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河本幸士郎氏(以下、河本):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の河本です。霞ヶ関キャピタル株式会社、2024年8月期の決算説明を始めます。

本日の目次はスライドのとおりです。時間の都合上、2024年8月期の決算概要は短めにご説明し、それよりもみなさまが気になっているであろう中期経営計画と事業内容について、しっかりとお伝えしたいと思います。

したがって、いくつかのページはスキップしますので、あらかじめご了承ください。

2024年8⽉期 決算サマリー

2024年8⽉期通期の決算概要をご説明します。まずはサマリーです。

1つ目に、当期純利益は予定どおり、前年度比2.5倍の50億円を達成しました。2つ目に、事業の多角化が進みました。3つ目に、収益構造の多層化が進みました。4つ目として、2024年8月期の配当はプライム上場の記念配当50円を加えた170円でしたが、2025年8月期は240円を予定しています。5つ目以降に関しては、後ほど事業説明の中でご説明します。

中期経営計画の概要についてお伝えします。今から3年前の2021年10月に、5ヶ年の中期経営計画を発表しました。ここからは、その中期経営計画を「第1期中期経営計画」と呼びます。内容は「5年後の2026年に、当期純利益を当時の10倍にあたる100億円にする」というものでした。

しかし、昨年こちらを修正し、2026年ではなく1年前倒しの2025年に100億円を達成する、つまり5年ではなく4年で利益を10倍にするとしました。その最終年が2025年8月期です。したがって、2025年8月期は修正後の中期経営計画どおり、当期純利益100億円を計画しています。

AUMも順調に積み上がっており、棚卸資産も十分ありますので、100億円達成に向けて視界は非常に良好です。

しかし、我々は100億円では止まりません。昨日、新しい中期経営計画を発表しました。こちらが「第2期中期経営計画」です。5年後の2029年8月期には、2025年8月期の5倍にあたる当期純利益500億円を目指します。

我々が行う事業領域の市場規模は巨大ですが、その中で我々が占める割合はまだ小さく、1パーセント未満です。そのため、伸ばせる余地は大いにあります。「第2期中期経営計画」については、後ほどあらためてご説明します。

2024年8月期 PL対前期・対予想比較

ここからは、2024年8月期の数字を簡単におさらいします。スライドは売上高と各種利益の計画と実績をまとめたものです。すべての項目で、計画をしっかりと達成していることがわかるかと思います。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比約2.5倍の50億2,000万円となりました。

2024年8月期 営業利益の推移

営業利益ならびに営業利益率についてご説明します。営業利益が順調に増えていることに加え、営業利益率も増加しています。その要因は収益構造が変化してきていることにあります。

我々のビジネスモデルには利益ポイントが3つありますが、その中の成功報酬が生まれ始めたことで収益構造が多層化していると、1年前の決算説明会でお伝えしました。2024年8月期も成功報酬が多く得られたことで、営業利益率の増加につながったということです。もちろん、この傾向は今後も続きます。

2024年8月期 BS対前期末比較

BSについてです。昨年12月に成長資金を確保すべく、公募増資を行いました。それによって得た資金をしっかりと活用し、スライドのとおり、販売用不動産も約200億円増えて480億円となっています。

また、現金も1年前の約2倍の110億円あり、自己資本比率も36パーセントと健全な水準にあるため、今後の仕込みも問題なく行える状態にあると言えます。

2024年8月期 プロジェクトパイプライン・AUM

スライドに、それぞれのアセットタイプのプロジェクトパイプラインがどれだけ積み上がっているかを示しています。1年前に3,031億円だったパイプラインが約1,900億円増加し、今は4,916億円です。

なお、2024年8月期は、約450億円のレジデンスファンドを外部売却しています。そのようなマイナス項目があるにもかかわらず、ネットで約1,900億円増加しているため、2025年8月期の仕込みは約2,400億円分あったということになります。

2024年8月期通期 AUM進捗

スライドのグラフは、3年前の第1期中期経営計画の発表時点からのAUM推移を示しています。3年で約10倍になっていることがわかるかと思います。

2025年8月期 業績見通し

2025年8月期の業績見通しです。先ほどもお伝えしましたが、2025年8月期は第1期中期経営計画の最終年度です。当期純利益100億円に向けて視界は良好ですので、これまで同様にしっかりと達成します。

[第2期 中期経営計画策定] 当期純利益(25年8月期~29年8月期)

第2期中期経営計画についてご説明します。

スライド左側のグラフは当期純利益を表したものです。第2期中期経営計画の最終年にあたる、2029年8月期をご覧ください。突き抜けています。これは間違いではありません。上場してからの推移をグラフに表すと、500億円には収まらないのです。

みなさまから「本当にできるのか」という心の声が聞こえます。はい、自信があります。これまでの実績をご覧ください。第1期中期経営計画の4年間におけるCAGR(年平均成長率)は、115パーセントです。

一方で、第2期中期経営計画のCAGRは50パーセントを予定しています。50パーセントの平均成長で500億円に達します。つまり、これまでの我々の成長スピードの半分以下で届くということです。2倍ずつ成長してきた我々は、半分のスピードでもこのような成長曲線になり、それが自信の理由となっています。

スライド右側のグラフは、上場不動産会社の総資産を横軸、時価総額を縦軸としてマッピングしたものです。一般的に、不動産会社の総資産と時価総額は非常に高い相関係数を持ちます。しかし、我々が目指す成長曲線は違います。資産を持たずとも利益を作れるのが我々のビジネスモデルであり、それでこそグラフに記載したような成長曲線が可能になると思っています。

とはいえ、現在地はご覧のとおりで、時価総額もまだ小粒です。右上の第1グループの5社には遠く及ばず、第2グループにも届いていません。まだ第3グループです。5年後には中期経営計画をしっかりと達成し、まずは第2グループの上位メンバーになろうと思っています。

[第2期 中期経営計画策定] 当期純利益(20年8月期~29年8月期)

このページはほんの小話です。みなさま聞いたことがあるかもしれませんが、厚さ0.5ミリの新聞紙を何回折ったら月まで届くと思いますか?1,000回でしょうか。1万回でしょうか。10万回でしょうか。

答えは43回だそうです。意外ではありませんか? 何が言いたいかというと、当たり前のことですが、小さい数字でも複利が続くと莫大な数字になるのです。

我々は500億円に向け、何か特別なことを始めるわけではありません。ここまでは、1.5倍の工夫と1.5倍の人材採用で成長してきました。第2期中期経営計画を達成するためには、1.2倍の工夫と1.2倍の採用を5年続けるだけで500億円になります。

スライドのグラフのうち、上の点線はこれまでのCAGRを単純に伸ばした曲線、棒グラフは当期純利益を示しています。簡単とは言いませんが、これまでの道のりに比べると決して難しいとも思っていません。

[第2期 中期経営計画策定] AUM(25年8月期~29年8月期)

我々は第2期中期経営計画の達成に向け、1つの指標を採用しています。第1期中期経営計画でも採用した「AUM」という指標です。

現在は約3,000億円ですが、2029年8月期には1兆5,000億円程度までAUMを伸ばします。逆に言えば、当期純利益500億円を達成するためには、1兆5,000億円程度のAUMが必要になるということです。

ビジネスモデル①:⾼成⻑を可能とするビジネスモデル

スライド左側の図は、横軸が当期純利益のCAGR、縦軸が時価総額の増減率を表しています。霞ヶ関キャピタルは、上場不動産会社の中で突出しています。

その要因はスライド右側にあるとおり、「金融×不動産」「高回転」「多角化×多層化」の3つを組み込んだビジネスモデルだからです。従来の不動産会社のビジネスモデルとはまったく異なるため、このようなポジショニングになっているのだと思います。何も特別なマジックがあるわけではありません。

ビジネスモデル②:事業ポートフォリオの多角化

こちらのスライドは、第2期中期経営計画を達成するにあたり、事業ポートフォリオの推移と各アセットタイプの占める割合をイメージにしたものです。ホテル、物流、ヘルスケア、海外の順になる予定です。

ただ、我々のビジネスモデルの強みを思い返してください。我々の強みは、市場環境や世の中の需要に合わせて、経営資源の配分を即座に変化させられることです。したがって、このポートフォリオに固執することなく、必要に応じて柔軟に市場環境に合わせていこうと思います。

ビジネスモデル③:収益ポートフォリオの多層化

収益ポートフォリオについてです。冒頭でもお伝えしたとおり、収益構造が多層化しています。

具体的な内訳をスライドに示しています。2021年8月期は90パーセントが土地売却益でしたが、2024年8月期は土地売却益は61パーセント、その他のストック収入と成功報酬で39パーセントで構成されています。予定どおりです。

ストック収入と成功報酬が後から積み上がってくるのが我々のビジネスモデルであり、ようやくこのステージに入ってきました。

ビジネスモデル④:事業・収益の深化

今年、「AI Lab」という部署を新設しました。ビジネスの合理化・最適化にITやAIが不可欠であることは言うまでもありません。しかし、不動産業界でAIを本気で活用し、合理化・最適化に成功している会社を、私はまだ見たことがありません。

他社ができていない理由はいくつかあると思いますが、一番大きな理由は事業が分断されていることだと思っています。いつもお話ししていますが、不動産業界はなぜか非常に分断されており、デベロッパーはデベロッパー、オペレーターはオペレーター、AMはAM、PMはPMなど、それぞれの事業領域で壁を作って活動しています。

そのような状況で、合理化・最適化などは無理です。みなさまもおわかりのとおり、グサッと縦串・横串を刺さなければ、最適化は不可能です。一方で、我々は設計、デベロップメント、オペレーション、AM、すべてを垂直統合して事業を組み立てています。

ハードとソフトをいかに融合させるかに着眼してビジネスを作っている我々のようなプレイヤーこそ、AIを始めとしたテクノロジーを使った最適化が可能になるはずです。表面的なAI活用ではなく、グサッと活用しようと思っています。

1. ホテル事業

事業内容についてご説明します。ホテル事業と物流事業は、事業を統括している緒方と杉本からご説明します。

緒方秀和氏(以下、緒方):霞ヶ関キャピタルの緒方と申します。本日はお忙しい中、足をお運びいただき誠にありがとうございます。私からはホテル事業についてご説明します。

当社のホテル事業は、これまでの「fav(ファブ)」「FAV LUX(ファブラックス)」に加え、2024年8月期に「seven x seven(セブンバイセブン)」、2025年8月期に「BASE LAYER HOTEL(ベースレイヤーホテル)」を開業・ローンチし、現在4つのブランドで展開しています。

トピックス①:⻑期運用型ファンドPRF2号組成

トピックスについてご説明します。2024年8⽉期に⻑期運⽤型ファンドPRF2号を組成しました。昨年2月に「fav」10棟を対象とした1号ファンドを組成しましたが、それに続く長期運用型の第2号ファンドとなります。

このファンドは、これまでの「fav」に加え、先ほどご紹介した「FAV LUX」「seven x seven」等のより高価格帯を狙った新しいブランドラインを対象としたファンドです。これらは、我々の新しいブランドや新しいチャレンジがしっかり投資家に評価された結果だと考えています。

トピックス②:リブランドホテルを順次展開

2つ目のトピックスはリブランドホテルについてです。このたび、新ブランド「BASE LAYER HOTEL」をローンチしました。

我々がこれまで「fav」で培ってきたビジネスモデルにより、運営の効率化、いわゆるDXを用いたコスト削減を行いました。また、飲食とフロントの融合による収益性とホスピタリティの両立を、そのまま既存のビジネスホテルに当てはめて収益力をアップさせ、バリューアップを図る事業になっています。

今回取り組む名古屋の第1号案件のように、1990年代から2000年代に建てられて古くなった建物で、旧態依然とした運営を続けて困っているホテルは多くあります。2025年8⽉期以降は、「BASE LAYER HOTEL」というブランドを中心にリブランドプロジェクトに本格参入することで、投資機会がさらに大幅に増加すると考えています。ぜひ、ご期待ください。

トピックス③:当社最大規模のホテル開業

3つ目のトピックスです。今年9月に「seven x seven ⽯垣」をオープンしました。説明会の開始前に流した動画は、9月に社員みんなで石垣島に集まり、オープニングセレモニーを行った時の様子です。

我々がホテル事業を始める前から思い描いていた新しいラグジュアリーのかたちが、石垣島のホテルできっちりと余すことなく表現できたと考えています。これまで以上の部屋のクオリティや建築デザインは当然ながら、プールやサウナ、ミュージックバーなど、我々がやりたい遊びをしっかり詰め込んだホテルとなっています。

ホテルにとどまらない「遊び場」という概念で、物作りを行ってきました。新しいラグジュアリーのかたちを作ることができた、本当の自信作になります。みなさまもご都合が許せば、ぜひ足をお運びください。

また、この石垣島のプロジェクトは10年近く続いており、実は私が霞ヶ関キャピタルに参加した7年前からあったプロジェクトです。土地のまとめからスタートして、開発許認可を取得し、プランを入れて建築確認を取得しました。

あらゆるフェーズでいろいろな投資家にご協力いただき、やっとの思いでもうすぐ着工という時に、新型コロナウイルスが流行してしまいました。

開発ファンドを組成できたのは、2022年です。新型コロナウイルスのパンデミックの真っ只中に開発ファンドを組成しました。本当に苦しい時期で、我々にはまだ「fav」の実績もそれほどなく、「seven x seven」というブランド自体もまだ構想のみで、本当に絵に描いたような状態でした。

銀行を始めとした金融機関のみなさまや投資家のみなさまに、大変なご協力や後押しをいただき、開業を迎えることができました。本当に感謝の言葉しかありません。誠にありがとうございます。

BRAND UNIQUENESS

スライドにはコンセプトブックを投影しました。ここで、ブランドについてあらためてご説明します。我々がホテル事業を展開する上で、大事にしていることが3つあります。1つ目は「セルフホスピタリティ」という概念、2つ目はフランチャイズ、3つ目はコンテンツパートナーです。

1つ目のセルフホスピタリティについてです。先ほどお伝えしたとおり、我々のブランドには「fav」「FAV LUX」「seven x seven」の3つがあります。当然ながら、部屋の広さやルームユニットプライス、コンテンツを示すプロパティアメニティなどは、それぞれで違います。

一方で、3つに共通して大事にしているものは、表の一番下に記載した「サービスレベル」の「セルフホスピタリティ」という考え方です。これまでも「fav」で続けてきました。要は、省人化・DX化して人の手をかけないという概念です。

あらためて、なぜ「fav」で省人化が受け入れられてきたのかを、チーム全員で考えています。その理由は単純ですが、やはりスマホというデバイスです。2007年にiPhoneが発売され、2010年以降どんどん浸透していきました。みなさまもご存じのとおり、デバイスを手に入れたことによって、ライフスタイルが大きく変わりました。

例えば、これまではホテルでルームサービスを頼むことが一般的でしたが、今や「Uber Eats」のほうがより安く、選択肢も広く、早く届くという状況です。また、タクシーはフロントスタッフがタクシーを配車し、部屋やでロビーでお待ちいただくということはしません。今は「GO」というアプリや、日本ではまだ浸透していませんが、世界では「Uberタクシー」があります。

加えて、地域の情報や何かおいしいものを食べたいと思った時、スマホというデバイスがなかった頃は、どうしてもフロントスタッフに聞く必要がありました。そのような情報は、今やスマホですべて手に入ります。これによって、フロントスタッフを不在にすることができました。

逆に、ホテルのソフト面・サービス面がスマホに対応していないことによって、ゲストの自由を奪ったり、ストレスを感じさせたりすることもあるかと考えています。我々の掲げるセルフホスピタリティという概念は、今の時代を生きる人たちにとって、人の手を介在するよりも居心地がよいものだと考えています。

これは、我々が「fav」でお客さまのお声をうかがって実感したことですが、おそらくラグジュアリーにも適用できるだろうと考えています。ゲストに自由を与えることで、ラグジュアリーであっても、子どもがいても、友人やグループで過ごしても、とても自由な滞在となって選択肢が広がり、自由に好みの楽しみ方を実現できるということです。

我々のブランドは、セルフホスピタリティによるコストカットで強い収益力を確保していますが、それと同時に顧客満足度を高めていけるようなブランドでありたいと考えています。

KEY MEMBERS

キーメンバーについてご紹介します。昨年、我々のブランディングディレクターとしてDavid Miskin(デイビット・ミスキン)が参画しました。

彼は、有名なホテルであるマリオットの「東京エディション」に長く取り組んでいます。「東京エディション」は虎ノ門や銀座にあるホテルですが、そのブランドをローンチした人間です。世界中のラグジュアリーホテルを見て回った、ラグジュアリーブランドのエキスパートになります。

また、世界的に有名な富裕層や著名人とのつながりを多く持っています。先ほどのオープニングセレモニーでも、シンガーソングライターのデボラ・コックスさまをお呼びすることができ、非常に多くのゲストが欧米からお越しくださいました。

みなさまから「本当にこの施設はパーフェクトだ」という声をいただき、我々のセルフホスピタリティとラグジュアリーを融合させたホテルが、世界にもしっかり認められるブランドであると確信しています。彼は我々の考え方にとても共感してくれており、ブランディングとマーケティングのトップとして今後も責任を持って取り組んでくれると期待しています。

また、「fav」の初期からデザインを手掛けている、世界的な建築デザイナーのStudio PDPもキーメンバーです。「seven x seven 石垣」も、「PDP LONDON」によるデザインとなっています。

FRANCHISE BUSINESS DEVELOPMENT

フランチャイズについてです。「fav」の初期から行っていますが、全国に毎年5棟のペースで開業を続けてきました。今後は月1件のペースになると思います。インハウスですべてを行うことは難しいため、我々にとってパートナーはとても重要です。スライド下部に記載のとおり、現在は9社の運営委託パートナーがいます。

我々がこの1年で「fav」の実績を積んできたこともあり、一緒に事業に取り組みたいというパートナーはどんどん増えています。今後も、我々がしっかりとブランディングと運営のモデルを持ちながら、いろいろなパートナーと協業し続けていきたいと考えています。

PARTNERS

コンテンツパートナーをご紹介します。fridaysさまは、石垣島でイタリアンレストラン「BATIDA」やミュージックバー「Red.」、プールバーなどを営業している会社です。

PARTNERS

トランジットホールディングスさまをご紹介します。カフェや飲食、商業施設を中心にクリエイティブシーンを牽引する、日本では間違いなく業界トップレベルの会社です。今年開業する「FAV LUX 鹿児島天文館」や「FAV LUX 淡路島」での協業を予定しています。

PARTNERS

GREENINGさまをご紹介します。先ほどお話しした「BASE LAYER HOTEL」のブランド開発を一緒に行っています。代表の関口さまは、界隈では知らない人がいないくらいのコンテンツメーカーです。

他にもいろいろな方々が参画してくださっていますが、今ご紹介した3社はいずれも飲食やクリエイティブの業界では知らない人はいないくらいのトップランナーです。「ホテルのテナントの一角」という位置づけではなく、彼らとともにセルフホスピタリティを試行錯誤し、より良いサービスやより高い収益を獲得するべく並走してもらえる状況にあります。

いつもお伝えしているとおり、我々のブランドがこのような業界トップの方々に興味を持ってもらえるのは、この1年で実績を積んだことも当然ありますが、社員の力が本当に大きいです。社員がいろいろな地方やおもしろい施設へ足を運び、いろいろな方々とお話しして、このような協業のネタを引っ張ってきてくれます。これは簡単なようで、なかなかできません。

また、どのパートナーとお話ししても「霞ヶ関キャピタルの社員はみんなエネルギッシュで話していて楽しく、一緒に仕事がしたい」と言っていただけます。

事業の展開スピードを早めようとすると、いろいろなパートナーと組むことが大切になります。その中で、今後もこのような方々と、新しく、楽しく、格好いい施設をどんどん展開していきたいと考えています。

プロジェクトパイプライン一覧

現在のプロジェクトパイプラインについてご説明します。39プロジェクト中18件が、2024年8⽉期以降に取得した案件です。開業済み物件はスライド左側の15物件(鹿児島天文館は12月開業予定)で、そのうち14物件はすでに長期運用型のファンドへ組み入れており、順調に推移しています。

開発中のものについても、16番目から19番目の着工済み案件はすべて開発ファンドに組み入れ済みです。2025年8⽉期以降、20番以降の物件を開発ファンドに順次組み入れていくことになります。こちらも順調に推移しています。

計画中/開発中パイプライン

スライドはパイプラインの写真です。

ホテル事業 事業の拡大・拡張

ホテル事業の今後の展開についてご説明します。スライドのグラフは、縦軸が年間取得案件数、丸の大きさが事業規模を表しています。

案件規模は3年前にあたる2021年8月期と比べ、現在は5倍以上に拡大しました。ありがたいことに、案件数もお持ち込みが非常に増えています。取り組める物件としては、取得案件ベースで、2021年8月期と比べ10倍以上増加しています。

また、現在は多種多様な4ブランドを展開しているため、どのような材料も料理することができる状況にあります。2021年8月期はまだ実績もなく、大手事業者の案件には取り組みたくても取り組めませんでしたが、2025年8⽉期からはしっかりと取り組めるようになると考えています。

小さいホテルで我慢していた石垣島のようなプロジェクトも、これからはどんどん進めることができます。そのような意味では、今後も無理なく事業拡大していけると考えています。今後ともみなさまの応援をいただけますと幸いです。ホテル事業のご説明は以上です。

2. 物流事業

杉本亮氏(以下、杉本):物流事業を統括している杉本です。よろしくお願いします。今みなさまにご覧いただいているのは、先月竣工し、当社が最初に手がけた冷凍自動倉庫「LOGI FLAG TECH 所沢Ⅰ」の竣工動画です。

ドローンで撮影した竣工動画のため絵面はのっぺりとしていますが、ダイナミックなイメージではなく、建物の作品としてのかたちをご覧いただければと思います。

このようにさばき入れ、このあたりに荷物を乗せ、その先が自動倉庫になっています。ここは1階の荷さばきですが、ここのみ、まだ自動化できていません。フォークリフトで、フォークマンが荷物を出し入れします。ここの荷物が入った先からは、完全に自動になるということです。

この先はマイナス25℃帯で、その手前までは5℃帯です。5℃帯は人間が働きますが、マイナス25℃帯は人がまったく立ち入らないスペースになります。これは骨組みのみのため、わかりにくいですが、高さ20メートルくらいの空間に骨組みを組み、1枚1枚パレットを置いて荷物を置いていきます。そのように補完できるものです。

こちらは事務所になっています。将来的に、物流施設で働くことは、NASAの管制センターで働くイメージにしていきたいと思っています。今は「倉庫で働く」と言えば「重い荷物を持ち上げるため荷役が大変で重労働」というイメージがあると思います。

しかし将来的には、人間は管制センターで「倉庫の中はどのようになっているか」「トラックがちゃんと来るか」などをモニタリングするのみにしたいと思っています。なにか問題が起きれば人間が対処しますが、自動で順調に動いている時は、人間はモニターするのみというような世界を作っていきたいと考えています。

トピックス①:冷凍保管サービス事業 『COLD X NETWORK』

1つ目のトピックスです。スライド左下には、冷凍自動倉庫「所沢Ⅰ」の完成画像を掲載しています。コンセプトは先ほどのとおりです。まずお伝えしたいのは、作業環境として非常に過酷であるマイナス25℃の庫内部分は完全自動化しており、人間が立ち入らなくていいということです。

まだ完全にはできていませんが、将来的に倉庫内を完全自動化した場合には、人間は事務所でモニタリングのみ行うという管制センターをイメージしています。ハード面ではそのようなものを作っています。

加えて、ソフト面もしっかり作り込んでいきたいと思っており、不動産の貸し方を変えていこうと取り組んでいます。従来の倉庫は短期契約・小ロット保管という賃貸借契約がなかなか難しかったのですが、自動化することで、1日単位・1パレット単位で貸せる倉庫にしていきたいと思っているところです。

現在はソフト開発を行っており、短期契約・小ロット保管は来年1月頃からローンチしていきたいと考えています。このようなソフト面も含めて、倉庫の開発を進めていきたいと思っています。

トピックス②:進捗状況

2つ目のトピックスです。土地を仕込み、開発投資家に売却あるいは建物を竣工するという一連の流れの中で、新たな開発投資家や投資家に加わっていただきました。関電不動産開発さま、ヒューリックさま、ダイビルさま、静岡銀行さま、三菱商事都市開発さまなど、多くの大手事業者が我々のコンセプトに賛同され、参画いただいています。

物流施設開発は順次行っていきますが、開発投資家のパイプラインや裾野が非常に広がってきていますので、今後もいろいろな開発を進めていけると思っています。

コンセプトと施設タイプ

これまで開発コンセプトを3つ掲げていましたが、スライド下段中央の「LOGI FLAG TECH」という自動倉庫が9月にようやく竣工したため、いろいろな手法で開発が進められるようになります。

今後はそれぞれの分野を深掘りしたり、パイプラインのコンセプトを増やしたりするかたちで開発を増やしていきたいと考えています。

プロジェクトパイプライン一覧

パイプラインの一覧です。北は青森から南は福岡まで、日本全国に展開しています。

中継輸送拠点の開発プロジェクトへの取り組み

特にご紹介したいのは、静岡県袋井市にある開発用地です。こちらは前期8月に取得しましたが、今まで取得した開発用地とはコンセプトがかなり異なっています。

今までは、首都圏に近い配送メインの場所や、生産地に近い青森で取得していました。しかし袋井については、トラックドライバーが働けなくなる2024年問題や、働き方改革に対応するための施設になります。

袋井は、東京や大阪から250キロ程度で、トラックを走らせると3時間から3時間半です。1日で往復できる距離で、東京と大阪のちょうど中間地となるのが袋井になります。浜松、袋井、掛川あたりが中間地になるため、袋井に土地を1つ仕込むことにしました。1日で行って帰ってこられる場所として使っていただくことを考えています。

さらに、スイッチングの機能を持たせていきたいと考えており、ドライバーの休憩室あるいはサウナなどのリラクゼーション施設、飲食スペースなどを設けていきたいと思っています。

また、これはまだアイデアベースですが、例えばスイッチングで使う場合は倉庫保管料を3日間無料で提供することとします。それにより、使えば使うほど荷物やトラックが集まってくるため、施設としての魅力も上がると考えています。今後はそのような料金プランも検討したいと思っているところです。

冷凍保管サービス事業〜将来構想〜

スライドには、全国展開した暁に取り組んでいきたいイメージを示しました。日本全国で保管量の多い倉庫を作ってトラックでつなげることにより、トラックの運賃もデータ化できていくと考えています。

エリアによっては荷物量の季節変動があると思います。例えば生産地に近いと、作物の穫れる秋には保管量がかなり増えます。このようなデータを全部トラッキングし、AIを使って保管場所や保管方法、輸送方法を割り出し、最適な料金を算出できるといったプログラムを作っていきたいと考えています。

例えば、東北で生産したものを関東・関西・九州に出荷したい場合、人間がアナログで「どこにどれだけ保管し、どのような輸送経路にしたら最適な料金を提案できるか」を考えるのは、なかなか難しいと思います。

しかし、AIでデータをうまく活用すれば、瞬時に最適解を導き出せるようになります。将来的には日本全国に点在している倉庫と輸送網もつなげ、最適な料金を提案できる世界を作っていきたいと思っています。

当社開発の冷凍冷蔵倉庫延床面積推移

これまでの開発実績です。案件数は年度ごとに毎年約5件ずつ増えており、2024年8月期も5件近く取得しました。少しずつ規模が大きくなっていますので、一つひとつの案件で取れる利益も少しずつ増えています。

今後も件数を増やしながら案件を大型化し、利益を取っていこうと考えています。

市場環境:冷凍冷蔵倉庫の国内需要環境

冷凍食品市場の今後の見通しについてです。共働き家庭が増えたことにより、料理をする時間がなかなか取れない方が冷凍食品を使うことを含め、基本的に需要は増えていきます。

さらに、コンビニエンスストア各社は、おにぎりや惣菜の冷凍化を検討しています。理由は、フードロス問題の解決です。おにぎりやお弁当は賞味期限・消費期限がありますので、それを越えると廃棄しなければなりません。このようなフードロス問題は、食品を冷凍して賞味期限・消費期限を延ばすことで解決できます。

もう1つの理由は、2024年問題や働き方改革につながりますが、チルド温度帯の商品は消費期限があるため廃棄と入荷を繰り返す必要があります。これにより、1日に3便から4便など、かなりの頻度でトラックを走らせなければいけませんでした。

冷凍化するとまとめて出荷できるため、1日に何便も走らせる必要がなくなります。トラックドライバーの働き方改革にも対応できますので、コンビニエンスストアの食品の冷凍化は進んでいくものと思っています。

したがって、今以上に冷凍食品の需要は増えていくのではないかと考えています。

市場環境:冷凍冷蔵倉庫の建替え需要

古い倉庫の建替え需要についてです。これは2030年問題に関わってきます。特定フロンを使った設備は使ってはいけないことが法律で決まっていますので、2030年に向けて、特定フロンを使った施設は設備の更新や建替えを行わなければなりません。

しかし、2024年時点ではまだ4割程度しか進んでいません。建替えや廃業といったかたちで順次進んでいくかと思っており、建物を建てて2030年に備えることは間違いなく必要なことであると考えています。

土地を探し、プランを入れて、ゼネコンと話しながら着工・竣工すると、やはり4年から5年かかります。つまり、今年か来年くらいに土地を仕込めてはじめて2030年に間に合うということです。

対応していない事業者はこれから焦って進めていくとは思いますが、今からでは間に合わないことが想定されます。弊社は先回りして、そのようなものを作っていきたいと思っています。

市場環境:賃貸可能面積および空室率

賃貸可能面積と空室率についてです。スライド左側のグラフはドライ倉庫の賃貸可能面積と空室率、右側のグラフは冷凍冷蔵倉庫の庫腹占有率を示しています。ドライ倉庫は供給が増えており、首都圏の一部エリアでは空室率が上がってきています。

一方の冷凍冷蔵倉庫は、庫腹占有率が100パーセントを超えているエリアがあります。100パーセントを超えているというのは、倉庫内でフォークリフト等が走行する通路にも荷物を置かなければ対応できない状況を表しています。

それくらい冷凍冷蔵倉庫が足りていないため、引き続きこのマーケットを深掘りしていきたいと思っています。本日時点で竣工している弊社の冷凍倉庫については、基本的に100パーセント稼働していますので、リーシングという意味では非常に好調です。

市場規模:冷凍冷蔵倉庫の所管容積

スライドの図は、我々が狙っているマーケットの規模や成長余地を示したものです。まだまだ成長余地があるといった状況です。

アメリカにリネージュという冷凍倉庫会社があります。創業してまだ十数年といった会社ですが、アメリカ全体で30パーセントを超える冷凍倉庫のシェアを持っています。我々は日本においてアメリカのリネージュのようなポジションを目指せると思っており、まだまだ成長の余地があると考えています。

冷凍自動倉庫によるソリューションの提供

冷凍倉庫を自動化するメリットについてご説明します。働き方改革にも関連しますが、まずはヒューマンエラーがなくなることが非常に大きなメリットです。

1万坪ほどあるような大きな倉庫の場合、どこに何があるかをアナログで全部完全に覚えてオペレーションするのはハードルが高いです。自動化すれば、どこに何があるかをコンピュータが管理できるためヒューマンエラーがなくなります。

また、マイナス25℃というのは、人間が働くには非常に過酷な環境です。ここを自動化することは、凍傷のリスクもなくせるなど一定のメリットがあるかと考えています。

当社開発の冷凍自動倉庫イメージ①

スライドには、先ほどお話しした「LOGI FLAG TECH 所沢Ⅰ」に荷物が入ったイメージを示しています。

当社開発の冷凍自動倉庫イメージ②

メリットが非常に大きなものになりますので、冷凍自動倉庫は今後も開発を継続していきたいと思っています。物流事業のご説明は以上です。

コンセプト

河本:ヘルスケア事業についてご説明します。ヘルスケア分野の中でも、ホスピスに注力している理由は極めてシンプルです。需要に対して供給がまったく追いついておらず、今後はさらに不足するためです。

スライドには、我々の作るホスピスの特徴をいろいろと記載していますが、一言でまとめると「自分の親に入居してもらいたい施設」です。

どのような施設なら「親に入居してもらいたい」と考えるかと言うと、快適な居住空間で、家族と一緒に過ごせる共用スペースがあること、おいしい食事が出ることが挙げられます。これは実は当たり前のことなのですが、残念ながら、私から見ると「当たり前」ができている施設が圧倒的に少ないと感じています。だからこそ、我々が作っているのです。

施設名は「CLASWELL」です。従来のホスピスの概念にとらわれず、いい暮らしを送ってもらいたいという思いから「CLASWELL」と名付けました。

プロジェクトパイプライン一覧

パイプラインです。前期は7件の用地を仕込みました。また、東京の仙川駅の近くにある施設では、自社によるオペレーションも始めています。稼働率も高い水準で推移しており、入居者はもちろん、ご家族や従業員の評判も上々です。

しかし、我々はまだまだ満足していません。今後開業する施設はさらにクオリティを上げ、霞ヶ関キャピタルが手掛ける「CLASWELL」をしっかりと作っていこうと思います。

4. 海外事業:トピックス

ドバイでの海外事業についてご説明します。2023年の初旬から、ドバイでの事業を開始しました。ドバイで事業を始めた理由は、簡単に言うと3つあります。成長性、割安感、流動性です。

マーケットは非常に活況ではありますが、まだまだ未成熟なマーケットですので、ミスプライスな物件が多くあります。我々はそのミスプライス物件、つまり割安な物件を見つけて、時にはリノベーションを施して再販する事業を行っています。自己投資する物件もあれば、日本でのビジネスと同様にファンドを組成して投資する場合もあります。

スライド右側のグラフが示すように、2024年8月期は予定どおり約80億円の販売実績ができました。今は既存アセットのバリューアップという切り口でマーケットに入っていますが、将来的にはホテルなどの開発も視野に入れながら事業を拡大していこうと考えています。

もっと、驚かせてくれ。

最後になりますが、現在の思いについてお話しさせてください。

当社は、1年前の2023年10月6日にプライム市場に上場しました。その2日前の10月4日が2023年8月期の決算説明会でしたが、その場で私は「やっとスタートラインに立てたことで、わくわくしている」「やりたいことが少しずつ実現できるステージに来れたことで、わくわくしている」と言いました。

先ほどの緒方と杉本の話からもおわかりいただけるかと思いますが、我々にはやりたいことがたくさんあります。私たちは事業家集団です。本当はこの場で他の本部長にも話してもらいたいくらいです。

第2、第3の緒方、杉本のような社員がたくさんいます。みんなのやりたいことを形にしていけば、結果として中期経営計画の数字が出来上がると考えています。したがって、中期経営計画は、目標というよりは社員の思いやパワーを数字に置き換えたものだと理解していただきたいです。

スライドに記載している「もっと、驚かせてくれ。」は、関係者のみなさまや株主のみなさまからの我々への期待を言語化したものです。我々のような根っからのベンチャーの役割は、きっとこのようなことだと思います。

世の中が求めているものを提供し、結果として企業価値もしっかりと伸ばします。事業家集団である霞ヶ関キャピタルは、さらに貪欲に成長しようと思いますので、みなさま引き続きよろしくお願いします。

以上をもちまして、決算説明会を終わります。ありがとうございました。