事業概要 Expert AI事業

築山英治氏(以下、築山):R&Dのところでは、我々の強みであるAIの技術と、各領域の専門家のナレッジノウハウを掛け合わせることによって、コミュニケーションアルゴリズムと体分析アルゴリズムを研究開発し、それらをAIソリューションというかたちや、SaaSのAIプロジェクトというかたちでご提供しています。

我々が提供する領域は、祖業からウェルネスの領域がメインだったのですが、いわゆる体の分析をする中で、ヒアリングやフォローアップを含めた、全体のコミュニケーションが顧客のサービス体験活用を向上させるということに気づいたり、お客さまから言われることにより、このコミュニケーションの領域として広げて、実際にこのような業種の方々にサービス提供しています。

売上高

築山:売上高ですが、これまで40パーセントを超える高い売上成長率を継続しています。

内訳はソリューションとAIプロジェクトですが、AIソリューションは、初期導入費用・開発費用のフロー売上が中心となっており、AIプロダクトは、SaaSのような月額利用料が中心となっています。

主要KPI

築山:続いて主要KPIです。売上成長率をメインで見ており、40パーセントを超える高い売上成長率を維持してまいりました。

提供したサービスの顧客満足度を表す、AIソリューションの継続率は90パーセントと高い水準であり、また、AIプロダクトは解約率0.63パーセントと低い水準で推移しています。この水準を続けることによって、これからも安定して高い売上成長率を継続していきたいと考えています。

事業概要 AIソリューション

築山:続いてAIソリューションでは、体分析アルゴリズム、コミュニケーションアルゴリズムをカスタマイズして、上流のところから、なぜこの技術が必要なのかといった課題の整理やご提案から入り、開発、その後の保守・運用など一気通貫してご提供しています。

AIソリューションの提供事例

築山:続いて14ページ目は、AIソリューションの事例です。体分析アルゴリズムの事例で、左側が、お客さまの全身写真から、その人の寝姿勢を分析をして、その人に合った枕とマットレスをレコメンドするというシステムをご提供しています。

続いて右側は、アパレル向けなのですが、顔写真からその人の顔の形状や顔配置を見て、8分類したフェイスタイプと、パーソナルカラーという肌の色を4分類したものを掛け合わせて、おすすめのファッションをレコメンドするというシステムをご提供しています。

また、次のスライドの宝飾品は、いわゆる接客、営業の教育練習の中でロープレをする中で、その相手役をマネージャーの代わりにAIのアバターが行ってくれて、ハイパフォーマーの要素を持ったAIがフィードバックすることによって、新人スタッフを教育するというAIのソリューションです。

右側は、自治体の事例です。孤独孤立に悩む住民に対して、メンタルケアを目的とした傾聴型のLINEチャットボットソリューションを提供しています。

事業概要 AIプロダクト

築山:続いて17ページに移ります。AIプロダクトとして「カルティクラウド」というシリーズ名でご提供しています。プロダクト全体の8割程度の売上がカルティシセイカルテです。

カルティシセイカルテは、姿勢、可動域、歩行の分析、カルティマルチカルテ、カスタムカルテ、自社のカルテをカスタマイズで生成でき、また、接客フローを標準化できるツールです。

カルティセールスは接客ではなく、商談のフローを標準化できるツールです。

カルティチャットは、人とAIとがコラボしながら、お客さまとチャット対応が行えるプロダクトです。

市場環境と競争優位性

築山:弊社が取り組む市場は、国内AIシステム市場と国内DX市場の両方です。高い成長率と、大きな市場といったところで、大きく成長している市場に対して僕らは取り組んでいます。

また、AIソリューションとAIプロダクトの両輪によって、広いターゲットに対して安定的なアセット蓄積を行います。左側ですね。ソリューションを通じて規模が大きく単価が高いプロジェクトをご提供しています。また、AIプロダクトを通じて中小規模のお客さまに対してサービスを提供しています。

右側は、特徴です。AIソリューションを通じて研究開発技術を育て、うまくいくユースケースをAIプロダクトに反映させ、またAIプロダクトを通じて多くのお客さまに使っていただき、そういったデータをもとに、AIソリューションをさらにブラッシュアップさせる。そういった循環を通じて、データ、アルゴリズム、専門ナレッジなどのアセットを高速に積み上げることが可能になっています。

AIソリューションとAIプロダクトの両方とも、裏側のサービス提供チーム体制は共通化されており、コンサル担当やエンジニアや専門家などは共通基盤となっています。これによってリソースのタイムリーな適材配置や技術・ノウハウの一元管理が可能です。これらにより効率的なサービス提供体制が構築できています。

AIソリューションの特徴

築山:続いて28ページ目ですね。サービス提供は、顧客の課題に合わせてではありますが、課題整理、戦略提案、開発、実装、保守運用まで、一気通貫で行うモデルになっています。これらによってコストや納期のコントロールが可能ですし、お客さまの事業理解を通じて課題をきちんと理解し、それに合わせたサービス提供ができることによって、高い満足度を記録できています。

結果的に継続率90パーセント程度を実際に実現できています。

また、これまでのサービス提供によって培ってきたデータが我々の強みの1つになっており、カルティデータを始めとしたウェルネスのデータをもって、姿勢の領域で高い精度とUXを持ったサービスを提供できるだけではなく、これらの姿勢と関連されると言われている領域に関しても、データを用いて、これらの領域に対してサービス提供できています。

成長戦略

築山:続いて、成長戦略に移ります。成長戦略はこのようになっており、シナジーのある3つの柱を通じて、今後の成長を考えています。

1つ目は、AIソリューションです。研究開発するアルゴリズム領域を拡大していくことによって、既存取引先の価値提供できる場面を増やしてLTV(顧客生涯価値)を最大化することと、新規の顧客または取引領域を継続的に拡大していきます。

2つ目の柱のAIプロダクトでは、「カルティクラウド」シリーズのサービスの追加や拡販、また、AIソリューションで培った技術の中で、ニーズの大きいものをAIプロダクトにしていくこと、そして販売パートナーと協業しながら海外展開することを見込んでいます。

続いて、3番目の柱としては、プロダクトやソリューションで培ったデータやAIの技術アセットを活用して、私たちの顧客でも課題の大きい物販や集客、人材などのプラットフォームビジネスにチャレンジしていくことや、これまでの足りない要素をM&Aやアライアンスを通じて獲得して、成長を加速していきたいと考えています。

市場展開

築山:次のスライドに移ります。成長戦略としての市場展開は、このように考えています。縦軸が業界で、横軸が支援業務です。お客さまの業務の中で、集客、ヒアリング、また、それに応じたサービス提供をして、その後、フォローアップや顧客管理といった各業務を各業界で支援していきたいと考えています。

最初は、整体院・整骨院やフィットネスジムなどのウェルネス領域で、多くのサービス提供をしてきたのですが、支援業務を前後に広げていくことと、ウェルネス領域以外でも、共通する部分がある領域に、サービス提供を広げていくことによって市場を拡大していくことを考えています。

以上が、弊社からの一通りのご説明です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:PKSHA社が資本参加した理由について

質問者:PKSHA社さんが資本参加した際の決め手というか、どんなことが強みであるから彼らが来たのかをうかがえればと思います。

築山:M&Aに至った背景は、当時、主に私たちが体分析の画像技術をソリューション提供していたところで、彼らは画像ベースと3Dアルゴリズムを掛け合わせた技術を持っていなかったので、そこを魅力的に思っていただいたのと、そういった技術を持つエンジニアが揃っているところが、魅力に映ったとうかがっています。

質疑応答:LLMについて

質問者:LLMは内製化しているのでしょうか? それとも外のものを使っているのでしょうか?

築山:自社のものもありますし、基本的には、APIを活用するものがプロジェクト単位であります。これは本当に、お客さまのケースバイケースで提供方法を変えています。

質疑応答:成長戦略「LLMの探索」について

質問者:関連して、成長戦略の中に「LLMの探索」みたいなことが書いてあったと思います。どういう方向に広げていきたい、みたいなのは何かあるのでしょうか?

築山:ウェルネスの領域の体の分析やコミュニケーションの領域など、比較的ユースケースが絞られてくるところではとても使えるものとチューニングをして、研究開発をしている状況です。

質疑応答:製造業や物流に広める上での課題について

質問者:今のところ第3次産業向けというイメージがあります。今後のところに製造業や物流などが書いてあったと思いますが、そういったところに広めていく上で課題になりそうなことや考えていることはありますか?

築山:これまでの顧客基盤にまだないところなので、新規顧客基盤として獲得していくところは1つのハードルがあると思っています。

これまでずっとやり取りしていない状況なので、顧客理解がまだ浅いところはあると思います。とはいえ、物流や製造業の中にも各場面でエキスパートと呼ばれる方々の匠の技をはじめとした技術要素を整理して、一部AIで再現する、サポートできるようにするところが我々の強みなので、そういったところで貢献できる部分があると考えています。

質疑応答:第1次産業への展開について

質問者:もう1つだけ関連しての質問ですが、将来的に、農林・水産とか、第1次産業などにまで及ぶ可能性はあるのでしょうか? 

築山:農林・水産、いわゆる1次産業と言われるところで、これといったところは、事例としては少ないのですが、例えば農業の「この野菜の検品をしてほしい」とか、そういった幅広いAIのご相談はいただいています。

質疑応答:初値の受け止めについて

質問者:今日の初値が2,285円ですかね。これに対する受け止めを教えていただいてよろしいですか?

築山:一定、ご評価いただいているのかなというところは、そのまま受け止めつつ、ただ一喜一憂せず、今後、きちんと開示をしながら業績を作って、今後も安定的に成長していければなと思っています。それらを通じて、引き続き、株主の方々、株主候補の方々の期待に応えられるようにしていけたらなと考えています。

質疑応答:株主還元方針について

質問者:今、株主のお話があったのですが、株主還元方針についてお話しいただいてもよろしいでしょうか?

築山:いわゆる足元では、配当などのことは考えておりません。成長資金は、事業成長のために使うことによって、事業成長ないし株価を通じて株主に対して還元できたらなと考えています。

質疑応答:資金の活用について

質問者:具体的に成長戦略をいろいろお話しいただきましたが、あらためて成長資金として、どのような領域に投資をしていきたいとお考えでしょうか?

築山:引き続き、研究開発するアルゴリズムをどんどん増やしていったり、AIプロダクトとしてお客さまを支援できる業務の範囲をどんどん広げていくところに、主に資金を充てていくことになるかなと思います。

また、それらを実際に開発したり、エンジニア・コンサルタントといった人材の獲得に対して、大きくは資金を使っていくことになると考えています。

質疑応答:業績・財務について

質問者:業績や財務に関するところをご説明いただいてもよろしいでしょうか?

築山:弊社は、ソリューション事業から始まり、プロダクトへの研究開発を続けながら、これまで高い成長性を確保してまいりました。利益に関しては、足元、投資回収フェーズに移っており、前期9期だと、赤字幅が圧縮できています。また、今期10期は、今のところ黒字化の実現に向けて着実に進捗しています。

質問者:今期は黒字化の予定なんでしたっけ?

築山:はい、そのように見込んでいます。今期については、まだ開示しておりません。2025年9月期は、まだ決算が閉じた段階なので、決算発表の際に併せて開示をするのを予定していますが、前期の2024年9月期に関しては、黒字化に向けて順調に推移をしていると見ています。

質問者:黒字化というのは、営業黒字という理解でいいですか?

築山:はい、おっしゃるとおりです。

質疑応答:コストの内訳について

質問者:40ページも念のため解説いただけますか?

佐藤:こちらは私からご説明します。我々のコストの大部分は、労務費や外注費というところで、原価含めて、ヒトに関する部分のコストがかなり大きな割合を占めています。この部分に関しては、我々も必要な成長費と考えており、引き続き投資していく方針です。

一方で、売上高の増加に伴い、固定費が吸収されるので、この部分も黒字化というところに関して、順調に進んでいると我々は考えています。

質疑応答:プロダクト「シセイカルテ」について

質問者:「シセイカルテ」というプロダクトが主力だと思いますが、そもそもどういうプロダクトで、お客さんがどういう方で、どういう課題を解決しているのか。プロダクトの説明をお願いしてもよろしいでしょうか?

築山:「シセイカルテ」ですが、エキスパートAIの中でも、整形外科医さん、理学療法士さん、柔道整復師さんなど、体の専門家の姿勢分析の専門ノウハウを再現したAIをご提供しています。

全身写真を撮って、その人の姿勢を点と線で表して定量化をして、正常と比べてどれくらいズレているかをグラフ化しています。そのズレの組み合わせから姿勢をカテゴライズしたものを可視化をしています。

そのようにカテゴリしたものをベースに、その人に合ったエクササイズやトレーニングなど、店舗で売られている商品をおすすめできる。そういった機能を通じて、お客さまの姿勢がどのように改善したかという、効果の可視化に寄与しています。それらによって「また通おう」と思ってもらい、回数券の購入率や体験入会からの会員転換率などの数字に寄与して、僕らのお客さまの売上に寄与する。そういった販売促進の機能を持つシステムです。

主な導入業種は、接骨院、整体院、カイロプラクティック。また、フィットネス・パーソナルトレーニングジム、歯科医院など、ウェルネスの業種に使っていただいており、具体的には、フィットネスクラブのティップネスさまや、カイロプラクティックの大手のzenkenkaiさま、整体のカラダファクトリーさまにもご導入いただいています。

質疑応答:海外展開について

質問者:AIプロダクトの成長戦略のところで、海外展開のお話があったかと思いますが、ここの海外展開はある程度目処がついているものなのか、その進出先の地域や業界など、お話できる範囲でお願いします。

築山:例えば台湾、インドネシア、ベトナム、アメリカなど、そういった国の代理店の方からお声掛けいただいていて、実際に契約が進んでいるところもありますし、代理店の方にまず導入をいただいているケースも実際にあります。

質問者:業界は?

築山:整体に類するものや、介護に近いような業種さまの文脈で使っていただくことが多いですね。

質疑応答:M&A・アライアンスについて

質問者:M&A・アライアンスのところでもうちょっと何かお話しいただければ。

築山:ソリューション提供では、やはりエンジニアやPMのリソースが一定大事なので、そういったところを成長ドライバーとして拡張できるようにしたり、支援業務のところで、まだまだ対応できていないマスに対して、すでに取り組まれている企業さま・事業には興味を持っています。

質疑応答:エンジニア採用における工夫について

質問者:関連してですが、今、エンジニアの確保で何か工夫されていることや、強みなど、もしあれば教えてください。

築山:私自身がエンジニアですし、当社は東京大学の研究室発の会社なので、優秀なエンジニア層に、もともとヒトベースのつながりでアプローチできています。

これが継続的に行われつつ、いわゆる勉強会や採用イベントを通じて、つながりベースで他の方々も呼んでいただいて、エンジニアのつながりの輪をどんどん広げていくことを通じて、採用が継続的に行われています。