会社概要
山尾幸弘氏(以下、山尾):代表取締役社長の山尾です。まずは、当社の概要と目指す世界観、中期計画についてお話しします。当社は、コンサルティングファーム向けの人材紹介を祖業としており、ハイエンド人材領域における人材紹介と、スキルシェアの複合サービスを提供しています。創業から20年以上を経て、昨年2023年3月にグロース市場に上場しました。
経営陣
山尾:経営メンバーです。本日は私、山尾と伊藤がご説明します。伊藤は、当月9月27日開催の株主総会後に社長に就任する予定です。私はCEOとして、伊藤はCOOとして、本日ご説明する成長戦略を推進していきます。
2024年6月期 通期業績ハイライト
山尾:直近の業績を簡単にお伝えします。スライドのグラフのとおり、売上・利益ともに右肩上がりで成長を続けています。当社の主要顧客は、大手のコンサルファームであり、コンサル市場全体は、堅調に拡大しているマーケットです。
そのコンサルファームの人材需要については、いくぶん波がありますが、当社はコンサルファーム向けの人材紹介で20年以上の歴史を持ち、マネージャー以上の採用支援はトップクラスであると自負しています。
収益基盤として、非常に底堅い事業を持っていると認識しています。
長期ビジョン (目指す世界観)
山尾:今期、2025年6月期からスタートさせる中期経営計画についてご説明します。当社の事業目的は、ハイエンド人材と企業の橋渡し役となり、また、ハイエンド人材が持つ専門性と能力のシェア・再配置を通じて、我が国の持続的な成長に貢献することです。
長期ビジョンを「ハイエンド人材をあまねく活用できる社会」とし、当社のデータベースとサービスをもって、多くの企業・組織で不足しているハイエンド人材の最適配置を推進していきます。
当社の役割とビジネスモデル
山尾:当社はビジネスモデルとして、人材紹介とスキルシェアの2つの事業を有しており、ハイエンド人材、コンサル人材を活用できる仕組みを備えています。祖業であるコンサルファーム向けの人材紹介を起点としながら、あらゆる業界の事業会社にハイエンド人材の活用を広げていきます。
当社の姿勢
山尾:当社事業の根底にあるのは、カスタマーサクセスを最大限に追求する姿勢です。ハイエンド人材のキャリアプラン、企業の人材やスキルに関する課題に対して、双方のニーズを満たし続けるためのサービスを揃えています。
サービスラインナップ
山尾:サービスラインナップは、スライドに記載したとおりです。祖業であるコンサルファーム向けの人材紹介から、事業会社向けの人材紹介、スキルシェアへとサービス領域を拡大させ、ハイエンド人材と企業の多様なニーズに応え続けています。
長期ビジョンを実現するエコシステム
山尾:当社が目指しているのは、当社サービスをプラットフォームとしたエコシステムを広げていくことです。ハイエンド人材にとっては、自分の働き方やキャリアプランを実現するためのインフラとして、また企業にとっては、事業目的を実現するための人材・スキルのインフラとして活用していただきます。
さらに、当社のサービスやデータベースとコラボレーションしたい企業を巻き込み、より多くの人材、企業、コラボレーションが集まって、ともに価値を見出していく循環を目指していきます。そして、より多くの人材・企業に活用してもらうことで、その循環の輪の規模とクオリティが高まっていき、我が国が直面している社会課題の解決や、これからの社会に新たな価値をもたらすと信じています。
基本戦略
山尾:基本戦略としては、業界トップクラスを誇るコンサルファーム向けの人材紹介を起点に、事業会社向け人材紹介を第二の柱として拡大させていきます。
加えて、スキルシェアを第三の柱として成長させることで、人材紹介とスキルシェアの相互作用で、各サービスの利用度を拡大させていきます。
コンサルファーム向け人材紹介の強化
山尾:それぞれの戦略のポイントをご説明します。まずは、起点となるコンサルファーム向けの人材紹介についてです。業界トップクラスのコンサルファーム向け人材紹介は、豊富なハイエンド人材のデータベースを持ち、DXを始めとする企業ニーズに対応できる人材が多く登録されています。
特に、BIG4のコンサル人材の約4人に1人が登録しており、大変質の高い人材データベースを誇っています。これも、創業以来、研鑽を重ねてサービスの質を高め、お客さまであるコンサルファームから信頼を得てきたからこそ築き上げることができたと、自負しています。将来的には、現役コンサルタントの登録シェアを50パーセントまで高めることを目標にし、コンサル業界で最も価値のある、なくてはならない人材データベースに成長させていきます。
事業会社向け人材紹介の強化
山尾:事業会社向けの人材紹介についてです。DXに関するニーズの高まりにより、事業会社から当社への相談が急増しています。あらためて事業会社向けの人材紹介を注力分野として定め、リソースを投入して成長させていきます。
自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング
山尾:フリーコンサルBizの新たなサービスについてです。プロジェクト・マネジメントに強みを持つ自社コンサルを採用し、フリーコンサルと組み合わせたハイブリッドな体制を導入します。これにより、サービス提供の幅を広げて、スキルシェア事業の拡大を図ります。
登録人材向けサービス・ポータルの開発
山尾:登録人材のカスタマーサクセスを推進するために、人材紹介で蓄積したデータベースを軸に、サービス・ポータルの利便性を拡張し、求職者のサポートを一層充実させていきます。
積極採用・定着・育成
山尾:お伝えした4つの戦略ポイントをまとめると、1つ目に、コンサルタントの登録者の増加、2つ目に、事業会社向けサービスの強化、3つ目に、自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング、4つ目に会員向けサービスの強化、ポータルの開発です。これらを実現し、顧客ニーズに応えていくためには、人員増強は必須です。
特に、事業会社向け人材紹介、スキルシェアの大幅増員を計画しています。先行投資として積極採用し、従業員満足度を高めるとともに、早期戦力化のために教育・育成に重点的に取り組みます。
成長イメージ
山尾:長期的な成長イメージとしては、祖業のコンサルファーム向け人材紹介で安定した収益基盤を確保しつつ、成長性の高い事業会社向け人材紹介とスキルシェアで、事業を大きく飛躍させていきます。また、M&A・アライアンスを積極活用し、成長を加速させていきます。
すでに数社との業務提携が進行中であり、これからの業容拡大を大いに期待しています。
中長期目標数値
山尾:3ヶ年の業績目標です。グラフに記載したとおり、売上高は着実に成長させていきますが、利益面については、事業会社向けの人材紹介とスキルシェアを成長拡大させるために、人的投資を先行させていきます。そのため、2025年6月期は営業利益の減益を見込み、そこから中長期的かつ持続的な利益成長につなげていきます。私からの説明は以上となります。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):創業時、なぜコンサルティングファーム向けの人材紹介を行おうと思ったのかを教えてください。
山尾:創立が2002年ですが、2000年の時期、ITバブルがはじけて景気後退局面にあったかと思います。その当時のコンサルティングファームは、ちょうど業態の変革時期にありました。
従来の会計事務所や監査法人から、業務プロセス改革やIT領域に進出し、ERPの導入なども行いました。さらに、高度で専門的な能力を持ち、価値創造できるコンサルタントという人材に着目しました。
人口が減っていくと、労働人口減になってくるため、ますます解決力の高い、価値創造力の高い人材の需要が加速します。このことに着目して、コンサルファームに特化した人材紹介をスタートしました。
坂本:その頃から、会計もそうですが、それ以外の部分もいろいろな仕事が高度化してきて、そこを自社内で完結するのは難しく、今まで以上に外の力を借りなければいけないということがあったため、そこでチャンスを生み出されたということでしょうか?
山尾:おっしゃるとおりです。
坂本:今日はお2人に来ていただいています。9月27日の株主総会の後に、山尾さまが、代表取締役会長になられる予定で、伊藤さまが代表取締役社長に就任予定というリリースがありました。この2代表制にする理由を教えていただけたらと思います。
山尾:8月の決算適時開示でも開示しましたが、新成長戦略を打ち出しました。簡潔にお伝えすると、力強く新成長戦略を加速させるために、私がCEO、彼がCOOになることにより、経営の効率性、スピードを重視しました。
外部環境変化が激しいこともあり、お示しした成長戦略に着実に対応するために、2代表にしてしっかり分けて、スピーディにタイムリーに取り組みを進めるのが重要かと判断したことが背景にあります。
坂本:経営の中でも、専門性がさらに高くなってくるため、代表は2人いたほうが進めやすいということなのですか?
山尾:そのとおりです。
当社の役割とビジネスモデル
坂本:事業の中身についてもう少しお話をおうかがいします。スライドの8ページぐらいからがよいと思います。業務内容を大まかにご説明いただきましたが、コンサルティング業界の人材需要の特徴があると思います。そこのチャンスを見つけて、御社は成長してこられました。
そこで、今までの変遷と、現状求められているものについてお話しいただくと、「必要な会社なんだ」「このようなことやっているのだ」ということが、見ている方にもよくわかると思いますので、よろしくお願いします。
伊藤文隆氏(以下、伊藤):常務取締役の伊藤です。よろしくお願いします。コンサル業界自体も、市場は拡大しています。特にDX周辺の案件が非常に活況です。コロナ禍以降も安定して、DX周辺のプロジェクトが旺盛です。
採用ニーズについては、若手の採用は若干弱含みで、落ち着いていますが、我々が強みを持つ、マネージャー以上の層に関しては、引き続き旺盛に採用しています。なぜなら、コンサル業界は、新卒に非常に人気の業界になったためです。
坂本:もともとは東大で官僚になりたい方がコンサルになるというイメージでしょうか? 華々しくて、いろいろな仕事ができそうなイメージです。
また、若い時に成長できることも理由としてありますか? お仕事は非常に大変だと思いますが、そのあたりへの憧れもあるのでしょうか?
伊藤:そうですね。若くて優秀な層が採用できるようになった一方で、ここ1年、2年ぐらいはそれをマネジメントするマネージャー層が枯渇している状態です。若手層は新卒を中心に組み立てていきます。一方で、中途採用に関しては、即戦力級を強化して採用している状況です。
坂本:新卒のほうは人気ということですが、中途の特にマネージャー層は即戦力級を強化しているのですね。最近、DX人材が求められていますが、従来のコンサルティングを普通に行ってきた方が、いきなりDXをできるのでしょうか? それとも、DXというより、どちらかというとシステムを上から見られるような方を中途で採用するのでしょうか? どのようなスキルを持っている方が多いのでしょうか?
伊藤:おっしゃるとおりで、DXのテーマが多いため、当然、ITの経験をお持ちの方の採用意欲は高くなっています。一方で、例えば、戦略やM&Aというのも、DXあっての戦略のようになっています。例えば新規事業を立ち上げる時は、どうしてもデジタル系のテーマが多くなってきます。
また、M&Aに関しても、システムのデューデリジェンスはどのようにするか等、DXから離れて企業経営をしていくのはなかなか難しい現状があります。そのような戦略の経験をお持ちのコンサルタントが、DXを勉強していきます。そちらが今トレンドになっています。
坂本:ITの候補となる人材はその部分のバックボーンをお持ちの方という話がありましたが、戦略やM&Aのコンサルについては、どのようなところから転職される方が多いのでしょうか? また、どのようなキャリアを積んで転職に至ったかなど、その流れを含め、教えていただきたいと思います。
伊藤:当社は2002年に創業して20年ぐらいコンサル業界向けのビジネスを展開しており、その中で「キャンディデートの方とは、一期一会というよりは中長期にお付き合いする」というスタンスを取っています。
特にマネージャー以上の決定においては、年間の半分ぐらいが中長期にお付き合いしている方です。新規のご相談もありますが、平均すると3、4年お付き合いをしている方が中心で、そのような中長期の方たちを多くフォローしています。
転職までのプロセスで言うと、面談をしてから3、4ヶ月かけていろいろな企業をご覧になっていただき、転職に至ります。中長期にお付き合いしている方が多いため、特に年1回は情報交換をしています。転職をするタイミングを相談し伴走していくことは、我々の業界の中ではわりと珍しいことです。
坂本:だいたい受け身のようなパターンが多いですね。
伊藤:そのため、中長期にお付き合いし伴走しつつ、良いポジションが出てきたら転職していきます。また、例えば転職しなくても、コンサル会社の中でそれ相応のポジションになっていくと、今度は、我々はフリーランスのビジネスを行っていますので、そのお話になります。
坂本:では、そのフリーランスのビジネスについて、少し教えてください。
伊藤:フリーランスのビジネスでは、コンサル会社で人が足りなければ我々のフリーランスをご活用いただけます。
坂本:同業者というかコンサル会社のコンサルスキルを持っている方に行ってもらうということですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。したがって、キャンディデートの方のキャリアに伴走しながら、キャンディデートの方がプロモーションしていくと、今度は彼らが発注者に転換していきます。
坂本:なるほど。その方が1回戻ってきて、ほかの事業会社に行くことも、普通にあるということですね。
伊藤:もちろんあります。
坂本:そのため、転職の時期は非常に大事です。ニーズがどこに合っているかわからないため、面談していると、「この方がやりたいと思っていたことがなく、その時は不要になったものの、後になってあった」ということもよくありそうですね。
コンサルファームから事業会社に転職する方が多いのは、私としてはコンサルにいると常に成長できるイメージがあり、事業会社に行くのはどちらかいうと今までのスキルを活かして仕事をしていくイメージですが、これは間違っているのでしょうか?
伊藤:事業会社への転職を希望されているコンサルタントの方はかなり多く、当社の調べでは、コンサルタントの転職先の半分はコンサル会社、半分は事業会社です。事業会社に行きたい理由の多くは、外からの支援ではなく、自分でビジネスを回す側でありたいということで、最後まで成果を見たいという方が非常に多いです。
坂本:プロジェクトをイチから最後まで何本もこなせる、またはある程度決定権があるポジションで事業会社に行けるのがメリットですね。
伊藤:意思決定側に回りたいということです。
坂本:事業会社の中でも、おそらくいろいろな会社があると思います。小売業とメーカーでは行っていることは違いますが、どのようなところに転職される方が多いのかも、教えていただけたらと思います。
伊藤:今は特に、コンサル会社のプロジェクトはDX周辺が多く、7割ほどです。
坂本:そのような会社は、人材が足りておらず、予算もあるため、行いたいということですね。
伊藤:会社によって違いますが、7、8割のコンサルタントはDXのスキルを持っていると思います。
坂本:つまり、業種はあまり関係ないということですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。どのような事業会社へ行くのかというと、DXが進んでいない会社もしくは、今は進んでいるがさらに投資したい会社です。具体的に言うと、金融機関などが非常に多い傾向です。
坂本:もともと発展しており、さらに投資したい会社ですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。特に店舗からオンラインでありとあらゆることを決済していくような流れに変わってきているためでしょう。あとは、商社がDXの子会社を作る、あるいは流通系の会社もあります。
坂本:もう長い間投資していますね。
伊藤:おっしゃるとおりです。すでにだいたいDXの子会社を作っており、そのようなところでコンサル会社で経験を積んだコンサルタントの採用ニーズが非常に高いと思います。
坂本:よくわかりました。事業会社に多くのコンサルタントを紹介しているという話ですが、競合はいますか? この点について、少しだけお話をうかがいたいと思います。
伊藤:コンサルタントを事業会社に紹介している、いくつかの競合エージェントがありますが、我々の特徴として、まず国内で最も大きいと思われるコンサルタントのデータベースを持っています。
坂本:今までどのような会社でどのようなスキルを積んできたかを登録したデータベースですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。加えて、人材紹介です。正社員だけでなくフリーランスも事業会社に対して紹介できるのが、我々のもう1つの特徴だと思っています。特に上のポジションになってくると、採用に半年から1年ぐらいかかるため、その間、DXの課題を止めてよいのかという話になります。
我々の場合は、そこでプロフェッショナルなフリーランスをアサインし、採用を進めながらプロジェクトで課題も解決していくといったハイブリッドで提案することもできます。
坂本:コンサルタントの登録データベースを持っている強みはわかりました。御社の場合、事業会社への営業は自社で行っているのでしょうか? また、ほかの人材会社はライバルなのか、それともうまく付き合っているのでしょうか?
例えば、ハイエンドの方を紹介する時に、このような人が自社のデータにない場合、「御社にありますか?」「ありますよ」といったやり取りがあり、その部分のフィーを分けるようなこともあるのか、それとも御社は、自社のデータは自社で抱えて、いろいろなところに紹介することがあるのかを、おうかがいしたいと思います。
伊藤:ほぼ自分たちで行っています。先ほどの山尾の説明にもありましたが、事業会社向けを拡大していくために、人員を強化していきます。またスキルシェアについても、人員を拡大していきます。
もちろんアライアンスを組んだり、業務提携したりすることも模索しているため、本当にご縁があればそのような企業とも一緒に進めていきたいと思っています。
坂本:自社でほぼ回すということですね。
伊藤:現状では、自前ですべて開発しています。
坂本:大手の会社だと意思決定をする取締役層などの人材が、おそらくこれから足りなくなると思いますが、1社に1人で終わるビジネスではないですよね。「御社のデータベースは良いため、もっと紹介してください」ということで、何人も入れている会社はけっこうありますか?
伊藤:特にDXが進んでいる会社については、おっしゃるとおりです。
坂本:1人のリソースでは足りない場合もありますね。
伊藤:おっしゃるとおりです。特に、我々が転職を支援した方はわりとハイエンドで、事業部の責任者のため、そのような方たちの次のオーダーに応えていきます。
坂本:つまり、御社から紹介された意思決定をする方がお仕事を拡大し、ポジションが足りなくなった時に、またお願いするということですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。
山尾:リクルーティングパートナーというくくりなのですが、発注者転換するのは、ビジネスパートナーとしてつながっていく、リカーリング的な仕組み化が当社の特徴だと思います。
サービスラインナップ
坂本:次は、スキルシェア事業の「フリーコンサルBiz」についてです。フリーランスの方のご紹介にも強みがあるという話ですが、資料はスライドの10ページです。みなさまも図を見ていただけたらと思います。
先ほどご説明されましたが、このスキルシェア事業の「フリーコンサルBiz」は、コンサルタントの方を派遣するというイメージで合っていますか?
伊藤:おっしゃるとおりです。コンサルタントの方で独立されてフリーランスになられた方です。
坂本:辞めないといけないからですね。
伊藤:大手のコンサル会社に勤めているコンサルタントの方がその会社を卒業する時に、会社によって違いますが、5パーセントぐらいの方がフリーランスになります。
坂本:そうなのですか?
伊藤:我々は、もともとコンサルタントのデータベースを持っていますが、一定の割合でフリーランスになられます。
坂本:御社に登録されるのですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。もともと正社員として登録していた方が独立する時は、フリーランスになられる方がかなり多数いらっしゃいます。今、フリーランスの方は3,000名ぐらいご登録いただいており、その7割ぐらいがコンサル会社出身です。
坂本:スキルはDXのほうが多いのですか?
伊藤:DXが多い状況です。
坂本:なるほど。短期、長期などニーズに合わせてご紹介できるということですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。
坂本:スキルシェアでいろいろなスキルのデータを登録されていると思いますが、いろいろな方がいて全員と会っているか、それが一目でわかり絞り込んでいくようなシステムになっているかなど、そのあたりを教えていただければと思います。
伊藤:フリーランスの事業に関しては、ご登録いただいた方には全員お会いしています。また、独立される方たちですので、いわゆるコンサル会社においてマネージャーを経験された方から上の層が、ボリュームとしては多い状況です。
坂本:ボリュームもニーズも多いイメージですか?
伊藤:ニーズも多数あります。
坂本:そこはマッチしているのですね。
伊藤:プロジェクトマネジメントができるクラスのフリーランスの方がほとんどです。
坂本:そうであれば、いろいろな会社から求められそうですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。
山尾:技術や専門性のチェックもあります。組織とのマッチングになり、新しい事業会社に適用するかどうかについてお客さまの期待が大変大きいため、そこでミスマッチが起きないように、全員と必ず面談をしています。
坂本:歴史のあるメーカーや特殊な文化を持っている会社もあると思います。また、先ほどDXという話もありましたが、フリーランスの方をあえてコンサルタントとして活用したい方のニーズは、どのようなところにあるのでしょうか?
もちろん、御社に登録されているのは、マネージャー以上の経験が非常に豊富で、雇ってもよいと思われるほどレベルが高い方がフリーランスになっていると思いますが、この需要のマッチングがどのように起きているかを教えていただけたらと思います。
伊藤:まずフリーランスの方の立場から言うと、独立して自分の力を試したい、そして一番はサラリーを上げたいということがあります。それを活用する企業としては、変動費である程度物事を前に進めていきたいと考えます。正社員として雇うと、例えば年収1,500万円の方が4年在職したら6,000万円かかります。
しかしフリーランスの方であれば、1年間でプロジェクト、残りの1年間で既存の社員にスキルをトランスファーしていきます。そうすると結果的に、1,500万円、2,000万円で済みます。したがって、自社の社員でやるべきところと、プロを入れて一気に進めていく部分の使い分けをされる企業はかなりあります。
坂本:なるほど。したがって、経費の中に入れてしまいたい、ゼネラリスト的な人をお願いしたいなど、いろいろな会社があるため、それを実際に行っていくということですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。
坂本:またフリーランスの方には、社外取締役のように数社に受け入れられる働き方をされる方もいますか?
伊藤:フリーランスの方には、プロジェクトにもよりますが、多い方だと3、4社掛け持ちされる方もいます。
坂本:スキルをうまく使われているわけですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。よって、週2日はこの会社、週1日はこの会社というイメージです。
坂本:なるほど。いろいろな需要がありそうですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。
坂本:成長戦略も少しおうかがいしたいと思います。「ハイエンド人材をあまねく活用できる社会」を目指すのが御社の世界観ですね。このコンサル人材のキャリア形成のニーズと、コンサルファーム・事業会社の人材ニーズの双方を満たし続けることは難しいと思いますが、それはすでに実現されているのか、それともこれからさらにニーズが高まるのかを教えていただきたいと思います。
伊藤:まずは、キャリア支援についてです。今まで転職が軸になっていましたが、我々は転職または独立という選択肢をキャンディデートの方にお伝えできます。一方でそのような方がどこかのプロジェクトに入った後に、そこでも人が足りなくなる可能性があるわけです。
そうすると、我々のところにまたご相談をいただきます。そのような中でフリーランスの方はスキルがどんどんアドオンされていき、いわゆるエコシステムのようなものが作れるのではないかと考えています。そのような世界を目指したいと思っています。
坂本:おそらく受け入れる事業会社もそこに期待している部分があるため、スキルを多くの社員に伝承するというか、それを普通にして底上げしていくところがあります。そこについても、橋渡しされるということですね。
山尾:すべての人材の内製化はできません。技術革新やマーケットの変化が激しいため、適所適材で行う内製化と、外部の人的資本をうまく組み合わせます。我々は、例えば固定費と変動費を組み合わせるなど、企業に対する人的資本についてコンサルティングしています。
一方キャンディデートのほうは高度で、かつ自由化・多様化しているため、スキル、キャリアをどこでどのように形成するのかということを求められ、我々はそこに伴走していきます。そのあたりが時代のニーズとマッチしていると分析しています。
坂本:御社は「ハイブリッドなコンサルティングサービス」を標榜されており、自社のコンサルティングをプロジェクトマネジャーとされるということです。御社は経験者をアサインしているという話をうかがっていますが、新卒も採用されています。
今まで、ある程度の経験を積んだ方を紹介していると思いますが、新卒者がお客さまのところに出せるような人材になるまでどのくらいの期間がかかるか、育成方針にどのような特徴があるか、新卒の活用の仕方が成長にもつながると思うため、そのあたりについておうかがいできればと思います。
伊藤:ハイブリッドなコンサルティングサービスで、自社でPMを採用することに関しては、完全にコンサルティング会社でコンサルタントとしてマネジャー以上の経験を持っている人を、中途で即戦力として採用します。
一方、新卒から入っていただく社員の方は、基本的には営業やキャリアカウンセリング、また企業におうかがいした時に、事業の課題のヒアリングを一緒に伴走して、そこをコンサルタントにつなげていくという前さばきの部分を行います。
坂本:そこでキャリアを積んでいただくということですね。
伊藤:おっしゃるとおりです。よって、コンサルタント会社とは逆なのです。コンサルタント会社は、どちらかと言いますと、パートナーなど、上がれば上がるほど営業をします。当社の場合は、比較的若手から中堅が営業をするため、コンサルタントのデリバリーを行うかたちになります。そのような意味では、おもしろい経験を積めるのではないかと思います。
坂本:営業を含めてプロフェッショナルを育てているということですね。
続いて、株主還元についてご質問します。DOEを配当の目安にするということです。私も投資家ですが、高配当株投資では基本的にDOEの会社しか興味がありません。日本企業も安定してきたとはいえ、ボラティリティが高過ぎます。配当性向を目安にするのもよいですが、きちんと業績も考慮したほうがよいと思いますし、それによっては減配してもよいと思うくらいです。
御社はDOE5パーセントを下限とするかたちで配当を行う方針を掲げています。この方針を続けていくのか、それともこれを引き上げていくのか、あるいは配当性向を加えるとすれば、利益部分での還元も行うのでしょうか。
DOEベースで配当性向のハイブリッドが株主にとって一番よいことだと思っていますが、このあたりのイメージがあれば教えていただけたらと思います。
山尾:前提として、IPO時から、配当政策が重要な経営課題だと掲げていましたが、ようやくDOEを選択するという結論に至りました。配当性向についても検討しました。結果として、配当の安定性や継続性を重視してDOEを選択しました。
DOE5パーセントを下限としたわけですが、そこを起点として、成長投資のバランスを見ながら、配当水準については今後、検討を重ねていきたいと思います。
今は配当性向との組み合わせは行いません。まずは企業の事業を強化し、成長を促進します。そして事業基盤を強くして収益構造を作り、企業価値、株の価値を上げることに注力すべきだと考えています。それに応じて配当水準を向上していきたいと考えています。
質疑応答:株価について
坂本:「上場時の公募価格が割れている状態が続いていますが、それに対してどのような意識をお持ちでしょうか?」というご質問です。
「投資家が決めることです」という答えが正しいのかもしれませんが、株主価値向上に対してどのようなアクションをしているかという内容のお答えでも問題ないと思います。
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