決算ハイライト 2025年3月期Q1のサマリー①

金子陽亮氏(以下、金子):CFOの金子です。まずは私から2025年3月期第1四半期決算概況及び2025年3月期下半期にかけてのサービス分野別の事業展開についてご説明し、続いてCEOの谷郷から中長期事業開発の進捗状況についてご説明します。

2025年3月期第1四半期の決算ハイライトは、売上高が64億1,600万円、売上総利益が33億2,500万円、限界利益が29億6,700万円、営業利益が8億3,400万円、純利益が6億2,000万円となりました。

売上高が前年同期比プラス24.8パーセント、限界利益が前年同期比プラス29.6パーセントの成長と大きく伸長した一方で、将来に向けた体制整備による固定費の増加を背景として、営業利益及び純利益は前年同期比で微減から横ばいの水準となっています。

決算ハイライト 2025年3月期Q1のサマリー②

サービス分野別の売上高成長率をスライドに記載しています。配信/コンテンツ、マーチャンダイジング、ライセンス/タイアップは、いずれも前年同期比水準を上回る成長を記録しています。

特にマーチャンダイジング分野については、国内外の小売店網などの販路拡充の影響が大きく、前年同期比プラス40.1パーセントの大きな成長となっています。

相対的に限界利益の高いマーチャンダイジング分野の伸長により、全分野合計の限界利益は前年同期比プラス29.6パーセントと大幅に成長しました。

上期進捗率は、売上高で44.5パーセント、営業利益で34.8パーセントとなっていますが、季節性を鑑みると予算に対して順調な推移と理解しています。

ファン数拡大の状況

ファン数拡大の状況としては、2024年6月末時点で「YouTube」総登録者数が9,230万人まで成長しています。

海外では昨年度に引き続き再現性高く、新規デビューユニットが人気化していることに加え、国内では音楽を通じた認知獲得によるファンの拡大が継続しています。

新規デビュー ‐ ホロライブEnglish「Justice」

第1四半期期間においては、6月に英語圏向け女性グループ「ホロライブEnglish」から新ユニット「Justice」がデビューしました。

初配信では、4チャンネル平均で11万人の最大同時視聴者数を集めたほか、デビューから1ヶ月で「YouTube」チャンネル登録者数は4チャンネル累計119万人を突破しています。

昨年デビューした「Advent」から引き続き再現性を持ってヒットを生み出すことができています。

ユニットを構成するメンバーには、英語以外にイタリア語やドイツ語話者なども含んでおり、多彩な才能で複数の言語圏に対して、あるいは世界に対して、コンテンツを展開していける想定です。

VTuberあたり収益の状況

第1四半期期間の在籍VTuberあたり四半期収益の指標は、前年同期比で5.1パーセント上昇しています。

同指標は、第1四半期末の6月に新規VTuber4名がデビューしていることによって、数値的な希薄化の影響を受けていますが、一方でマーチャンダイジング収益が大きく拡大していることから、引き続き拡大基調で推移しています。

売上高の推移

第1四半期期間の売上高については、配信/コンテンツ分野及びマーチャンダイジング分野の事業拡大を背景として、売上高が前年同期比プラス24.8パーセントの成長を記録しています。

当社の売上高は、大型イベントの実施サイクルと受注販売商品の需給サイクルによって、第1四半期から第4四半期にかけて、順次大きくなっていく季節性を持っています。

第1四半期期間に関しては、第4四半期期間の超大型ライブイベントの反動で大型のコンサートなどが実施されていないため、ライブ/イベント分野の売上高が、ほか四半期対比で相対的に控えめとなっています。

前年同期比で売上高が大きく成長しているマーチャンダイジング分野については、国内外の販路拡充による小売店売上の拡大やシリーズ商品の展開によるクロスセル機会の拡充が寄与している状況です。

コスト推移(売上原価)

売上原価についてです。第1四半期期間は、マーチャンダイジング取引増を背景として、製造原価が前年同期比で増加した一方で、季節性によって直近四半期対比でイベント費が小規模に留まっています。

売上総利益及び売上総利益率の推移

売上総利益と粗利の水準についてです。第1四半期期間はマーチャンダイジング分野を中心として前年同期比で売上高が高まった一方で、季節性によってイベント費が限定的な水準に留まっているため、粗利率が2021年3月期以来の高水準を記録している状況です。

四半期粗利水準は、前年同期比でプラス26.2パーセントまで拡大しました。

コスト推移(販管費および販管費率)

第1四半期の販管費については、収益部門における高度人材の採用やコンテンツ制作能力の拡充といった将来に向けた体制整備を背景として、固定費が拡大しています。

販管費率は前年同期比で上昇していますが、販管費上昇の内訳は固定費が多いことから、年度後半にかけて季節性により売上が高まるにつれて、再度販管費率も落ち着いた水準に戻っていくことを想定しています。

限界利益及び限界利益率の推移

限界利益率に関しては、マーチャンダイジング分野やライセンス/タイアップ分野といった非労働集約的なコマース領域の収益構成が高まっていることを背景に、継続的に改善している状況です。

第1四半期の限界利益水準は、前年同期比プラス29.6パーセントまで拡大しています。

営業利益及び営業利益率の推移

第1四半期の営業利益については、将来の事業成長のための体制拡充による固定費増を背景として調整しています。一方で、限界利益については継続的に拡大していることから、長期的には目標営業利益率として30パーセントを引き続き見込んでいる状況です。

サービスミックス及びプロダクトミックスの概観

売上高全体に占めるコマース領域の構成比は引き続き上昇しており、限界利益率の改善に寄与しています。シリーズ商品の拡充及び販路拡大により、受注販売商品以外の売上も順調に推移している状況です。

2025年3月期下半期にかけてのサービス分野別の事業展開

下半期以降の事業展開についてご説明します。各サービス分野について、準備が着々と進行している状況です。

配信/コンテンツ分野については、昨年夏以降にデビューした新規タレントのファンエンゲージメント強化、音楽を起点とした商品・サービスの拡充、海外タレントをフィーチャーしたコンテンツの拡充を進行していく予定です。

国内では音楽の展開、海外ではローカライズされたコンテンツの増加が重要と考えています。

ライブ/イベント分野については、海外におけるライブコンサートの拡充、年度後半にかけての複数の大型イベントの実施を進行していきます。海外ライブコンサートの実施による海外コアファン層の開拓は、事業のグローバル拡大に向けたモメンタム形成に寄与する重要なものと考えています。

マーチャンダイジング分野については、9月からトレーディングカードゲームが販売開始予定であり、先行予約がかなり順調に進捗している状況です。

コンテンツの拡充にあわせた商品企画・生産及び物流キャパシティの拡大といったテーマも進行していきます。そのほか、国内・海外における小売店販売の拡大というところも大きく業績に寄与すると考えています。

トレーディングカードゲームについては、試遊会の実施が全国で始まっており、9月の公式販売期間を控えながら、すでに活発な需要が確認されています。

ライセンス/タイアップ分野については、年初から着任している新しい営業企画本部長の下で、営業組織再編による収益力の強化が進行しています。加えて、北米現地拠点や各地域の現地代理店等を介した海外BtoB取引の拡大が顕在化しつつある状況です。

年初から採用している営業企画本部長の指揮の下、大型の新規顧客開拓、取引代理店拡充、新規プロダクト開発チームの組成といった営業組織再編を引き続き推進することで、それらの財務的な成果は下半期にかけて顕在化させられるという見通しです。

続いて、中長期事業開発の進捗状況に関して、CEOの谷郷からご説明します。

英語圏地域における再現性の高いヒットIPの立ち上げ

谷郷元昭氏(以下、谷郷):当社のミッション実現と中長期的な事業拡大に向けて、今年度以降は海外展開に一層注力していく想定です。

英語圏におけるIPの立ち上げとファンダムの形成に関しては、「ホロライブEnglish」において、昨年7月及び今年6月の2年連続でユニットをデビューさせており、グループとしての北米単独ライブコンサートも実施するなど、積極的な展開を行っています。

新規ユニットのデビューにより新しいファン層が拡大することに加え、グループ内の既存ユニットへのファンの還流も発生するため、「ホロライブEnglish」の各ユニットが相乗効果を持って成長していきます。

「ホロライブEnglish」ブランドのコアファン層が、新規IPの立ち上げ時にモメンタムに寄与しており、2024年6月にデビューした新ユニット「Justice」は、1ヶ月で「YouTube」チャンネル登録延べ数が119万人を突破する人気となっています。

各地域での多面的な事業展開によりこのようなファンダムを育成し、再現性の高いヒットIPの創出につなげていきたいと考えています。

現地企業との協働によるブランド浸透

ホロライブのグローバルなファン拡大は、他社との大きなコラボレーションの実現にも寄与しています。

7月に実施した「ロサンゼルス・ドジャース」とのコラボレーション企画「hololive night」では、現地アニメファン・野球ファンが一堂に会し、大きな熱狂を呼びました。

海外現地で影響力の大きいブランドとのコラボレーションを実施していくことが、現地でのファンコミュニティを一層拡大していくにあたって重要と考えています。

実際のゲームにおいても、当社所属VTuberの「がうる・ぐら」が『Take Me Out to The Ball Game』を歌唱するイベントを実施し、たくさんのファンの方々にも合唱していただき、非常に盛り上がった結果となっています。

大型イベントへの参加を通じたエンゲージメント強化

夏季期間は、米国最大級のアニメコンベンションである「Anime Expo」に加え、フランスの「Japan Expo」、中国の「Bilibili Macro Link/ Bilibili World」など、複数の言語地域の大型コンベンションに出展し、いずれの地域でも現地の高い熱量を確認することができました。

イベントを通じた各地域のファンとVTuberタレントの直接の交流が、エンゲージメントの高いファンコミュニティを醸成する上で、大きな役割を担っていると考えています。

海外ライブコンサートの拡充

さらなるグローバルファンコミュニティの拡大に向けて、「ホロライブEnglish」において2度目となる全体ライブを8月に開催するほか、年末にかけてホロライブが世界各都市を巡る初のワールドツアーを実施する予定です。

海外ライブコンサートについては、昨年度に着実な実績を積むことができたため、今年度以降はスケールを拡大して複数の機会をお届けすることができるようになっています。

音楽を通じたライトファン層へのリーチ拡大

IPの認知拡大においては引き続き、音楽が大きな役割を担っています。所属VTuberのすばらしい歌唱パフォーマンスに加えて、会社としての楽曲プロモーション体制も拡充が進んでいるため、再現性高くヒット楽曲をリリースすることができています。

今年3月にリリースされた「星街すいせい」の『ビビデバ』は、すでに「YouTube」上で7,000万回以上再生されており、生身のトップアーティストと並ぶ大きなヒットを記録しています。

所属VTuberの楽曲がアニメ主題歌に起用される事例も増えてきており、ふだんVTuberの動画コンテンツを視聴しない潜在ファン層からの認知獲得にもつながっています。

ゲームIPとしての拡がり

さらなる事業拡大に向けて、ゲーム関連の取り組みも広がりつつあります。

ふだんからゲームの実況配信などを行っており、ゲームコンテンツとの親和性が高い当社所属VTuberは、オンサイトのゲーム関連イベントや他社ゲームとのインゲームコラボにおいても大きな集客を実現しています。

このような所属VTuberのゲームIPとしての広がりがベースとなって、インディーズゲームブランド「holo Indie」ではすでに9本のタイトルが発表されているほか、外部ゲームデベロッパーへのIPライセンスアウト方式での中型から大型タイトルの開発も複数進んでいる状況です。

ベータテスト中の自社開発メタバースサービス「ホロアース」においても、VTuberタレントが生配信を行いながら、ゲーム空間上でファンと交流し、再現性高く一定の集客を実現する様子が確認できており、VTuberのゲームIPとしての可能性は今後も広がっていくものと考えています。

ご説明は以上となります。

質疑応答:第1四半期決算の振り返りについて

質問者:第1四半期の振り返りのところで、売上や費用の部分については計画対比でどのような評価になっているのでしょうか? 売上の部分でセグメント別の濃淡などがあれば、あわせて確認させてください。

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