決算概要
北逵伊佐雄氏(以下、北逵):サノヤスホールディングス株式会社の2024年3月期決算説明会を行います。本日はご多用のところ、ご参加いただきましてありがとうございます。代表取締役社長の北逵です。それでは、経理部副担当役員の岩佐からご説明します。
岩佐久徳氏(以下、岩佐):まずは決算概要です。2024年3月期は、売上高が前年同期比32億700万円増収の233億5,200万円となりました。営業利益は4億1,400万円増益の5億900万円、経常利益は2億4,000万円増益の6億3,600万円、親会社株式に帰属する当期純利益は3,300万円増益の4億5,900万円で、増収増益の決算となっています。
全体を通して見ると、2022年度は新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻等により、なかなか部材が入ってこないという状況が長く続き、決算に大きく影響しました。
しかし、2023年度になって部材の長納期化が徐々に緩和されたこともあり、ようやく生産体制も巡航速度に戻ってきています。その結果、大幅な増収ならびに増益となりました。
セグメント別業績・概要
受注状況についてご説明します。スライド右から二つ目のグラフをご覧ください。
2024年3月期の受注高は205億8,700万円で、2023年3月期に比べると約8億9,500万円増加しています。こちらと連動して、2024年3月期の受注残高は140億2,700万円となり、2023年3月期に比べると8億円強増加しました。
結果、進行期である2025年3月期は、前期に比べて約8億円多い受注をもってスタートしたということになります。
2025年3月期予想
それらを踏まえた2025年3月期の予想についてご説明します。売上高は235億円で、前期と比べて1億4,800万円の微増収となる予想です。営業利益は1億円、経常利益は2億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円で、それぞれ約4億円、4億円、2億円強の減益と予想しています。
今年度から新たな中期経営計画がスタートしておりますが、当社グループは、積極的な投資を行っていることに加え、給与アップも含めた人的投資も前倒しで進めています。そのため、今年度は若干コストがかかる状況になっており、減益の予想としています。
セグメント別業績・製造業向け
2023年度の実績についてセグメント別に詳しくご説明します。当社の事業は、製造業向け、建設業向け、レジャーという3つのセグメントに分けてご報告しています。
まずは製造業向けセグメントについてです。特に調子が悪かったのは、サノヤス精密工業での産業機械部品の製造・組立です。サノヤス精密工業においては、半導体関連の機械部品を多く作っていることもあり、2022年度下期からの半導体市況悪化の影響を大きく受け、産業機械部品の製造・組立が非常に大きく落ち込んでいます。
一方で、国内事業においては、みづほ工業での乳化・攪拌装置の製造が非常に好調に推移しました。それに加え、中国・無錫にある美之賀機械という子会社では、2022年度に取った大口2案件が2023年度に相次いで完工したため、非常に大きく売上を伸ばしました。
それ以外にも、サノヤス・エンテックにおける環境装置のメンテナンス等も順調に推移しています。結果として、売上高は100億7,100万円となり、13億6,700万円の大幅増収で着地しました。
増収を受けて営業損益も4億円強の増益となり、9億8,200万円の営業利益となりました。受注高については、製造業セグメントは75億4,000万円にとどまり、2023年3月期に比べると13億400万円少ない金額となりました。これを受けて受注残高も15億4,400万円減っており、37億2,800万円の期末残高にとどまっています。
半導体不況の継続で、産業機械部品のサノヤス精密工業で受注が取れなかったことに加えて、2023年度の売上が非常に好調だった乳化・攪拌装置等を取り扱う中国の美之賀機械で中国経済の減速による設備投資の先送りの影響もあり受注高が伸びなかったため、このような結果となりました。
セグメント別業績・建設業向け
建設業向けセグメントです。「建設業向け」と言っても、高層ビル用の動力制御盤や分電盤をはじめ、機械式駐車場、建設工事用エレベーターの製造・レンタル、給排水衛生設備の設計などさまざまな事業があります。
ご案内のとおり、建設需要は非常に好調をキープしています。ビル、工場等の設備投資もそれなりにあったため、建設業向けセグメントに分類される事業はすべて増収となりました。その結果、全体では23億1,000万円増収の98億3,000万円となり、高水準の売上を達成しています。
それに伴い、営業損益も前期比3億9,600万円増益の4億8,800万円と、非常に好調に推移しました。受注高は105億2,600万円と、その前の期に比べて9億6,000万円のプラスです。受注残高は91億円で、前期末比で16億1,600万円のプラスとなり、非常に高水準の受注高を持って今年度をスタートしています。
セグメント別業績・レジャー
レジャーセグメントです。売上高は約4億7,000万円の減収で、34億5,000万円にとどまっています。この一因としては、お台場「パレットタウン」の大型観覧車が2022年8月末に営業終了した影響があります。2024年3月期は営業がまったくなくなったため、約1億7,000万円減収となりました。
加えて、2023年度は大型工事の進捗がそれほど伸びなかったこともあり、約4億7,000万円の減収となりました。それに伴い、営業損益も3億8,200万円の減益となり、4億6,700万円にとどまっています。
ただし、大型工事の進捗は少なかったものの、コロナ禍が明けてからは遊園地・遊戯施設に関するメンテナンスや保守の需要が非常に好調で、ある程度高水準の利益を保っていると考えています。
受注高は25億2,000万円で、2023年3月期に比べて約12億3,900万円の増加となりました。この中には、約11億円でよみうりランドさまから受注した大型観覧車が含まれています。それを受け、受注残高は11億9,800万円と、2023年3月期に比べて約7億5,200万円多いかたちでスタートを切りました。
これらによって全体の受注は相応に確保できており、受注残高も高水準でスタートしているため、今年度の売上高は予想どおり達成できるのではないかと考えています。
中期経営計画〈’24-’26〉①
中期経営計画についてです。ご案内のとおり、当社は3月29日に「中期経営計画<'24-'26> 」という新たな中期経営計画を発表しました。
スライドには、当社のグループ理念をはじめ、グループビジョンとして2030年度に向けた我々のありたい姿を記載しています。また、それを支える5つの行動原則を定めて社内グループ全体に浸透させ、本中期経営計画にのっとって遂行しているところです。
中期経営計画〈’24-’26〉②
中期経営計画の具体的な内容はスライドのとおりです。本計画は2026年度までの3年計画としており、最終年度が2026年度です。KPIは売上高300億円、営業利益10億円、営業利益率3.3パーセント、ROE6パーセントを目指して進めています。
2030年度の目標は、売上高500億円、営業利益25億円、営業利益率5パーセント、ROE10パーセントです。今から7年後の目標にあたりますが、本中期経営計画期間である手前の3年間でいかに施策を実現できるかが鍵になると考えており、グループ一丸となって取り組んでいるところです。
トピックス
先ほど「中期経営計画の骨子」でも示しましたが、中期経営計画の一環として、イノベーションつまり従来にない新しい製品やサービスを創出し、新たな価値の提案を行うことに取り組んでいます。
新しいものを作り出す動きを加速したいという思いを込め、2024年4月にイノベーション推進委員会を立ち上げました。こちらは北逵社長がリーダーとなって各グループ会社からエース級の人員を選抜し、グループ横断的な組織として立ち上げたものです。
このような取り組みで新しいものを作り出しながら、本中期経営計画のKPI目標を達成していきたいと考えています。
北逵:今ご説明があったように、今期の業績は人件費の増加で若干落ち込みますが、それ以降は盛り返していきます。
そのためには既存事業の強化はもちろん、1つのキーとしてM&Aを行います。2026年度の売上高目標300億円のうち35億円程度は、M&Aで新しい事業を行わなければ達成は難しいと考えているため、そこに一層注力していきます。
いろいろな案件のご紹介などを通じ、みなさまもご協力をよろしくお願いします。
質疑応答:今年度の営業減益要因について
質問者:短信を見ると、今年度の主な営業減益要因は、積極的な投資やベースアップということでした。具体的な投資先として、どこにどのくらい使うのかを教えてください。また、ベースアップは、だいたい何パーセントを想定されているのでしょうか?
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