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閔弘圭氏:代表取締役の閔弘圭です。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。株式会社Liberaware 2025年7月期第2四半期決算説明会を開始します。
それでは、詳細説明に移ります。スライドには本日の発表の流れを記載しています。本発表のエグゼクティブサマリーについてご説明したのち、当社のことをまだ知らない方もいらっしゃると思いますので、あらためて事業概要、そして決算概要、最後に将来の展望についてお伝えします。
決算サマリー:売上規模拡大と売上総利益率大幅改善
エグゼクティブサマリーです。まずは第2四半期の決算数値サマリーになります。売上高、各損益共に非常に順調に推移しています。
売上高は2024年7月期に比べて大きく成長しており、約2.3倍の売上高を獲得しています。これは、下水道や天井裏などの屋内ドローン点検の活用が認知されてきており、市場が確立されてきたことが背景にあると考えています。また、売上高増加により売上総利益率は18ポイント上昇しています。
経常損益に関しては、2025年7月期から本格的に開始したSBIR制度に伴うプロダクト開発3件の研究開発費が約2.6億円発生したことにより前年同期と同水準となっています。
この点について、SBIRの研究開発費約2.6億円は補助金対象であり、のちに補助金にて補填されることから、当該研究開発費を除いてノーマライズした場合、経常損益はマイナス5,000万円となり、損失は大きく縮小しています。
決算サマリー:業績予想上方修正(25年1月30日付)
業績予想について、当社は、1月末に通期業績予想を上方修正しました。これは、上期の業績が好調であり、特に点検ソリューションやソリューション開発の需要が引き続き高いことを反映したものです。
具体的には、売上高を期初計画の12億5,000万円から13億円へと5,000万円引き上げました。
また、経常損益については、800万円の黒字見込みから5,300万円へと引き上げ、当期純利益も500万円から5,000万円へと増加する見込みです。この修正は、各指標の拡大見込みの反映だけではなく、創業以来初の経常黒字化に向けて順調に進捗していることを示しています。
決算サマリー:事業構築フェーズから拡大フェーズへ
第2四半期の全体サマリーとなります。まず、第2四半期実績について、業績が順調に推移したのは、前年に引き続き事業構築フェーズから拡大フェーズに移行したことを示していると考えています。
また、トピックとしても埼玉県八潮市の道路陥没事故における下水道調査実績やKDDIスマートドローンとの業務提携、自治体連携も多数実施しました。 次に、2025年7月期の業績予想については、前年同期の進捗率32パーセントと比較して、上方修正後の予算に対して進捗率47パーセントと高い進捗率となっています。
特に、機体販売以外の売上高は決算発表日時点において受注残等で94パーセントを占めており、十分な積み上げができている状況です。
また、足元の数字だけではなく、将来のさらなる成長に向けて、各種成長戦略も予定どおり進捗しており、国家プロジェクト(SBIR)3件、補助金総額約57億円のプロダクト開発が進行中です。
海外展開については、韓国市場において展示会参加などマーケティング活動を推進中です。
埼玉県八潮市の道路陥没事故における下水管調査活動
当四半期の重要トピックになります。
1つ目は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故において、小型ドローン「IBIS2」を使用し、下水管内の調査を実施しました。事故現場の下水管内は、狭く暗く、硫化水素の発生や流水の影響で人が立ち入ることが困難な環境でしたが、「IBIS2」により鮮明な映像を取得し、下水内部の状態やキャビンを確認しました。
本調査は事故発生から8日経過後に行われましたが、今後は発生直後から迅速に対応できるよう、自治体や関係機関との連携を進めていきます。
また、同様の事故を防ぐために、下水管の定期点検への「IBIS2」の活用を広げていきます。
KDDIスマートドローン(株)と業務提携開始、ドローンの社会実装へ
2つ目は、当社は、KDDIスマートドローンと業務提携を開始しました。KDDIスマートドローンが持つ通信技術やドローン運用のノウハウと、当社の産業用小型ドローンの技術を融合させ、ドローンの社会実装を加速させていきます。
本提携により、新たなサービス展開やソリューション構築を進め、より多くの環境でドローンの活用を可能にします。ドローン技術を社会に根付かせ、安全で効率的な未来の実現に向け、両社は連携を深めていきます。
MISSION
あらためて当社の事業概要についてご説明します。当社のMISSIONは「誰もが安全な社会を作る」ことです。
VISION
そのために、現在進行しているインフラの老朽化における、「見えないリスクを可視化する」ことをVISIONとし、事業を行っています。
ビジネスモデル
ビジネスモデルについてご説明します。当社は、ハードウェアとして、狭くて、暗くて、危険な環境を点検できる、自社で開発した産業用小型ドローンと、ソフトウェアとして、ドローンなどで撮影した映像データを定量的に解析できる「LAPIS」というソフトウェア技術を用いて事業を行っています。
ビジネスモデル
当社のビジネスモデルは大きく、ハードウェアを基盤とするものと、ソフトウェアを基盤とするものに分かれています。
まず、ハードウェアを使ったサービスとして、2つの柱があります。1つ目は、当社のパイロットがドローンを活用して点検を行う点検ソリューションです。2つ目は、ドローンの販売やレンタルを行うプロダクト提供サービスになります。
次に、ソフトウェアを基盤とするサービスとして、取得したデータを3次元化・解析するサービスと、デジタルツインプラットフォーム「TRANCITY」の提供があります。この「TRANCITY」は、JR東日本との合弁会社CalTaを通じて展開しています。
また、当社の特徴的な事業としてソリューション開発事業があります。ソリューション開発事業では、大企業等からの案件を受け、受託開発を実施するもので、この事業における開発案件から、「IBIS」や「LAPIS」といったプロダクトが生まれました。今後も本事業を通じて新たなプロダクトを生み出していきます。
事業構成
スライドには事業構成図を記載しています。全体の約6割がドローン事業であり、残りがソリューション開発事業とデジタルツイン事業に分かれています。
ドローン事業はプロダクト提供サービスと点検ソリューションがスライドのとおりの割合となっています。次に割合の大きいソリューション開発事業では、原発内の調査や測量アプリの開発などを行っています。
また、デジタルツイン事業には、3D化などの画像処理や、建物、施設のデジタル化やBIM化、「TRANCITY」のライセンスフィーなどが含まれています。
当社は、ドローン技術とデジタルツインを活用し、インフラの点検・調査からデータ解析・管理までを一貫して支援しています。
ハードウェア:屋内狭小空間点検ドローン「IBIS2」について
それでは、当社の強みとなるプロダクト、自社開発の産業用小型ドローン「IBIS2」をご紹介します。
「IBIS2」は国産ドローンであり、狭く、暗く、危険な環境での点検に特化しています。特に注目すべきは、世界でもまだ類を見ない小型防塵モーターを搭載している点です。
また、飛行制御アルゴリズムから機構・筐体まで、すべてを自社で開発し、狭い空間でも安定した飛行が可能で、過酷な環境に耐えうる高い性能を実現しました。
ソフトウェア:3次元解析クラウド「LAPIS」について
当社の強みのプロダクトである、3次元解析クラウド「LAPIS」についてご説明します。
「LAPIS」は、狭く、暗く、危険な環境でも高精度な3次元解析を実現するソフトウェアです。さまざまな画像処理やAI解析、BIM図面化などと連携し、異常検知や差分検知、体積計測モデルの作成まで、多彩なニーズに対応可能です。
デジタルツインプラットフォーム「TRANCITY」の説明
デジタルツインプラットフォーム「TRANCITY」についてご説明します。こちらは、ドローンやスマートフォンで撮影した映像を3次元化し、点群データとして管理するプラットフォームです。
「LAPIS」の画像処理技術を基に、JR東日本と当社の合弁会社であるCalTaと共同開発しました。さまざまな端末から閲覧可能で、すでにJR東日本を含む7,000名以上のユーザーにご利用いただいています。
強み・優位性
当社の強みは、劣悪環境や狭小空間など入手困難なデータを獲得できるハードの優位性、そして、劣悪な環境を定量化できるデータの優位性があることです。それを評価していただいているからこそ、大手企業を含む累計310社以上と取引しています。
強み・優位性(ハード):国産の産業用小型ドローンの展開
当社のハードウェアの強みについてご説明します。ドローン業界は屋外・屋内、サイズで分類され、主流は屋外用の大型ドローンです。これは、空撮や配達用途がドローン業界の起点だったためです。
一方、当社は狭く暗く危険な環境で飛べるドローンの開発に注力してきました。この分野では他社を凌駕する技術力を持っていると自負しています。
また、産業用小型ドローンの開発は技術的に非常に難しく、当社はこの分野で独自の地位を築いています。さらに、「小型・屋内狭所」という領域でソフトからハードまで網羅的に特許を構築しています。
強み・優位性(ソフト):劣悪な空間の3次元化技術
当社ソフトウェアの強みについてご説明します。狭く、暗い環境はノイズが多くデータ処理が困難ですが、当社のソフトウェアはこれらを克服し、3次元化と環境の定量化を実現しています。この技術により、図面が存在しない環境でも、ドローンで撮影したデータを3次元化し、独自のサービスを提供しています。
図面がない建物において、天井などの狭く、暗い空間は当社の技術を、広い空間は既存の測量機器を活用し、建物全体を3次元データ化することでBIM化を実現します。BIMは政府が推奨する分野であり、当社の技術は、さらなる成長に向けて重要な役割を果たすと考えています。
第2四半期業績ハイライト(売上高と経常損益)
2025年7月期第2四半期の詳細な業績報告に移ります。まず、数値報告です。
業績ハイライトになります。当四半期の売上高は過去2期間と比較して大きく成長を遂げており、通期黒字化に向けて順調に進捗しています。
第2四半期事業ハイライト
第2四半期の事業ハイライトです。当社は現在、事業の拡大期にあり、それを裏付ける各種の数値が大きく伸長しています。売上総利益率は44パーセントに上昇し、リカーリング収益も3億6,400万円と大幅に増加しました。
ビジネス面では、八潮市の下水道調査での実績を活かし、各自治体や機関と連携してドローン活用を推進しています。また、自衛隊、富山市、千葉市との新たな取り組みも進めています。
技術開発の面では、ホバリング機能を搭載した「IBIS2 Assist」を開発しました。
成長戦略についても、鉄道点検におけるドローンソリューションの開発では、JR東日本だけではなく、鉄道会社各社と提携を行い、現場への実装に向けて取り組みを進めています。
このように、ビジネス・技術開発共に順調に進捗しており、今後の成長に向けた基盤が着実に整ってきています。
業績概要
業績概要です。まず、お伝えしているとおり、売上高、売上総利益が大幅に増加しました。一方で、経常損益は約2.4億円の赤字となっています。
後ほど詳しくお伝えしますが、大きな影響は主にSBIR研究開発活動の本格化に伴う開発費約2.6億円の計上であり、当該SBIRの影響約2億円を除けば経常損失は大幅に改善しています。
機体販売と機体販売以外売上高の前年同期比較
各指標について詳細に見ていきます。こちらのスライドは、売上高実績について、機体販売と機体販売以外に分けて、前年同期と比較したものです。
まず、機体販売について、第2四半期は5.5セット販売しました。累計ベースで前年同期と比較して1.5倍となっています。
次に、機体販売以外の売上高のうち、リカーリング収益について、前年同期の1億3,000万円から2.8倍の3億6,400万円へと大幅に増加しました。売上全体に占めるリカーリング収益の比率も71パーセントと高水準を維持しており、当社のビジネスの安定性を示しています。
このように、機体販売の拡大とリカーリング収益の成長が両輪となり、売上全体が順調に伸びています。
リカーリング収益に係る各種KPI推移(四半期)
リカーリング収益について、各種KPIの推移をご説明します。まず、点検・データ処理サービスの継続顧客の売上高割合は71パーセントとなりました。これは、点検ソリューションに関する継続顧客からのリピート発注が多かったためです。
次に、月額収入のサービスである、レンタルセット数と「TRANCITY」アカウント数は、第1四半期と比較すると伸びていませんが、想定どおりの推移となっています。
最後に、ソリューション開発における前年から継続して実施している案件数は、前年同期の4件から9件へと増加しました。これは、スポット案件ではなく、継続的に開発を依頼される案件が増えてきていることを示しています。
全体的に、リカーリング収益に関する各KPIは順調に成長しており、安定した収益基盤が確立されつつあります。
利益に関する各種指標
利益に関する各種指標についてご説明します。まず、売上総利益率は前年同期の26パーセントから44パーセントへと大幅に上昇しました。
次に、研究開発費以外の販管費ですが、売上の大幅増加に対して微増となっています。これは、既存人員の稼働率改善により、コストをかけずに効率的な事業運営を進めた結果です。
最後に、研究開発費についてですが、第2四半期の累計額は約3億円です。ただし、補助金対象費用を除いた実質的な研究開発費は3,500万円となっており、SBIRを含む補助金を活用することで、成長戦略に必要な投資を継続しながら、キャッシュアウトフローの抑制も両立しています。
このように、当社は売上・利益の成長を維持しつつ、コスト管理と資金活用のバランスを取りながら、持続的な成長を目指しています。
売上高に係る事業別/サービス別推移(前年同期比)
売上高の事業別/サービス別の前年同期との比較になります。グラフをご覧いただければわかりますが、すべての事業領域で売上増加を達成しており、今後のさらなる成長に向けて良い流れを作ることができています。
売上高と営業損益の実績推移(四半期)
売上高と営業損益の四半期推移です。
まず、売上高についてですが、第2四半期は前年同期の2倍となり、四半期ベースで過去最高の売上を達成しました。
次に、営業損益についてですが、第2四半期期間はSBIR研究開発費を除くと黒字化を達成しました。これまでの投資フェーズを経て、売上の成長と利益率の改善により、収益基盤が強化されてきたことがわかります。
売上総利益率と売上総利益額の実績推移(四半期)
売上総利益率と、売上総利益額の四半期ごとの推移を示しています。売上総利益率は2024年7月期第2四半期以降40パーセント以上で推移しており、安定した収益構造が確立されつつあります。
販管費(研究開発費以外)実績推移(四半期)
研究開発費以外の販管費の実績推移についてご説明します。スライドに記載のとおり、人件費、経費共に固定費の要素が強く、安定的に推移しています。一部、営業活動の増加に伴い増える費目もありますが、全体としてはコントロールされている状況です。
研究開発費実績推移(四半期)
四半期ごとの研究開発費実績推移です。グラフをご覧いただきますと、2024年7月期の下期からSBIRプロジェクトが開始され、研究開発費の総額が大きく増加しています。今後も、プロジェクトが続いている間は多額の研究開発費が生じる見込みです。
次に、SBIR以外の研究開発費は低減傾向にあるものの、開発自体は順調に進捗しています。これは、既存事業の研究開発は企画・設計段階のものが多く、人件費が主なコストとなっているためです。
経常損益の増減分析(前年同期比)
SBIRの研究開発費と補助金収入が経常損益にどのように影響を与えているかを知っていただきたいスライドとなります。前年同期の経常損益と当四半期の経常損益を比較して分析しています。
まず、PLに大きな影響を与えるSBIR研究開発費を除いたご説明として点線より左側をご覧ください。前年同期と比較して売上高は3億5,000万円増加、原価もその分1億5,100万円増加し、その結果、SBIR研究開発費と補助金を除いた経常損益はマイナス5,000万円に改善しています。
そこに、SBIR研究開発費と補助金収入が入り、最終的なPLの経常損益はマイナス2億4,400万円となりました。こちらの分析により仮に補助金収入がタイムリーに入った場合の当社の経常収益力がわかっていただけると思います。
顧客数推移と業界大手顧客数
顧客数推移と業界大手顧客数についてご説明します。まず、累計顧客企業数は2025年1月末時点で310社となり、新規顧客が順調に増加すると共に、既存顧客の継続利用も多い状況です。
また、業界大手企業との取引も進んでおり、今後も大手企業の活用を広げながら、業界標準のポジショニングを狙います。
貸借対照表(前期末比較)
貸借対照表です。減資を行っている点がトピックになりますが、それ以外に大きな動きはありません。
役職員数推移(半期別)
最後の指標として、役職員数の推移ですが、事業規模の拡大に応じて着実に採用を進めています。特に、この後お伝えする多数のプロジェクトを進めるためにも、エンジニアの採用は積極的に進めており、全体の約半数となっています。
活動報告サマリ:成長戦略に沿った各種活動を実施
活動報告のサマリです。当社は、成長戦略の実現のため、戦略に沿った活動を行い、第2四半期は、既存サービスの適用範囲の拡充につながる活動を多数実施しました。また、「IBIS2」のバージョンアップの開発も実施しました。
【再掲】埼玉県八潮市の道路陥没事故における下水管調査活動
最初にご説明した埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故における下水道調査活動を深掘りしてご説明します。
全国で下水管の老朽化が進むも規模が大きく調査も容易でない
こちらのスライドは八潮市の事例を踏まえ、全国的な下水管の老朽化とその調査の課題についてまとめたものです。全国の下水管は約49万キロメートルに及び、今後20年で約40パーセントが耐用年数を超えると見込まれています。加えて、約2,200ヶ所の下水処理場でも老朽化が進行中です。
しかし、下水管の点検は狭く、暗く、危険な環境で、人が実施するのは困難な場合が多く、八潮市の事故のようなケースでも迅速な調査が求められます。そこで、「IBIS2」のようなドローンを活用することで、安全かつ的確な調査を実施することがあらためて重要になります。
自治体との点検実績を基に全国の下水道や施設調査に広げる
老朽化が進む下水管の調査ニーズは高まっており、当社は千葉市、東京都、など複数の自治体と協力し、点検の実証を進めてきました。
また、国土交通省も自治体に対する下水管の定期点検義務を拡大する方針を示しています。調査機器の例として資料にも当社ドローンが掲載されており、今後ますます調査の需要が増えることが予想されます。
これまでの実績と「IBIS2」の有効性を活かし、より広範囲な下水道インフラの維持管理に貢献していきます。
陸上自衛隊主催の南海トラフ地震を想定した大規模訓練に参加
次に、南海トラフ地震を想定した陸上自衛隊の大規模訓練において、ドローン技術の有効性を検証しました。
今回の訓練では、「IBIS2」を自衛隊車両に搭載し、リアルタイムの映像伝送やサーマルカメラを活用した要救助者の探索を実施しました。今後、このような技術を実際の災害現場で活用できるよう、自衛隊や自治体など関係機関との連携を強化していきます。
総延長約3,200kmの水道管を付設する富山市にて試験点検実施
こちらは、富山市での水道管点検におけるドローン活用の試験的な取り組みです。今回の取り組みでは、ドローンを活用して配管の裏側や死角となる部分を近接撮影し、安全性向上と点検の効率化・高度化を検証しました。
この検証を基に導入に向けてコミュニケーションを続けていきます。富山市以外の自治体でもさまざまな取り組みを始めており、当四半期で進捗しています。
世界最先端研究施設「J-PARC」、ドローン技術で施設点検を効率化
続いて、世界最先端の研究施設「J-PARC」において、ドローンを活用した点検プロジェクトを開始しました。
「J-PARC」では、老朽化が進む設備の安全管理強化が求められており、「IBIS2」を活用した点検業務の効率化や自動化の検討を進めています。本プロジェクトでユースケースを作り、発電所やインフラ業界への展開を進めていきます。
西部ガスホールディングス(株)とIBIS2を用いた共同実証実験を実施
次に、西部ガスホールディングスと共同で実施した、「IBIS2」とレーザースキャナーを活用した建物BIM化の実証実験についてご説明します。
多くの建築・インフラ施設では、図面が未整備または更新されておらず、維持管理のDX化が進みにくい課題があります。
今回の実証では、「IBIS2」で撮影した映像とレーザースキャナーで取得した点群データを「LAPIS」で処理し、高精度な3Dモデルを生成しました。これにより、既存設備のBIM化が可能であることを確認しました。
新型ドローン「IBIS2 Assist」を開発し、25年3月下旬リリース予定
最後に、当社の重要技術である「IBIS2」の次のバージョン「IBIS2 Assist」についてご説明します。
これまで、人が入ることが困難な屋内の狭い環境での活用を前提に、パイロットが自由に操作することを重視する半面、操作技能習得が課題にあがることがありました。
そのような課題に応えるため、「高度維持」「離陸」をアシストし、企業への導入ハードルを下げると共に、導入企業の点検作業効率を向上させることを見込みます。
2025年7月期計画方針
2025年7月期通期の業績予想の展望になります。まず、あらためて2025年7月期の計画方針をご説明します。
売上高や売上総利益率は、前年の実績やドローン市場の成長見通しを踏まえ、現実的な水準で設定しています。特に、機体販売は販売を開始して間もないことから、慎重に計画を立案しています。
営業費用については、ニーズ拡大による費用増加を最小限に抑えつつ、韓国市場を含む海外展開を見据え、活動費用を織り込んでいます。
最後に研究開発費については、国家プロジェクト(SBIR)3件を中心に計画し、開発費支出と補助金受領のスケジュールを考慮しながら計画を立案しています。
2025年7月期通期 業績予想(25年1月30日上方修正)
以上の計画方針のもと、立案した期初の業績予想について、1月30日に上方修正を行いました。修正後の数値は冒頭にお伝えしたとおり、売上高13億円、当期純利益5,000万円ですが、研究開発費については、前回予想と同額とし、約17億円の研究開発投資を見込んでいます。
通期業績予想に対する四半期ごとの売上高進捗率
業績予想に対する当四半期の売上高進捗率です。第2四半期までの売上高は修正後の通期業績予想に対して47パーセントの進捗率となりました。これは、前年同期の進捗率32パーセントと比較すると十分な進捗となります。
売上高予想に関する説明
こちらのスライドは売上高予測に関するデータになります。まず、機体販売は上期で20セットの販売を計画していましたが、第2四半期時点では14セットにとどまっています。
一方で、機体販売以外の売上高については、決算発表日時点で修正予算の94パーセントを第2四半期実績と受注残等で占めています。これは、継続顧客からのリピート点検や前年度から継続しているソリューション開発案件等が積み上がり、受注残となっているためです。
今後、「IBIS2 Assist」のリリースも追い風に下期での機体販売の拡大と、機体販売以外の事業領域のさらなる成長を進めていきます。
売上高に係る事業別/サービス別年度推移
こちらは事業別の予想値となりますが、第2四半期の各事業別の実績はおおむね想定どおりとなっています。
共創を軸に事業領域の拡大と既存サービスの付加価値向上を進め継続的な成長を加速
当社の成長戦略として、2025年7月期に関係するものについてご説明します。当社の成長戦略は、コアプロダクトの進化、成長エンジンの獲得、海外展開の3つとなります。こちらは予定どおり進行しています。
2025年7月期に関係する項目として、既存サービス適用範囲の拡充、既存サービスの付加価値向上、次世代ソフトウェア開発、鉄道環境特化型ドローン、海外展開についてご説明します。
主要業界の深掘りによる業界拡張と新規領域への拡大
まず、既存サービス適用範囲の拡充として、各業界リーダーと共創し、ニーズを把握することでユースケースを拡大し、各社の深堀りと横展開を狙います。
また、獲得したユースケースやノウハウをもとに新規業界、新規領域を開拓していきます。
自治体保有のインフラ点検実績を増やしサービス領域を拡大
各自治体のインフラ点検実績を積み重ねることで、サービスの提供範囲をさらに広げています。自治体ごとのニーズを把握し、新たなユースケースを開拓することで、下水道施設やオフィスビル、駅舎、港湾桟橋といった多様なインフラへの展開を進めています。
【再掲】新型ドローン「IBIS2 Assist」をリリース予定
「IBIS2 Assist」を再掲したスライドです。成長戦略のロードマップに沿った開発の一環として、引き続き計画に基づき、プロダクトの改良と実用化を進めていきます。
国家PJ参画①災害時生存者捜索に係るドローン技術開発
国家プロジェクト3件の進捗状況をご説明します。
まず、災害時生存者捜索に係るドローン技術開発が完了し、実証実験を行い成功しています。災害時の生存者探索において当社ドローンの有効性が確認できたことから、今後現場導入に向けた関係各所との意見交換を行います。
国家PJ参画②建設現場業務効率化に係るソリューション開発
建設現場の業務効率化を図るため、ドローンと3次元化技術を用いて施工管理のデジタル化、遠隔化に関するソリューション開発を行うプロジェクトです。こちらは、4億7,000万円の補助金を基にした3年間のプロジェクトですが、当社のソフトウェアである「LAPIS」をベースに開発するものになります。
プロジェクトの進捗としては、ユースケース検討が完了し、事業モデル検証に着手しています。また、ユースケース検討から得られた知見を反映し、ソリューション開発を進めています。
国家PJ参画③鉄道業点検に係るドローンソリューション開発
国家プロジェクトで最大の予算規模を誇る鉄道業点検向けドローンソリューション開発についてご報告します。このプロジェクトでは、鉄道現場の保全業務をより安全かつ効率的に行うため、ドローンを活用した点検システムを開発しています。
これまで作業員が実施していた線路沿線の総合的な保守点検、例えば建築限界内の障害物や環境変化の確認といった業務を、ドローンで代替することを目指しています。
JR東日本をはじめとする鉄道事業者の協力のもと、来年秋に向けてドローンや管制システム、デジタルツインシステムの原理試作開発を進めており、現時点で設計が完了しています。
実運用は2028年春を予定しています
ソリューションイメージ
こちらのスライドは開発中のドローンをイメージしたものです。鉄道環境に特化した仕様となっており、日常的な保全業務を支援することで、作業の負担軽減と安全性の向上に貢献します。
鉄道業点検に係るドローンソリューションの市場性
鉄道業点検に係るドローンソリューションの市場性ですが、国内の鉄道事業者に対象を限定した場合でも、本サービスにおけるSOMは約2,000億円と推定され、全世界の鉄道事業者に対して設備インフラ点検の業務全体を代替した場合、市場規模は13兆円にのぼります。
大阪・関西万博への参画(25年4月15日~21日)
本プロジェクト「Project SPARROW」の一環で、大阪・関西万博に参画します。ドローン技術の社会的な認知度向上と受容性の強化を目的とし、「肌で感じるProject SPARROW」をコンセプトに掲げています。
今回は、Liberaware、CalTa、KDDIスマートドローンの3社が共同で参加し、実際に技術を体験しながら、その可能性を感じていただける機会を提供します。
複数の鉄道事業者の参画
今回のプロジェクトには、JR東日本に加え、JR東海、JR西日本、JR九州、西武鉄道の計5社が参画することとなりました。JRグループ6社のうち、本州及び九州の4社が参加しており、鉄道業界全体での関心の高さがうかがえます。
特に、既存の点検手法の効率化や安全性向上に向けた技術導入への期待が高まっており、各社が積極的に連携を進めています。今後も、鉄道インフラの維持管理においてドローン技術が果たす役割をさらに拡大できるよう、実証を進めていきます。
韓国での市場確立に向けマーケティング活動を推進
韓国市場でのドローン事業の確立に向け、マーケティング活動を本格的に推進しています。日本で培った屋内点検ドローンの知見やノウハウを活かし、自治体との連携や展示会への出展を中心に活動を始めており、今後も市場開拓を進めていきます。
以上で、株式会社Liberaware 2025年7月期第2四半期決算説明会を終了します。ありがとうございました。