目次

野田和宏氏(以下、野田):代表取締役社長の野田です。本日は、スライドに記載されている内容についてご説明します。

決算サマリー

決算サマリーです。2024年度上期の実績は、売上収益が2,069億円、営業利益が105億円と、対前年同期で増収増益となりました。主な増益要因は、スペシャリティケミカルズ・エレクトロニクス材料などのソリューションズ製品や、AA(アクリル酸)・AES(アクリル酸エステル)の数量が増加したことによるものです。また、持分法投資損益も改善しました。

2024年度の通期予想は、売上収益が4,150億円、営業利益が200億円と、こちらも対前年同期で増収増益を見込んでいます。上期と同様にスペシャリティケミカルズ・エレクトロニクス材料などの需要が回復したことと、SAP(高吸水性樹脂)の数量が増加する見通しとなっています。

株主還元については、中間配当は1株あたり54円、対前年同期で1株あたりプラス31.5円と、大幅な増配になります。年間配当予想も1株あたり108円、対前年同期で1株あたりプラス63円と、こちらも増配を見込んでいます。

自己株式については、すでに予定どおり50億円の取得を完了しました。

2024年度上期 業績の概要 (対前年同期)

2024年度上期の実績についてご説明します。業績の概要はスライドに記載のとおりです。売上収益は2,069億円と対前年同期で126億円の増収、営業利益は105億円と対前年同期で4億円の増益となりました。

また、MMAを作っている持分法適用会社の持分法投資損益が増加し、税引前中間利益、当期利益ともに対前年同期で増益となっています。

ROE、ROAはそれぞれ4.7パーセントとなり、対前年同期で1.0ポイント上昇しています。

セグメント別売上収益・営業利益

セグメント別の売上収益・営業利益です。マテリアルズ事業の売上収益は1,495億円と、対前年同期で71億円の増収です。主にベーシックマテリアルズの単価の上昇や、AESなどの数量の増加によって売上が伸びました。

ソリューションズ事業の売上収益は574億円と、対前年同期で55億円の増収です。こちらも需要の回復や売価の上昇などによって増収となっています。

営業利益については、マテリアルズ事業が81億円と対前年同期で2億円の減益、ソリューションズ事業が20億円と対前年同期で11億円の増益となりました。

営業利益増減分析 (全社)

営業利益の増減についてご説明します。対前年同期4億円の増益について、内訳をスライド右側の表と、下のグラフで示しています。主な増益要因は、数量の増加や、在庫評価差を含む加工費の減少です。アクリルとともに、スペシャリティケミカルズ・エレクトロニクス材料などのソリューションズ製品の数量が増加してきています。

営業利益増減分析(マテリアルズ)

営業利益の増減について、セグメント別に見ていきます。マテリアルズ事業は、対前年同期で2億円の減益となっています。

主な減益要因はスプレッドの縮小です。2023年度上期は、SAPにおいて、原料価格の時期ずれの影響でかなりの利益がありました。当期はそれがなくなったこと、および海外市況が引き続き低迷していることにより、スプレッドが対前年同期でマイナス34億円となっています。

一方、数量については、AA・AESにおいて、新興国向けが好調であったことによりプラスとなっています。また加工費他の増加については、在庫評価差益の増加や減価償却費の減少によるものです。

営業利益増減分析 (ソリューションズ)

ソリューションズ事業は、対前年同期で11億円の増益となっています。

主な増益要因は、スプレッド、数量ともにプラスとなったことです。スプレッドについては、円安による売価上昇により拡大してきています。数量はスペシャリティケミカルズ、特にポリエチレンイミンなどが好調だったことや、ディスプレイ関連の需要が回復したことにより伸びています。

販管費の増加については、ライフサイエンスなどの研究開発費などが増加した結果によるものです。

2024年度業績予想の概要 (対前年同期)

2024年度の通期予想についてご説明します。売上収益は4,150億円と対前年同期で230億円の増収、営業利益は200億円と対前年同期で34億円の増益となる見込みです。マテリアルズ事業、ソリューションズ事業ともに販売数量の増加を見込んでいます。

ROEは4.3パーセント、ROAは4.2パーセントと、それぞれ1.3ポイント改善しています。

セグメント別売上収益・営業利益

2024年度におけるセグメント別の売上収益・営業利益の通期予想です。

マテリアルズ事業の売上収益は2,970億円、対前年同期で132億円の増収と予想しています。AA・SAP、ベーシックマテリアルズともに増収となる見込みです。

ソリューションズ事業の売上収益は1,180億円、対前年同期で98億円の増収を見込んでいます。インダストリアル・ハウスホールドでは、スペシャリティケミカルズを中心に伸びを見ています。エナジー・エレクトロニクスでは、ディスプレイ関連の回復が続くと見込んでいます。

営業利益は、マテリアルズ事業が146億円、ソリューションズ事業が46億円で、それぞれ対前年同期で19億円の増益となる見込みです。

営業利益増減分析 (全社)

2024年度通期予想における営業利益の増減の要因分析です。対前年同期で34億円の増益を見込んでおり、主に販売数量の増加が大きく影響しています。一方で、運搬費や研究費などの販管費は、増加する見込みとなっています。

営業利益増減分析 (マテリアルズ)

2024年度通期予想における営業利益の増減を、セグメント別に見ていきます。マテリアルズ事業は、対前年同期で19億円の増益を見込んでいます。主な増益要因は数量の伸びで、新興国および国内の需要の取り込みにより数量増となる見込みです。

またスプレッドについては、海外市況の低迷等により、対前年同期で10億円の減益要因となっています。

営業利益増減分析 (ソリューションズ)

ソリューションズ事業も、対前年同期で19億円の増益を見込んでいます。主な増益要因は、数量とスプレッドが改善したことによるものです。

数量については上期に続き、スペシャリティケミカルズやディスプレイ関連の回復を見込んでいます。

またスプレッドについては、売価上昇や円安などによる改善を見込んでいます。販管費の増加は、先ほどご説明した研究費などの増加によるものです。

事業戦略 概要

事業戦略と事業トピックスについてご説明します。スライドではコア事業と成長事業に分け、事業分野ごとの戦略を示しています。

AA・SAPでは、成長市場、特にインドネシアでのSAPの設備増強、グローバルサウスへの販売強化を図っていきます。

スペシャリティケミカルズについては、水処理剤やCO2吸収剤などの材料であるアミン類の拡販を行っていきます。

エネルギーについては、「イオネル」やZr(ジルコニア)シートの設備増強を進めていきます。

エレクトロニクスでは、ディスプレイ材料や半導体材料の拡販を図っていきます。

事業戦略 スケジュール

事業戦略のスケジュールについてご説明します。スライドの図は、2025年度から2027年度と、2028年度から2030年度に分け、それぞれの事業戦略のスケジュールを示しています。

AA・SAPでは、すでにグローバルサウスへの販売強化を行っています。2027年度にはインドネシアでのSAP増設が完了し、さらなる拡販を図っていきます。

スペシャリティケミカルズではアミン類の拡販、コンストラクションケミカルズでは建設資材ラインナップの拡充を、それぞれすでに図っています。

エネルギーでは、「イオネル」について現在中国での設備増強を図っており、2028年度からは日本が立ち上がり、その先に北米と考えています。

エレクトロニクスでは、ディスプレイや半導体材料(レジスト、微粒子他)を拡販しています。

ライフサイエンスについては、次期中期経営計画の途中から、中分子原薬の生産設備の拡充を進めていく計画です。

事業戦略 営業利益拡大イメージ

事業戦略における営業利益拡大イメージについてご説明します。スライドの図は、2030年度に向けて、分野ごとの利益をどのように伸ばしていくかを示したものです。

あくまでもイメージですが、次期中期経営計画期間(2025年度から2027年度)の後半から、より利益に貢献してくる分野が増えていきます。特に2027年度以降、ソリューションズ事業が成長し、2030年には営業利益が全体で500億円を超える想定で考えています。

事業トピック① AA/SAP 世界需給動向

事業トピックとして、AA・SAPと「イオネル」の2点について、簡単にご説明します。

まずAA・SAPの世界需給動向ですが、AAに関しては、2027年で需給バランスが底打ちすると見ています。

世界需要は2024年想定で770万トン、年率3パーセントで成長しています。スライド上段に記載のグラフは薄い緑色の棒グラフが需要、濃い緑色の棒グラフが供給、折れ線グラフが稼働率を示しています。

中国を含め、AAはしばらく増設が続きますが、2027年に底を打ち、そこから徐々に稼働率が上昇してくるという見方をしています。

一方、SAPについては、それより少し前の2025年に需給バランスが底打ちすると見ています。世界需要は2024年想定で300万トン、年率3パーセントの成長を見込んでいますが、スライドに記載のとおり、だいたい2025年で底を打ち、2026年、2027年あたりから徐々に稼働率が上昇してくるという見方をしています。

事業トピック① AA/SAP SAP増設

AA・SAPにおける、当社の世界全体での生産能力についてご説明します。現在の生産能力はAAで年98万トン、SAPで年71万トンです。

SAPについては、インドネシアで年5万トンを増設する計画としています。2027年7月に商業運転を開始し、インドを中心に、アジア・アフリカへの拡販を図っていきます。

また姫路のSAPプラントのうち、生産性の低い旧型設備については、必要に応じて停止措置をとることを検討しています。

事業トピック② イオネル 優位性と今後の展望

2つ目のトピックの「イオネル」です。「イオネル」はリチウムイオン電池(LIB)の電解質で、主な用途はEV用の車載電池です。スライドに現行車載電池の課題を記載しています。「イオネル」を使用することにより、製品寿命、充電時間あるいは低温・高温などの使用環境において現行品を改善するため、性能的優位性があります。

スライド右には、グラフで市場規模を表しています。上がリチウムイオン電池の市場規模の世界需要の伸びを示しており、世界需要は当初に比べると少し伸びが後ろにずれている感じがありますが、いずれにしても2030年、2035年に向けて大きく伸びることは確かだろうと見ています。

スライド下の図は、車種別のEV世界生産台数予測で、EV車を赤、ハイブリッド車を緑、プラグインハイブリッド車を青で示しています。通常のEVだけではなく、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も伸びていきますので、2030年、2035年に向けて、今後「イオネル」の成長性に期待できるかと見ています。

事業トピック② イオネル国内供給体制を強化

当社の地域ごとの供給体制を示したスライドです。

すでに公表したとおり、日本での新工場立ち上げを計画しています。福岡県に3,000トンの新設備を建設予定です。新工場は2028年の商業運転開始を目指しており、投資額は375億円です。そのうち最大125億円の助成金をいただく予定にしています。

また、中国においても引き続き増強を進めており、大きく増やす見通しです。そして、北米についても現在検討していますが、2029年頃の商業運転開始を目指して検討を進めていきたいと考えています。

株主還元

最後に株主還元についてご説明します。中間配当については1株あたり54円と、大幅な増配となります。スライド上部に記載しているのは、4分割の前の数字です。下部には分割後の数字を並べており、年間配当は大幅に増える見通しです。現時点での年間配当予想は1株あたり108円の予定にしています。

今後、株主資本比率を60パーセント程度まで引き下げ、今年度から4年間、配当性向100パーセント、あるいはDOE2パーセントのいずれか大きいほうの金額を配当する方針で進めています。

自己株式取得についても積極的に実施し、4年間で200億円を取得予定です。スライドに、推移の図を示しています。

質疑応答:ソリューションズの状況とスプレッドの見通しについて

質問者:第1四半期から第2四半期にかけてソリューションズが業績を伸ばしていると思うのですが、前年同期の比較でもあったように、全体観でスプレッド改善がメインと考えていいのでしょうか? もしくは、第1四半期から第2四半期にかけて、エナジー・エレクトロニクスおよびインダストリアル・ハウスホールドの数量が伸びたと考えればいいのでしょうか?

ソリューションズの足元の状況と、上期から下期にかけて一段と営業増益になる背景について、どのあたりで数量が拡大し、スプレッドは現状維持もしくはそれ以上が期待できるのかなどについて教えてください。

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