本日のPoint

森山昌彦氏(以下、森山):みなさま、こんばんは。本年4月に代表取締役社長に就任した、T&Dホールディングスの森山です。この度は当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

スライドに本日お伝えしたいポイントを記載しています。まず、当社グループのコアビジネスである国内生命保険事業3社についてご説明した後、成長戦略や資本政策、株主還元についてお話しします。

それぞれの特化した生命保険市場においてトップブランドの構築を目指す

森山:まずは国内生命保険事業についてです。当社は大同生命、太陽生命、T&Dフィナンシャル生命の3社をコアビジネスとする持株会社です。

生命保険会社3社は、それぞれが異なる市場に特化しています。具体的には、大同生命が中小企業市場、太陽生命が家庭市場、T&Dフィナンシャル生命が金融機関や来店型保険ショップといった乗合代理店市場に特化しています。

それぞれの生命保険市場において独自性と専門性を発揮し、トップブランドの構築を目指しています。

生命保険3社の新契約業績は堅調に推移

森山:生命保険会社3社の新契約業績は、いずれも順調な進捗となっています。この新契約の好調は、当社グループの大きな強みです。

生命保険は長期にわたって収益が発生。積み上げた保有契約が収益の源泉

森山:生命保険会計の特徴についてご説明します。一般的な事業会社の場合、売上から費用を差し引いたものが利益となり、各年度で完結します。

一方、生命保険契約については、1件の契約期間が10年以上の長期にわたるものが多く、契約に係る収支が確定するのは契約期間が満了となってからです。

スライドの棒グラフのとおり、契約初年度については販売手数料などの初期費用が発生しますが、2年目以降は契約満了まで長期にわたって収益を計上していくことになります。保有契約を積み上げていくことで安定的な収益を生み出せることが、生命保険事業の最大の特徴です。

新契約価値・マージン、保有契約年換算保険料は同業他社を大きく上回る

森山:スライドは、1年間に新たにお引き受けした契約の、将来にわたる価値の合計を表す新契約価値と保有契約年換算保険料の推移を示しています。大同生命、太陽生命とも新契約価値・保有契約は業界比で堅調に推移しており、業界他社と比較した当社グループのビジネスモデルの強さは実績にも表れています。

中小企業市場(市場環境)

森山:生命保険3社のビジネスモデルについてご説明します。まず、大同生命が特化している中小企業市場についてです。

中小企業の経営は、経営者自身の信用力や営業力など、経営者の手腕で成り立っているケースが多くあります。経営者に万一のことがあった場合、生命保険による金銭的サポートは、借入金の返済や従業員への給与の支払いを可能にし、事業承継につながります。

中小企業市場(大同生命の強み)

森山:大同生命は、中小企業の経営者のみなさまにもしものことがあった場合に、保障を通じて会社や従業員、ご家族の方々をお守りし、支えることを使命としています。

大同生命の大きな特徴は、法人会や納税協会といった中小企業団体や税理士団体と提携し、それぞれの団体の特性に応じて設計した保険を提供していることです。

お客さま、提携団体、そして大同生命がそれぞれWin-Win-Winの関係を築き、効率的かつ強固な営業基盤を確立していることが好調な業績に表れており、当社グループにおける最大の強みとなっています。

ここで大同生命の企業イメージ動画をご覧ください。

(動画流れる)

現在、大同生命では約36万社の企業にご加入いただいていますが、国内の中小企業の総数は300万社を超えており、今後も開拓の余地は十分あると考えています。

<参考>大同生命の主力商品

森山:スライドは大同生命の商品ラインナップです。中小企業で働く方とそのご家族をさまざまなリスクから守るために、死亡保障に加え、医療保障や重大疾病保障、就業障がい保障、介護保障まで充実した商品ラインナップを揃え、トータルな保障を提案しています。

<参考>中小企業市場(保険にとどまらない提供価値の進化・拡大)

森山:また大同生命では、保険にとどまらず中小企業の課題解決の支援まで活動の領域を広げることで、中小企業の持続的な発展・成長に一層貢献するとともに、お客さま接点の深化・多様化につなげています。

家庭市場(市場環境)

森山:家庭市場の太陽生命についてご説明します。高齢化が進む日本では、平均寿命と健康寿命の年齢差が生じており、健康寿命の延伸が社会課題となっています。

要介護認定者や認知症の患者数は今後も増加トレンドが継続し、長生きのリスクが従来以上に顕在化していくことが見込まれます。医療保障や介護保障といった第三分野保障を中心に、シニアマーケットは今後も拡大していくと考えています。

家庭市場(太陽生命の強み)

森山:太陽生命は、家庭市場に特化した生命保険会社です。営業職員が個別に家庭を訪問し、第三分野を中心とした商品を提供しています。

近年では、社会環境の大きな変化に伴い、営業職員による「対面」と、ネットで申し込みができる「スマ保険」やインフォマーシャルといった「デジタル」を融合させたハイブリッド型営業を展開し、マーケットの拡大に注力しています。

太陽生命の強みは高い商品開発力であり、「認知症予防保険」や「ガン・重大疾病予防保険」といった時代に先駆けた最新の保障の提供により、お客さまに安心をお届けしています。

<参考>太陽生命の各種サービス

森山:太陽生命のサービスについてご説明します。太陽生命では、保険商品の提供だけでなく、認知症等の疾病に関する早期発見・早期予防、健康増進に関するサービスなどの提供により、お客さまの元気・長生きをサポートしています。

さらに訪問サービスも充実しており、お客さまの要望に応じて内務員が訪問し、給付金などの請求手続きをサポートする「かけつけ隊サービス」を提供しています。

ここで「かけつけ隊サービス」についてのイメージ動画をご覧ください。

(動画流れる)

こちらに加えて、年に1度、シニアのお客さまを訪問の上、契約内容をご説明し、入院や手術を受けられていないかなどを定期的に確認することで、給付金などの請求漏れがないようにサポートする「シニア訪問サービス」を展開しています。

乗合代理店市場(T&Dフィナンシャル生命の強み)

森山:T&Dフィナンシャル生命は、金融機関代理店などの代理店市場に特化した生命保険会社です。個人年金保険や終身保険などの円建商品をはじめ、外貨連動型商品や変額商品といった、あらゆる金融環境に柔軟に対応可能な商品ラインナップとなっています。

給付内容等を差別化した商品開発やチャネル特性に応じた商品の提供、リアルとネットの融合によるお客さま・代理店サポートに注力しています。

生命保険事業から生まれる安定的な収益を成長事業、新規事業に配賦

森山:成長戦略についてご説明します。スライドは、当社の企業価値向上の概念図です。スライド左下の「①国内生命保険事業」で生み出される安定した収益を、左上の「②成長戦略」へ資本配賦します。加えて、リスク削減や資産運用力の向上、資本政策などにグループ一体となって取り組むことで、グループ企業価値の向上に取り組んでいます。

主な成長投資先として再保険会社のFortitude社に対して、これまでにTDUC(T&Dユナイテッドキャピタル)を通じて、累計約1,400億円出資

森山:当社は、海外の再保険会社であるFortitude社に対して、これまでに累計約1,400億円を出資しています。

クローズドブック事業とは

森山:クローズドブックとは、保険会社が販売停止した商品の保有契約ブロックを指します。他の保険会社のクローズドブックを取得・集約し、バリューアップを通じて収益化することがクローズドブック事業のビジネスモデルです。

クローズドブック事業とは(つづき)

森山:対象となる保険負債などによりバリューアップ手法はさまざまですが、主に規模の経済を活かしたコストシナジーの発揮、また、資産運用ポートフォリオの見直しによる投資リターンの改善などが挙げられます。

ペット保険事業

森山:次にペット保険事業です。「ペット&ファミリー」では、ペットである犬と猫に対する保険を提供しています。保有契約件数は20万件を突破し、ペット保険業界では大手と位置づけられています。本年3月には「PayPayほけん」にてペット保険の提供を開始しました。

【参考】ペット保険の市場規模

森山:ペット保険の市場規模は拡大が見込まれています。

新領域(All Right)

森山:All Right社では、健康増進・ヘルスケア関連企業と協働し、提携先の顧客を応援する「ピアコネ」のLINE公式アカウントを開設し、快適な生活が送れるような運動・食事・睡眠などの各種サービスを提供しています。

現在「ピアコネ」の登録者数は8万人を超えています。今後、さらに提携サービス・提携企業の拡大を図っていきます。

保険引受リスクを拡大する一方で資産運用リスクを削減し、利益のボラティリティを 抑制する(株主資本コストを引き下げる)

森山:リスク削減と資産運用力の向上についてご説明します。保険引受リスクを拡大する一方で資産運用リスクを削減し、利益のボラティリティを抑制することで、投資家が負うリスクである株主資本コストを引き下げていきます。

政策保有株式については、2031年3月末までに業務提携先・協業先を除き残高ゼロを目指す

森山:政策保有株式については縮減を進めており、2024年3月末における対純資産比率は17パーセントまで低下しました。

今後さらに縮減を進める方針で、2031年3月末までに、業務提携先・協業先を除き残高ゼロを目指します。株式の売却益を活用して資産運用ポートフォリオの改善を進め、リスクに対するリターンの比率を高めていきます。

株主還元方針

森山:資本政策・株主還元方針についてご説明します。当社の株主還元方針は「期間利益からの還元」と「資本水準を踏まえた追加還元」の2つからなります。

まず「期間利益からの還元」として、1年間の利益の50パーセントから60パーセントを現金配当と自己株式取得によって還元します。さらに資本水準や成長投資の可能性等も踏まえた上で、追加の株主還元を検討します。

株主還元の原資となるグループ修正利益*は、2026年3月期目標1,300億円 に向けて順調に進捗

森山:株主還元方針のうち「期間利益からの還元」については、グループ修正利益を原資としています。グループ修正利益とは、グループの経営実態を表す当社独自の指標です。詳しくは資料の38ページをご参照ください。

2026年3月期の目標としてグループ修正利益1,300億円を掲げる中で、2025年3月期の見通しは1,170億円と順調に進捗しています。

健全性指標

森山:健全性指標について記載しています。ESRとは、将来のキャッシュフロー見通しに基づいた経済価値ベースの資本十分性を表す指標で、ESRが高いほどリスクに対して十分な資本を確保していることを意味します。株主還元方針では、資本水準を踏まえた追加還元として、ESRの水準を判断材料の1つとしています。

生命保険契約は長期にわたるもので、お客さまに対する保障責任を全うするため、生命保険会社にとって健全性の確保は特に重要です。当社グループは各社とも高い健全性を維持しています。

株主還元を大幅に拡充

森山:スライドは株主還元の推移です。2025年3月期の1株当たりの年間配当金は、10期連続の増配となる、10円増配の80円を予定しています。また、2024年3月期には500億円の自己株式取得を決定しており、総還元性向は84.4パーセントと引き続き高水準を維持しています。

グループシナジーの創出に向けて、グループシステム、事務の共通化等、グループ人的資本の向上、グループガバナンス体制の強化を図る

森山:グループシナジー発揮に向けた取り組みです。グループ生保各社間でのクロスセルといったこれまでの取り組みに加えて、グループシステム、事務の共通化やグループ人的資本の向上、グループガバナンス体制の強化に取り組んでいます。

これまでご説明してきたコアビジネスである国内生命保険事業、成長事業、資本政策にグループ一体となって取り組むことで、グループシナジーを発揮し、さらなる企業価値の向上を図っていきます。

<参考>国内金利上昇の影響

森山:最近市場で注目を集めている金利上昇の影響についてご説明します。生命保険会社はお客さまからお預かりした保険料を運用しており、円金利資産中心の資産ポートフォリオとなっています。

10年以上の長期国債などの金利上昇は投資利回りの向上につながり、徐々に会計上の利益として実現されるため、保険会社にとっては追い風といえます。

<参考>国内金利上昇の影響

森山:スライドのグラフは、契約者に対して約束する運用利回りである予定利率の推移と、長期国債利回りの推移を示したものです。

過去には国債利回りが予定利率を下回る時代が続き、生命保険会社にとっては逆風の状況でしたが、日銀の金融政策変更に伴い国内金利が上昇に転じ、生命保険会社の運用環境は改善しています。

<参考>TSRの推移

森山:当社の株価推移です。2021年3月から直近までの間に株価は大幅に上昇し、配当も加味した総合的なリターンであるTSRは2倍以上となり、TOPIXを大きく上回っています。

今後もさらなる株価および企業価値の向上に努めていきたいと思っています。

まとめ

森山:最後に本日のまとめです。当社グループの最大の強みは、国内生命保険3社が、中小企業市場・家庭市場・乗合代理店市場において、強いビジネスモデルを有していることです。

生命保険3社の堅調な保険業績により、保険会社にとって収益の源泉となる保有契約は着実に進展しています。生命保険事業から生まれる安定的な収益を、成長事業、新規事業に配賦し、利益の拡大につなげていきます。

保険引受リスクを拡大する一方で資産運用リスクを削減し、利益のボラティリティ低減により株主資本コストを引き下げていきます。

保険業績の好調をベースに、株主還元の原資となる利益は順調に進捗しており、市場金利の上昇も保険会社にとっては追い風といえる状況です。

2025年3月期の1株当たり年間配当金予想は、10期連続の増配となる、10円増配の80円とし、今後も安定的・持続的な増配と自己株式取得により株主還元を強化していきます。

私からのご説明は以上です。ありがとうございました。

質疑応答:T&Dホールディングスの特徴と強みについて

岸田彩加氏(以下、岸田):「御社の特徴と強みを教えてください」というご質問です。

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