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佐藤邦光氏(以下、佐藤):インテリジェント ウェイブ代表取締役社長の佐藤です。本日はご多忙の中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。スライドの目次に沿って、2024年6月期第3四半期の決算概要についてご説明します。

2024年6月期3Q累計 業績サマリー

2024年6月期第3四半期累計業績サマリーは、増収増益となりました。売上高は前年のFEPシステム更改に伴う大型ハードウェア販売の反動減がありましたが、システム開発、クラウドサービス、セキュリティの3分野が伸長し、増収および大幅な増益となっています。

受注高は、前年にクラウドサービスの長期複数年契約がありましたが、今期はセキュリティとシステム開発の受注が伸び、受注残高も2桁増加になっています。

スライドの表に記載のとおり、売上高は前年同期比8.6パーセント増、営業利益は前年同期比31.7パーセント増と、30パーセント以上の大幅な増益になっています。

受注高は前年同期比18億9,200万円増加しています。こちらは、先ほどお話ししたセキュリティやシステム開発の受注により増加しています。受注残高については、以前、受注残高が100億円を突破したとお話ししましたが、今や140億円近くまで積み上がってきています。前年同期比でも受注高が15.9パーセント増、受注残高が21.2パーセント増と、この先に向けて売上となる受注も堅調に増加しています。

2024年6月期3Q累計 製品カテゴリ別売上高

製品カテゴリ別売上高です。決済・金融のシステム開発、クラウドサービス、セキュリティの売上高が前年同期比で大幅に増加しました。他社製品は、前年にFEPシステム更改に伴う大型ハードウェア販売があったため、前年同期比で減少となっています。

売上高は、前年同期比でシステム開発が18.5パーセント増、クラウドサービスが33.2パーセント増、セキュリティが50.7パーセント増となりました。これまでハードウェア販売に依存しない事業構造を目指すことを掲げていましたが、システム開発、クラウドサービス、セキュリティの分野が堅調に伸びています。

一方、他社製品については前年同期比6億9,100万円減と、7億円弱減少しています。前年同期には大型のハードウェア販売がありましたが、今期はハードウェア販売が少ない期であるため、こちらは計画どおりです。

ハードウェア販売の減少は見えていたため、システム開発、クラウドサービス、セキュリティをしっかり伸ばしていく計画であり、実際に数字にも表れてきています。

2024年6月期3Q累計 事業領域別売上高

事業領域別売上高です。決済分野の拡大領域である決済システム等は、決済DXというかたちでみなさまにお示ししています。この分野では、クレジットカード会社向けの大型案件が増加しています。

一方で、FEP・不正検知および金融・その他では、先ほどご説明したとおり前年はハードウェア販売があったため、ハードウェアの売上等が減少しています。

クラウドサービスは、カード不正利用検知サービス「IFINDS」のユーザー数の増加により伸長しています。

セキュリティは、特に今期は鍵管理システムやID管理ソリューションといったソリューション販売が増え、売上増加に寄与しています。

2024年6月期3Q累計 顧客別売上高

顧客別売上高です。DNPについては、第3四半期累計では増加しています。前回の決算説明会で、売上は増加傾向にあるとお伝えしましたが、数字としても増加しています。受注残高についても増加しており、将来的にも増加傾向になると見ています。

今期は、特にセキュリティ関連がDNPの売上高を押し上げています。これまで決済システムの売上が中心でしたが、それに加えてDNPとのセキュリティ協業を加速し始めており、それが少しずつ数字に表れてきています。

システム開発会社については、クレジットカード会社向けの大型案件が、カード会社については、FEP・不正検知、決済DXなどの複数領域でシステム開発の規模が増加しています。FEP・不正検知を導入いただいているユーザーさまから決済DXの領域でお仕事をいただこうとアプローチしていますが、これがうまく進み始めています。

2024年6月期3Q ストック/フロー売上高

ストック/フロー売上高です。クラウドサービスの売上高増加により、ストック売上高は着実に増加しています。今後は、システム開発等のフロー売上高の拡大とあわせて規模拡大を目指します。

スライドのグラフのうち2024年6月期第3四半期を見ていただくと、ストック比率が50.4パーセントとなっています。

これまでは、とにかくストックを増やしていこうと取り組んできました。2024年6月期の第2四半期から第3四半期あたりから、ようやく50パーセント程度になってきています。現在はストックを増やしながらフローもどんどん増やしており、でこぼこはあると思いますが、双方が50パーセント近辺の割合になるよう売上を拡大させていきます。

当初ストック売上高を伸ばしていくことを掲げていましたが、それがようやく50パーセント程度まで拡大してきたことになります。

2024年6月期3Q 営業利益

営業利益です。売上総利益は、システム開発やクラウドサービスの売上増加や利益率改善により増加しました。販売管理費は、コストの最適化を図ったことで前年同期並みとなり、通期計画に対しても順調に進捗しています。

スライド左側のグラフに示したとおり、営業利益は増えており、なによりも営業利益率が上がってきています。こちらは、利益率改善の取組みが結果的に功を奏していると考えています。

前年同期はハードウェアの売上が非常に多かったため、それなりの営業利益率を上げてきました。今期はハードウェアの売上がそれほどではない期でしたが、営業利益率は13.9パーセントとなっています。

スライド右側のグラフでは、オレンジ色で営業利益率を示しています。2024年6月期第2四半期は15.5パーセント、第3四半期は16.9パーセントとなっています。第3四半期には、大型ではなかったものの、FEP更改のハードウェアの売上が入っているため、その分営業利益率も少し上がっています。

販売管理費については、前期は計画を上回りましたが、今期は現在計画どおりに推移しています。こちらも、利益に良い影響を与えていると考えています。

2024年6月期3Q クラウドサービス

クラウドサービスについては、カード不正利用検知の「IFINDS」を中心にユーザー数が前年同期比で7社増加したことにより、大幅な増収になっています。

売上総利益は、増収および粗利率の高いサービスである「IFINDS」の構成比率が上がったことにより大幅な増益となりました。受注高は、前年に長期複数年契約があったため減少しましたが、受注高は増加しています。

スライドに記載のとおり、導入社数は着実に上がっています。今までは特に「IOASIS」で社数が増加していましたが、今期は「IFINDS」が増加しています。

利益については、例えばパブリッククラウドへの移行や、ユーザー数の増加により効率性を上げるなど、さらに利益率を上げる手段がいくつかあります。これからも利益率は上がっていくと見ており、今期については、今のところ計画どおりに推移しています。

各サービスの概況について、前回の決算説明会において、「IGATES」では大規模な業界横断型の共同利用型プラットフォーム開発を受注し、6月にリリースするとお話ししていましたが、秋ごろに延期となりました。

したがって、残念ながら今期の売上には計上されないことになりましたが、ユーザーさまのご希望で機能が追加されたことにより、開発期間が長くなったためです。我々にとっては開発が増えることで将来の売上は増えることになり、リリース時期が少しずれたということになります。

受注高

受注高です。決済・金融は、クレジットカード会社向けの大型案件やインフラ保守・運用の大型案件などの増加により、受注高が増えています。

クラウドサービスは、前年に長期複数年契約があったため減少していますが、全体としては増加傾向にあります。セキュリティは、既存のセキュリティ製品に加え、鍵管理システムやID管理ソリューションが増加したことで増えています。

スライド左側のグラフを見ていただきますと、第3四半期累計で受注高137億円となり、特にセキュリティが顕著に増えています。右側のグラフでも、セキュリティの受注高が増えているほか、決済・金融のシステム開発の受注高も前年同期比で増えています。

クラウドサービスは確実に伸びていくと見ていますが、システム開発とセキュリティがそれに加わり伸びていくことが、非常に大切な数字の作り方だと考えています。

受注残高

受注残高です。先ほどの受注の説明と同様ですが、クレジットカード会社向けの大型案件、インフラ保守・運用の大型案件、クラウドサービス、セキュリティの複数年契約が貢献し、受注残高は大幅な増加となりました。

インフラ保守・運用の案件については、新規で受注した案件です。こちらは来期の売上に少し貢献してくると思いますが、我々の新しい取組みになっています。

スライドのグラフのとおり、クラウドサービスは着実に積み上がっており、それに加えてセキュリティの受注残高も増えています。

2024年6月期 業績予想

業績予想です。期初に示した業績予想から変更していません。

2024年6月期 業績予想進捗

業績予想に対する進捗については、残り3ヶ月ですが、売上高は大型案件を中心としたシステム開発、セキュリティ等の増収により、通期計画の達成を目指しています。営業利益も売上高の増加に加え、システム開発の生産性の向上等により、通期計画の達成を目指しています。

高い目標を掲げているため、目標達成に対してはいろいろと努力していかなければいけないですが、残り3ヶ月、全力を尽くしていきます。

傾向としては利益率が前年に比べて上がってきているため、引き続き、いただいたお仕事の生産性を上げ、営業利益をしっかりと上げていきます。

また若干の期ズレなども発生していますが、こちらはできるだけ少なくしながらも、まだまだ達成を目指せるということで、全力を尽くし、しっかり取り組んでいきます。

決済事業領域の拡大(決済DX)

注力施策についてです。まずは、決済DXです。

今まで「インテリジェントウェイブはFEPと不正検知の会社だ」と言われていましたが、そこにクラウドサービスを追加し、サービス提供もできる会社になりました。こちらに加えて、今まで取り組んでいなかった決済DXの領域に関するお仕事もいただけるようになりました。

現在は、FEPと不正検知の圧倒的なシェアと信頼関係の中でお仕事をいただいています。このような分野にも、もっと早く手を挙げておけばよかったのですが、決済DXと言われているこの良いタイミングに手を挙げ、売上高を増やしています。

その一例として、カード利用直後に利用者へ即時通知する「カード利用通知システム」を開発しました。こちらは、FEP・不正検知のリアルタイム処理技術を活用した、新しいパッケージ製品です。すでに1社にご導入いただいていますが、他のお客さまにも水平展開していく予定です。

カードの不正利用防止への活用のほか、将来的には他のシステムとも連携させることで、不正利用防止だけでなく、ユーザーさまの売上を増やすマーケティング活動といった新たな領域への展開も目指していきたいと考えています。

スライドの図にあるように、我々が導入しているFEP・不正検知のシステムの右横に明示されている「利用通知システム」を開発しています。どのようなシステムかというと、カードが利用されると、我々のFEP・不正検知のシステムを通って「カード利用通知システム」に入った段階で、利用者に利用明細をスマホ等に配信してお知らせするシステムです。

この特徴は、リアルタイムに行われることです。すでに通知システムを導入されているユーザーも増えていますが、リアルタイムに通知するシステムはまだあまり多くありません。

そのような市場において、我々はリアルタイムでの通知機能を強みとして他社にも展開していきたいと考えています。これはFEP・不正検知のリアルタイム処理技術を使っているため、我々らしいパッケージ製品となりました。

先ほどお話ししたとおり、こちらは利用通知だけでなく、将来的には例えば「この商品もお勧めです」とお客さまに提案するマーケティング活動等にも使えるのではないかと考えています。現在、そちらの用途も研究しながら、開発を進めたいと考えています。

セキュリティ領域の拡大 DNPシナジー

セキュリティ領域の拡大についてです。DNPシナジーとして構築できた新しい仕組みになります。

DNPには現在、「CWAT」等のセキュリティ製品を導入いただいていますが、さらにDNPの海外拠点にある1,000台の端末に、当社とDNPでセキュリティ製品を導入しました。そしてこの時のノウハウを、今度は外販に活かそうということです。

まずは「CWAT」や「Cortex」といった製品を中心に、製品の調達や、製品導入支援(SI)を我々が担当します。そしてDNPグループのDNP情報システムが24時間365日の監視サービス等を受け持ち、一緒に展開していくことになります。

さらに、すでにDNPがソリューションとして持っているセキュリティ人材育成についても、セットで提供できる仕組みを作りました。DNPグループ全体で、導入、構築から運用、社内人材育成まで一貫した体制を初めて構築できたということになります。

こちらは、海外展開している日本企業を中心に提案していくことになると思います。内部情報漏洩対策のニーズは非常に高まっているため、この仕組みの展開を始めていきます。

放送業界向けIPフロー監視ソリューション「EoM」

放送業界向けIPフロー監視ソリューション「EoM」についてです。こちらは、海外展示会へ出展し、引き合いが増えています。コロナ禍では展示会が開催されていませんでしたが、現在は再開しているため、積極的な活動を開始したということです。

スライド右側に記載のとおり、「EoM」は、2019年にNHKと共同で開発した製品です。2022年にアメリカの特許を取得し、2023年9月には日本の特許も取得しているため、差別化しやすい製品になっています。

最近では、EBU(European Broadcasting Union:欧州放送連合)が実施する、新しいIP化推進プログラム「Live-IP Sandbox プログラム」に参加しました。ヨーロッパの複数社からPoC実施希望があり、すでに実施中の事例も出てきています。

また、ラスベガスの展示会にも出展しました。欧米を中心にPoCの引き合いが増加しており、いよいよ刈り取り期に入ってきたと感じています。

新規事業創出に向けた取組み

新規事業創出に向けた取組みをご紹介します。今までは決済領域を中心に事業拡大してきましたが、今後は決済の中でも決済DXという新たな領域に新製品をどんどん出していきます。

セキュリティ分野の売上がも伸びてきた要因には、当然ながら製品を絞ったこともありますが、「鍵管理システム(HSM)」のような製品を作り上げて市場に投入してきたこともあります。現在はスマートファクトリー向けにアプローチをかけている「AIMD」や放送業界向けの「EoM」も同様です。

2021年7月に3ヶ年中期事業計画を示し、今期が最終期です。2024年7月からは、どのような事業を進めていくのか、現在は新しい3ヶ年中期事業計画をまとめる非常に重要な時期です。今後の成長に向けては、新しい事業をどんどん創っていくことが大切だと感じています。

この3ヶ年は、どちらかというと土台作りとして「利益をどのように上げていくのか」「今までの既存のものをどのように伸ばしていくのか」「体制を作るために人員をどうやって増やし、どのように育成していくのか」という事業基盤・人財基盤・共創基盤の3つの基盤を確立することに注力してきました。ようやく、この3ヶ年でその土台が整ってきたと考えています。

次は新しい新規事業をより加速させていく時期になっていくと考えており、そのために新規事業を創出するチームを発足しています。

2019年から2023年には、ビジネスアイデアコンテストを開催しました。社員の人財育成や風土醸成としてコンテストに応募してもらい、賞金を贈呈するかたちでモチベーションをどんどん上げていく活動をしました。累計約300件のアイデアが出ており、その中で事業に結びつくためのPoCを実施したものや、投資しているものが約2件あります。

こちらも製品化に向けて進めていますが、もう少し加速させていくためには、アイデアコンテストよりも、組織を作り社員のアイデアを支援していくほうが良いと考えています。そこで今期から、「ISAP」と「BWI」という2つのチームを発足し、活動を開始しました。

「ISAP」は、新規事業創出・事業育成を担い、実行が決定した事業を支援するチームです。「BWI」は、「アイデアがまだ少し弱い」「どのように事業計画を立てたらいいのかわからない」という社員のために、人財育成・企画支援をするチームです。

この2つのチームを立ち上げ、新規事業や新規ソリューションの創出を加速させていきたいと考えています。チームで連携しながら、事業審査のフィードバックや企画のブラッシュアップを回していくことになります。

ビジネスアイデアコンテストの時からアイデアが承認されれば、現在の仕事から離れ、新規事業に専念できる制度を作っているため、良い事業ができれば、市場に投入できる仕組みはできていると考えています。

以上が、2024年6月期第3四半期までの業績および取組みになります。あと残り3ヶ月、最大限の力を注ぎ、目標達成に向けて全力で進めていきたいと思います。

質疑応答:決済事業の成長ポテンシャルについて

質問者:FEP・不正検知を利用しているお客さまに決済DXを重ね売りしていくことは、非常におもしろい動きだと思っています。今の顧客ベースを考えた際、決済事業にはあとどのくらい受注が取れるポテンシャルがあるのか教えてください。

佐藤:キャッシュレス決済比率を上げていく国の方針もあるため、キャッシュレス決済市場はどんどん拡大していくと見ています。その中で、我々も新しい仕組みをどれだけ提供できるかというのが重要だと考え、今までになく新しい仕組みの提供に関するアイデアを考え始めています。このような領域では、まず成長のポテンシャルはあります。

一方で、よく「2025年の崖」と言われますが、システム開発に関するコストを下げたり、保守を最適化したりする必要があります。それには内製化やクラウドサービスなどの提案をすることになりますが、このような既存の仕組みの再構築のような領域においても、成長のポテンシャルがあります。

今までの我々はこれらの市場におけるプレーヤーとして認識されていませんでしたが、決済DXを取り扱うことで、ようやくご認識いただけるようになりました。この変革の中、我々の技術で少しでも多く仕事をいただけるよう進めていきたいと考えています。

我々には高速分析やクラウド決済サービスの技術や実績があるため、「2025年の崖」と言われている中でも、これまでに培ってきた技術を活かしていただけるのではないかと考えています。そのような意味では、当社のビジネスは新たな市場や既存ビジネスの再構築にも領域が広がってきています。

また少し慎重に進めていますが、その先には、日本だけでなくアジアを目指したいと考えています。決済分野は我々が活躍できる市場であり、ポテンシャルも非常にあると思います。