本日のご説明内容
福島嘉章氏(以下、福島):株式会社ランドコンピュータの代表取締役社長を務めています、福島嘉章です。本日はどうぞよろしくお願いします。
アジェンダはスライドのとおりです。まず弊社のご紹介、強み、今年度の業績動向についてご説明します。そして、今後の成長戦略、株主のみなさまへの還元の中身、それから弊社のサステナビリティについてお話しします。
会社概要
福島:まず、弊社のご紹介です。代表取締役社長は、私、福島が務めています。取締役会長の田村秀雄は3兄弟で、彼の上の兄2人が今も学校法人を経営しています。後ほどあらためてご説明しますが、まずはこのような学校法人を起源とする会社であることをご認識いただければと思います。
設立は1971年で、54年が経ちました。売上高は約137億円、社員は600人弱が在籍しています。本社は東京都港区の田町にあり、大阪市の肥後橋にも関西事業所を構えています。連結子会社には株式会社インフリーと株式会社テクニゲートがあり、こちらはSAPや会計のパッケージを強みとしています。
社名の由来
福島:社名の由来になります。スライドの写真に写っている人物は糸川英夫先生です。「小惑星イトカワ」という名前をご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、小惑星探査機「はやぶさ」の探査対象になった惑星です。
「ロケット開発の父」と呼ばれる糸川先生が、私どもの会社になる前の専門学校である日本コンピュータ学院研究所をスタートさせました。その後、専門学校から会社にする際に、糸川先生がカリフォルニアのシンクタンクのRAND Corporationで仕事をしていたご縁から、「ランド」をいただいて社名にしたという経緯があります。
初代の学院長は糸川先生ですが、先ほど少しお話ししたとおり、現在は田村会長と兄2人が学校経営を行っています。多摩大学関連や、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校、渋谷教育学園渋谷中学高等学校といった学校群です。このような教育というDNAを継ぎながら、システムエンジニアリングの世界で仕事をしている会社となります。
社是/経営理念
福島:スライドに「こころできまる」とあります。これは、富士通の第8代社長や会長職を歴任された小林大祐氏に揮毫して(書いて)いただいた社是です。非常に簡単な言葉ではありますが、私の大好きな含蓄のある言葉で、これを社員が常々見て仕事をしています。
経営理念は3つです。我々は技術者集団であるため、1つ目と2つ目はエンジニア一人ひとりが持つべきものとして掲げています。
1つ目は、お客さまの満足度を高めていくことにより、企業価値を高めていきます。
2つ目は、エンジニアリング集団として、情報技術のリーディングカンパニーになるという意識を一人ひとりが持つべきであるという理念を掲げています。
3つ目は、エンジニアを会社が土壌となって支え、革新的企業文化風土を維持していくことを掲げています。
ランドコンピュータの歩み
福島:ランドコンピュータの歩みです。スライドに、約40年前の1984年からの年表を掲載しています。折れ線グラフが売上高の推移で、その下にオレンジの吹き出しがあります。
1990年前後にバブル崩壊がありました。2000年前後にはITバブルの崩壊があり、ドットコムバブルとも言われています。直近では2008年にリーマン・ショックがありました。
このような環境の変化が起きた時には、経済的に世の中の環境が悪くなり、お客さまの財布の紐が当然堅くなります。弊社を含め、私どもの業界でもお客さまのシステム投資が厳しくなり、折れ線グラフのように売上が大きく減少しました。
しかし、この40年間はそのような苦しい時も乗り越えてきました。青色の吹き出しに記載しているように、さまざまな事業を始めています。直近では、私が社長になった2018年に東証一部に上場しました。
そこからM&Aを仕掛けるなど、新しいビジネスに注力し、売上も今リニア(直線的に)で右肩上がりなっている状況です。50年以上しっかりと黒字経営を行っている会社であることをご認識いただけたらと思っています。
事業の特徴:ワンストップサービスの提供
福島:私どもの仕事を3つに分けて整理したのがスライドの図です。真ん中のブルーの部分は、システムインテグレーション・サービスです。お客さまの目線で課題を認識し、要件定義・製造工程・テスト運用といったサイクルで、お客さまに合ったシステムを構築していくビジネスです。これが私どもの祖業となっています。
オレンジの部分は、パッケージベースSI・サービスです。後ほどご説明しますが、世の中で必要とされるデファクトのパッケージの中身を私どもが理解し、かつお客さまの業務の中身も理解して、パッケージ導入支援を行っています。
パッケージを提供しても、そのままでは使えません。パッケージを使い込むためにお客さまに合わせたアドオン開発をしっかりと行っていきます。このサービスは現在、大変伸びています。
緑の部分は、インフラソリューション・サービスです。アプリケーションだけでは動かないため、アプリケーションを支えるインフラの整備が必要になります。例えば、クラウドの仕事を支えるセキュリティの技術などにあたります。
このように、インフラからアプリケーションまで挟み込むようなかたちでお客さまに対峙している会社となっています。
【1】システムインテグレーション・サービス
それぞれのサービスについて詳しくご説明します。初めに、我々の祖業であるシステムインテグレーション・サービスです。
スライドの図のとおり、まず企画立案でお客さまとしっかり話し合いを行い、要件を定義します。その後、システム構築で設計・製造・テストを行います。そして、システム運用に入ってテストや運用を行います。これを回していくことが、システムインテグレーション・サービスの中身になります。
【1】システムインテグレーション・サービス
福島:どのような分野での顧客が多いかというと、私どもの売上の約4割は金融分野です。やはり非常に堅牢なセキュリティを必要としている分野であり、そのような内容を祖業としていることもあって、銀行、ネットバンクをはじめ、証券、保険業界に多く携わっています。
その他に、非常に幅広い産業・流通分野でも基幹システムの構築などに取り組んでいます。また、公共・医療分野でもさまざまなサービスを提供しています。
【1】システムインテグレーション・サービス
福島:一例として、公共・医療分野での「ワクチン接種支援システム」をご紹介します。こちらは厚生労働省からのお仕事です。新型コロナウイルスが発生した時に、世の中が大変混乱した状況の中、いち早くプラットフォームを作る必要がありました。
そこで、私どもが「ワクチン接種支援システム」を構築しました。行政機関、医療関係者・接種会場、配送事業者、接種を受ける患者さまを結びつけるプラットフォームです。これは時間との勝負であり、当然品質を求められる仕事でしたので、エンジニアは大変苦労したと思いますが、今となっては非常に誇れる仕事の1つではないかと感じています。
【2】パッケージベースSI・サービス
福島:パッケージベースSI・サービスです。スライド左側の円グラフの大きさは、10年前の売上の大きさを表しています。その時は、パッケージベースSI・サービスの構成比はたった4パーセントでした。
しかし、右側の円グラフのとおり、10年後の2024年度は34パーセントとなり、我々の売上の約3分の1を占めるほど大きくなりました。当然、会社全体の規模も大きくなっていますので、それだけパッケージをベースとしたアドオン開発の仕事が世の中に求められていることがご理解いただけるのではないかと思います。
【2】パッケージベースSI・サービス
福島:パッケージSI・サービスで取り扱っている代表的なパッケージを4つご紹介します。
1つ目は、左上の「Salesforce」です。Salesforceは世界最大の顧客管理システム(CRM)、営業支援システムを提供している会社で、サンフランシスコのべイブリッジのたもとに、60数階建ての本社ビルがあります。
今から15年ほど前に日本に進出し、私どももそれに近い時期でこのサービスをスタートしました。最初は4人でしたが、今ではパートナーを含め200名弱までメンバーも増え、非常に活況を呈しています。
2つ目は、右上の「SAP」です。ご存じの方も多いと思いますが、SAPはドイツではSiemensを抜いて最大の時価総額を誇る会社です。お客さまの会社の基幹システムを含めた「経営統合パッケージ」として、日本でも多くの大手企業に導入されています。こちらのお仕事も大変増えており、今一生懸命に取り組んでいます。
3つ目は、左下の「SuperStream-NX」と「奉行V ERP10」です。「SuperStream-NX」はキヤノンの会計パッケージで、日本では中堅から大企業を中心とした1万社以上の企業での導入実績があり、非常に強いパッケージです。私どもは専門部隊を持って取り組んでいます。
4つ目は、右下の「COMPANY」です。大手企業で導入している人事・給与システムのパッケージで、一番大きなところでは証券会社や石油会社と直ユーザーとして取引しています。
【2】パッケージベースSI・サービス
福島:「Salesforce」で開発したシステムの一例として、イエローハットのシステムをご紹介します。イエローハットは全国に700店舗以上あります。いわゆるフロント系と呼ばれる部分で、タイヤの交換予約といった顧客管理システムを私どもが構築し、イエローハットの基幹システムにつないでいます。
【3】インフラソリューション・サービス
福島:インフラソリューション・サービスです。アプリケーションだけでは動かないため、クラウド、サーバー・クライアント構築、ネットワーク構築、アプリケーション基盤といったシステムインフラを構築して提供しています。今は特にオンプレミスからクラウドに持っていきたいと希望するお客さまも大変増えています。
当社の強み
福島:スライドに、当社の強みを4つ挙げています。1つ目は、50年以上にわたって黒字経営を行っている会社であることです。
2つ目は、技術力、業務知識、品質に裏づけされた強固な顧客基盤を持っていることです。私どもは50年以上エンジニアを揃えて仕事をしていますので、業務知識のみならず、50年にわたるお客さまの基盤もしっかり持っています。
3つ目は、人材育成に対する積極的投資です。冒頭で「学校法人からスタートした」とお話ししましたが、そのDNAを受け継ぎ、資格や教育に大変力を入れています。スライド下部にオレンジで記載のとおり、社員1人当たり4つ以上の資格を持っています。このような会社は珍しいのではないかと思っていますし、この数をさらに増やしていきたいと考えています。
IT資格はもちろんのこと、お客さまの業務資格にも注力しています。お客さまになりきることはできませんが、やはりお客さまの目線で仕事をしたいと考えており、各分野のお客さまの資格を取るという目標を掲げて日々勉強しています。
4つ目は、ビジネスパートナーとの長期的協力関係構築です。私ども1社では仕事はできません。現在、一緒に仕事をしていただいているビジネスパートナーが約30社あります。私どもが実施する教育をパートナーも一緒に受講しており、エコシステムの強化も行っています。
当社の強み 顧客基盤
福島:スライド右側の図は、私どもがいろいろな会社とパートナーシップを築いてきた変遷を表しています。オレンジの部分は、Salesforceから「Best Implementation Partner」を受賞した実績があるということで色を付けています。
スライド左側に細かく記載していますが、富士通グループ、日立グループ、NTTグループといった専門のITベンダーとの取引のベースを持ちながら、さらに直販として大手のお客さまとも取引があり、しっかりとしたバランス経営を行っています。
スライド左下には、協力会社として認めていただいているパートナーの例を記載しています。富士通を筆頭に、さまざまなパートナーから認定をいただいていることがおわかりになると思います。
当社の強み 優秀な技術者集団
福島:先ほどお話ししたとおり、優秀な技術者集団を有しているという強みもあります。スライドにオレンジで「平均4.08資格/人」と記載があります。実はこれは約1年前の情報で、今はもう少し伸びているのではないかと思いますが、1人の社員が4つ以上資格を持っています。
ポイントとしては、IT資格だけではなく、スライドに記載のような金融や医療といったお客さまの分野の業務資格にも注力して、一生懸命に取得に向けて取り組んでいます。このようにお客さま目線でのサービス提供を心がけています。
2025年3月期第3四半期累計 業績概況
福島:業績の動向です。スライド左側のブルーの列は、まだ第4四半期が締まっていないため、今年度第3四半期までの累計実績となります。今年度は非常に苦しい年度となりました。右から2列目の1年前の第3四半期実績と比べると、利益が大幅に減っていることがおわかりになるかと思います。
こちらは11月に発表しましたが、1つの大型不採算プロジェクトの発生が要因です。過去最大の赤字プロジェクトとなり、大変大きな影響となりました。第3四半期の累計実績は、利益が対前期で約27パーセントの減益と、大変残念な結果となっています。この件については、また機会があれば私からご説明したいと思います。
年末から稼働して3月に引き渡すということで、お客さまとしっかり協議した上で、今はまったく業績に問題なく進んでいます。ただし、起きてしまったことは戻せません。これをしっかり肝に銘じ、ここで学んだことを来年度以降活かしていきたいと考えています。
サービスライン別売上高
福島:サービスライン別の売上高です。スライドの表の左側の列が第3四半期までの売上で、合計100億円弱です。1年前と同程度だと見て取れるかと思います。本来はリニアに売上を上げたかったのですが、先ほどお伝えしたように、不採算プロジェクトが発生したことでこのような金額となりました。
この不採算プロジェクトについては、時間との勝負だったため、しっかりと抑え込む火消しを行いました。他の事業の事業部長やプロジェクトマネージャーといったいろいろなメンバーを導入し、新規で立ち上げるような売上も捨てました。利益は大きく減ってしまいましたが、売上は昨年並みであることがおわかりいただけると思います。
VISION 2025
福島:「VISION2025」についてです。スライドのグラフのとおり、2015年度から売上高が右肩上がりになっていることがおわかりになると思います。その間、東証への上場もありました。
昨年度は137億円の売上高を達成しました。「VISION2025」では124億円で計画していましたが、1年前倒しで137億円を達成することができました。1年早く達成できたため、今期は137億円の予定を142億円に上げてスタートしています。
今期も142億円をほぼ達成できるのではないかと目論んでおり、2026年度は150億円を目指しています。「VISION2025」としてこのような階段を上がっているということで、ご認識いただきたいと思っています。
中期経営計画(VISION2025)数値計画 進捗状況
福島:「VISION2025」の数値計画の進捗状況です。スライド左側の3列が昨年度、その右側3列が今年度の数値です。進捗率は、12月末時点での進捗を示しています。
昨年度は売上高137億円を達成しました。12月末時点での売上高・利益の進捗率は70パーセント前後で、年度末にはしっかり良いかたちで収めました。
今期の売上高の予想は142億円で、12月末時点の進捗率は売上高・利益ともに70パーセント程度です。持株を売ったことで当期純利益は75パーセントとなっていますが、全体として70パーセント以上と、昨年以上に進捗しています。
当初計画の150億円を早く達成するためには、このような階段を着実に上がっていく必要があり、現状としては良いかたちで進捗していると考えています。
中期経営計画(VISION2025)重点戦略項目
福島:「VISION2025」を達成するために必要な重点戦略は5つあります。1つ目は、「積極的なM&Aの推進」です。私が社長になってから2社のM&Aを行っており、大きなシナジーを生むことができています。
1社目は、ドイツの統合パッケージ「SAP」のコンサルティングを行っている専門会社です。私どもがM&Aを行い、シナジーを生むことができています。
2社目は、会計パッケージ「SuperStream」を専門に扱っている会社です。私どもが取り組んできた仕事でもあるため、シナジーがストレートに出てきています。このような事例もあり、今後もM&Aはしっかり行っていきたいということで計画しています。
2つ目は、「業務提携先とのさらなる連携強化」です。当然ながら業務提携先との連携は強化していきます。
3つ目は、「DXビジネス推進」です。スライドに記載のアジャイル開発やパッケージベースSIなど、DXビジネスをしっかりと推進していきます。
4つ目は、「人材育成への投資と得意分野の強化」です。私どもは学校法人からスタートしている会社です。人材の育成・投資にしっかり取り組んでいきたいと思っています。
5つ目は、「既存SI分野のさらなる売上拡大」です。私どもには、創業以来54年積み上げてきたベースラインがあります。さらなる売上拡大を目指していきたいと考えています。
株式会社東邦システムサイエンスとの業務提携契約締結
昨年発表したニュースで、株式会社東邦システムサイエンスとの業務提携契約締結についてご説明します。
渋谷にある「渋谷クロスタワー」は、以前は「東邦生命ビル」という名称でしたが、そちらに本社があった東邦生命保険相互会社のコンピュータ部門がスピンオフしてできた会社が、株式会社東邦システムサイエンスです。金融・保険に強い会社で、東証プライム市場に上場しています。
この会社と私どもの会社は、あまり業務が重なっていません。お互いが手を取り合うことで、さまざまな強化ができます。提携内容はスライドに赤文字で示しています。
株式会社東邦システムサイエンスと業務提携を結び、現在はいろいろとレイヤーも分けながら、さまざまな強化を進めています。こちらも今後、非常に追い風になるのではないかと考えています。
中期経営計画(VISION2025)重点戦略項目
生成AIへの取り組みについてご説明します。生成AIという言葉は、2年半前もしくは3年前あたりから出てきた言葉ですが、私どもはSalesforceのAIやMicrosoftのAIなどについて調査研究を進めてきました。現在、お客さまに使っていただける提案モデルについて検討を推進しています。
スライド下段に実績を一部示していますが、コンサルファームや車会社などもあります。現在、これらの企業に向け、生成AIを活用したビジネスおよびシステムを提案しているところです。このように、外部向けにも実績が積み上がってきています。
中期経営計画(VISION2025)重点戦略項目
私どもはシステムを構築するソフトウェア開発会社ですが、生成AIを活用することで、社内的にも効率性を上げることができると考えています。
スライドには4つの項目を挙げています。細かいのですが、スライドに記載しているようないろいろな工程で生産性を向上させていきます。例えば、テスト工程、設計を行う工程、要件を決める工程などでAIを活用し、私どもの効率化を図ることを同時に進めているところです。
当然ながら開発期間も短縮でき、費用も低減できます。その分、お客さまに対する強みも発揮できるということで、内部で取り組んでいるところです。
資本政策・株主還元について
資本政策・株主還元についてご説明します。まず、資本政策からお話しします。私どもはもの作り会社ではありますが、目に見えない、インタンジブルズなもの作り会社ということで、人がすべてと考えています。
もちろんパテントで生きていくというわけでもなく、固定資産を持っているわけでもありません。そうすると、私どもは資本政策として、やはり人にお金をかけていくことになります。
お金をかけて技術を買う、あるいは領域を広げていくところに資本を投入していく必要があるということです。教育の強化、事業拡大、M&Aの実施等を政策としてしっかり取り入れていきたいと考えています。
次に、株主還元です。これまでは配当性向40パーセント以上の利益還元を方針としていましたが、「VISION2025」では連結配当性向50パーセント以上を還元していくと定めています。これをしっかりと守りながら、今後も進めていきたいと考えています。
株主還元
スライドの折れ線グラフは、12期分の配当性向の推移を示しています。右肩上がりに推移しており、株主のみなさまにしっかりと還元していく姿勢をおわかりいただけると思います。
2025年3月期は76.9パーセントと、非常に高い数値となりました。利益面では不採算プロジェクトがありましたが、絶対に減配せず、株主のみなさまを重視していく姿勢は崩したくないといと考えました。
このようなかたちで、連結配当性向50パーセント以上を還元していくとお約束したことをしっかり守り、今後も取り組んでいきます。
配当・株主還元
2025年3月期の年間配当予想は、1株当たり36円です。減配せず、しっかりと積み上げ、今後も配当を出していくことを念頭に掲げて取り組んでいきたいと考えています。
ESGへの取り組み
弊社のサステナビリティについてご説明します。まずは、ESGへの取り組みです。私どもはESGを重視した経営を行っていくため、環境、社会、ガバナンスという3つの軸に対し、それぞれの項目に注目しています。
ESGへの取り組み
スライドには、ESGへの取り組みをまとめています。「気候変動への対応」では、電力使用量削減のため、全拠点の照明をLEDに変え、使用する紙を減らすなどの対応を行っています。
「人材育成」では、資格取得を推進しています。1人あたり平均4.08個の資格を持っていますが、資格だけでは終わりません。私どもは教育についてもプログラムを持っており、当然ながらレイヤーごとに教育のシステムを持っています。ここには、一緒に仕事をするパートナーも受講する教育も含まれています。
それぞれのポジションやレイヤーで受けるべき教育、例えばコミュニケーション能力やリーダー教育なども含め、さまざまな教育に対して投資している会社であることをご理解いただければと思います。
「人権・ダイバーシティ」については、私どもは「D&I AWARD」も取得しています。毎年40人から50人ほどの新卒が入ってきますが、女性も多く、これからの時代、女性にも活躍してもらいたいと考えています。新卒社員の男女比は、バランス良く1対1くらいです。育児休暇については、私どもの会社では男性も育児休暇を取っています。現在の復職率は100パーセントです。
「健康経営」についてです。社員が中心となって会社を回していくという考えの下、健康経営に力を入れており、「健康経営優良法人2023」の認定を受けています。人間ドックも会社負担で社員に受けてもらい、直近では希望者に対して会社負担でインフルエンザのワクチン接種を行いました。社員が健康で仕事ができる環境作りを行っています。
「ビジネスパートナー」については、スライドに社名を記載しています。富士通、日立、Salesforce、SuperStream、AWS、Microsoftといったグローバルプラットフォーマーと認定パートナーとなっています。
また、私どもの配下にもコアパートナーと呼ぶ協力会社が約30社あります。入れ替えなどもありますが、一緒に同じ方向を向き、同じベクトルの中で仕事ができるエコシステムを強化するということで、パートナーと協力し合いながらプロジェクトを進めています。
重点目標
7つの重点目標をスライドに掲げています。私どもは7つのポイントに対してしっかりとSDGsを意識しながら、会社の運営を行っています。
私たちは解決策(こたえ)を創造し続けるあなたのITパートナーです
私どもは、お客さまがITを使うためのシステム構築を提供する会社です。お客さまの伴走者として、これからも着実に歩み続けていきたいと思っています。
説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:不採算プロジェクトの来期以降への影響について
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):2025年3月期に大規模不採算プロジェクトが1件発生したということですが、来期以降に影響はないという認識でよろしいですか?
福島:おっしゃるとおりです。12月に稼働しており、納めるタイミングが3月末であることもお客さまとお話ししています。プロジェクトが完全に見えるかたちになっているため、影響はないと考えています。
本当に大型のプロジェクトだったため、私どもにとってもチャレンジではありました。このような結果となり、大変悔しく思っています。ただし、結果については真摯に受け止めています。
各プロジェクトに関わったメンバー、パートナーを含め、現在は「その時に何が起きたのか」を5W分析してファクトファインディングの洗い出しを行っています。その時にどうすればよかったのかも含め、非常に良い勉強材料になったと思っています。来期からはプロジェクトマネジメントや品質管理に反映することで、活かしていけると考えています。
Ken:今後も大きな案件があると思いますが、そこに対しても今回の件を活かし、積極的にチャレンジしていくということですね。
福島:これは非常に難しい問題なのですが、IT業界というのは、リスクがゼロのプロジェクトはありません。私どもが手がける数百というプロジェクトには、小さなものも大きなものもさまざまありますが、当然ながらリスクの洗い出しを徹底的に行っています。しかし、すべては見きれていないこともやはりあります。
環境の変化、お客さまの変化、私どものメンバーの動きに対して結果も変わってくるところがあります。お客さまと仕事をしていると、いろいろなことが起きます。ただし、スタートする時にはリスクの洗い出しを徹底的に行うことが大切です。
また、私を含めたプロジェクトのメンバーが、腹落ちすることも重要です。例えば、見えないリスクがある時は、いつまでに誰が何をするのか、それができなかった場合はどうするのかも含め、関わるメンバー全員が腹落ちして取り組むことが非常に重要だと思っています。
今回は非常に大きなプロジェクトで、本部が2つまたぎで進めていました。確かに私どもの力量からすると大きすぎた・難しすぎたということもありましたが、私どもはできると考えていました。出てきたリスクや危ない事象に対し、もっと早く動くべきだったと反省しています。
そのようなことも含め、今後もリスクはゼロにはできないため、できるだけ洗い出しを行いながら、プロジェクトに対して果敢にチャレンジしていきたいと考えています。
質疑応答:「Salesforce」「SAP」向けの需要について
Ken:「Salesforce」や「SAP」向けが伸びていると思います。福島社長の中で、ここの成長はどの程度継続していくと見ていますか?
福島:「Salesforce」はアメリカ、「SAP」はドイツのパッケージで、みなさまもご存じの大企業です。やはり業界の中でのデファクト・スタンダードというのは強いです。そのような意味でも、まだ需要はあります。
「2025年の崖」に関して言えば、日本の大企業の多くは基幹システムで「SAP」を使用しており、多くの企業でシステムが古くなってきています。そのため、システムを再構築するのか、新しいものに変えるのかについて悩んでいるところです。
「SAP ERP 6.0」は標準サポート期限を2027年まで延長しましたが、いずれにしてもそのような強いパッケージを使い、新しい技術を取り入れ、AIも活用し、今の時代に合ったシステムを作っていくという需要がこれからも相当あります。
ご質問の2社に関する仕事は、ホワイトスペースを含め、まだあります。現状のお客さまでのリビルドやホワイトスペースでの新規開拓もあるため、私は伸びると考えています。
質疑応答:株主還元の考え方について
Ken:株主還元の考え方について、あらためて教えてください。
福島:私どもは株主のみなさまの負託を受けて仕事をしているため、上場した意味合いを非常に深く感じながら日々仕事をしています。そのような中、今期は非常に高い配当性向を掲げました。今後はバランスを見ながら、50パーセント以上は必ず株主のみなさまに還元することをお約束しています。
その上で、残りの50パーセントについては、教育、M&A、社員のベースアップ、環境整備などに使っていきたいと思っています。そのバランスとして、現在は配当性向50パーセントを考えています。今期は絶対に減配しないということで、配当性向が高くなりました。
いずれにしても、現時点では株主のみなさまに対して50パーセント以上の還元を必ず守ることをお約束したいと思っています。株主重視の姿勢は、今後も崩さないと認識しています。
質疑応答:他社と比較した強みについて
荒井沙織氏(以下、荒井):「ご説明の中にもありましたが、あらためて他社と比較した時の御社の強みを教えてください」というご質問です。
福島:この業界にはたくさんの会社がありますが、私が考える強みとしては、私どもが学校法人からスタートしていることが1つあると思っています。世の中にはそのような会社はあまりありません。ソニーやニデックなど、企業が自分たちで教育機関を持っていることはありますが、学校から会社にスピンオフした例は、そうないのではないかと思っています。
そのような意味で、私どもはやはり教育に力を入れていきたいと思っています。1人当たりの資格取得数は、昨年の実績で平均4.08資格を達成していますが、さらに上を目指さなければいけないと思っています。
それに加えて、システムエンジニアリングの世界というのは、課題を見る力、お客さまとのコミュニケーションを円滑に行う能力、提案力、ソリューション提供能力が必要とされます。そのような能力を伸ばすために、私どもは資格以外にも教育として取り入れています。
私どもは、会社が教育機関であるという考え方で社員をしっかりと育てながら、お客さまから求められるエンジニアに成長してほしいという思いで取り組んでいます。そのあたりは、会社の生い立ちが他の会社とは違うと感じています。
実際に、大学生やキャリア採用で弊社を希望する方々に「なぜランドコンピュータなのですか?」と尋ねると、「会社の歴史を見て、学校法人からスタートしているから」と言われます。
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校、渋谷教育学園渋谷中学高等学校、多摩大学などと関係があり、「しっかりと教育してくれる会社だな」「実際に社員が4つ以上の資格を持っているな」「自分もそのような仲間と一緒に仕事がしたい、キャリアアップをしていきたい」「このような姿のエンジニアになりたい」ということで、キャリアが描きやすい職場ではないかと応募してくる方々がいらっしゃいます。非常にありがたいです。
そのような思いを持っている方々にさらに入社していただき、育てることで、ますます良い会社にしていきたいと考えています。
質疑応答:不採算案件を削減するための対策について
荒井:「不採算案件を削減するための対策について教えてください」というご質問です。
福島:襟を正さないといけないと考えています。先ほどお話ししたとおり、リスクはゼロにはなりませんが、プロジェクトの見える化、および組織としての管理をしっかり行う必要があります。
これはまだ発表していませんが、来年4月に組織変更を行います。これまで品質管理が経営企画のほうに入っていたため、それを事業直結型にし、見える化を図っていきます。
また、専門用語になりますが、プロジェクトの中身を専門的に見るようなPMOという第三者機関のメンバーを品質管理部隊に置いています。来年度はこちらのメンバーを増員します。それぞれのプロジェクトで本部ごとにPMOの専門メンバーを配置し、人数も増やしていきます。
事業直結型であるため、何が起きているのかが早く見えるようなかたちになります。早く見えれば早く動けるため、早く火も消せるということです。これらを徹底していきたいと考えており、来年度は組織も含めたかたちでの対応を行っていきたいと考えています。
質疑応答:株主優待の復活について
荒井:「株主優待の復活は考えていますか?」というご質問です。
福島:私どもが2023年3月期に中期経営計画を掲げた時に、株式分割を行い、配当性向をしっかり上げていくという方針に変更しました。当時は「QUOカード」の贈呈や優待倶楽部がありましたが、2023年度3月期にいったん廃止しています。
不採算プロジェクトの発表があり、現在は株価が2割ほど落ちています。昨日時点で配当利回りは5.38パーセントですが、株価についてもさらに改善していきたいということもあり、株主優待についても今後また検討していきたいと考えています。
荒井:楽しみにしている方も多いと思います。「従業員、ステークホルダーを大切にしていることが伝わってきます」というコメントもありました。
福島:ありがとうございます。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:自己資本比率が約70パーセントかつ有利子負債がゼロで、財務基盤がすばらしいのですが、さらに資金を使って新たな投資を行ったほうが成長するようにも見えます。こちらはどのように考えていらっしゃいますか?
回答:新たな投資としては、今後生成AI関連への投資、自社パッケージ開発等に投資していくことを検討しています。
<質問2>
質問:M&Aは今後「何年で何社くらいしよう」などの目標設定はあるのでしょうか?
回答:M&Aの件数について特に目標設定はありませんが、色々なM&A関連企業と契約し、相乗効果があれば積極的にM&Aを行う方針です。
<質問3>
質問:東邦システムサイエンスの企業を買収するのではなく、業務提携を選択した背景について教えてください。
回答:東邦システムサイエンスさまとの業務提携については、強みとする事業領域が違いますので、お互いの強み及び付加価値サービスを補完し合うことで質の高いサービス提供とDX推進を加速できると判断し提携しました。
<質問4>
質問:電力使用量削減とESGへの取り組みで書かれていますが、実際どのくらいの効果が出ているのでしょうか?
回答:電力使用量削減について、LED化等行っていますが、もともと使用量自体が大きくないため効果については少ないです。今後も電力使用量の削減に取り組む所存です。