会社概要(2024年3月末現在)
上村正人氏(以下、上村):エブレン株式会社代表取締役社長の上村です。まず、会社概要からご説明します。
エブレン株式会社は1973年に設立され、本社は東京都八王子市にあります。資本金は1億4,301万円、2024年3月期の売上高は39億8,700万円、経常利益は4億9,000万円となっています。従業員数は121名、準社員等を含めた合計は148名です。
事業所は、国内4拠点、海外1拠点の合計5拠点です。国内は、本社のある東京都八王子市、東京都荒川区、埼玉県入間市、大阪市東淀川区の4拠点です。海外は、中国江蘇省蘇州市に100パーセント子会社の蘇州エブレンがあります。
事業内容としては、産業用電子機器および工業用コンピュータの設計製造販売となります。
事業内容:産業用コンピュータの設計・製造
上村:事業内容について詳しくご説明します。
現在の仕事内容としては、通信・電力・鉄道・医療など「社会インフラ系設備」と呼ばれるもの、また、半導体製造装置や生産自動化機械など「産業インフラ系設備」と呼ばれるものの2つがメインとなります。
このような装置にコントローラーとして使用される、産業用または工業用と呼ばれるコンピュータの受託設計と受託生産が中心で、売上の80パーセントを占めています。
産業用もしくは工業用という呼び方は、一般家庭やオフィスで使われるコンピューターと区別するための呼称で、物を制御したり、機械を動かしたりすることがメインの役割となるコンピューターです。
鉄道・電力・通信など、公共性の高い事業会社向け設備の開発や調達は、私どもが直接行うものではなく、実際には日本を代表するような大手の装置メーカーが主契約者となっています。私どものビジネスポジションとしては、その下に付いて仕事を行う役割となります。
主契約者の装置メーカーは、設備やシステムの開発構想に基づき、当社へ委託するコンピューター製品の「要求仕様書」を作成して提示します。当社は「要求仕様」に基づいて製品を設計し、試作品を作って装置メーカーへ送り、評価と設計検証を受けます。
設計段階終了後、量産に入るまでには半年から1年以上、場合によっては3年から4年かかることもあります。そのような期間を経て量産が開始されますが、量産開始以降は、中長期的に安定した製品供給を要求されるという特徴があります。
製品区分(1) ボードコンピュータ
上村:私どもが作る電子機器のイメージをつかんでいただくために、スライドに写真を掲載しています。電子機器は、電子回路で何かを動かします。例えば、計算をする、センサーから受けた情報をコンピューターで処理して出力するなどです。
半導体製造において、シリコンウエハの上に非常に細かい回路を作ることは、一般的に知られていると思います。私どもの仕事は、そのようにして作られた半導体をプリント基板の上に実装して回路を作る、次のレベルの仕事になります。
電気関係、電子関係というのは、だいたいこのようなかたちになっています。プリント基板の上に必要な部品を実装して繋ぎ、回路を作るという点では共通です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):家庭用のパソコンも、だいたいこのようなイメージでしょうか?
上村:基本的には同じです。
坂本:産業用も構造は同じということですね?
上村:まったくそのとおりです。目的が違うと形も違ってきますが、プリント基板の上に必要な部品を並べて実装し、繋いで回路を作る点は、私たちが日常的に使っているパソコンも、工業用・産業用と呼ばれる高度な処理をするパソコンも、基本的には同じです。
坂本:パーツが違ってくるのでしょうか?
上村:目的によって形が変わってきたりします。
坂本:そのあたりについては、後ほどあらためて教えてください。
上村:大規模な回路を作ろうとすると、電子部品の実装面積が非常に大きくなることがあります。あまりに大きなものは、非常に扱いにくいですし、構造的にも大変です。そもそも材料がない、もしくは処理をする機械がないなどの理由から、作ることができないケースもあります。
スライド左側に掲載したような一般的なボードコンピュータの大きさは、紙でいうと官製はがきや、またはB5判、A4判程度です。何ミリ×何ミリという細かい規格はありますが、この程度の大きさが一般的です。
例えば、畳1枚ほどの実装面積が必要となると、畳1枚の大きさのプリント基板は作ることができませんので、回路分割をし、扱いやすい大きさに分けて用意することになります。その分割した大きさが、A4判やB5判程度の大きさになります。
最終的には繋ぎ合わせる必要があるわけですが、この繋ぎ合わせる役目をするのがバックプレーンというものです。バックプレーンは、私どものビジネスの中心に入ってくるものですので、後ほどまたお話しします。
一方、スライド右側に掲載しているボードコンピュータは、1枚で作るものです。例えば、エッジコンピューティングなどはそこまで大規模な回路を作りませんので、基本的にはこのような小さいサイズ1枚になります。重ねてスタッキングをしているため、よく見ると2枚になっていますが、基本的にこれらはワンボードといいます。
パソコンの中に入っているマザーボードは、だいたい右下の写真のような形になっています。このようなものが1枚入っており、外と繋ぐ通信のコネクタを使うところや、USBを差し込むところなどがあるため、横に飛び出しています。だいたい同じ形のはずです。
一方で、スライド左側の回路基板(ボードコンピュータ)はバックプレーンに繋いで使います。周辺に白い部品がありますが、これはコネクタといいます。このバックプレーン用コネクタがついているのが一般的な形です。
製品区分(2) バックプレーン
上村:スライド左上の一番大きな写真が、バックプレーンです。大きさもいろいろあることをお見せするために、こちらの写真を用意しました。こちらに回路基板を繋ぎ合わせると、非常に大きい規模の回路が統合されて、1つのコンピューターになります。
スライド右側にイラストがありますが、バックプレーンのコネクタに差し込んで繋ぎ合わせると、非常に大きな回路が全体で動くようなかたちに統合されます。
この繋ぎの役目をするのがバックプレーンで、人間でいうと脊髄にあたります。脊髄には全身の神経が集まっていますが、ちょうどそのような役割を担うものです。
最終的にはスライド右下にあるように、一般的には金属で作られている筐体の中に収められ、1つの箱型のコンピューターになります。
製品区分(3) コンピューターシャーシ
上村:コンピューターシャーシについてご説明します。スライドの写真を見ると、前面が空いていますが、先ほどお話ししたように、ボードコンピュータのようなものを前から差し込むことができるようになっています。
筐体の中にはそれぞれの回路ボードを動かすための電源装置と、中の温度が上昇しないようにするためのファンがついているのが一般的な形態です。
一方、スライド右側に掲載したワンボード型シャーシでは、通常1枚のボードがネジ留めされるようなかたちで中に入っています。小型のものは、だいたいこのような形をとります。
製品区分(4) 制御用コンピュータ
上村:制御用コンピュータについてご説明します。
スライドは、当社の制御用コンピューターが、産業用機械の中でどのように使われているかを表した図です。半導体製造装置の例を載せています。
スライド右側は、当社のお客さまが生産している最終製品の半導体製造装置です。中央にあるものが、全体を動かすための制御用コンピュータで、私どもが供給するものです。ボードを前から入れられる形になっています。
左下に「各種ボードコンピューター」と記載してありますが、これらのほとんどはお客さまが必要に応じて用意します。最も大事な部分であり、お客さまご自身で開発して作っている場合もありますが、汎用のCPUボードのようなものであれば、場合によっては流通市場から調達して使うこともあります。
私どもが供給する制御用コンピュータは、フレームワークの役割をすると捉えるとわかりやすいと思います。その中に必要なものを入れ込んで完成させ、最終的にはそのユニットを半導体製造装置に入れて使います。
バックプレーン方式が産業用に多用される理由
坂本:なぜそのようになっているのかというのが、こちらのスライドですね?
上村:おっしゃるとおりです。何を目的にそうしているのかというと、1つ目として「保守性」が挙げられます。大きな回路ボードは作ることができませんので、回路分割をして、一番扱いやすい大きさにしています。ただ単に無造作に切り分けて使うのではなく、CPUボードや画像処理のボード、モーターコントローラーのボードなど、一般的には機能別に分けてあります。
坂本:ボードごとに役割を分けてあるのですね。
上村:おっしゃるとおりです。なにか支障があってメンテナンスを行う際に、「こういう現象が出るのであれば、このボードに異常があるな」とわかるようになっています。プラグイン構造になっていますので、抜き差しして、スペアのものを入れて動かすことができるようになっています。
坂本:そのまま生産ができてしまうわけですね?
上村:そのとおりです。一方、バックプレーンを使用しない1枚の大きい基板の場合は取り外すことができませんので、長時間機械を止める必要があります。
坂本:ボードが大きいと、機械も大きくする必要がありますね。
上村:まったくそのとおりです。そして、構造的にそのようなものは作ることができません。やはり本体から切り離し、メンテナンスできるようにすることが1つの大きな目的です。
2つ目は「拡張性」です。実はこのバックプレーンの接続に関しては、国際規格のようなものがあります。我々がピンのアサインを適当に決めるわけではなく、国際規格に則って作るかたちが一般的です。
したがって、規格が守られていれば、市場に流通している専門メーカーの作ったボードを採用し、プラグインして使うことができます。あとから必要なものを足していけるのが、バックプレーンの良いところです。
3つ目は「汎用性」です。これは2つ目の「拡張性」とも共通しているのですが、市場に流通しているボードコンピュータの採用が可能になります。
多くの産業用・工業用のコンピューターで、バックプレーン方式が採用されることが圧倒的に多いのは、このような背景によるものです。
エブレン製品の用途(応用分野)
上村:私どもの製品がどのような分野で使用されているかを表したものが、こちらのスライドです。
左上の青い丸で囲んだ領域からご説明すると、まず交通やITS関係、鉄道車両などの分野で私どもの製品が使われています。左側の画像はETCですが、このような分野に私どもの製品が供給されています。
鉄道関係では、ATSおよびATC、また、信号システム、軌道監視、セキュリティシステムといったところに供給されています。
我々が日頃乗っている山手線のような電車から新幹線まで、すべてに安全措置がついていますが、このような分野に私どもの製品が使われています。
スライド右の赤い丸で囲った領域が通信や放送関係、電力やプラントなどの分野です。通信にも有線、無線、モバイル、ブロードバンドなどさまざまなものがありますが、海底ケーブルから衛星通信まで、広い分野で私どもの製品が使われています。
電力・プラント関係では電力テレメータなどに使用されています。
黄色い丸で囲った領域は、医療やHPC(スーパーコンピューター)関係です。医療はMRIやCTスキャナーなどの映像系装置や超音波診断装置、特殊なものではiPS細胞のセルソーターなどにも使われていますし、血液分析で使用される装置にも使われています。
今盛んに話題にのぼっているHPCについては、HPC自体もいろいろな用途に広がってきており、私どもの製品もディープラーニング用のHPCや、ゲノム解析のHPCなどに使用されています。
緑の丸で囲った領域では、まずFA関係があります。ここでは部品実装機やロボット、外観検査装置やモーター制御装置などに使われています。
一方の半導体製造装置は、実は非常に種類が多く、その説明だけで1時間ほどかかってしまいますので、本日はかいつまんでご説明します。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)の分類を見ると半導体設計用装置、マスク・レチクル用製造装置、ウエハ製造用装置、ウエハプロセス用処理装置、組立用装置、検査用装置、半導体製造装置用関連装置と7セグメントに分けられています。
各セグメントにはさらにさまざまな装置があり、数えてみると172種類もありました。半導体自体は非常に小さいものですが、膨大なプロセスを経て作られているものなのです。
スライド右側のグラフには、応用分野別の売上を示しています。上のグラフが2024年3月期上半期、下のグラフが2025年3月期上半期です。
一番大きな割合を占めているのが緑色で示した計測・制御装置です。半導体製造装置が計測・制御セグメントの8割を占めています。2025年3月期では計測・制御装置が、全売上高19億3,000万円のうち61.1パーセントを占めました。2024年3月期と比較すると実績が落ちています。
青色は交通関連です。全体の17.6パーセントを占め、2025年3月期は増加傾向です。黄色は医療関係を中心とする電子応用で、全体の11パーセントです。赤色は通信・放送関係で、当期は非常に減っています。水色は防衛・その他で、特に防衛関係が伸びており、全体の5.6パーセントを占めています。
全体としては2024年3月期上半期の売上高20億5,500万円に対し、2025年3月期は19億3,000万円と、6.1パーセントほど低い結果となりました。前年同期比で約1億2,500万円減少しています。
主要納入先 (直接納入,間接納入を含む)
上村:私どもの製品をどのような会社が使っているのか、どのような会社に納めているのかというと、スライドでご紹介しているような日本を代表するような非常に大きい企業が主要納入先となっています。
スライドには掲載していませんが、もちろん中小企業も多く、大企業だけが納入先ではありません。さまざまな分野で私どもの製品をお使いいただいています。
生産拠点の分散
上村:生産拠点については会社概要のご説明でも少し触れましたが、東京都八王子市、東京都荒川区、埼玉県入間市、大阪市東淀川区、中国蘇州市の5拠点があります。
各拠点には、全工場共通でバックプレーンをアセンブルする自動機械や、それを検査する検査設備を置いています。これはBCPの観点から、万が一災害などで支障があった場合でも他の工場で製造できるよう、工場を分けている側面もあります。
荒井沙織氏(以下、荒井):生産拠点が5拠点あり、各拠点で生産できる体制を確保されているのでしょうか? また、上野事業所は設計・開発のみとなっているようですが、そのすみ分けについても教えてください。
上村:上野事業所は主として設計・開発関係を中心とした事業所です。一般のオフィスビルの中にありますので、もの作りができるような場所ではなく、ご指摘のとおり機械は置いていません。試作や実験などのデスクワークレベルのことはできますが、本格的な生産はそのほかの工場で行います。
荒井:上野事業所以外は、ほぼ同じような生産体制なのですか?
上村:おっしゃるとおり、ほかの事業所はすべて共通です。上野事業所だけが特殊です。
荒井:上野事業所と入間事業所や八王子事業所は比較的近い場所にあると思いますが、上野事業所で設計されたものをそこに持っていくのでしょうか?
上村:八王子事業所や大阪事業所にも技術部門があり、設計や開発をすべて上野事業所に集約しているわけではありません。上野事業所はどちらかというと都心でなければなかなか技術者が集まらないなどの事情から拠点を置いています。
坂本:ほかの拠点から八王子の本社が遠いからという面もあるのでしょうか?
上村:社員の中でも「上野であれば通勤しやすいけれど、八王子までは行きたくない」という者もいたりします。
荒井:上野事業所には営業的なメリットもあるのですね。
上村:働く社員にとっても、拠点を分散しておいたほうが便利だという側面もあります。そのような意味でも拠点は分散しています。
2025年3月期 上半期決算実績
上村:2025年3月期上半期の決算実績です。売上高が19億3,000万円、営業利益が1億8,800万円、営業利益率は9.7パーセントです。
経常利益が1億8,900万円、経常利益率が9.8パーセント、当期純利益が1億2,400万円、当期純利益率で6.4パーセントとなっています。
2025年3月期 上半期応用分野別概況-1
上村:上半期の応用分野別の概況をセグメント別にお話しします。
まず、半導体製造装置を中心とした計測・制御では、中国向けのレガシー装置の設備投資が増加しました。
ご承知のとおり、現在ハイエンドの半導体製造装置を中国に輸出することに対して規制があります。規制に該当しないハイエンドの装置以外をレガシー装置といいますが、それらの出荷が大変増えているという実績が出ています。しかし、私どもの仕事にはあまり大きな影響がありませんでした。
また、顧客の在庫未消化による生産調整が継続しており、量産機種の出荷が減少しています。これは今に始まったことではありません。
実は「在庫を消化して正常化する」という場合の在庫は、すでに納入済みのお客さまが持っている在庫のことです。私どもの納入した製品ですが、お客さまの在庫が消化されなければ正常には戻りません。その部分がやはり遅れているようです。
売上高は11億7,900万円、通期売上計画進捗率は46.9パーセントです。上半期で50パーセントを見込んでいましたが、未達となりました。前年同期比で8.1パーセント減少しています。
一方、交通関連については、鉄道信号関係の新規案件の量産開始があり、売上増となっています。通期売上計画進捗率は48.9パーセントで、50パーセントには一歩足りませんでした。前年同期比では9パーセント増加しています。
2025年3月期 上半期応用分野別概況-2
上村:近年、通信・放送関係ではよくない状況が続いています。電力分野は堅調なのですが、通信・放送は大幅に減少しています。特に上半期は極端に少なかったという印象があります。通期売上計画進捗率が33.6パーセントですので、半分どころか3分の1ほどの進捗率です。売上高は前年同期比で42.2パーセント減少しています。
電子応用は医療関係が中心です。医療関係市場は、全体的には堅調に推移していますが、当社グループの主要取引先の中に一時的な生産調整を伴う売上減少がありました。通期売上計画進捗率は46.8パーセント、売上高は前年同期比で9.5パーセント減少しています。
防衛・その他については、新規案件成約により売上が増加しています。防衛関係が伸びており、通期売上計画進捗率は66.1パーセントと目標の50パーセントを超えています。売上高は、前年同期比で58パーセント増加しました。
2025年3月期 上半期応用分野別売上
上村:応用分野別売上高の上半期推移です。一番大きい割合を占めているものは、グラフに灰色で示している計測・制御の半導体製造装置です。2024年3月期上半期の12億8,400万円から、2025年3月期上半期は11億7,900万円に減っています。8.2パーセントほどの減少です。
青色の通信・放送関係は、42パーセント減少しています。橙色は電子応用で、9.4パーセントの微減となり、売上高としては2億1,300万円ほどです。
黄色の交通関連は、2024年3月期上半期の3億1,200万円から、2025年3月期上半期は3億4,000万円となり、9パーセントほど増加しています。
緑色の防衛・その他は、2024年3月期上半期の6,800万円に対し、2025年3月期上半期は1億700万円となっています。前年同期比で58パーセント増と、なぜか防衛関係が増えています。
坂本:防衛関係は、新規案件の成約によって売上が増加しているとご説明がありました。これは防衛費を2倍にする政策なども影響しているのでしょうか?
上村:昨年も防衛予算はずいぶん多くなりましたが、私どもの業績においてはむしろ減りました。これは調達されるものによって影響が異なります。
坂本:昨年は大物が動いたのですね。どちらかというと機械ものがあとから増えてくるイメージなのでしょうか?
上村:私ども国産のメーカーが建造している護衛艦などが動いてくると、私どもにも影響はあると思います。ジェット機が増えても私どもの売上は増えません。
坂本:今後はさらに伸びるかもしれないということですね。
2025年3月期 上半期業績 – 財政状態
上村:B/Sです。2024年9月末の流動資産は43億4,400万円、固定資産が12億6,200万円で、資産合計56億700万円です。流動負債が5億8,800万円、固定負債が4億1,000万円で、負債合計が9億9,900万円です。
純資産が46億800万円、負債純資産合計が56億700万円で、自己資本比率が82.2パーセントです。
2025年3月期 通期予想(期初の予想から変更なし)
上村:2025年3月期の通期予想です。売上高は41億円、営業利益、経常利益はともに5億3,000万円、営業利益率、経常利益率はともに12.9パーセント、当期純利益は3億5,000万円、当期純利益率は8.5パーセントを計画しています。これまで発表してきたことから、おおむね変更はありません。
計画進捗率を見ると「かなりの分野で50パーセントを切っているではないか」とお感じになると思いますが、ここに来て良い方向に向かってきています。今後の下半期の状況にもよりますが、私どもとしては、計画に近い数値まで到達できるのではないかと考えています。そのため、1株あたりの配当についても計画どおり40円を予定しています。
2025年3月期 通期見通し
上村:2025年3月期の通期の見通しです。顧客の在庫の消化が進み、受注が回復傾向にあることから、計測・制御関係や半導体製造装置関係、AI用途などの先端分野は投資が旺盛です。しかし、そのような分野とそれ以外の分野とで、状況が非常に大きく分かれています。
全体としては、現在半導体関係はあまり良くありません。毎日のように「生成AIだ」「AI関係の半導体だ」などと騒がれていますので、「半導体関係はものすごくよいのだろう」と思われるかもしれません。
しかし、実は今の半導体業界はシリコンサイクルの低迷期に入っているという説があります。その説では、2022年末あたりから低迷期に入っていることになり、今は2024年ですのでそろそろ2年が経ちます。
そこで「シリコンサイクルは4年だから、春頃からよくなる」という説があるのですが、これにもいろいろな見方がありますので、何が正しいかはわかりません。
坂本:半導体製造装置はバックオーダーが溜まっている状況が続いているため、常にその山に向けて設備投資をしているということでしょうか?
上村:おっしゃるとおり、時期がずれているというだけです。
2023年度はみなさまもご存じのように、半導体関係も4年ぶりに前年度割れしました。半導体が絶好調だったかと思えば、前年同期比ではマイナスでした。それは、今考えてみるとシリコンサイクルの谷にあったということです。
全体的には、現在私どももその影響を引きずっています。しかし、来年の春あたりから少し良い風が吹いてくるのではないかというのが我々の見方です。ただし、AI関係にはまた別の波があり、別枠で考える必要があります。
坂本:AIが進んでくると、今後はエッジコンピューティングと組み合わせた製品なども出てくるのでしょうか? その領域では、御社が伸びるところがあるように思います。
上村:おっしゃるとおりです。なお、見通しとしては交通関連も好調です。
2025年3月期 通期見通し
上村:通信・放送関係の状況はあまりよくありませんが、少し回復傾向に向かいそうです。電子応用関係の市場としては良い見通しのようで、順調に推移するだろうと思われます。防衛関係については先ほどお話ししたとおりです。
2025年3月期 通期応用分野別売上予想
上村:2025年3月期の通期予想です。最終的な落としどころに変更はありません。
直近10年間の業績推移
上村:成長への取り組みです。スライドは10年間の私どもの成長の軌跡をまとめたものです。
当面の目標
上村:当面の目標として、スライドに示したようなイメージで伸ばしていきたいと考えています。年率10パーセント成長を確保していきたいと思っています。
成長戦略
上村:今後ともコア事業を強化する、受託範囲を拡大する、ボードコンピュータ事業を強化する、さらに中国子会社の戦略的な活用を行っていきたいと思います。
(1)コア事業の強化
上村:こちらのスライドは、コア事業の強化についてです。
(2)受託範囲の拡大
上村:先ほどもお伝えしたように、私どもが提供しているものはシステムラックの部分です。「ボードを入れればコンピューターになりますよ」というもので、概念的にはコンピューターのフレームベースを作っていると考えていただければと思います。これが私どもの売上の中でも圧倒的なシェアを占めています。
(3)ボードコンピュータ事業強化
上村:しかし、最近は新しいものにも力を入れており、スライドの右下グラフでは黄色で示しています。
これはバックプレーンとシャーシを中心としたもので、従来型のコンピューターのベースフレームやフレームワークのようなもの以外の新製品が伸びています。
緩やかではあるものの順調に伸びており、直近4年間では4億1,700万円、4億6,800万円、5億8,700万円、6億2,400万円と推移しており、2025年3月期は7億7,400万円の見通しです。
フレームワーク製品以外の新製品が全体の20パーセント近くを占めるようになっており、私どもの戦略としても順調に推移しています。年平均成長率としては15パーセントほどで、これを大事にしていきたいと考えています。
(4)中国子会社の活用強化
上村:こちらのスライドには、中国子会社の活用強化について記載しています。
株主還元
上村:株主還元についてです。スライドには「安定した増配を継続」と記載しています。
配当については、業績が良ければ大きく配当し、悪ければ配当しないという考え方もありますが、私どもはそうではありません。事業として年単位の業績が多少でこぼこすることは仕方がないものの、やはり株主には安定した配当を行い、できれば少しずつでも上げていきたいと考えています。
これが私どもの基本的なスタンスであり、現時点では上場以来、毎年22パーセントの増配を維持しています。配当性向として、いずれは25パーセントから30パーセントぐらいまで到達するとは思うものの、そのラインまでは当面は今の水準を維持したいと考えています。
また、株主資本配当率としては、約2パーセントまではこのような方針で進んでいきたいと考えています。それ以降については規模やアマウントがありますので、あらためて検討します。
質疑応答:中国における状況について
坂本:個人投資家の方も注目されているところだと思いますが、御社は中国で事業を展開されています。中国の最近の景気や、日本企業に向けた製品からの撤退など、そのようなトピック的なものでも構いませんので教えていただけますか?
上村:中国は不動産の問題でずいぶん大きく景気が減退しています。実はそれ以前から悪い状況は始まっており、撤退するところはすでに撤退をしているのではないかと思います。
私どもが進出している江蘇省の蘇州市や無錫市は、日系企業が大変多いところです。また、現地も日系企業に大変好意的な地域であると考えており、あまり大きな動きはありません。そのため、少なくとも私どもが取引している現地のメーカーにはまったく変化はなく、そのような予定もないと聞いています。
質疑応答:海外メーカーの取引先について
坂本:「取引先には海外メーカーがあるのですか?」というご質問です。
中国の中、あるいは日本から出しているものなどがあれば教えてください。
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