2024年12月期 第2四半期決算説明
佐藤正浩氏:代表取締役の佐藤です。この度は、弊社の決算説明会をご視聴いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、2024年中間期の決算概要についてご説明を申し上げます。
業界環境
はじめに、当社の事業環境について、ご説明を申し上げます。まず、国内においては、新型コロナウイルス感染症の影響から、ゆるやかに回復しまして、医療需要も正常化に向かいました。
一方、海外においては、中国における不動産市場の低迷により、中国経済に影響を与えていますほか、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、パレスチナ地区における紛争などの地政学リスクの高まりに加えまして、欧米の政策金利の高止まりによる円安、物価の高騰も、当社のサプライチェーンに影響を及ぼしました。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画の達成に向けて、新製品上市による営業活動の強化と、仕入先の見直しによる原価低減を図りまして、為替リスクのヘッジ対策も実施しました。
また、海外では、中国事業の販売強化に加えまして、インドおよび東南アジアへの販路拡大を行い、売上の増加を目指してまいりました。
連結業績サマリー
これらの活動により、本年度の営業成績については、売上高63億円・前年同期比4.6パーセント増、営業利益2億9,100万円・同じく13.3パーセント減、経常利益3億4,500万円・同じく6.8パーセント減、当期純利益5億5,000万円・同じく73.9パーセント増となりました。
前年同期との比較では、売上高は、OEM販売が一部製品の取引が終了となりまして、減少しましたが、自社販売および海外販売の好調により、全体では増加となりました。
利益面については、円安による輸入仕入コストの増加などにより、売上原価率が上昇しました。また、人件費のベースアップや、本社移転に伴う減価償却費の前倒しにより、販売費および一般管理費が増加となり、営業利益および経常利益が減少となっています。
一方、中間純利益については、本社売却による固定資産譲渡益と、海外子会社の補助金獲得により大幅に増加しました。
売上推移(販売形態別)
それでは、当期の売上高を販売形態別にご説明します。まず、自社販売ですが、泌尿器系の導尿関連製品について、フォーリートレイキットは、一昨年以降の欠品による不安定な状況も今期は解消されたことにより、前年同期を上回りました。今後も製品の安定供給に向けた取組みを続けまして、さらなる売上増加を目指してまいります。
また、尿管留置用ステントは長期留置の有効性が引き続き評価されており、販売促進の強化も功を奏して、前年同期を上回る実績となりました。これらにより、17億8,700万円、前年同期比8.4パーセントの増加となっています。
消化器系では、胃に栄養剤を直接投与する胃瘻関連製品が、競合先の新製品上市による影響を受けまして、前年同期を下回りました。これにより、10億3,600万円、前年同期比3.1パーセントの減少となりました。
また、新製品については、2022年上市の泌尿器系製品の先端開口フォーリーカテーテルが好調に推移しているほか、本年1月上市の内視鏡ガイドワイヤーが堅調な売上となっています。
以上により、自社販売全体の売上高については、消化器系製品の減少に対して、泌尿器系製品が増加したことにより、33億9,700万円、前年同期比は3.2パーセントの増加となりました。
売上構成(販売形態別)
次に、海外販売については、中国の販売と、欧州を中心としたその他の輸出販売に分けて、ご説明します。
まず、中国販売ですが、消化器系の腸閉塞治療用のイレウスチューブについては、各省における学術会議の開催や、重点病院における医師との連携により、内科的な治療法に向けた活動が功を奏しました。さらに、為替の影響もございまして、堅調な伸びとなりました。
一方、組織採取の生検針は、前年好調の反動により減少となっています。これらにより、中国販売は、16億2,600万円、前年同期比12.2パーセントの増加となりました。
次に、輸出販売については、泌尿器系製品は、前年の欧州市場における医療需要の回復により、売上を大きく伸ばした反動のため、今年度は減少となりました。
一方、消化器系製品については、欧州における受注が引き続き好調であり、売上の増加が続きまして、5億8,500万円、前年同期比8.3パーセントの増加となっています。これらにより、海外販売の合計は22億9,400万円、前年同期比13.1パーセントの増加となりました。
最後に、OEM販売ですが、内視鏡関連製品が新規受注獲得により売上を増加させる一方で、血管系の一部製品が販売中止となった影響により、大幅に減少しました。これらにより、OEM販売は6億800万円、前年同期比13.6パーセントの減少となっています。
以上により、本年度の売上高については、全体で63億円、前年同期比4.6パーセントの増加となりました。
販売費及び一般管理費
続きまして、販売費および一般管理費のご説明をします。まず、人件費については、グループ各社における物価上昇を踏まえたベースアップなどにより、給与手当が増加をし、全体では14億1,200万円、前年同期比3,800万円の増加となりました。
経費については、本社移転に伴う減価償却が前倒しとなり、さらに、欧州医療機器の規則であるMDRライセンスの費用や、営業活動の活発化により旅費交通費が増加となり、全体では10億3,600万円、前年同期比1億3,800万円の増加となっています。
以上により、販売費および一般管理費は24億4,900万円、前年同期比1億7,700万円の増加となりました。
営業利益分析
次に、営業利益の変動要因を、前年同期との比較でご説明します。まず、利益のプラス要因ですが、自社販売における前期の値上効果により、営業利益が1億5,400万円の増加となりました。また、海外販売における為替の影響により、6,200万円が増加となっています。
一方、マイナス要因については、売上高において、海外販売は増加しましたが、自社販売・OEM販売の減少により、1,500万円が減少となりました。また、輸入仕入における為替の影響や、輸送費の高騰により5,100万円が減少となっています。
さらに、海外子会社における売上原価等の為替の影響などにより、1,700万円が減少となりました。最後に、先ほどご説明申し上げた販売費および一般管理費の増加により、1億7,700万円が減少となっています。
以上により、営業利益は2億9,100万円、前年同期比4,400万円の減少となりました。
経常利益、当期純利益
続きまして、営業外収支のご説明をします。営業外収益については、為替差益3,700万円と、受取利息1,200万円などにより、6,100万円となりました。また、営業外費用については、支払利息500万円などにより、600万円となっています。
以上により、経常利益は3億4,500万円、前年同期比2,500万円の減少となりました。
次に、特別利益については、本社の土地売却による固定資産譲渡益3億円と大連クリエートにおける遼寧省からの補助金6,300万円などにより、3億9,000万円となっています。
以上の税金等調整前純利益を基に、法人税等の1億5,600万円と、法人税等調整額の2,900万円により、中間純利益は5億5,000万円、前年同期比2億3,300万円の大幅な増加となりました。
研究開発費、設備投資(2Q)
次に、設備投資および研究開発費について、ご説明をします。まず、設備投資については、国内では、社内インフラに関わる情報関連投資と、生産設備の取得により、7,300万円の投資を行いました。
また、ベトナムクリエートでは、新規OEM品にかかる生産設備などに4,500万円の投資と、大連クリエートにおける情報システムおよび生産設備の取得などにより、8,200万円の投資を行いました。
以上により、設備投資の総額は2億600万円となりまして、前年同期比5,500万円の減少となりました。
また、研究開発費については、総額4億5,300万円となり、主に、国内では研究開発人員の増強に伴い、人件費が増加したことなどにより、前年同期比3,700万円の増加となりました。
以上により、連結全体の研究開発費は、前年同期比3,200万円の増加となりました。
財政状態計算書
次に、財政状態について、ご説明します。まず、流動資産については、本社移転による土地の売却や、外貨預金の為替差益などにより現金及び預金が大幅に増加をし、売掛金および電子記録債権や、棚卸資産が大幅な減少となりましたが、10億7,100万円の増加となりました。
一方、固定資産については、有形固定資産のうち、土地が本社売却により大幅に減少しましたが、投資その他の資産では、日本学生支援機構のソーシャルボンドへの出資、および投資有価証券の評価益により増加となり、固定資産の全体では、3億1,900万円の減少となりました。 以上により、資産の部の合計は、7億5,100万円の増加となりました。
次に、流動負債については、支払手形および買掛金などにより、1億4,100万円が減少となっています。また、固定負債については、退職給付に係る負債、および繰延税金負債の減少により、3,100万円が減少となりました。
以上により、負債の部の合計は、1億7,300万円の減少となりました。
続きまして、純資産については、本年2月以降の自己株式取得によるマイナスが増加となりましたが、中間純利益による利益剰余金の増加と、為替レートの変動による為替換算調整勘定が大幅に増加したことにより、純資産の合計は、9億2,400万円の増加となりました。
連結業績予想(通期)
続きまして、通期の業績予想についてご説明します。通期の事業環境については、国内においては、新型コロナウイルス感染症の影響からゆるやかに回復していますが、海外では、中国の不動産市場が中国経済全体に影響を与えているほか、歴史的な円安や物価上昇の影響も続くものと予想しています。
まず、売上高については、自社販売は、好調な泌尿器系製品を中心に売上の増加を見込んでいます。また、胃瘻関連製品のフェイシルPEGキットにおいても、営業活動を強化することにより、売上拡大を目指してまいります。
海外販売については、中国販売の売上増加に加えまして、欧州および新興国の受注増加により、さらなる売上拡大を図ります。OEM販売においては、一部製品の販売中止の影響はございましたが、既存取引先への営業活動を強化しており、下半期の売上回復を見込んでいます。
利益については、一段の原価低減活動の推進に加えまして、本社の移転および事業所の売却など、収益構造の見直しを行うことにより、営業利益、経常利益、当期純利益の増加を目指してまいります。
以上により、2024年12月期の業績予想については売上高130億3,200万円・前期比3.5パーセント増、営業利益8億6,800万円・同じく8.1パーセント増、経常利益9億円・同じく3.1パーセント増、当期純利益9億6,700万円・同じく527.8パーセント増としまして、本年2月14日に公表した通期業績予想を、据え置きとします。
なお、今後の業績推移により必要な場合については、通期業績予想の修正を速やかに公表します。
サステナビリティの取組について
続きまして、サステナビリティの取組について、ご説明をします。当社は、サステナビリティ基本方針を決定しまして、この基本方針に則り、重要課題と具体的な取組事項をホームページに公開をしています。
具体的な取組みとしまして、はじめに、環境については、現在、事業所のLED化や、ハイブリッド車の導入を実施していますが、今後は、さらなる省エネの推進に向けた検討を進めてまいります。
また、生産工場で使用される消毒用エタノールの再利用をしまして、大気汚染物質の排出抑制への投資等についても検討しています。
さらに、物流業界の2024年問題への対策としまして、製品出荷のまとめ化による輸送の効率化に向けた検討を進めてまいりました。
次に、人的資本については、当社では、女性活躍推進法に基づく情報開示のほか、関係会社の外国人幹部を本社採用へ雇用転換を行い、女性・外国人など多様性の確保に努めてまいりました。さらに、リモートワークの制度化や、法定以上の育児時短制度の導入など、従業員の働き方に配慮した制度設計も現在進めています。
ガバナンスについては、現在、横浜市の認証制度Y-SDGsの認証取得や、神奈川県のSDGsパートナー制度の登録をしていますが、引き続き、外部評価機関による審査を通じまして、社内体制の強化や、新たな取組事項の設定に活用してまいります。
また、社会貢献の一環として、日本学生支援機構が発行するソーシャルボンドについても出資を行いました。
最後に、製品の安全性については、患者さまのQOL向上に寄与する、安全で高品質な製品の開発、企業の社会的な使命として、途上国の医療にも貢献できる取組みを今後も目指してまいります。
配当政策
次に、株主還元策について、ご説明を申し上げます。当社は、株主さまへの利益還元を経営の重要施策と位置付けており、今後の収益力向上のために、内部留保による経営基盤の強化を図りつつ、継続的かつ安定的に利益配分を行うことを基本方針としています。
このような基本方針に則りまして、当期の中間配当については、普通配当17円に、当社設立50周年の記念配当2円を加えまして、19円とすることを、取締役会で決議しました。また、期末配当は20円としまして、年間配当39円とさせていただく予定です。
自己株式の取得
また、自己株式の取得については、普通株式60万株、5億円を上限としまして、市場買い付けにより、本年2月15日より実施をしています。現在、6月30日までに取得した株式の総数は31万4,600株、取得価格の総額は3億821万4,200円です。
今後も、株主さまのご期待に沿えますよう、配当金と自社株買いによる、総還元性向の充実を図りまして、企業価値の向上と資本収益性の改善に努めてまいる所存です。
それでは、当社2024年中間決算説明は、以上です。最後までご視聴をいただきまして、誠にありがとうございました。