2024年3月期決算説明

橋本正徳氏:みなさま、こんにちは。株式会社ヌーラボ代表取締役の橋本正徳です。本日は、当社の2024年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

今回も決算発表から日を空けての開催となったため、少しお待たせしてしまいましたが、本日も最後までよろしくお願いします。それではさっそくご説明を始めます。

目次

本日はスライドの目次に沿ってご説明します。なお、この資料は成長可能性に関する資料も兼ねています。ご了承くださいますよう、よろしくお願いします。

ブランドメッセージ

会社概要です。ヌーラボは、「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」というブランドメッセージのもと、SaaS型のコラボレーションツールをサブスクリプションで提供している会社です。

Mission&Value

「To make creating simple and enjoyable」をミッションに掲げ、「Try First」、「Love Differences」、「Goal Oriented」という3つのバリューを中心に据えています。

会社概要

会社概要です。当社は福岡に本社を置き、海外にも子会社を持っています。グローバルで戦えるソフトウェアを、インターナショナルなチームで開発運営しています。

国内は東京と京都を合わせて3拠点、国外にはニューヨーク、シンガポール、アムステルダムに子会社があります。なお、シンガポールの子会社は、清算手続き中となっています。

会社沿革

会社沿革です。当社は2004年に設立し、創業時はお客さまのソフトウェア開発を請け負っていました。その一方で、2006年から自社サービスの開発と運用を行っていました。受託請負の事業を閉じて、自社サービスだけに集中し始めたのは2013年からになります。

現在はプロジェクト管理ツールの「Backlog」、オンライン作図ツールの「Cacoo」、ビジネスチャットツールの「Typetalk」、そしてヌーラボ製品のセキュリティアップグレードパッケージである「Nulab Pass」の4つの製品があります。

主力のサービスは、売上の大部分を占める「Backlog」になります。

サービス概要

当社のサービス内容についてご説明します。主力サービスである「Backlog」から「Cacoo」、「Nulab Pass」の順にご説明します。

Backlogの利用対象ユーザー

「Backlog」は、業種や職種を問わず、たくさんの方に使っていただきたいプロジェクト管理ツールです。

このようなツールは、もともとソフトウェア開発の現場から生まれてきた歴史があり、Web開発やシステム開発を行っている会社に古くから導入いただいています。社内で多数のプロジェクトを発案し、プロジェクト管理を行っているような企業に広くお役に立てると考えています。

では、「プロジェクト管理とはどのようなものか?」について、簡単に言えば、顧客管理、案件管理、予算管理、タスク管理、問い合わせ管理、不具合管理、コミュニケーション管理、そしてファイル・文書管理など、多岐にわたる情報をタイムリーに共有する業務全体を指します。

しかし、プロジェクト管理の現場では「ファイルが増えすぎて、どこに何の情報があるのかわからない」「ファイルの共有が漏れてしまい、最新のファイルがどこにあるのかわからない」、「誰が何のタスクを担当しているかわからず、進捗が見えてこない」といった課題が発生することがあります。

プロジェクト管理には多くのヒトやツールが必要になり、多大なコストがかかることがよくあります。そのような課題を解決するためのツールが「Backlog」です。

Backlogの基本機能

チームのプロジェクト管理の課題を解決するために、「Backlog」が提供している機能についてご説明します。課題の設定、進捗の共有、ファイルの管理、権限管理まで、幅広く利用できます。プロジェクト管理に必要な機能がオールインワンでそろっているため、面倒な準備をすることなく、すぐにプロジェクトを始めることができます。

またコミュニケーションを円滑にできるよう工夫しており、マネジメントする側とされる側の摩擦を減らし、チームメンバーのコミュニケーションの質を向上させることができます。

チームのみんなが「プロジェクトを進捗させること」を目標にして、前向きに仕事を進めることができます。

Backlogで変わること①:管理プロセスの比較

「Backlog」の機能を使うことで、従来の方法に比べて大きく工数を削ることができ、ユーザーのみなさまは、より付加価値の高いタスクに、よりたくさんの時間を充てることができるようになります。

スライドの図には、単純なタスク管理を例に示しています。従来であれば、例えば会議があったら、「議事録を作ってExcelに移し、その後メールで共有して、他のファイルの進捗管理表を更新する」といった複雑なフローがありました。

一方で「Backlog」ならば、議事録の作成の後「課題の設定」で担当者や期限、そしてマイルストーンなどがすぐに作成でき、自動で通知されます。面倒なフローをシンプルにすることで、迅速なタスク管理が実現できるようになります。

Backlogで変わること②:メールとの比較

メールでのコミュニケーションを行っているお客さまにも「Backlog」を導入いただいています。メールでは、やり取りを繰り返しているうちに、誰がボールを持っているかわからなくなったり、いつの間にかCCから外れてしまって情報共有ができなくなって、情報が欠落することがあります。

「Backlog」では、「誰が何のタスクを持っているか」を明確に整理でき、情報は1ヶ所に集まるようになっています。そのため、常にプロジェクトメンバーで共有されている状態になり、「何のタスクで、誰が担当者なのか」を明確に整理できるようになります。

Backlogで変わること③:エクセルとの比較

Excelを使ってプロジェクト管理しているお客さまにも、「Backlog」を導入していただけることが非常に多くあります。

Excelでは、最新の状況や情報を、タイムリーに他のメンバーへ共有することができません。また、To doやタスクの分解ができたとしても、タスク一つひとつの中でやり取りを管理することはできません。みなさまも経験があるかもしれませんが、Excelの中身が徐々に複雑になっていき、いずれ管理ができなくなってしまうこともあります。

「Backlog」では、常に最新の情報が共有され、メンバー全員がいつでもプロジェクトの状況を把握することができ、タスク一つひとつの中でコメントし合うこともできます。

Backlog料金体系

「Backlog」のプライシング上の特徴は、「ユーザー数が無制限」であることです。例えば、成長著しいスタートアップの方々や、申請や稟議の手間の多い行政の方々でも、気にすることなく、次々とプロジェクトメンバーを巻き込んでいくことが可能になります。

今後、主に大企業に対してセキュリティ強化オプションの「Nulab Pass」を販売し、提供価値をさらに大きくしていきます。

幅広い顧客ラインアップ

スライドは導入企業の一例です。幅広い業界の会社でご利用いただいています。また直近でも、優れたサービスとしてさまざまな賞をいただいています。

Cacoo

「Cacoo」は、クラウド上で共同編集可能なオンライン作図ツールです。豊富なテンプレートやバージョン管理機能で、チームのコラボレーションを促進します。

例えば、「Backlog」の「Wiki(ウィキ)」に使用する図を「Cacoo」で描くことによって、特別な編集ツールをインストールしていなくても、ブラウザさえあれば誰でも簡単にわかりやすい図を作成し、共有することができます。

無料ユーザーもあわせて、世界で現在300万人以上のお客さまにご利用いただいています。

Nulab Pass

「Nulab Pass」はヌーラボサービスを利用する組織のアカウントを、一括して管理するツールです。シングルサインオンや、ユーザーの操作履歴を追うことができる監査ログの機能も提供しています。

直近では5月14日に、ユーザープロビジョニング機能のベータ版を提供開始しました。

【ご参考】2023年4月以降の主要サービス関連リリース

スライドには、2023年4月以降にリリースした主要な新機能などを記載しています。「Backlog」はもちろん、各サービスでさまざまな機能の追加を進めています。

通期業績ハイライト

2024年3月期の業績とKPIの推移についてご説明します。スライドは通期業績ハイライトです。2024年3月期の売上高は36.6億円で、2021年3月期以降のCAGRは約24パーセント、うち「Backlog」の売上高は34.3億円でした。

売上総利益は26.3億円、営業利益は3.3億円です。

P/Lサマリー ・ 有料契約件数および解約件数

P/Lのサマリーです。2024年3月期第4四半期の売上高は、前年同期比プラス32.2パーセントの9億8,200万円、うち「Backlog」が9億2,400万円を占めています。利益ベースでは1億500万円の営業赤字となりました。その他はスライドに記載のとおりです。

第4四半期はすでにお知らせしたとおり、テレビCMをはじめとする大型マーケティング施策を実施したため、四半期単位では赤字となっています。

通期累計での売上高は、前期比プラス35.4パーセントの36億6,200万円、うち「Backlog」が34億3,800万円となっており、概ね昨年11月にお知らせした修正計画どおりの結果となりました。

営業利益は前期比プラス228.3パーセントの3億3,200万円となりました。その他はスライドに記載のとおりで、修正計画を上回ることができました。

主要なKPIである有料契約件数については、今年も計画を下回る結果となりました。これは足元の苦戦傾向に加えて「Typetalk」のサービス終了や「Backlogクラシックプラン」提供終了に伴う影響もあると見ています。

前期はテレビCMや鉄道、タクシー媒体への広告出稿のほか、サイトのリニューアル、ユーザーコミュニティイベントの活性化、有料の導入支援オプションの開始、セルフオンボーディングコンテンツの強化、さらにセールス専門部署の立ち上げ等を実施し、関連部署の人員も増強しました。

なかなか満足のいく結果は出せませんでしたが、反省しながら、投資家のみなさまの期待に応えられるようがんばっていきたいと思っています。

業績推移

直近の業績推移です。件数ベースでは苦戦が続いていますが、売上・利益ともに着実な成長を実現できています。

コスト構造(全社)2024年3月期 第4四半期

第4四半期のコスト構造です。労務費を含む人件費、通信費、広告宣伝費が大きな割合を占めています。

コスト構造(全社)2024年3月期 通期

通期のコスト構造はスライドのとおりです。

Backlogの主要KPI

「Backlog」の主要なKPIについてです。スライド左側の円グラフにあるとおり、有料契約件数は3月末時点で1万4,140件となりました。残念ながら、有料契約件数は計画に届かない結果となっています。

また、スライド右側にあるとおり、有料ユーザー数は約128万人、売上ベースの解約率は0.43パーセントと、例年並みで推移しています。ユーザー数は12月末からわずかに減少していますが、これは「Backlogクラシックプラン」の提供終了の予告を行ったことにより、一部のアクティブではないユーザーの離脱が生じたことが大きな要因となります。

少々残念ではありますが、「Backlog」はユーザー単位の料金モデルではないため、足元の業績には影響は出ていません。

Nulab Pass提供開始後の進捗

「Nulab Pass」の状況です。こちらは順調にライセンス数を伸ばしており、3万7,000ライセンスを突破しています。

2025年3月期業績予想

2025年3月期の業績予想です。2025年3月期の売上高は前期比プラス7.5パーセントの39億3,700万円、営業利益は前期比プラス22.5パーセントの4億600万円、経常利益は前期比プラス23.1パーセントの4億600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比マイナス6.8パーセントの2億8,700万円の予想としています。

トップラインの計画について、「Backlog」新規契約件数は2024年2月までの実績値をもとに策定しました。2024年3月期第4四半期に実施したテレビCMや各種マーケティング施策等の効果の織り込みは最小限にとどめ、足元の傾向が継続する想定での計画としています。

また、有料契約件数および解約件数は、「Typetalk」サービス終了および「Backlogクラシックプラン」の提供終了に伴う解約発生を織り込んでいます。

コスト面について、売上原価の通信費は、機能開発・実装によるAWS使用量増加等を見込み、通期で4億8,600万円の計画です。広告宣伝費は通期で、前期比マイナス28.9パーセントの6億3,300万円を見込んでいます。

また、エンジニアを中心に全社30名以上の新規採用と、既存社員の昇給を計画しており、全社人件費は通期で18億7,000万円の計画としています。

親会社株主に帰属する当期純利益が前期比でマイナスとなっていますが、これは残存する繰越欠損金や今後の業績動向等を考慮した税効果を反映したことによるものです。

ポジショニングと当社が目指す方向性

成長戦略についてご説明します。まず、ポジショニングと当社の目指す方向性についてです。大きな方針のイメージとしては、ソフトウェア開発やWeb制作などの領域だけではなく、業種や組織を超えて利用しやすいコラボレーションツールとして、ターゲットをさらに拡張していきます。一般的なオフィスワークをしているユーザー層も捉えていきたいと考えています。

Nulabの成長戦略

これまではリファラル中心の「Backlog」で安定した成長基盤を作ってきました。今後もリファラルでの成長を維持しつつ、開発・マーケティングへの投資を通じて、SMB・エンタープライズ両面で、ユーザー基盤を拡大していきたいと考えています。

また、「Backlog」以外のサービスの成長を拡大させるため、足元では「Cacoo」や「Nulab Pass」へのクロスセルを通じてお客さまのワークフロー全体をサポートし、提供価値を増やしていく方針となっています。

さらに国内市場のみならず、海外市場の開拓にも力を入れていく方針です。

Backlogのターゲット市場の現状

「Backlog」のターゲット市場の現状です。SaaSモデルのサービスが増える中、クラウドサービスの普及が進んでいる一方、プロジェクト管理ツールの利用率はいまだ低く、拡大の余地があると考えています。

Backlogのターゲット市場のポテンシャル

ある調査によると、Excelでのデータ管理には限界を感じている会社も多く、既存のツールを使っても、生産性が属人的になってしまう傾向があるようです。

「Backlog」は初心者でも直感的に使いやすいツールとなっているため、一定の生産性を担保できると考えています。このような特性を志向するユーザーをターゲットに、既存のグループウェア市場のシェア獲得を狙っていこうと思っています。

ビジネスの成長に伴い拡大する広大なTAM

「Backlog」を含むヌーラボのサービス全体に関するTAMについてご説明します。ヌーラボのサービスは、あらゆるオフィスワーカーのワークフローを、一貫してサポートすることを目指しています。

このようなツール群が属する「コラボレーションツール市場」は、2026年に世界で638億ドル、2029年に日本市場は27億ドルに成長すると見込まれています。

現在ヌーラボでは「Backlog」や「Nulab Pass」で日本市場におけるマネタイズを強化していますが、日本市場だけ見ても成長余地は多分にある状況と考えています。

また、対象ユーザーになりうる人数として、世界の労働人口約35億人のおよそ半分、そして日本の労働力人口6,886万人と見込んでいます。これらの人々に対して、どのように我々がアプローチできるかを考えています。

ユーザー数に左右されない課金体系が特徴でもある「Backlog」をコアプロダクトとして、多くの企業や団体にご利用いただき、その上で他のヌーラボサービスやオプションを多くの方に使っていただくことで、成長できる可能性を秘めています。

Backlogの競争優位性

これまでお話ししたマーケットを獲得していくにあたり、「Backlog」の競争優位性についてご説明します。「Backlog」の競争優位性は、大きく3つあります。

1つ目は、プロジェクト管理に必要な機能が一通りそろっており、ツールの乱立を防ぐことができます。機能が多すぎずシンプルなため、導入後の学習コストを最小限に抑制できます。

2つ目は、エンジニア以外にも親しみやすいデザイン・UI(ユーザーインターフェース)です。直感的な操作ができ、非エンジニアの方でも容易に操作することが可能です。多くのチームメンバーが利用することで業務が可視化され、プロジェクト管理のしやすさに直結します。

3つ目は、原則として人数無制限の料金体系です。ユーザー課金ではないため、気軽に社外のクライアント・ベンダーの招待が可能です。これにより、会社の枠を超えたコラボレーションが活性化され、チーム成果の最大化に貢献します。

製品主導による成長モデルの確立

「Backlog」は、これまで純粋なプロダクトレッドグロースで成長できた、数少ないサービスの1つだと認識しています。またそれは、ヌーラボの強みでもあると自負しているところです。

ユーザー課金モデルではないかたちでリファラルの循環を生み、ユーザーエンゲージメントを向上させることで、みなさまに愛される製品を目指しています。ユーザーの自発的なコミュニティが形成されるほどに、ユーザーのみなさまの輪が大きくなっています。

このようなユーザーのみなさまのエンゲージメントを高めることは、結果的にはライフタイムバリュー(LTV)の最大化につながると考えています。

足元ではセールス機能の充実を図っていますが、ベースとしてこのような戦略があることは、今後もヌーラボの成長の基盤になると考えています。

目先の重要課題及びアクション

これまでの話を受けて、少し長期的なお話をします。「Backlog」はユーザーのみなさまに喜んでいただける高付加価値のサービスです。「Backlog」、そして「Backlog」が属するプロジェクト管理ツールのマーケット自体の成長ポテンシャルが、まだある状況だと見ています。

私は、このような市場自体の認知度を上げていけば、自然と売上がついてくるはずだと信じています。そのため「Backlog」の認知度を向上させる活動や投資を、より一層重視していきたいと考えています。

場合によっては、自社ツールだけではなく、同業他社とも連携しながら、市場そのものの認知度向上に向けた取り組みを行っていきたいと考えています。

新たな成長に向けたチャレンジ

今後、新たに成長するためのチャレンジとして、さらに長期のお話をさせてください。現在ヌーラボは、「Backlog」が売上のほとんどを占めています。しかし将来的には、ヌーラボサービス全体を利用できる「ヌーラボアカウント」をハブに、サービスを拡大していきたいと考えています。

「Cacoo」や「Nulab Pass」といった自社サービスのラインアップを充実させつつ、時には他社サービスとコラボレーションしながら、組織の壁を越え、企業活動すべてを「プロジェクト」と捉えて、全社改革を支援するプラットフォームを作ることで、「“このチームで一緒に仕事できてよかった"を世界中に生み出していく。」を実現したいと考えています。

私からのご説明は以上です。最後までご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:2024年3月期第4四半期に実施したテレビCMの効果について

「2024年3月期の第4四半期に実施していたテレビCMがどれくらい売上につながるか、その効果について教えてください」というご質問です。

スライドにも記載しているとおり、来期の業績予想には、2024年3月期第4四半期実施のテレビCMや各種マーケティング施策等の効果の織り込みを最小限に止めていることから、現時点では定量的な効果についてのコメントを控えたいと思います。

ただし、テレビCMは、短期的な売上高の増加というよりも「Backlog」や当社の認知度、さらにはプロジェクト管理ツール市場の認知度の向上を重要な目的としています。

もちろんLTVやCAC(顧客獲得費用)の指標を脇目に見つつ、バランスを取りながらではありますが、長い目で着実に成長を継続させる投資をしていきたいと考えています。

質疑応答:「Backlog」の継続的な料金改定の予定について

「『Backlog』の継続的な料金改定の予定について教えてください」というご質問です。

料金改定は、サービスがお客さまに提供している価値やコストの状況、競合サービスを含む市場の状況などを見ながら総合的に検討していきます。現時点で時期や手法を含めて決定された方針はありません。

もちろん「Backlog」のユーザー数に依存しない料金体系をこのまま変えない前提でいくと、提供価値の増大に応じて料金改定を実施していくことは、事業者としての選択肢であり続けると考えています。

質疑応答:2025年3月期業績予想で親会社株主に帰属する当期純利益が減益となる理由について

「2025年3月期の業績予想に関連して、親会社株主に帰属する当期純利益が2024年3月期から減益となる予想としている理由について教えてください」というご質問です。

詳細なご説明はご容赦いただきたいのですが、こちらは残存する繰越欠損金や今後の業績動向等を考慮した税効果を反映したことによるものです。なにか大きな特別損失などを見込んでいるわけではありません。

質疑応答:「Backlogクラシックプラン」の概要について

「『Backlogクラシックプラン』廃止が解約数や有料契約件数に影響しているとのことですが、『Backlogクラシックプラン』とはどのようなものか説明をお願いします」というご質問です。

2018年に2段階認証などを実装してセキュリティを強化した現行プランの提供を開始しましたが、「Backlogクラシックプラン」は現行プランの提供を始めたタイミングで、新規の申込受付を停止したプランの総称です。

現行プランの提供開始後も、2018年よりも前からご利用いただいているユーザー向けに「Backlogクラシックプラン」を並行して提供してきましたが、すべてのお客さまにセキュリティ対策が向上した現行プランをご利用いただくよう、「Backlogクラシックプラン」の提供終了を決定しています。

詳細については、当社ホームページ「クラシックプランの提供終了のお知らせとプラン移行のお願い」をご覧ください。

提供終了にあたり、「Backlogクラシックプラン」のユーザーのみなさまには、現行プランへの移行をお願いしています。しかしながら、なにせ古くからの契約が多く、中にはアクティブではないユーザーアカウントも含まれていることから、移行のタイミングでそのようなアカウントが離れてしまうという現象が起きています。

なお、たびたびご説明しているとおり、「Backlog」は「1契約いくら」という料金体系のため、多少ユーザーが減少したとしても、直ちに業績に影響はないと考えています。

質疑応答:自社株買いの予定について

「自社株買いを検討していただけませんか?」というご質問です。

現時点では、配当や自社株買いを実施する具体的な予定はありません。将来的な自社株買いや配当実施といった株主還元は、選択肢としては常に念頭に置いているものの、足元では成長投資を優先していく方針です。

財務戦略の考え方としても、今は具体的な計画はないものの、自社株買いや配当よりも、例えばM&Aのようなビジネススケールにつながる投資に充てるほうが好ましい、というスタンスをとっています。