2025年3月期第1四半期決算説明会

米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉です。本日は当社の2025年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、主に2025年3月期第1四半期決算の概要と最近のトピックについてご説明します。決算のご説明に入る前に、当社をご理解いただくため、当社の事業概要と中期の数値目標および今期の重点施策について簡単にご説明します。

True Dataの事業モデル

まず、当社の事業概要をご説明します。スライドに山の絵と川の絵がありますが、山を小売業と思っていただければと思います。お客さまである小売業ごとのセキュアな専用環境を私どもが用意し、そこで日々の大量の小売業のデータを管理しています。

データの管理はもちろんですが、契約や規約、個人情報保護のような規制関係によりデータをどのように使えるかも変わってくるため、このようなものの管理も確実に行っています。

こうした管理を確実に行うことによって、小売業が自社データをDXで有効活用できます。分析したり、AIで活用したり、マーケティングしたりすることが可能となります。すなわち、テクノロジーだけではデータは活用できません。当社は、確実に管理されたデータをテクノロジーとあわせて活用することを実現しています。

(データの精製)データを活用するまでの流れ

データ活用やDXがなかなか進まない社会課題があります。この社会課題の本質に気づいている人は少ないのが現状です。そこが当社のビジネスの優位性になっています。当社は多くの企業を支援しながら企業の未来を創れる、そしてワンストップで課題を解決できるデータプラットフォームであるということです。

少し具体的にお話しします。データプラットフォームはわかりづらいため、料理に例えました。一例として、消費財メーカーがデータ活用することをイメージしていただけたらと思います。スライド一番左に「データ取得」とあるのが小売業のデータです。

データは原材料で、お客さまであるさまざまな小売業のデータを取得しています。その後、データは下ごしらえが必要になります。これが商品マスタメンテナンスやデータクレンジングです。

データは下ごしらえされ、きれいになって初めて、道具であるAIなどによる分析が可能となります。その結果をわかりやすく可視化し、インサイトしたり意味を読み取ったり活用したりする流れとなっています。

(データの精製)商品マスタメンテナンスの具体例

商品マスタメンテナンスの具体例をお話しします。スーパーA、スーパーBなど複数の小売業において、同一商品が異なる名前でデータベースに入っています。これを一緒に分析しようとしても、同じ商品とは認識できません。したがって、商品名やメーカー名、ブランド名、商品分類などを整えて初めて分析できるデータに下ごしらえできます。

(データの精製)データクレンジングの具体例

日付の入れ方も、それぞれの小売業で異なります。このデータも先ほどと同様にこのままでは分析に使うことはできず、下ごしらえをして初めてAIなどで分析できます。

(データの精製)データを活用するまでの流れ

我々は、AIやプラットフォーム上に乗せるSaaSといったストック型ソリューションを販売しています。

このプロセス全体をデータプラットフォーム上で実現することで、消費財メーカーはこのデータプラットフォームを通じて自社データを分析・活用できるようになります。これこそが我々が新規事業としてスタートした「POS分析クラウド」です。

「セキュリティは問題ない。AIもある。しかし、データの下ごしらえができない」「小売業ごとの契約や規約などの管理ができない」といった課題の解決を、我々はプラットフォーム上でデータ管理・活用を含めてワンストップで実現しており、これが提供価値だと思っています。

2026年3月期 数値目標

2024年3月期の決算説明資料で示した2026年3月期の数値目標と今期の業績予想についてお話します。

売上高については、オーガニックグロースのみで20億円以上を目指しています。利益面では、成長投資はしっかりと行いつつ、継続的に利益率を高めていき、営業利益率8パーセント以上にあたる営業利益1億6,000万円を目指しています。当社のビジネスは限界利益率が高く、売上の伸び以上に利益が伸びていく構造のため、2026年3月期以降、早期に営業利益率10パーセント超を視野に入れていきます。

今期の業績予想は営業利益1億円、営業利益率5.6パーセントとしていますが、2026年3月期の利益目標達成に向けて、原価率が高いサービスや案件の抜本的な見直しによるさらなる利益構造の強化の取り組みを始めています。

(参考)26年3月期 数値目標達成に向けた成長イメージ

こちらのスライドでは、先ほどご説明した数値目標をどのような打ち手や事業領域で積み上げていくかについて、ざっくりしたイメージを示しています。

既存の主力サービスは年率10パーセント以上の成長、新事業領域は年率20パーセント以上の成長というイメージです。今のところおおむねこのイメージに近い成長ペースで進んでおり、来期の数値目標達成に向けて順調な進捗だと考えています。

25/3期重点施策の進捗 1Qの取組み

5月15日に2024年3月期の決算説明資料で開示した今期の重点施策についての進捗です。いずれの取り組みも順調に進捗しています。

特に2025年3月期第1四半期では、スライド左上の小売業のDX推進において、「ショッピングスキャン」およびAIを含むDXソリューション一式の大型案件を受注しました。現在、導入に向けた準備を進めています。既にこの領域は来期分の受注に取り組んでいます。

また、スライド左下に記載している消費財メーカーのDX貢献においては、新しいサービスとして、「Eagle Eye DashBoard」をリリースしました。データ活用が進んでいない消費財メーカーのボリュームゾーンを、我々はホワイトゾーンと呼んでいますが、「Eagle Eye DashBoard」は簡単に市場データを分析できる、現場に寄り添ったツールとなっていることから、ホワイトゾーン開拓のサービスとして拡販を目指しています。

さらに、「Eagle Eye DashBoard」のようなソリューションは作りましたが、販売とセットで進める必要がありますので、販売チャネル多様化のために、ホワイトゾーンの販売網を多く持つ大手企業との協業の検討を進めています。

2025年3月期 第1四半期決算 ハイライト

2025年3月期第1四半期の決算についてご説明します。ハイライトを3つにまとめました。

1つ目です。売上高は3億8,000万円と11期連続の増収で、計画どおりの推移です。

2つ目です。ストック型売上高比率は95.2パーセントです。既存サービスに加えて新領域のストック型売上を徐々に積み上げています。

3つ目です。営業利益は2,200万円で、前年同期比6,000万円増と大幅増となっています。利益率向上に向けた取り組みも順調に進捗しています。成長投資を行いながら、つまり競争力を高めながらコストを下げることに今期からチャレンジしています。

ビッグデータは蓄積して管理しておくだけでも莫大なコストがかかる特性があります。そのため、利益・収益を生まない案件は整理しています。よって、ネットで見た売上成長は少し緩やかに見えるかもしれませんが、利益体質を強める「年輪経営」を進めながら、しっかりと事業を作っています。

損益計算書サマリー

損益計算書です。2024年3月期第1四半期の数字と比較して記載しています。売上高は3億8,000万円で、11期連続の増収です。2024年3月期第1四半期の大型スポット案件の反動で小幅の増収となっています。

営業利益は2,200万円です。前年同期と比較して、大型の減価償却費や販管費の圧縮により、各段階の利益は大幅増で黒字化となっています。2024年3月期第1四半期まで基幹システムの開発における大型の減価償却費がありましたが、これが終了し、今期は売上原価が減少しています。

また、2024年3月期第1四半期は一時的な成長投資のための研究開発費と、人員増強に伴う採用費などがあったため、今期の販管費は前年同期比で反動減となっています。2024年3月期第1四半期は絶好のタイミングとなったため、中長期の成長のために集中投資を行いました。このような大規模な採用費などはワンタイムコストのため、今期はありません。

通期業績予想に対する進捗率

通期業績予想に対して売上高・利益はおおむね計画どおりに推移しています。原価率が高いサービスや案件の抜本的な見直しによるさらなる利益構造の強化は順調に進捗しています。2026年3月期の数値目標達成に向けて、さらなる利益構造の強化に取り組んでいます。

ハイライト① 売上高推移:1Q

売上高の推移です。True Dataの事業売上は11期連続の増収です。順調に増収を続けています。

ハイライト① 売上高推移:四半期別

四半期単位の売上高です。スポット型売上高の動向によって凸凹はありますが、順調に成長を継続しています。

2025年3月期第1四半期の売上は、2024年3月期第4四半期から減少しています。2024年3月期第4四半期は、「ショッピングスキャン」などの、初期の導入売上やスポット型売上が多く積まれていたため、反動減となっています。ただし、あくまで我々がフォーカスしているのは利益のしっかりしたストック型売上です。

ハイライト① 売上高増減分析:対前年同期

スライドのグラフは、左端が2024年3月期第1四半期の売上高3億7,300万円、右端が2025年3月期第1四半期の売上高3億8,000万円です。その増減の中身を分解して示しています。

ストック型の売上「Eagle Eye」、前期に受注した「ショッピングスキャン」や「POS分析クラウド」、その他ストック型売上の業績貢献が進み、徐々に売上高を積み上げています。一方で、スポット型売上は前期に大型案件がありましたため、反動減となっています。

ハイライト② ストック型売上高推移:1Q

スライドのグラフは、ストック型の売上高の推移を示しています。グラフの太い赤線で囲んだ部分がストック型売上高です。今期は95.2パーセントと高水準となっており、順調に成長しています。

ハイライト② ストック型売上高推移:四半期別

スライドのグラフは、ストック型売上高を四半期別に示したものです。ストック型の売上高の全体的な推移を見ると、中期的には順調に成長しています。

ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:四半期別

ここからはストック型売上について小売業向け、消費財メーカー向けに分けてご説明します。

スライドのグラフは、小売業向けのストック型売上高の四半期推移を示したものです。前期に受注した「ショッピングスキャン」の導入が進み、ストック型売上高を徐々に積み上げています。

(参考)小売業向けストック型売上高推移:1Q

こちらは参考スライドです。前のページのスライドのグラフから、各年度の第1四半期だけを切り出しました。2025年3月期第1四半期は前年同期比5.3パーセントの増収となっています。

ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:四半期別

消費財メーカー向けのストック型売上高についてご説明します。「Eagle Eye」は新規顧客の獲得などにより、成長を継続しています。重点施策の進捗でもご説明したとおり、大きなポテンシャルを持つホワイトゾーンの開拓に向けて、新サービスとして「Eagle Eye DashBoard」をリリースしました。

また、ホワイトゾーンへの販売拡大に向けた大手企業との協業は、継続して協議を進めています。このような取り組みを進めることで、「Eagle Eye」は今後の成長可能性を大いに期待されています。

(参考)消費財メーカー向けストック型売上高推移:1Q

こちらは参考スライドです。前ページのスライドのグラフから、各年度の第1四半期だけを切り出しました。ストック型売上高全体では緩やかな伸びとなっていますが、契約社数は順調に増加しています。

ハイライト③ 営業利益推移:1Q

利益についてご説明します。スライド左側のグラフは、直近5年度と2025年3月期の第1四半期の営業利益の推移を示したものです。2025年3月期第1四半期の営業利益は2,200万円と、黒字に転換しています。

スライド右側のグラフは、直近5年度と今期業績予想の通期営業利益の推移を示したものです。今期業績予想の通期営業利益1億円に対して、2025年3月期第1四半期はおおむね計画どおりに進捗しています。

ハイライト③ 営業利益増減分析:対前年同期

スライドのグラフは、前年同期に対する営業利益の増減分析を行ったものです。左端が2024年3月期第1四半期の営業損失3,700万円、右端が2025年3月期第1四半期の営業利益2,200万円です。その増減の中身を分解して示しています。

売上高は600万円の微増となりました。費用は、基幹システムに関わる減価償却費負担が2024年3月期第1四半期で終了し、利益の押し上げ要因となりました。前期に実施した一時的な研究開発費や採用費の反動減で、その他の販管費も大幅に減少しています。その結果、2025年3月期第1四半期の営業利益は、前年同期比6,000万円増の2,200万円となりました。

ハイライト③ コスト構造:対前年同期

スライドのグラフは、2025年3月期第1四半期のコスト全体を前年同期と比較したものです。費用全体では前年同期比13.1パーセント減となっています。

(参考)貸借対照表サマリー

バランスシートの状況です。前期末から大きな変化はありません。

トピックス 最近の主な取り組み

こちらのスライドには、最近の当社の取り組みの中から、代表的なものを6つ記載しています。赤い吹き出しで「Pick Up」とある3トピックについて具体的な内容をご紹介します。

トピックス Pick Up①

1つ目は、市場トレンドがチェックできる購買データ閲覧サイト「ウレコン」についてです。「ウレコン」の登録者数が、4月に3万人を突破しました。

「ウレコン」は、日用品や食品約500カテゴリの直近3ヶ月のデータを、誰でも無料で閲覧できるサイトです。地域ごとの売れ筋商品のランキングを見たり、個別商品の購入者の性別・年代といった属性、リピーターやファンが付いている割合を確認したりすることで、市場のトレンドを把握することができます。

小売業や消費財メーカーといったさまざまな企業からマーケティングに活用いただいているほか、教育機関が授業の教材として利用するなど、ビジネスからデータ活用人材の育成まで幅広いシーンでご活用いただいています。

このようなビッグデータ活用のニーズは拡大しており、登録者数も過去最多を記録しています。

トピックス Pick Up②

2つ目は、当社が連携協定を結んでいる気仙沼市の女性向けデジタル研修についてです。地域課題として、子どもの貧困への対応が求められています。お母さん方は子育てや教育に努力していますが、なかなか難しい部分があります。

地域の就労環境として営業事務の仕事がなく困っているということですが、データの仕事はリモートで行うこともできます。したがって、東北のお母さん方が子育てをしながら全国の企業のDXに関わるような仕事や、もしくは東京の会社と世界につながるような仕事をすることも可能です。このような構想を実現するため、当社ではスライドのような取り組みを行っています。

実際に当社では、70代半ばのデータサイエンティストが現役で働いています。また、昨年度は50歳の地方在住のお母さんを採用しました。文系の方ではありますが、データアーティストとして教育を受けていただき、フルリモートで働き、楽しみながら活躍しています。もちろん、若者もとても活躍しています。

このような取り組みができるのがデータの仕事だと思っていますので、このような地域においても取り組みを広げながら、いろいろな方の未来を一緒に作っていきたいと思っています。

トピックス Pick Up③

3つ目は、これからデータの活用を開始する消費財メーカーへ向けた新ツール「Eagle Eye DashBoard」の提供開始についてです。

ホワイトゾーンと呼んでいる、これからデータ活用に取り組む層がどんどん広がっていく中で、人材があまり多くない会社でも現場で活用できるようにすることを目的に、統計の知識がなくても、クリックするだけで誰でも簡単に全国規模の売上情報をチェックでき、そのまま営業資料などに活用できる戦略的なツールをリリースしました。

当社は今後もあらゆる人がストレスなくデータ活用できるツールを提供し、企業のDX推進を支援していきたいと思っています。

私からのご説明は以上です。

質疑応答:大手小売業からの大型案件受注に関する業績への影響について

司会者:「重点施策において、大手小売業から大型案件を受注したとの説明がありましたが、業績への影響はどの程度でしょうか?」というご質問です。

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