サマリー

黒田武志氏:リネットジャパングループ代表取締役社長グループCEOの黒田です。本日はお忙しい中、決算説明会にご出席いただきましてありがとうございます。それでは、2024年9月期決算概要についてご説明します。

まず、全体のサマリーです。前期は非常に大きな赤字を計上し、株主や投資家のみなさまにご心配をおかけし申し訳ありませんでした。

大きな赤字を出した要因は2つの事業です。1つはカンボジアのマイクロファイナンス事業、もう1つが障がい福祉のソーシャルケア事業のフランチャイズ部門です。

2事業は前期2024年9月期、会計上も含めて切り離すことになっています。今期は国内の黒字事業だけを残したかたちになりますので、今期は確実に黒字化していきたいと思っています。

10月、11月は月次の経常利益も無事に黒字でスタートし、順調に収益が出ている状況です。

前期は率直に言うとピンチだったと思いますが、「ピンチの後にチャンスあり」ということで、次のビジネスのチャンスを捉えるべく、特に2つの領域に集中していきたいと思っています。

1つは小型家電のリサイクル事業です。2025年度、2026年度に小中学校の1人1台端末化で導入された950万台のパソコンの入れ替えが一斉に始まるという非常に大きな特需があります。

我々は今、パソコンのリサイクル台数で業界最大手ですが、それでも年間で100万台前後です。この約10倍規模の特需が新たに発生するチャンスをなんとかものにしていきたいと思っています。

もう1つが、障がい福祉のソーシャルケア事業です。アニスピ社を買収してノウハウを習得し、特に中度から重度の障がいを持つ方向けの日中サービス支援型のグループホームは、世の中にまったく足りておらず、市場としてもこれからというところのほか、社会課題を解決するという意味合いも大きいです。

ビジネス上も、ストック型収益で高収益を目指せますので、これから10年で直営を200棟、しっかりと積み上げていきたいです。200棟が積み上がった時には、この事業だけでも営業利益50億円分をストック型収益として上げていけます。

今後、リサイクル事業のほうでは、GIGAのパソコンには5年周期で入れ替えがあり、その間、2年から2年半ぐらいかけて入れ替わることなります。3年ごとのGIGAスクールの特需やソーシャルケア事業において10年でストック型の収益を積み上げるということの組み合わせで、大きな成長を確実に目指していきたいと思っています。

サマリー

赤字事業の撤退についてです。マイクロファイナンス事業のチャムロン社を7月1日付で連結対象外にしています。これにより総資産がチャムロン社の分だけでも62億9,000万円と非常に大きく圧縮します。

マイクロ保険事業のプレボア社も10月1日付で連結対象外になっています。残りのカンボジア事業2社も、売却に向けて基本合意書を締結済みです。

ソーシャルケア事業ではアニスピホールディングスのフランチャイズ部門を会社分割により売却しています。黒字の直営拠点だけを残しています。

前期の2024年9月期の決算です。売上が116億7,000万円、経常利益がマイナス11億8,000万円、当期純利益が18億8,000万円の赤字です。非常に大きな赤字を計上しています。

一方、総資産は84億4,000万円で、前期よりも63億3,000万円と大きく圧縮しました。

2025年9月期の計画です。売上が100億円、経常利益が2億5,000万円です。黒字に転換する計画です。

リサイクル事業のGIGAスクールでは、特需が今期に入ってくる予定です。新しいチャレンジですので、保守的に少しだけ計上しているかたちです。上振れ分は、四半期ごとの決算のほか、自治体ごとの入札状況も開示されると聞いていますので、月次ベースで先行指標として入札の受注状況なども開示していきたいと思っています。

入札状況を開示することになれば、入札により受注してから3ヶ月から6ヶ月ごろに売上や利益として計上されることになりますので、事業の推移を先行指標として開示することになれば、ぜひご注目いただければ思います。

開示用事業セグメントの変更

決算の概要についてご説明します。前期から、リユース事業とリサイクル事業を合算したリユース・リサイクル事業セグメントと、障がい福祉のソーシャルケア事業と外国人の人材事業を合わせたソーシャルケア事業の2セグメントで開示しています。

2024年9月期 決算実績

連結の売上が116億8,000万円、経常利益マイナス11億8,000万円です。セグメント別では、リユース・リサイクル事業は売上高が78億2,000万円、経常利益が8億7,000万円です。

ソーシャルケア事業は売上高28億2,000万円、経常利益がマイナス5億6,000万円です。

その他では、経常利益、販管費などの固定費がマイナス5億9,000万円という結果になっています。

2024年9月期 連結損益計算書

連結の損益計算書です。当期純利益はマイナス18億8,200万円という結果になっています。

2024年9月期 連結貸借対照表

連結の貸借対照表です。今期2024年9月期末で総資産が84億5,000万円です。前期は147億9,000万円でしたので、今期のバランスシートでは63億4,000万円圧縮しています。

自己資本比率は3.0パーセントと少し低い状況ですが、カンボジアの未売却2社を近々切り離しますので、もう少し改善する予定です。

資金繰りについては、メインの三菱UFJ銀行がしっかり支えると明確に言っていますので、資金繰りなどにはまったく問題ありません。成長資金にも投資していきたいと思っています。

2024年9月期 売上高の増減要因

売上高の増減要因です。前期最も大きく増えたのが、ソーシャルケア事業の9億5,700万円です。連結化で100パーセント取り込んだことにより大幅に増えています。今期はフランチャイズの部門が減るためマイナスになっていますが、前期はこの部分が大きく増えています。

2024年9月期 経常利益の増減要因

経常利益の増減は、ソーシャルケア事業でマイナス5億8,000万円でした。フランチャイズの新しい加盟店が開発する営業が少し不振で、当初の計画を下回り、マイナス5億8,000万円となっています。また、カンボジアの金融事業はマイナス4億1,200万円でした。この2つの事業が大きく足を引っ張ったかたちになっています。

赤字事業の撤退

カンボジア金融事業の撤退についての詳細です。マイクロファイナンス事業のチャムロン社は株式譲渡済みになっています。デジタル通貨のソラミツ社との合弁会社は清算済みです。

マイクロ保険は、シンガポールのリネットジャパンインターナショナル社という海外の事業統括にぶら下がるかたちになっていましたが、この2社セットで売却していますので、10月1日付で連結対象外になっています。

残っているのが、リース事業のモビリティファイナンス社と中古車の割賦販売などを手がけていたリネットジャパンカンボジア社の2社ですが、こちらのほうも今期早々に事業譲渡していきたいと思っています。

アニスピホールディングスは、フランチャイズ部門を切り離しています。

2024年9月期 実績 / 2025年9月期 計画主要値

2025年9月期の計画です。売上高が連結で100億円、経常利益が2億5,000万円となっています。

セグメント別では、リユース・リサイクル事業が売上高85億2,000万円、経常利益9億6,000万円、ソーシャルケア事業が売上高19億3,000万円、経常利益1億2,000万円です。特にソーシャルケア事業で売上が減る計画ですが、フランチャイズ部門を切り離した影響です。

残った直営のほうはすでに黒字化していますので、経常利益は1億2,000万円です。2025年9月期の利益はそこまで大きくないですが、ここから我々が力を入れていく中度から重度の方の障がい者グループホームを10年で200棟積み上げて、ストック型収益を確実に大きくしていきたいと思っています。

2025年9月期 売上高の増減見込

売上高の増減見込みです。一番大きいのはソーシャルケア事業でマイナス9億4,000万円です。フランチャイズ部門の切り離しによる部分です。

金融事業も切り離しましたので、売上高でマイナス10億4,000万円としています。

2025年9月期 経常利益の増減要因

経常利益の増減要因です。ソーシャルケア事業が黒字転換し、プラス6億8,500万円です。金融事業のマイナスも解消し、プラス5億9,200万円としています。

「ESモデル」としての成長

今後の成長戦略です。小型家電リサイクル事業とソーシャルケア事業の2つを成長ドライバーに据え、重点的に取り組んでいきたいと思っています。

これまでは約10年にわたり、新しい事業の成長の柱を求めていろいろな事業にチャレンジしてきました。

成功したのは、小型家電のリサイクル事業です。一方で、カンボジアの金融事業はチャレンジした当初、コロナ禍前までは非常に大きな稼ぎを上げましたが、コロナ禍によるカンボジア経済の悪化などもあり、このあたりでは少しやけどをしたところもあります。

このようなチャレンジの末、小型家電リサイクル事業のGIGAスクールを含めた特需と、ソーシャルケア事業の中でも障がいが中度から重度の方向けグループホームによるストック型収益という2つの収益の柱を見いだしました。

これからはいろいろな事業に手を出していくのではなく、この2つの事業にこれから10年はフォーカスし、着実に利益を積み上げていきたいと思っています。

今後の戦略

今後の戦略です。リサイクル事業ではGIGAスクールのパソコン950万台が入れ替わる機に乗じて圧倒的シェア1位を獲得したいです。私がリネットジャパンを創業して24年ですが、このGIGAスクールへの挑戦は最大のビジネスチャンスだと考えています。

明日も群馬のほうに出張で行きますが、各地で私自身も先頭に立って営業し、なんとか業績を飛躍させていきたいと思っています。

ソーシャルケア事業では、特に首都圏、中部圏、近畿圏の3大都市部にドミナント戦略で集中して出店していきたいと思っています。

リサイクル : GIGAスクールパソコンの入替商戦について

GIGAスクールでは、2020年度に916万台が出荷したパソコンが、2024年度に130万台、2025年度に474万台、2026年度に455万台入れ替わります。2024年度は少し遅れていると聞きますので、2025年は合わせておそらく600万台前後が入れ替わっていくと考えています。

我々が今、合わせて約8,900万人の人口を抱える712の自治体と結んでいる協定なども強みとして活かしながら、シェア1位を獲得していきたいと思っています。

リサイクル : GIGAスクールパソコンの入替商戦について

環境省も、GIGAスクールのパソコンを我々が許認可を受けている小型家電リサイクル法で処分していく方針を打ち出しています。このようなところで、我々もしっかりその方針に沿って自治体に営業をかけていきたいと思っています。

リサイクル : GIGAスクールパソコンの入替商戦について

GIGAスクールではGoogleがChromebookでかなりのシェアを取っていますが、リサイクルにおいて、我々は唯一、Googleのパートナーとして提携できました。Googleなども連携しながら、営業をかけていきたいと思っています。

ソーシャルケア : 中〜重度者向け直営グループホームの展開

ソーシャルケア事業です。先ほどからお話ししている施設の写真をスライドで紹介していますが、新築で1階が10室、2階が10室の計20室あります。介護に比べると障がい福祉は厚労省の制度がわりに小ぶりで、アットホームなかたちで運営していく方針です。

介護はもっと大きな施設が多いですが、障がい福祉のほうは20室での新築が上限になりますので、このようなかたちの施設をこれから10年で200棟、地域に展開していきたいと考えています。

ソーシャルケア : 直営グループホームの多拠点展開

現在、愛知に9拠点と、関東にアニスピ社の直営65拠点が残っています。これまでは愛知中心でしたが、首都圏にグループホームを展開する足場ができたと考えています。

これまでは軽度の障がいの方の施設がこれだけの数あったのですが、これを土台にしながら、より中度から重度の方向けの新築のモデルなどをドミナントで、中部や首都圏、近畿圏のほうに展開していきたいと思っています。

リユース : 2025年9月期 計画

事業別の計画です。リユース事業は売上高58億1,300万円、前年比108パーセントの計画になります。

リサイクル : 2025年9月期 計画

リサイクル事業は売上高27億円で、前年比111パーセントの計画です。GIGAスクールの商談分は少し控え目に入れていますので、前年比もそれほど大きな計画としていませんが、これよりも上振れを目指していきたいと考えています。

ソーシャルケア : 2025年9月期 計画

ソーシャルケア事業は売上高17億5,000万円で、前年比64.9パーセントです。直営のほうは少し増えていっていますが、フランチャイズの部門を切り離した部分で、前年よりも減っているように見えるかたちとなっています。

外国人材事業 : 2025年9月期 計画

外国人材事業は売上高1億8,500万円で、前年比142パーセントです。これまで我々はカンボジアの自動車の整備士を中心に手がけてきたのですが、これからはグループのシナジーを利かせていくことで、障がい福祉の福祉人材・職種に力を入れていきたいと思っています。インドネシアのほうで送り出しを近々稼働する予定です。このようなところでグループのシナジーを利かせていきたいと考えています。

「経営理念」の実現に向けて

前期は大きな赤字となり、カンボジアの問題が出る以前に比べ、株価は約半分以下に落ちるなど、株主のみなさまにも非常にご迷惑をおかけしています。

当社としてはここから早期に元の株価を取り戻し、さらに、それを何倍にも伸ばしていくべく、業績を伸ばしていった上で、IRにおいても十分にアピールして、株価を着実に向上させていけるように取り組んでいきたいと思います。

私からのご説明は以上です。

質疑応答:2025年9月期までのグループホームの開設棟数について

「2025年9月期までのグループホームの開設の棟数を教えてください」というご質問です。

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