事業は収益のみならず、グローバル向け商材のR&D機能も果たしています。従来の当社事業は、一言で言えば「工事」と「製品販売」でした。

なお、浄化槽のメンテナンスは法律で義務づけられており、設置すると必ず定期点検が発生します。設備の新設に伴い、産業排水処理システムと合わせると、保守契約数は年間150件から200件くらいずつ増え続けています。また、当然のことですが、不具合の発生時には、お客さまがメーカーである当社に修繕を依頼します。

既存の工事や製品販売は、新しく建物ができるたびに提案し受注するという、いわば「フロー」の形態でした。それに対し、メンテナンスは一度契約を結べば長期的にお客さまとの関係が構築され、安定したビジネスが展開できるという「ストック」の形態です。

このストックビジネスの拡大は、「先々の売上があらかじめ読める」という売上の安定確保のみならず、利益率が高いというメリットを持っています。

そして、なによりも重要な点は、営業効率が格段に向上することです。今後も当社が工事を行う際は、しっかりと長期保守契約の提案を行っていきたいと思っています。

メンテナンスにより、お客さまとの接点を長期的に維持していくことで、営業のように警戒されることなく、ニーズを捉えていくことが可能になります。これにより、現時点で60億円ほどの売上が、2027年には85億円ほどになる見込みです。そして、環境機器関連事業の国内売上に15パーセント弱の成長をもたらします。

今後は、メンテナンス業務の標準化により生産性も向上させ、利益率のさらなる向上を狙っていきます。

事業戦略|環境機器関連 グローバル

環境機器関連事業におけるグローバル展開については、国内で培われた技術を展開していくかたちになります。しかし、単にそこにニーズがあって、商材があれば購入されるという単純なものではありません。このあたりをご説明します。

グローバル事業は、個々にお客さまにアプローチするのではなく、現地の代理店や協力会社などと連携し、市場を面としておさえていく必要があります。

現在、当社の事業はインドで一定の成功を収めつつあります。売上ベースで見ると、2024年時点では約6億円ですが、3年後には約21億円になる予定です。利益ベースでも、2024年時点で1億6,000万円の赤字ですが、2027年には1億8,000万円の黒字を見込んでいます。

インドでの取り組みを要約すると、最初から市場があったわけではなく、現地政府とのルール作りから行い、市場を創り上げています。また、現地を広くカバーする代理店と友好な関係を構築できたことが成功要因だと捉えています。

ルール作りから始めることは、決してインドが初めてというわけではありません。日本における環境機器関連事業で、以前から当社が得意としてきたものです。

インドでの取り組みは一言でいうと、スライドに記載のとおり、参入基盤の確立を5段階のステップで進めたものです。

1段階目は、水質汚染状況やインフラ整備の課題を知り、その解決に向けた技術支援を行う準備を進めます。2段階目として、現地の有力パートナーとの関係を構築し、協働で市場開拓を行います。

3段階目には、現地で独立したオペレーションを行うための協力会社や人材の確保を行い、4段階目で、特にガンジス川浄化計画など、社会的インパクトの高い事業への参画に注力します。そして5段階目として、これを足がかりとして政策提言を行い、政府との連携構築を図っていくという流れです。

この参入基盤が整備されれば、あとは営業拠点の整備を行い、それに伴って生産拠点も準備していきます。そして、法整備が行われると、受注拡大の基盤が整います。現時点では、このようなアプローチを「インドモデル」として成熟させ、他国展開に活用する動きを進めています。

現時点でのグローバルにおける各地域の状況として、インドでは法整備完了の見込みが立っています。政府と進めてきた認証制度が昨年末に整備され、当社が第1号となる予定です。これにより、いよいよ受注拡大に入ります。

インドネシアは、当社が最も早く海外進出した地域です。結果的には試行錯誤していますが、今はインドと同様に、政府へのアプローチを進めています。スリランカも同じような状況です。それに遅れてバングラデシュが続いています。

中東はインドと同様のアプローチが取りやすいのではないかという仮説があり、その検証を重ねているところです。さらには、インドで育成した人材により、アフリカへの展開も予定しています。

このように、インドでの成功要因を丁寧にモデル化し、それを他国展開に反映していくことを計画しています。そこでの試行錯誤により、さらにこのモデルを磨き上げるというプロセスを定着化させていく方針です。

事業戦略|住宅機器関連

当社のもう1つの基幹事業であり、祖業でもある住宅機器関連事業についてご説明します。住宅機器関連事業は、当社全体の売上高の4割を占める事業でもあります。

こちらは2つの事業で構成されています。1つは、水回りをはじめとしたメーカー製品の卸売です。主に、建設事業者向けに販売しています。もう1つは、内外装や空調などの工事です。こちらは現在、売上高の約3割に至っています。

ご存じのとおり、国内の建設市場は成長が鈍化しており、従来のような成長は望めません。住宅機器関連事業は成長事業ステージを過ぎ、中核事業ステージに移行したと捉えています。したがって、従来のようなシェアや売上の拡大追求ではなく、「利益追求型」の管理へと移行していきます。

2024年度の売上高は198億円、営業利益は4億5,000万円でした。2027年度は、売上高210億円、営業利益5億7,000万円を計画しています。売上高は約5パーセントの成長ですが、営業利益は約27パーセントの成長となります。

どのように利益を追求していくかについて、真っ先に思い浮かぶ取り組みはコストダウンです。もちろん、こちらは業務の標準化や統合化により、粛々と進めていきます。

それに加え、コストをコントロールしていきたいと思っています。過去には商品の卸売に加え、工事案件の受注に力を入れてきました。今後は、設計などの上流プロセスをカバーしていきます。

例えば、木構造事業では、木材の調達からデザイン、構造設計、施工、アフターサービスまですべて一気通貫で行うことにより、利益のコントロールスパンの拡大を狙っています。

さらにはトップライン強化のため、事業をソリューション型へ変えていきます。例えば、空調工事がその典型です。空調機器の施工のみであれば、提供価値は「冷やす」か「暖める」になります。ただ、それを店舗設計から行うとなれば、お客さまに対して来店者数向上などのビジネス価値を提供できることになります。

つまり、モノではなく「課題解決」を販売するという考え方です。

加えて、将来の住宅機器関連事業の熟成化は、当社のグローバル化にも寄与していきます。ご案内のとおり、環境機器関連事業の貢献によって、今後途上国での公衆衛生を確立していきます。

「安全安心」が確保されると、次は「快適性」が求められます。環境機器関連事業が地域の安全や安心を提供し、住宅機器関連事業がその次のフェーズとなる「快適性の追求」に貢献していきます。

したがって、住宅機器関連事業の商材および関連ソリューションは、当社のグローバル展開の戦略的事業となっていきます。以上、当社の基幹事業である環境機器関連事業、住宅機器関連事業の戦略をお伝えしました。

事業戦略|再生可能エネルギー関連

インキュベーション事業ともいえる、再生可能エネルギー関連事業についてご説明します。

当社は「環境」をテーマとした新規事業として、再生可能エネルギーの分野にも取り組んできました。これまでに200ヶ所以上の太陽光FIT(注1)や、PPA(注2)発電所の運営を行っています。

しかしながら、太陽光発電施設は急増、日中の出力制御(注3)なども発生しており、従来どおりの拡大は難しいと考えています。FIT制度の終了も見据え、蓄電池などの新技術情報に広くアンテナを張っていきます。

また今後は、市場成長率の高い「グリーンデータセンター」と「バイオディーゼル燃料」を重点分野として取り組んでいきます。

グリーンデータセンターの候補案件は、すでにいくつも出てきています。それらを厳選し、投下資本に対する収益性の高い案件に絞って投資を行っていきます。太陽光発電事業で培った投資案件の精査や、運営ノウハウを活かせると考えています。

一方、バイオディーゼル燃料事業については、これまで愛媛県内で実証実験を進めてきました。この事業を一言でいうと、廃油を回収し、燃料として再生させる事業になります。

昨今、サーキュラーエコノミーへの機運が高まっており、地産地消の循環型燃料に対する需要は、今後ますます増加していくことが予想されます。そのため、今後は市場規模の大きい首都圏で本格的な事業展開を進めていきます。

2024年、茨城県にバイオディーゼル燃料の製造プラントを建設しました。すでに東武鉄道グループのバス車両や、「セブン-イレブン」の店舗配送トラック向けに、燃料供給を開始しています。本中期経営計画期間中のフル稼働化を目指していきます。

各事業の説明は以上となります。

(注1)固定価格買取制度:当社グループが自己資金で太陽光発電所を開設し、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるもの
(注2)当社グループが自己資金で太陽光発電所を開設し、再生可能エネルギー源の電気を購入したい電力需要家との間で電力購入契約を結び、発電した電気を供給する仕組み
(注3)発電所の発電量(出力)を調整することで、電力需給のバランスをとる措置

全社数値計画

3ヶ年の数値計画です。2027年度の目標として、売上高530億円、経常利益15億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益11億円を設定しています。これらを達成した場合、売上高、利益ともに過去最高を更新することになります。また、親会社株主に帰属するROEは9.7パーセントと、ほぼ2桁の数値を目指します。

財務戦略|基本方針

全社の話に戻り、成長を支える財務戦略についてご説明します。

当社の財務戦略は3つの方針で成り立っています。1つ目として、成長分野への積極的なキャッシュアロケーションを行います。詳しくは後ほどお話しします。

2つ目として、財務規律、すなわち最適な財務レバレッジの水準を保ちます。現在の自己資本比率は25.7パーセントのため、この水準を大きく落とすことなく、仮にレバレッジでの投資を行う場合でも、投下資本収益性を下げることのないよう、投資を厳選していきます。

この1つ目と2つ目の基本方針は、言い換えると「積極投資と財務健全性とのバランスを重視する」ということになります。

そして、3つ目は株主還元です。これも後ほどお話ししますが、これまでと同様に安定配当を行い、EPS成長との両輪により、トータルで株主に報いたいと考えています。

これら3つの基本方針を進めることで、ROICを高め、企業価値を増加させていきます。3年後の2027年度には、親会社株主に帰属する当期純利益を11億円と見込んでいます。仮に自己資本比率が現在と同水準であれば、ROICは6パーセント以上となり、資本コストに対するスプレッドが拡大していく想定です。

財務戦略|キャッシュアロケーション

今後どのような投資を実行していくのか、具体的なキャッシュアロケーションについてご説明します。キャッシュアロケーションの考え方については、まず前提として、営業キャッシュフローの範囲内で投資を行うことを基本方針とします。

この中期経営計画3年間の合計では、営業キャッシュフローが60億円、それに対する配当総額は10億円を見込んでおり、成長投資枠として合計50億円を設定しています。

この50億円の内訳としては、1項目はグローバルでの受注本格化に備えた生産設備強化などの設備投資に5億円から10億円、2項目はメンテナンスビジネスの強化や、環境機器関連事業と住宅機器関連事業との連携強化、これらに不可欠な営業基盤のDX化、すなわちデジタル投資に5億円から10億円を予定しています。

3項目はグローバルカンパニーを目指す当社に必要な人材の確保・育成などの人的資本投資に最大5億円、4項目はM&Aに最大20億円、5項目は再生可能エネルギー関連への投資に最大20億円を配分します。

なお、再生可能エネルギー関連事業に関しては、当初から売却を前提として発電所を建設する案件もあります。昨年度も10億円ほどの施設売却を行っていますが、再生可能エネルギー関連事業内で完結するかたちで資金調達、投資、回収のサイクルを回しているため、全社のキャッシュアロケーションとは別枠で考えています。

財務戦略|M&A方針

M&Aの方針です。当社は過去20年間で13件のM&Aを行ってきました。

例えば、環境機器関連事業では日本市場での無機系排水処理システム、海外ではインドネシアの生産拠点、住宅機器関連事業では空調設備工事、再生可能エネルギー関連事業では太陽光設備工事や小形風力発電など、すべてのセグメントでM&Aを行い、各事業を強化させてきました。

現在、当社の連結売上高468億円のうち、買収事業の売上高が24パーセント、100億円以上となっています。買収した事業はいずれも当社グループ主力事業の一角を担っており、また、いくつかの会社については当社本体と一体化させることで、すでにシナジーを大きく発揮できています。今後も、重点分野において積極的にM&Aを進めていく方針です。

財務戦略|株主還元

株主還元の方針として、成長投資による利益の拡大、つまり中長期でのEPS成長と、直接的な株主還元である安定的な配当支払いや株主優待、これらを組み合わせたトータルでの株主還元を進めていきます。

なお、3年後の2027年度には親会社株主に帰属する当期純利益11億円を見込んでいるため、EPSは現在の26円から78円まで成長する目標を設定しています。また、1株当たり配当額と株主優待については、今後も現在の内容を継続していく方針です。

当社グループの役職員一同、「環境を守る。未来を変える。」という企業使命を果たすために、世界の環境課題を技術とアイデアで解決することで、世界の人々の生活を支えていきます。今後ともみなさまのご支援をお願いするとともに、期待に応えられる企業であり続けることを約束します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:数値目標の確度と、上振れのポテンシャルについて

質問者:数値計画の全体感についての質問です。今回、2027年度には売上高、当期純利益ともに過去最高を目指すという計画を出されています。少し強気な計画に感じたのですが、どのような考えで策定されているのかを教えてください。

また、仮にこの数値計画に上振れのポテンシャルがあるとすれば、どのような要素が考えられるのでしょうか?

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