会社概要
平山宏氏(以下、平山):代表取締役社長の平山です。本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。本日は会社概要、2024年3月期業績、2025年3月期見通し、中期経営計画、サステナビリティ、ソリューション紹介の順でご説明します。
まず当社の会社概要です。設立は1981年3月、東証プライム市場に上場しています。代表は創業者であり会長の山田敏行と、代表取締役社長の私、平山宏です。資本金は5億5,015万円、連結従業員数は2024年4月1日現在で1,572名です。
連結子会社は株式会社ソエルの1社です。障がい者雇用を目的とした特例子会社です。
2024年3月31日現在の主な株主構成は、山田敏行が16.36パーセント、日本マスタートラスト信託銀行が8.89パーセントとなっています。
経営ビジョン
当社の経営ビジョンは「ビジネスに寄り添うITパートナー」です。
「プロフェッショナルとして顧客に頼られる存在になる」「誇れる技術で得意分野を磨き、新たな価値を創造する」「仕事を通じて成長し、社会への貢献と活躍を実感する」の3つを掲げています。
当社の使命は、ソリューションを通じてお客さまのビジネスに貢献することです。お客さまの良き理解者となり、信頼に応えていけるITパートナーとして共に歩んでいきます。
事業所・営業拠点
事業所・営業拠点です。SI事業の主要拠点として、名古屋本社のほか、東京、大阪にオフィスを置いています。プロダクトソリューションの営業拠点として、札幌、仙台、福岡にオフィスを構え、営業活動を行っています。株式会社ソエルは岐阜県大垣市にあります。
2024年3月期 実績サマリー(連結)
2024年3月期の業績についてご説明します。スライドは2024年3月期の実績サマリーです。売上高は前年同期比8.1パーセント増の233億2,000万円、売上総利益は前年同期比11.2パーセント増の53億5,700万円でした。
営業利益は前年同期比8.0パーセント増の27億300万円、経常利益は前年同期比10.0パーセント増の27億6,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は22.9パーセント増の19億6,900万円となりました。
2024年3月期 売上(区分別)
売上高の内訳です。当社の主要サービスであるSIサービス業務は、請負案件を中心に受注が増加し、前年同期比11.6パーセント増の91億7,900万円となりました。
ソフトウエア開発業務は、多くのリピートオーダーが確保できたことにより、前年同期比5.9パーセント増の131億3,300万円となりました。
ソフトウエアプロダクトは、パッケージソフトの売上高の増加とインボイス制度対応等で、前年同期比3.2パーセント増の3億5,500万円となりました。
商品販売は前年同期比4.7パーセント増の3億8,000万円となりました。
Webサービス等は、EC支援サービスの特別広告費1億円による効果で流通金額が増加したことから、前年同期比15.9パーセント増の2億7,200万円となりました。
2024年3月期 売上高上位
2024年3月期の売上高上位は、スライドの表のとおりです。最も大きな取引先は、トヨタ自動車の子会社であるトヨタシステムズです。
以下、SCSK、豊田通商グループ、富士通、豊田自動織機グループ、日立製作所、ビジネスブレイン太田昭和、神戸製鋼所の子会社であるコベルコシステム、日本アイ・ビー・エム、ヤマト運輸グループが続きます。以上の10社で全売上の50パーセントを占めています。
その他の取引先として、日本ガイシ、大同特殊鋼、ダイフク、日本通運、TOPPAN、カゴメ、名港海運、ダスキン、キーエンスなどがあります。
表中ではトヨタグループの企業に米印をつけています。当社の特色として、総売上高の約3割がトヨタ自動車をはじめとするトヨタグループ向けとなっています。
売上高の推移(連結)
過去5年間の売上高の推移です。2021年3月期はコロナ禍の影響で足踏み状態となりましたが、その後は増収に転じています。
営業利益の推移(連結)
営業利益の過去5年間の推移は、グラフのとおりです。
採用実績の推移(単体)
採用実績の推移です。2024年4月に男性84名、女性52名、合計136名が入社しました。
IT業界 今後の見通し
続いて、2025年3月期の見通しについてご説明します。まず、当社が所属するIT業界の今後の見通しです。
2024年の日本経済はさまざまなリスクを抱えながらも、緩やかな回復基調が続くと見られています。
IT業界の市場規模は年間約17兆円となっています。企業の業績回復を背景に、DX関連投資の継続、生成AI市場の拡大、大企業のレガシーシステムの刷新など、設備投資需要が豊富であり、IT支出成長率が2024年は6.1パーセント増、2025年は6.0パーセント増と堅調な推移が見込まれています。
一方で、IT技術者不足は深刻さを増しています。経済産業省のDXレポートによると、2030年は技術者が最大79万人不足する見通しであり、より高い質の技術者・ベンダーが求められています。
2025年3月期 基本方針(45期)
2025年3月期の基本方針です。当社はこれまで売上高前年比10パーセント、営業利益率10パーセント以上、新卒採用を全社員の10パーセント実施を成長の水準として取り組んできました。
今後は会社としてレベルアップし、次のステージに向かうためにも、成長の目標水準を10パーセントから15パーセントへと引き上げて挑戦していきます。
経済環境の変化や技術革新に適応し、成長を継続するためにも、最大のパフォーマンスを発揮し、今まで以上にITパートナーとして価値を高めていきます。
2025年3月期業績見通し(連結)
2025年3月期の見通しです。売上高は前期比14.5パーセント増の267億1,800万円を予想しています。営業利益、経常利益はそれぞれ前期比で14.0パーセント増、12.4パーセント増を予想しています。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11.6パーセント増の21億9,800万円を予想しています。
株主還元
株主還元についてご説明します。株主への配当については、当社の株式を長期的かつ安定的に保有していただくために、安定配当を基本方針としています。また、株主還元の一層の充実を図るべく配当性向40パーセントを目標としていきます。
中長期目標
中期経営計画についてご説明します。中長期目標として、2026年3月期の46期計画で売上高300億円、さらに中期目標500億円、長期目標1,000億円を目指します。
Next Vision 50th
2019年に「Next Vision 50th」を策定しました。次の10年を見据えて、5つの取り組みを進めています。
1つ目のテーマは「コア事業の拡大と高度化」です。当社のコア事業であるSIサービスにおいて、中部に加え、関東・関西マーケットの優良顧客の獲得と、得意分野の事業特化ソリューションの拡充を図ります。
2つ目のテーマは「Next事業への挑戦」です。コア事業で培ったノウハウと知見を活かし、SIサービスに代わる次世代の中核事業となり得るビジネスの創出に挑戦します。
3つ目のテーマは「新たな価値を創出する技術力」です。社会課題や経営課題の解決をデジタル技術で実現するエンジニアリング力をデザインします。
4つ目のテーマは「人的資本とバックオフィスの強化」です。社内DXの推進とセキュリティ強化、ガバナンス向上、ブランディングと採用強化で組織拡大をバックアップします。
5つ目のテーマは「従業員エンゲージメントの深化」です。IT業界では人材が企業の成長を左右します。経営理念やビジョンを共有し、社員の連帯感を高め、会社と社員がともに成長できる仕組みを構築し、ドライブします。
中期(3ヵ年)経営計画(連結売上高・連結営業利益)
連結売上高と連結営業利益の中期計画です。毎年10パーセント以上の伸びによって、2027年3月期は連結売上高339億7,400万円、連結営業利益39億2,100万円の計画です。
中期(3ヵ年)経営計画(連結従業員数)
連結従業員数の中期計画です。スライドには2024年4月1日時点の従業員数と2025年4月期以降の計画を示しています。主要拠点の名古屋、東京、大阪に採用専任担当を置き、新卒採用と中途採用を強化し、従業員2,000人体制を目指します。
サステナビリティにおける取り組み
サステナビリティについてご説明します。「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「健康経営の取り組み」「DX時代の技術対応」「安心・安全・豊かな暮らしへの取り組み」の4つのカテゴリに分類して取り組んでいます。
数字で見る取組結果(2024年3月末)
サステナビリティへの主な取り組み結果はご覧のとおりです。全役務者に占める女性役務者の割合は8.9パーセント、女性の継続雇用の割合は95.5パーセントでした。
育児休業取得は女性100パーセント、男性66パーセントと全国平均を大きく上回りました。平均残業時間は14.2時間、有給休暇取得率は82.4パーセントでした。離職率は6.7パーセントでした。離職率の業界平均は11.9パーセントのため、定着率は良いほうだと思います。
DX・環境・情報セキュリティへの取り組み
DXの取り組みとして、「DX認定事業者」「iCD活用企業Gold★★」に認定・認証されています。
環境への取り組みとして、2023年度における当社グループ全体での温室効果ガス排出量はスライドに記載のとおりです。
情報セキュリティへの取り組みとして、「ISMS」と「Pマーク」を取得しています。また、ゼロトラストネットワークの導入も行っています。
事業内容
最後に、当社のソリューションをご紹介します。当社はビジネスに寄り添うITパートナーとして、幅広い業界のお客さまに最適なサービスをお届けします。
当社の事業は大きく分けて2つのソリューションに分類されます。1つ目はSIサービスです。システムの企画設計から導入に至るまでのサービスを提供する業務です。2つ目はプロダクト&サービスです。専門分野に特化したプロダクトやサービスを用意しています。
SIサービスとソフトウエア開発
まず、主力事業であるSIサービスとソフトウエア開発についてご説明します。お客さまの経営課題に向き合い、培ったノウハウと高い技術で満足いただけるサービスをご提供します。
カバーしている産業分野として、自動車関連、物流、流通、通信・制御、プラントライン制御などを得意としています。ICT基盤などのインフラ構築、コンサルティング、ERP、ローコード開発といった分野のノウハウも豊富に持ち合わせています。
SIサービスは、システムのコンサルティング、設計、開発からテスト導入までを一括で提供します。その後の運用・保守をソフトウエア開発で請け負うことによって、システムのバージョンアップやリプレイスのリピートオーダーを受注し、安定した収益を上げています。
プロダクト&サービス
プロダクト&サービスです。「モノを売る」のではなく、「コト(付加価値・サービス)」を売ります。お客さまのニーズに合致したトータルソリューションをご提案します。
当社では、EC、業務パッケージ、CRM・CTI、RPA、AI、ドキュメント、BI・データ分析、アセスメントサービスなどを扱っています。
EC支援サービス
当社の詳しいサービス内容をご説明します。まず、EC支援サービスについては動画でご説明します。
(動画流れる)
本格的なネットショップをWeb上で簡単に開業することができる、サブスクリプションサービス「イージーマイショップ」を展開しています。2024年3月時点で「イージーマイショップ」の契約総数は1万件を超えました。流通総額は約100億円です。
また、当社では創作品モール「あるる」も運営しています。
イリイソリューション
イリイソリューションです。「Simplex」は、通販業に特化した顧客接点重視のパッケージソフトです。導入実績は約750社です。
「CTIコネクテル」は、顧客情報を活用し、電話対応を効率化するCTI・コールセンター系システムです。導入実績は約1,700社です。
「WArm+」は、ユーザーが管理したい顧客情報や、履歴管理を自由に設計できるCRMシステムです。導入実績は約5,000社です。
BIGシリーズは、中小企業向けパッケージソフトとして約3,000社のお客さまにご愛用いただいています。ラインナップはスライドに記載しているとおりです。
AIソリューション ドキュメントソリューション
AIソリューションとドキュメントソリューションです。
「MODEWO」は、AIによるディープラーニングで画像判定を行います。お客さまご自身でAIの構築やチューニングを簡単に行うことができます。製造ラインの不良品検出や荷物の仕分け等、物流倉庫の自動化などにご利用いただいています。
「デジペーパー」は、タブレットに手書きするとリアルタイムでテキストに変換し、電子サインをそのまま残したり、作成したPDF帳票に直接書き入れたりできる機能を搭載しています。設備の点検や設置工事など、現場の作業確認や報告業務等でご利用いただけます。
その他のソリューション
そのほかにも、他社との協業スキームでさまざまなソリューションを用意しています。
以上で、株式会社システムリサーチ2024年3月期決算説明会を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:IT需要の高い企業について
質問者:事業環境はかなり堅調だと思いますが、IT需要は旺盛だと感じていますか? 9ページの表、取引先の売上高上位10社の中で、特に需要の大きい企業があれば教えてください。
平山:デジタル化の必要性が叫ばれる中、生成AIなどの新しい技術も出てきており、全体的にDX投資への意欲は非常に高いと感じています。
加えて、当社のコア事業のお客さまは大手企業がメインですが、基幹システムがレガシーシステムになっている場合が多く見られます。何十年も使っていて何百本も本数を抱えており、DX環境に対応しなければならないが、そもそも対応できる基盤になっていないということがあります。それをクラウドなど最新の基盤に載せ替えなければならないといった課題があり、そのような部分でも、当社が担当している基幹システムのレガシーシステムのスクラッチアンドビルドは大きな需要になっていると思います。
IT投資が非常に活発な企業、急速に伸びる企業というとご回答が難しいですが、総売上高の約3割を占めるトヨタグループは、今後もIT投資が続くと思われます。先日のパートナー会でも、IT以外の業者も参加していましたが「まだまだ投資をしていかなければならないため、ご協力をお願いします」というお話もいただいています。このような状態は、数年間は続くと考えています。
他に、表の中では、ヤマト運輸はドライバー人材の問題などがあり、従来に比べて少しIT投資を控えると言われています。しかし、もともと投資枠が大きいため、大幅に減ることはないと考えています。
全般的に、どのような業界のお客さまも堅調だとご認識いただければと思います。
質疑応答:技術者不足の対策について
質問者:業界全般に言えることだと思いますが、技術者不足はこれからも大きな課題になってくると思います。社長のコメントの中にも「人材投資」という言葉も出てきたと思いますが、具体的にどのようなことを行っているのか教えてください。
平山:当社も中途採用を積極的に行っていますが、他社も経験者を求めており奪い合いになってしまっており、想定した人数の採用は難しい状況です。そのため、離職した人数を補填する程度で考えています。基本的には新卒人材を採用して、しっかり社内で育てていく方針です。
人材投資については、採用はもちろん、教育も非常に重要だと思っています。技術的な教育は、新入社員に対しては入社後すぐに行います。2年目や3年目、あるいは中堅クラスに対しては、技術的な教育だけではなく、マネジメント教育や部下とのコミュニケーションの取り方、コンプライアンス系の教育など、IT技術だけではなく、ヒューマン的なスキルやコンプライアンス教育を充実させていく方向です。
社内研修に何時間くらい出席したか、外部セミナーに何回参加したかという指標を、前年も同様ですが取っています。そちらを増やすことを「Next Vision 50th」のテーマの中にも掲げており、目標数値を持って活動している状況です。
スライドにある記載事項で言いますと、「新たな価値を創出する技術力」と「人的資本とバックオフィスの強化」の枠組みです。
質疑応答:人件費のコスト増に対する具体策について
質問者:中期経営計画のスライドの中で、「毎期10パーセント以上の成長を目指す」とあり、こちらは社員数が増えれば売上高も増えると思います。
御社は5パーセントくらいの賃上げをされているかと思いますが、デフレから脱却してインフレ経済に入ろうとしている段階で、毎年5パーセントくらいの賃上げは続くと思われますし、その分コストが上がっていきます。
さらに人材投資においてもコストが先行してくると思いますが、営業利益率を上げるための具体策について、お考えをお聞かせください。
平山:SI事業のため、技術者数が売上の増加につながる構造になっています。1つの策としては、プロパーはできるだけ新卒を採用して育てていきますが、プラスアルファでパートナーや協力会社の技術者の比率をもう少し上げていこうと考えています。
また、プロダクト事業やパッケージ事業、EC事業などのサブスクリプションで、契約数が増えれば売上や利益が上がるものについても、力を入れていきます。あるいは、流通金額が増えれば課金されていく付加価値サービスで、人が介在しなくても売上や利益を取れる事業に挑戦していきます。