決算の概要
吉安大輔氏(以下、吉安):株式会社はせがわの経営企画部を担当しています吉安大輔と申します。本日はご多忙のところ、当社の決算説明会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、オンラインでご参加のみなさまも誠にありがとうございます。
それでは、2024年3月期の決算概要をご説明します。2024年3月期の決算は、売上高が213億円で前年同期比マイナス3億700万円、営業利益が16億1,200万円で前年同期比1億5,600万円の減益、経常利益が16億3,800万円で前年同期比1億3,500万円の減益、最終の当期純利益が10億5,900万円で前年同期比9,400万円の減益となり、前期に対しては減収減益となっています。
また、2023年11月6日に適時開示した修正計画に対しては、売上高は約8億円未達でしたが、段階利益である営業利益、経常利益、そして当期純利益については、公表計画を上回る結果となりました。
セグメント別 売上高状況
売上高の前期からの変動状況をセグメント別にご説明します。資料中央の仏壇仏具はマイナス2.1パーセント、墓石はマイナス3.3パーセント、合計についてもマイナス2.4パーセントと、前期に対してそれぞれ減収となりました。
一方で、下から3行目の飲食・食品・雑貨事業については、法事シーンを中心とした食のギフトの販売が順調に推移したため、前年同期比112.7パーセントの増収となりました。その他については、特にお仏壇、お仏具のEC販売が順調に推移したことで、合計で前年同期比5.9パーセントの増収となっています。
営業利益の主な増減要因
営業利益の主な増減要因についてご説明します。人件費、設備経費、総販促費、その他経費の分類については、決算短信などの損益計算書の分類とは異なりますことをご了承ください。
前期は17億6,900万円の営業利益を計上しています。この前期営業利益からの増減要因ですが、まず売上総利益については、4億4,000万円の減少です。減少した主な要因は売上高の減少および商品原価の高騰です。
次に販売費および一般管理費については、人件費で約2億2,700万円の減少、設備経費で約5,000万円の増加、総販促費とその他経費で合わせて約1億600万円の減少、全体では2億8,300万円の減少になりました。
特に減少額が大きい人件費の減少理由は、主に年金資産運用収益や退職給付債務などの数理計算上の差異によるものです。これらの結果、当期の営業利益は前期から1億5,700万円の減益となり、16億1,200万円を計上しました。
営業外損益・特別損益の主な要因
営業外損益・特別損益の主な要因についてご説明します。前期は、2022年6月1日付で当社の完全子会社でありました株式会社田ノ実を吸収合併したことで、抱合せ株式消滅差益として2,700万円を特別利益に計上しています。
当期は、2023年9月の台風により千葉県の茂原店が浸水被害を受けたため、災害による損失として1,800万円を計上しています。なお、保険に加入しており、被害状況を申請し受取保険金を計上しています。
資産・負債の状況 キャッシュ・フローの状況
資産・負債の状況、キャッシュ・フローの状況について、まず貸借対照表の前期からの増減についてご説明します。資産合計は180億6,600万円で前期末比1億5,100万円の減少です。
増減の内容ですが、販売保証契約に基づく預託により販売保証金が増加したものの、現金および預金が減少した結果、全体としては1億5,100万円の減少となっています。
流動負債は、買掛金および1年以内に返済予定の長期借入金が減少した結果、前期末比8億1,900万円の減少となっています。固定負債は、借り入れの返済によって長期借入金が減少したことなどにより、前期末比2億9,100万円の減少となっています。
純資産については、119億300万円と前期末比9億5,800万円の増加となっています。主な増加要因は、当期純利益10億5,900万円を計上し利益剰余金が7億8,500万円増加したこと、および投資有価証券の時価が上昇したことにより、その他有価証券評価差額金が1億7,000万円増加したことです。
最後にキャッシュ・フロー計算書についてご説明します。営業活動の結果得られた資金は6億4,000万円となりました。これは主に貸倒引当金や仕入れ債務の減少、法人税等の支払額6億8,400万円などの減少要因があったものの、税引前当期純利益15億9,300万円に加え、減価償却費および棚卸資産の減少などの増加要因があったためです。
投資活動の結果使用した資金は7億1,600万円となりました。これは主に営業保証金の回収の純額などの増加要因があったものの、固定資産の取得による支出や販売保証金の支出4億8,400万円などの減少要因があったためです。
財務活動の結果使用した資金は8億1,100万円となりました。これは主に長期借入による収入の増加要因があったものの、長期借入金の返済による支出および配当金の支払額などの減少要因があったためです。
当期の決算の概要については以上です。
年度計画の実行状況と成果について –事業環境について–
新貝三四郎氏(以下、新貝):みなさま、こんにちは。2024年3月期の年度計画の実行状況と成果について、私からご説明します。よろしくお願いします。まずは事業環境についてです。
市場環境についてご説明します。私どもの商いは、年間の死亡者数に非常に強い影響を受けるのですが、昨年2023年度の死亡者数はその前の年から比べて0.5パーセント増と若干増えたという状況で、亡くなった方の数はほとんど変わりませんでした。
ただ、その中でも価値観の多様化による多品種、低価格サービスの需要が増加しています。お仏壇で言えば非常にお安いお仏壇、お墓で言えば樹木葬を中心に、今までのお墓よりリーズナブルな商品が非常に出回っている状況です。加えて、EC購入のお客さまが毎年着実に増えつつあることも、市場環境についての大きな要因です。
競合他社動向についてご説明します。お仏壇墓石業界は零細・中小事業者が非常に多いのですが、特に休廃業・解散のニュースがかなり入ってきました。おそらく今期以降も、来年度にかけて休廃業・解散が増えてくると読んでいます。
また、スライドにも記載していますが、小型化、廉価サービスの提供、加えて、お仏壇の製造はほとんど海外に頼っているため、やはり製造原価の高騰というところが、この1年間は非常に影響したという内容です。
年度計画の実行状況と成果について –仏壇・仏具事業部門のプロセス–
スライドは、当社の主要事業である仏壇・仏具事業部門の売上のプロセスを表しています。仏壇契約高が92.2億円で、それ以外のお線香や数珠などの小さなお買い物をされる方がレジ・仕切契約高で、この2つに分かれます。
お仏壇のほうは、来店されたお客さまの組数に対して、成約率と成約単価を掛ければ全体の売上高になります。ご覧のとおり、成約率と成約単価に関しては前期比で若干増えたという状況です。一方で、来店組数は前期比2,381組のマイナスで、率にして5.2パーセントの減少となり、全体のお仏壇の売上が前期比3.7パーセントの減少になったという状況です。
これにはさまざまな見方があり、はせがわが競合負けしたということもあるかもしれませんが、私の推測では「亡くなってもお仏壇を飾らない、求めない」という方々が増加している、もしくは、先ほどお話ししたとおりECで直接お仏壇を買ってしまう方々の増加が、来店組数の若干の減少につながったと考えています。
年度計画の実行状況と成果について –既存事業における提供価値向上–
既存事業における提供価値向上についてです。昨年の1年間、はせがわはこの3つの方向性で努力してきました。1つ目が店舗政策、2つ目が商品ブランド、3つ目が遺骨供養というキーワードです。詳しくご説明します。
年度計画の実行状況と成果について –店舗政策–
店舗政策についてです。当社は実に3年間出店をストップしていましたが、スライドに記載のとおり、2024年3月期には新たに4店舗を出店しています。その中でも新しい市場として、三重県と静岡県に初めてはせがわの店舗をオープンしました。そのほかは岐阜県大垣市と愛知県名古屋市西区で、計4店舗を出店しています。
今年は、新たな期に入ってから4月に栃木県宇都宮市において東武宇都宮店を百貨店の中に出店しました。また、同じく4月に横浜市港南区の上大岡で京急百貨店にも出店させていただいたというかたちで、今期も前期と同様のペースで出店の計画を考えています。
出店についてもただ単に出店するのではなく、スライドにも記載のとおり、お客さまが利用しやすい立地や店舗形態の検討を行っています。1つはローコスト店舗で、従来の店舗の投資額は約2,000万円ほどでしたが、それを4分の3の1,500万円程度に抑えています。もう1つは、すべての商品にQRコードをつけて、その場で売買するのではなく、お客さまが帰宅してからQRコードを読み取ってECで購入するというかたちを取り入れ、販売員の労力低減も加えました。
そのほかは、はせがわがこれから力を入れていくピースフルライフサポート事業というものがあります。ゆっくりとご相談いただけるコーナーを設置した新たな店舗のイメージです。こちらは後ほどご説明します。
年度計画の実行状況と成果について –商品ブランド–
商品ブランドについてです。スライドではブランド構成イメージを2軸で表現しています。1つ目の軸は価格帯で、低価格と高価格の商品に分かれます。2つ目の軸ですが、お仏壇と言えば昔ながらの黒檀、紫檀、金仏壇などの「トラッド」な形態の伝統型と、それに対しての「モダン」に分かれています。
今後は商品のブランド化ということで4つのゾーンに分けています。1つ目は「H PREMIUM」で、これは「はせがわプレミアム」のことですが、一番高価格帯のものになります。2つ目は「LIVE-ing」で、現在推進しているカリモク家具や有名家具メーカーとのコラボによるリビング仏壇のゾーンです。3つ目は、国内のはせがわの品質をキープするということで、新たな「HASEGAWA Standard」というブランドとしています。そして4つ目は、「MIND STYLE」という、お仏壇のかたちにこだわらない新たな商品開発です。
今期は、この4つの商品開発に特に力を入れていきたいと考えています。
年度計画の実行状況と成果について –商品ブランド–
スライドには、より高級感を追求したデザイン性の高いプレミアムライン「H PREMIUM」について記載しています。50万円から100万円前後の高価格帯のブランドを「H PREMIUM」として立ち上げようと思っています。
年度計画の実行状況と成果について –商品ブランド–
スライドに掲載した写真は、当社が強みとし、従来展開している「LIVE-ing コレクション」です。カリモク家具、飛騨産業、シラカワ、日進木工というような、一流家具メーカーとのコラボで、新たなデザイン性のお仏壇を、1つのブランドとして開発していこうと思っています。
年度計画の実行状況と成果について –商品ブランド–
「HASEGAWA Standard」についてです。国内外の工場で製造されるオリジナルの新型仏壇にはせがわの基準を設けて、海外商品よりも品質が高く、デザイン性も富んでいるというものです。お仏壇の業界は従来、ほとんどが低労働賃金の海外に工場をシフトしていましたが、昨今は海外と日本の格差が小さくなってきました。
そのような中で、国内回帰という意味でも、墓石にしてもお仏壇にしても、今あらためて国内に工場を持つ、もしくは生産の拠点を持つという方向で動いています。
年度計画の実行状況と成果について –商品ブランド–
「MIND STYLE」についてです。スライドの右側にいろいろなかたちのお参りするところを掲載しています。従来の箱型のお仏壇というスタイルではなく、やはり現代のインテリアに合うような、もしくは亡くなった方を飾るものではなく、自分が日々生活する上で精神的な支柱になるような、手を合わせる場所の提供という意味で、今後も広げていきたいと思っています。
以上が商品開発についてのご説明でした。
年度計画の実行状況と成果について –遺骨供養–
遺骨供養についてです。スライドのグラフは、2022年3月期、2023年3月期、2024年3月期で、「遺骨供養でどのようなお墓を求めましたか」ということをお示ししています。濃い紺色の部分が石材を使った昔ながらの墓石なのですが、55.9パーセント、50.0パーセント、42.2パーセントと、2年間で13パーセントから14パーセント減少しています。
中央のブルーの色は屋内墓苑です。屋内墓苑というのは、ビルの中に遺骨を集合しておいて、カードをかざすと自分の身内のお骨が正面に回って来るというものです。屋内墓苑はいろいろなところにありますが、受注構成比率は32.4パーセント、30.0パーセント、26.7パーセントと若干減少気味です。
一般墓も屋内墓苑も減少気味なのですが、それに対して増加しているのが、すでにみなさまもご存知だと思いますが、スライド右側の樹木葬です。現状で言えば、私どもの調べたターゲット市場の中では、3割強が樹木葬をお選びになるという状況です。おそらく、今年も来年も事業としてはさらに伸びていくということを考えています。
年度計画の実行状況と成果について –遺骨供養–
スライド右側のグラフは、当社での3年間の一般墓と屋内墓苑、樹木葬などの受注件数推移なのですが、ご覧のとおり、一般墓と屋内墓苑は若干減少気味ですが、樹木葬が増えています。トータルの受注件数は2022年3月期が5,093件で、2023年3月期が5,941件、2024年3月期が6,505件と、遺骨供養のお客さまは着実に当社でご縁をいただいています。
左側の写真をご覧ください。サークルがあって、中央に緑地があって、木が植えられています。これが今スタンダードな樹木葬です。価格帯は、30万円から40万円、高いところでは100万円と、かなり上から下までありますが、やはり自然に還るというような意味で、樹木葬は今後も主流になっていくのではないかと思います。
そのため、当社は今、猛スピードで既存の霊園もしくは寺院と企画提案を行っています。はせがわではただ販売するだけではなく、ディベロッパーとして樹木葬自体を作らせていただくと同時に、作った後も販売まできちんと責任を負うというようなかたちでの展開を、昨年から力を入れてきました。
次なる成長の方向性(ピースフルライフサポートの状況)
ここまではお仏壇の事業とお墓の事業を中心にお話ししましたが、ここからは、前回の決算説明会でもお話ししたとおり、次なる成長の方向性について、1つ目の「ピースフルライフサポート」について動画をご覧いただきたいと思います。
会場におられるみなさまは、このパンフレットを出していただけますでしょうか。「ピースフルライフサポートのご案内」というパンフレットです。こちらは、昨年の4月からはせがわ全店で開始したサービスです。
パンフレットのイラストにあるとおり、もちろんお仏壇や墓石もありますが、相続サポート、遺品整理サポート、法事ギフト、不動産相談サポートなど、物の販売だけではなく、ご不幸があった時、遺されたご家族のお困りごとをはせがわがすべて窓口となって、専門の業者とともにお手伝いさせていただくというサービスです。
(1)ピースフルライフサポート① 紹介サービスの成長
スライドには3つのグラフをお示ししています。左から1つ目は見込客実績で、先ほどお話ししたようなお困りごとを抱えたお客さまをカウントしたものです。2つ目は、その中から「はせがわさんにお願いします」「はせがわさんよろしくどうぞ」とお願いされた受注件数実績です。3つ目は売上高実績で、BtoBで提携している業者に紹介した際にいただく手数料の実績を示したグラフです。
見込客は、2024年3月期第1四半期の2,366件が第4四半期には5,768件と約2.3倍、受注件数は、第1四半期の240件が第4四半期には459件と約2倍です。売上高に関しては、第1四半期の786万円が第4四半期には2,571万円と着実に成長を遂げています。
今期の計画についてです。見込客の発掘に関しては、前期の年間総数1万6,800件の実績に対して、今期は3万4,000件を予定しています。受注件数は、前期の年間総数1,235件に対して、今期は4,250件を予定しています。売上高は、前期の年間総額約6,000万円に対して、今期は2億円を予定しています。
今期は4月からスタートして、1ヶ月半程度ですが、ほぼ計画どおりに推移しています。
(1)ピースフルライフサポート② 対象顧客の拡大に向けての認知獲得施策
スライド右側のグラフをご覧いただくと、当社には1年間に約70万人のお客さまがいらっしゃいます。昨年の1年間で、ピースフルライフサポート事業のご案内ができたのは約10パーセントで、70万人の来客来店の中の約10分の1のお客さまにアプローチして、先ほどお伝えした数字が出てきたという状況です。
そのため、今後、特に今期に関しては、残りの60万人、残りの90パーセントのお客さまに、はせがわがスタートしたこの新たなピースフルライフサポート事業を認知していただく活動をしていきます。
同時に、その次の段階としては、はせがわのお店に来られないお客さま、もしくははせがわのホームページにも来られないが、お身内にご不幸があってお困りごとを抱えているお客さまにも、さまざまな販促ツールを提供してはせがわの事業を知っていただこうと考えています。
次なる成長の方向性(食のギフトの状況)
次なる成長の方向性の2つ目は「食のギフト」です。お亡くなりになると、みなさま方からお香典等をいただきますので、お返し物が必要になります。そのためのギフトとして位置付けており、1年半前から全店でスタートしています。
(2)ギフト(実績の推移)
スライドにはギフト売上の実績の推移をお示ししています。一昨年の売上は8,000万円程度でしたが、昨年は1年間で2億7,000万円ほどの受注が取れています。今年に関しては、約2倍の5億円のギフト売上を目指します。
また、売上を伸ばすと同時に、お悔やみごとだけではなくお祝いごとや記念品というようなところへもEC等で告知をして、お客さまを拡大していきます。
(2)ギフト(成長に向けた施策)
商材に関しても、食であれば無添加のものや、健康や体に良いものを中心に、取扱いのラインナップを全国各地に広げていきます。また、告知に関しては以前にお話ししたとおり、お仏壇のはせがわ公式アプリの会員が17万人を超えましたので、そのようなお客さまにダイレクトに届くようなツールで、このギフトも広げていきたいと考えています。
以上の2つが、大きな3本目の事業の展開とご認識いただければと思います。
サステナビリティの取組み状況
経営課題の取組み状況についてご説明します。
まずはサステナビリティの取組み状況についてです。昨年の説明会でお伝えしたとおり、4つの重要課題と8つのテーマごとに推進しています。一例として、店内照明のLED化のほか、スライド右側に「日本の伝統文化・技術の継承」とありますが、上野にある東京藝術大学で「お仏壇のはせがわ賞」を始めて18年になります。これは日本文化の修復技術を企業として支援していくもので、一種のサステナビリティですので継続していきます。
この8つのテーマをもとに推進している状況です。
東証要請対応(現状分析・評価)
東証要請対応の現状分析・評価についてです。ROEに関しては、2024年3月期は9.21パーセントで、基準に比べて努力しています。また、ROICに関しては、2024年3月期は7.97パーセントとなっています。
一方で、東証要請のPBR1倍以上に関しては、現状は0.5倍から0.6倍と大きく下回っています。
東証要請対応(課題)
みなさまご存知のとおり、PBRはROEとPERの掛け算です。先ほどお伝えしたように、ROEに関しては9.21パーセントをキープしていますが、現状の株価が1株あたり当期純利益で割ると6.55倍のため、PERは目安の15倍を大きく下回っている状況です。
やはり、株主のみなさま方から「はせがわの将来はどのようになっていくのか」というところでの戦略と告知がまだ足りていないと考えていますので、ピースフルライフサポート事業や食のギフト、そして基盤となる仏壇・仏具事業、墓石事業をしっかりと出店とともに展開していくかたちで、両輪を回して将来性を確保していきたいと考えています。
2025年3月期 業績予想
公表計画についてご説明します。
2025年3月期の業績予想は、売上高が225億円です。前期が213億円ですので、約12億円の増収を目指していきます。ただ、営業利益が12億5,000万円で、前期に対して3億6,000万円ほどのマイナスです。経常利益は12億円、当期純利益は8億円と、結果的には増収減益というかたちです。
2025年3月期 業績予想 –増収減益について–
増収に関しては、既存事業の伸長とともに、先ほどお話ししたような新規事業を軌道に乗せることで伸ばしていきます。
一方で販管費は約13億円増加します。販管費増加要因の1つは人件費の増加です。ベースアップや新規出店による人件費などで増えることはやぶさかではないと思っています。もう1つの要因である人件費以外の増加は、先ほどご説明した新規事業のピースフルライフサポート事業と食のギフトに戦略的な投資をしていくためです。ここに主軸を置いて進めていきたいと思っています。
株主還元について
株主還元についてご説明します。
2024年3月期の期末配当に関しては、安定した配当を基本とした上で、期末配当は1株当たり7円50銭となりました。すでに配当している中間配当も7円50銭ですので、年間配当金は1株当たり15円となります。2025年3月期の1株当たり配当金についても、中間・期末ともに7円50銭を予定していますので、年間配当金は1株当たり15円となる予定です。
今後も、長期にわたる安定した配当を基本とし、内部留保金や業績等も勘案して配当を行っていきたいと思っています。
私からの説明は以上です。どうもありがとうございました。
質疑応答:今期の増収の中身と新規事業の戦略的投資について
質問者:2点質問させてください。1点目は、前期は減収だったところ、今期は12億円の増収を計画しているということですが、仏壇・仏具事業や墓石事業などにブレークダウンして、何で売上を伸ばしていくのか教えてください。
2点目は、今期は費用を積んで戦略的投資をしていくということなのですが、新規事業のピースフルライフサポート事業や食のギフトにおいて、戦略的投資とは具体的にどのようなことをして売上を伸ばしていこうと考えているのか教えてください。
新貝:1点目の今期の増収の中身についてですが、仏壇・仏具事業と墓石事業に関しては前期の実績の上で予定しています。
昨年オープンした4店舗が1年間フル稼働することに加えて、今期も4店舗出店しますので、その分の上積みがあります。既存店に関しても、手元に資料がありませんが、1パーセント前後の増加というかたちで計画を組んでいます。
2点目の新規事業における戦略的投資については、はせがわがピースフルライフサポート事業や食のギフトというサービスを手がけていること自体がまだ浸透していないため、来店されたお客さまへの告知はマンパワーでできるのですが、それ以外のお客さまに関しては、やはり若干の販促費等をかけて認知を高めていくということを考えています。
それともう1つ、現在取り扱っている商品以外の商材、例えばピースフルライフサポート事業であれば、死後事務委任というような新たな商品の開発や、提携先等のコラボでコストがかかってくると思いますので、そのあたりに費用を入れていきたいと考えています。
質問者:墓石事業のほうは樹木葬などで増やしていかれると思いますが、そうなると単価は減ってくると思いますが、やはり件数をこなして増収に持っていきたいというお考えでしょうか?
新貝:おっしゃるとおりです。従来の一般的な墓石は平均単価が140万円ほどで、粗利益率がだいたい60パーセントくらいでした。先ほどご説明したように、一般墓の霊園投資も行っていく傍ら、今後ははせがわオリジナルでの樹木葬の開発をしていきます。主には寺院に提案して、敷地の中にスペースがあれば、はせがわのほうで建てて、同時に販売もしていきます。
確かに平均単価は1基あたり50万円から、高いところで80万円などになりますが、収入に関してはほぼ100パーセントが粗利益になるため、現状よりは高いレベルでの利益率になります。
一方でトップラインの売上高に関しては若干目減りするかもしれませんが、樹木葬の開発を増やすことで、トータルでは大きな減益にはならないという状況で考えています。
質疑応答:新規事業の加速と利益に寄与する時期について
吉安:「新規事業の展開をどのように加速させていくのか詳しく教えてください。また、利益的な寄与はいつくらいになりますでしょうか?」というご質問です。
新貝:新規事業については先ほどのご質問でもお話ししていますが、そのようなサービスを、今、保険会社や葬儀社などさまざまなところでスタートしているというのが現状です。
はせがわの強みは何かと言うと、やはり140店舗近くの店舗で、フェイストゥフェイスでご相談を受けられるということが1つです。もう1つは、お位牌を作りに来るお客さまやお仏壇をお求めになるお客さまは、ほぼ新仏さんで、お悔やみがあった方です。そのため、私どもは、例えばお位牌にしても30分から1時間ほどかけてご説明します。
お仏壇に関しても、1時間から2時間をフルに使って、お客さまの背景までお聞きしてコンサルティングセールスをします。そのように会話を交わしていくと、さまざまなお客さまの深いお困りごとがありますので、そこはやはり他社とはまったく違う当社の優位点と考えています。
お店に来られるお客さまを中心にピースフルライフサポート事業の告知と展開をしていきますが、その先のさらに大きなところでは年間に160万人から170万人近くの方が亡くなっています。詳しいデータはありませんが、その中でも財産や相続問題でなんらかの悩みをお持ちの方が4割から4割5分ほどいらっしゃると聞いています。
そのような中でも告知を広げていくことで、悩みを持っているがお店には来られないという方に一度お店に来ていただき、はせがわでじっくりとお話をお聞きするということが、他社より質の深いところで展開できるのではないかと思っています。
利益に寄与する時期については、まだ事業計画に落とし込んでいませんが、当社は今期が現状の中期経営計画の最終年度にあたります。来年の4月から新中期経営計画に入りますので、今年中に構想をまとめていきます。
当然、仏壇・仏具事業と墓石事業の収益が柱とはなりますが、一番の伸びの期待はお話ししている新規事業ですので、新中期経営計画で明確に事業の規模もしくは収益状況を組み込んで報告していきたいと考えています。
吉安:ピースフルライフサポート事業について新貝社長からご説明しましたが、私どもが提供しているサービスは基本的には紹介サービスになります。
中期経営計画では、「手を合わせる機会の創造」と「売り切り型からの脱却」を大きなテーマとして進めていますが、やはりお客さまと長い期間つながって、お役に立っていきたいと考えていますので、紹介サービスではご逝去のタイミングではお役立ちができるのですが、その後のお役立ちの機会が限られてくると思います。
そのため、長い期間お役に立っていくためには何が必要なのか、社内で協議を重ねており、「私どもが自社で提供できる商品・サービスってどのようなものだろうか」ということを検討して進めています。こちらについても次期の中期経営計画に盛り込んでいければと考えていますが、新しい商品・サービスを提供するのはそこまで簡単なことではありません。
先ほど会場の方から「費用はどのようなところに発生するのですか?」というようなご質問があったと思いますが、やはりそのような私どもの考えで、「提供できるだろう」「このようなチャンスがあるだろう」と考えている商品・サービスが本当に市場に支持されるのかというところはしっかりと調査した上で前に進めていかなければいけません。
そのための費用も関わってくると考えていますので、今期はそのような費用も盛り込んでいます。