決算ハイライト 2025年3月期Q3のサマリー①

谷郷元昭氏(以下、谷郷):みなさま、本日は弊社決算説明会のためにお時間をいただきありがとうございます。カバー株式会社CEOの谷郷です。

本日はまず、私から決算ハイライトについてご説明し、続いてCFOの金子から詳細な決算内容をご説明します。最後に、私から中長期事業開発の進捗状況についてご説明します。

2025年3月期第3四半期期間単体の業績概況としては、売上高が117億5,800万円、売上総利益が58億6,200万円、限界利益は50億4,400万円、営業利益が21億7,100万円、純利益が16億5,600万円となりました。堅調な業績推移を受け、2025年3月期通期業績予想の上方修正についても本日公表しています。

第3四半期期間のサービス別売上推移の概況は、スライドに記載のとおりです。

配信/コンテンツは、前年同期比プラス22.9パーセントの25億400万円です。こちらは年末の大型企画などを通した露出拡大を受け、トップタレントを中心に配信コンテンツの視聴者トラフィックが好調に推移したほか、2023年以降にデビューした国内外の新規タレントも収益に寄与し始めています。

ライブ/イベントは前年同期比プラス143.8パーセントの23億2,800万円です。複数の中大型ライブコンサートの売上、及び過去のライブコンサートのブルーレイ売上が好調となりました。

マーチャンダイジングは前年同期比プラス101.7パーセントの54億4,800万円です。「hololive OFFICIAL CARD GAME」の売上が継続的なプレイヤー増加施策及び新商品の販売により好調に推移している他、小売販売とEC販売の相乗効果による売上増が寄与しています。

ライセンス/タイアップは前年同期比プラス17.7パーセントの14億7,600万円です。引き続き国内大型クライアント案件や海外案件のパイプラインが拡大しています。

また、第3四半期においては、北米現地拠点の収益が計画を上回って推移していることを背景に、体制拡充を実施している他、EC商品の出荷地域の拡大、サプライチェーンマネジメント体制の改善といった事業開発も推進しています。

決算ハイライト 2025年3月期Q3のサマリー②

こちらのスライドにはサービス分野別の実績を示しています。2025年第3四半期累計の実績と、修正後通期業績予想対比での進捗は、売上高が288億6,300万円、通期進捗率68.7パーセントです。

営業利益が55億4,400万円、通期進捗率74.9パーセントです。純利益が37億7,700万円、通期進捗率74.1パーセントとなりました。当社の業績が第4四半期に拡大しやすい季節性を持っていることを鑑みても、順調な進捗だと考えています。

売上高の推移

金子陽亮氏(以下、金子):CFOの金子です。続いて時系列の業績推移などをご説明します。

まず、売上高の推移です。マーチャンダイジング分野の事業拡大及びライブコンサート施策の好調などにより、第3四半期期間の売上高は前年同期比プラス69.2パーセントまで成長しています。

マーチャンダイジングについては、第2四半期から販売を開始しているトレーディングカードゲームが、引き続き売上拡大を牽引していることに加え、受注生産商品の受注額を示す前受金残高も88億4,400万円と過去最大の水準を推移しています。

コスト推移(売上原価)

売上原価の推移です。第2四半期期間はライブコンサートの実施件数・規模拡大によるイベント費の増加や、マーチャンダイジング売上拡大に伴う製造原価の増加といった変動費の増加を受け、売上原価水準は前年同期比で増加しています。

売上総利益及び売上総利益率の推移

売上総利益と売上総利益率の推移です。第3四半期期間はライブコンサートの件数増加を受けて粗利率は前四半期比で調整した一方で、トレーディングカードゲーム等のマーチャンダイジング分野の売上拡大を受け粗利水準は前年同期比でプラス76.5パーセントまで拡大しています。

コスト推移(販管費及び販管費率)

販管費の推移です。第3四半期期間は本社管理部門や北米拠点の体制強化に伴う外注費の増加などを背景として販管費は逓増しています。

多面的な事業展開による収益力の向上とそれに伴う拡大再投資

今期より開始したトレーディングカードゲームなどの多面的な事業拡大により、タレントの直接稼働が相対的に低い収益源が拡大し、サービスミックスの変化が継続しています。

これらで得た収益は、タレントへのさらなる活躍機会の提供や、ブランドの影響力拡大に向けた事業開発領域への再投資に分配し、収益サイクルの好循環を目指していきます。

事業開発については、継続的な事業拡大の基礎となる海外事業開発、コンテンツ制作、物流強化、管理部門強化、加えてトレーディングカードゲームやビデオゲームなどの新領域の開発等に対し、継続的な投資を行っています。

なお、売上高構成の中でタレントの直接稼働が相対的に低い収益が大きな比率を占めるようになってきたことから、VTuber1人当たり売上高をベースとして会社の長期的な成長を予測することが適切ではなくなってきています。

そのため、これまで継続的に決算資料に掲載していたVTuber1人当たり売上高については、本第3四半期決算資料から掲載を見送っています。

ただし、指標自体は第3四半期期間においても前四半期比で好調に推移しています。また、Appendixに四半期売上高と所属VTuber数の推移を掲載し、必要に応じてお手元で計算していただける構成としました。

限界利益及び限界利益率の推移

限界利益及び限界利益率の推移です。ライブイベント分野の収益率の高まりを受け、限界利益率は前四半期比で調整したものの、四半期の限界利益水準としては過去最大となる前年同四半期比プラス63.6パーセントまで拡大している状況です。

営業利益及び営業利益率の推移

営業利益及び営業利益率の推移です。営業利益水準はイベント費の増加及び事業開発支出の拡大により、営業利益水準は前四半期比で調整していますが、前年同期比ではプラス83.0パーセントまで拡大しました。

サービスミックス及びプロダクトミックスの概観

スライドのグラフは、サービスミックスとプロダクトミックスの売上比率の推移を、時系列でお示ししています。第3四半期累積期間では、売上高全体に占めるコマース領域の構成比は、64パーセント程度まで上昇している状況です。

トレーディングカードゲームの事業規模拡大が継続していることにより、プロダクト販路別の売上構成も、従来大部分を占めていた記念日受注販売グッズの比率が相対的に調整するかたちで多様化が進んでいます。

2025年3月期末に向けたサービス分野別の事業展開

年度末の第4四半期に向けたサービス分野別の事業展開についてご説明します。第4四半期の事業展開としては、毎年度末に実施している「hololive Super EXPO/hololive Fes.」が牽引するかたちで各分野の成長を見込んでいます。

これらの大型イベントの存在もあり、当社の業績は毎年第4四半期が大きくなる季節性を持っています。本年度についても同様の推移を見込んでいます。

サービス分野別で見ていきます。配信/コンテンツについては、既存タレントの配信企画、ゲーム、音楽などの各分野における活躍を通じた新規ファン層の拡大や、2023年以降にデビューした国内外の新規タレントの貢献の高まりといったことが進捗しています。

ライブ/イベントについては、2025年2月1日に星街すいせいの日本武道館でのライブ、2月13日に白上フブキのぴあアリーナMMでのライブ、2月27日に森カリオペのロサンゼルスでのソロライブの実施を予定しています。

さらに3月8日、9日には「hololive Super EXPO/hololive Fes.」の開催を予定しています。券売はすでに開始していますが、今年度を通じた国内外でのイベントの好調に後押しされるかたちで、需要状況は昨年度を上回る、かなりの盛況となっている状況です。

マーチャンダイジングについては、トレーディングカードゲームに関し2月にスタートデッキ3種類、3月にブースターパック第3弾の発売を予定していることに加え、第4四半期期間に既存商品の再販も計画しています。

また、通年のイベント連動施策による購買機会の拡大も進捗している状況であり、トレーディングカードゲームのコレクター需要だけでなく、プレイヤーの実需もしっかり喚起しつつあります。

ライセンス/タイアップについては、引き続き営業組織再編による収益力強化を行っています。加えて第4四半期固有の要因として「hololive Super EXPO/hololive Fes.」に関連するBtoBのスポンサー収益の計上を見込んでいます。

このように、第4四半期も各セグメントで堅調な推移を見通しています。

ライブコンサートの体験価値の向上

谷郷:中長期事業開発の進捗状況に関してご説明します。まず、ライブコンサートの体験価値の向上についてです。第3四半期期間はスライドに掲載している人気タレントによるソロライブコンサート及びワールドコンサートツアーを実施しました。

ファン数の増加と継続的な技術開発により、国内最大級のコンサート会場で体験価値の高いライブを届けられるようになってきています。3Dモデル、AR技術、照明技術の改善を積み重ねることにより、VTuberが目の前でパフォーマンスしているような、実在感を強く感じていただける体験の質を向上させています。

TCG事業はプレイヤー数増加を伴って順調に拡大

TCG事業については、プレイヤー数増加を伴った持続的な拡大を見据え、新商品の販売と大会などのイベント開催を継続的に実施しています。

1月に幕張で実施した大会では2,000名を超えるエントリーを記録し、並行してライトファン向けのカジュアル大会も実施しました。今後も「ホロライブ」ファンやTCGユーザーのコミュニティを広げるプロモーションを継続していく想定です。

第4四半期期間の新商品としては、2月28日にスタートデッキ3種、3月21日にブースターパック第3弾の発売を予定しています。今後もカードの幅を広げながらプレイヤーの多様化と人口増を推進していきたいと考えています。

マーチャンダイジングの店舗販売企画を通じ新規ファンとの接触機会を増加

続いてマーチャンダイジング分野では、店舗販売企画を通じた新規ファンとの接触機会の増加を目指しています。

海外観光客も多く訪れる東京駅にて国内外のファンが集まれるような公式ポップアップショップを展開している他、「ホロライブ」の世界観やコンテンツのおもしろさを体験していただけるような店舗企画を各所で実施しています。このような施策によりブランドとファンの結びつきをより深めていきたいと考えています。

ゲーム展開のモメンタム獲得

ゲーム領域では、マルチプラットフォーム展開の中型タイトルの販売を複数予定しています。広く遊んでいただけるリリースタイトルを増やしていくことにより、ゲーム、プレイヤー、パブリッシャー、デベロッパーなど関連するさまざまなレイヤーにおいて当社のブランドの認知を広めていくことを想定しています。

また「ホロアース」についても、シミュレーションルームのエリア拡大などの開発が着実に進捗しています。

新規デビュータレントの成長

2023年以降にデビューした国内外のタレントも、それぞれの活躍機会を活かして大きく成長しています。YouTubeチャンネル登録数が100万人を超えるようなタレントも、国内海外で複数出てきています。

これらはそれぞれが個性を活かし、独自の領域でファン数を伸ばせた結果です。今後もプロダクションのブランドや会社に蓄積された制作能力などを活かしながら、再現性高くスタータレントを生み出していくことを目指していきたいと考えています。

所属タレントのさらなる成長を後押しするための施策について

所属タレントの活動長期化・大規模化・多様化に伴い、既存タレントに対してもサポート体制を強化していきます。

タレントマネジメント部門では直近で改善を進めており、国内外で影響力のあるグローバルインフルエンサーのマネジメント組織を統括していた人物を、新たに責任者として採用しています。

また、経営陣とタレントの対話頻度を強化し、事業展開に対してよりタレントの声を反映しやすいかたちにコミュニケーションを改善していく想定です。サポート分野についても、これまで目立っていた音楽分野だけでなく、ゲーム分野や配信企画分野など、それぞれのタレントの個性に合った多様な成長を後押しできるような体制を整えていきたいと考えています。

直近ではゲームが得意な所属タレントの企画によるe-Sports大会の運営をサポートし、当該タレントが「日本eスポーツアワード」で表彰される事例なども出てきています。このような各タレントの強みを活かした成功事例を、各分野に作っていきたいと考えています。

ご説明は以上となります。

質疑応答:通期業績予想の上方修正の背景について

質問者:今回の2025年3月期通期業績予想の上方修正についてお聞きします。通期の数字から計算すると、第4四半期は20パーセントの増収、10パーセント減益かと思います。人件費などが増えているとはいえ、カードゲームの貢献や「hololive Super EXPO/hololive Fes.」の規模拡大などを考慮すると、少し保守的な計画だと感じました。

体制強化などによる外注費の増加を強くみているのか、あるいは他のコストに懸念があるのか、計画修正の背景を教えください。

ここから先は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

※本登録案内のメールが確認できない場合、迷惑メールフォルダやゴミ箱に自動的に振り分けられている可能性がありますので、今一度ご確認いただきますようお願いいたします。