Q3決算メッセージ

工藤智昭氏:代表取締役社長の工藤です。私から2024年3月期第3四半期の決算についてご説明します。

まずはエグゼクティブ・サマリーです。売上総利益の累計は45.2億円と、前年同四半期比20パーセント増になりました。第3四半期累計の売上総利益・営業利益はともに過去最高を更新し、順調に需要を拡大しています。

広告プラットフォーム事業は、動画やダイナミック広告の領域など、新領域で拡大が進み、売上総利益の累計は前年同四半期比13.8パーセント増となりました。

マーケティングSaaSの事業は好調に進んでいます。引き続きエンタープライズ層のお客さまの開拓が進み、売上総利益は前年同四半期比36.4パーセント増となりました。

海外事業は、Zelto社のPMIを当社主導で推進しています。売上総利益は前年同四半期比31.7パーセント増と大きく増加しており、さらなる事業基盤強化のフェーズとなっています。

トピックス CPV課金機能リリース

トピックスです。当社の広告主向け広告配信プラットフォーム「DSP」に、CPV(Cost Per View)課金機能を付けました。こちらは1回視聴するごとに課金される機能で、第3四半期にリリースしています。

当社はパフォーマンス広告といった、CPAにコミットするお客さまが非常に多いのですが、そのようなお客さまにも好評で、今はブランド広告主の開拓も進めています。CPVの商品をリリースし、DOOH広告だけでなく、Web広告でもブランド広告主を開拓しています。

トピックス JAPAN AI 新プロダクト

JAPAN AIが新プロダクトをリリースしています。「GENIEE Speech AI」という、世界最高精度かつ高速での文字起こしと話者分離を同時に実現するAIソリューションで、多くの引き合いをいただいています。

主な機能として、社内の議事録などを自動で取ることができます。議事録の中で誰が話しているか分離することも可能ですし、人工知能が議事録からアクションアイテムを導き出して営業管理ツールに登録します。また、議事録のサマリーを作ることもできます。

パーパス

当社の事業内容です。「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」というパーパスを掲げています。我々はマーケティングの複雑さや難しさを解消し、さまざまな広告主が成功できる世界を創りたいと考えています。

ジーニーグループが目指す姿

マーケティング業界では、インターネットでマーケティングする上で、さまざまなプロダクトやツールが使われています。それらのプラットフォームをジーニー1社で1プラットフォームとして提供することで、システム連携などのコストもなく、簡単にマーケティングができる世界を創っています。

我々はさまざまなプロダクトを持っていますが、エンタープライズのお客さまを中心に、ジーニーのプロダクトをいくつも同時に活用いただける例が増えています。多くのクロスセルの事例も出てきており、我々が目指す姿に一歩一歩近づいていると感じています。

ジーニーは特に高い費用対効果を重視してプロダクトを設計しています。2023年度、日本の広告業界の市況はそこまでよくなかったのですが、我々は国内トップクラスの高成長を持続できています。むしろ費用対効果が高いことから、SaaSもアドテクも、他社からの乗り換えがどんどん増えています。

事業ポートフォリオと連結売上総利益推移

事業ポートフォリオと連結売上総利益の推移です。マーケティングのプロダクトを買収したり、自社開発を行ったりして、ラインナップを増やしながら海外エリアの展開も行い、拡大を続けています。

2023年2月には北米とインドでビジネスを展開しているZelto社を買収し、PMIを行っています。Zelto社は、我々の「GENIEE SSP」と同業の会社です。

当社はこれまで東南アジア市場を中心に事業を展開してきましたが、今はインドとアメリカにも進出し、ジーニーのプロダクトを販売しています。

事業領域

スライドは、ジーニーのプロダクトを業務フローで示したものです。広告プラットフォーム事業は、ホームページに顧客を連れてくる、企業を知ってもらうという認知や集客の段階で活用するものとなっています。

マーケティングSaaS事業は、ユーザーが他の商材と比較検討して再購入し、優良顧客になっていくところまでを、SaaSを活用して分析やメール、検索、チャットなどのツールでサポートしています。

昨今の広告業界では、広告と認知、購買以降の優良顧客化のコンサルティングを行う事例が増えています。我々もそのトレンドに乗り、両事業が大きく拡大しています。特にマーケティングSaaSの需要は、業界的にも非常に高まっています。

市場規模

市場規模についてです。スライドをご覧のとおり、対象市場は急成長しています。

市場規模

我々のプロダクトは、毎年機能開発を続けてプロダクトの能力を上げ、新しいお客さまを開拓し続けています。

現在取り組んでいるプロダクトの市場は2.9兆円ですが、潜在的には5兆円を超える市場があると考えています。

FY2023 決算サマリ累計

2024年3月期第3四半期の業績です。冒頭のエグゼクティブ・サマリーでもご紹介しましたが、累計の数字はスライドをご覧のとおりです。

売上収益は前年同四半期比24.9パーセント増と成長しています。売上総利益は前年同四半期比20パーセント増の45.2億円、営業利益は前年同四半期比54.1パーセント増の12.3億円となりました。

FY2023 四半期毎業績

四半期ごとの業績推移です。売上収益は、右肩上がりで安定的に数字が伸びています。売上総利益も、QonQ・YoYともに大きく成長しています。

セグメント別 ハイライト

セグメント別のハイライトです。広告プラットフォーム事業は、売上収益が31.3億円、セグメント利益が16億円、営業利益が9.6億円となっています。

サプライサイドは未開拓であった動画領域の開拓に成功したことにより、伸長しています。また、デマンドサイドはダイナミック広告「KANADE DSP」の買収により、広告代理店との協業が加速し、大きく成長しています。

マーケティングSaaSの事業は、売上収益が19.7億円、セグメント利益が1.7億円、営業損失が4.1億円となっています。

冒頭でご説明したとおり、SFA/CRMでエンタープライズ層の開拓が進み、受託開発案件が大きく増加しています。また、広告効果測定「CATS」の領域で課金形態を変更したことにより、大きく伸びています。

海外事業は、売上収益が9.5億円、セグメント利益が1.8億円と、利益を上げながら拡大しています。今年度からZelto社分を計上しているため、大きく伸びています。またZelto社は買収後、昨年11月に過去最高の売上収益を更新しています。

セグメント別 業績割合推移

セグメント別の業績割合の推移です。ジーニーは国内の広告プラットフォーム事業からスタートした会社ですが、マーケティングSaaS事業が高い成長率で伸びており、事業の割合が30パーセントを超えています。海外事業もZelto社を起点に大きく成長しており、事業の割合が増えています。

国内プラットフォーム事業の利益は拡大しているものの、マーケティングSaaS事業と海外事業のセグメント利益はまだ小さい状況です。

広告プラットフォーム事業 事業概要

広告プラットフォーム事業についてです。広告プラットフォームの事業形態は、広告主から予算をいただいて予算や認知させたいバナー広告などを入力することで、日本中のインターネットメディアに広告配信できるプラットフォーム「GENIEE DSP」です。

「GENIEE SSP」は、インターネットメディアのマネタイズや収益化をサポートするツールで、日本一のシェアと在庫を持っています。

広告プラットフォーム事業 売上総利益推移

広告プラットフォーム事業は、第3四半期単体で見ると、YoY13.6パーセント増と大きく成長しています。特に動画広告等の領域で成果を上げて成長しています。

広告プラットフォーム事業 KPI

広告プラットフォーム事業のKPIです。社数は横ばいですが、社単は既存媒体の単価やシェアの向上により大きく伸びています。

マーケティングSaaS事業 ハイライト

マーケティングSaaS事業の状況です。売上収益は前年同期比43.3パーセント増と大きく成長しています。リカーリング比率は81.3パーセントと、受託案件等の増加もありますが、前年同期比でさらに成長しています。ARRは20億円を超え、前年同期比16.4パーセントと成長しています。

マーケティングSaaS事業 売上収益推移

売上収益はYoY36.4パーセント増と、非常に大きく成長しています。特にSFA/CRM領域ではエンタープライズ層の開拓が進み、大きく受注が加速して数字が伸びています。

マーケティングSaaS事業 KPI

マーケティングSaaS事業のKPIです。有料アカウント数は28.6パーセント増と、伸びています。解約率も1パーセント以下の水準を継続し、よい状態で事業を継続できています。

海外事業 事業概要

海外事業についてです。我々は2012年から海外事業を展開しています。2023年にZelto社を子会社化し、インドとアメリカに進出しています。

我々は、祖業であり日本ではシェアNo.1の事業「GENIEE SSP」を海外展開しています。また、Zelto社が持っているプロダクトを日本に逆輸入するなど、インターネットメディアのマネタイズ事業を行っています。

Zelto社はGoogleのパートナーでもあり、その中でも世界で数社しかもらえない「GCPP Premier Partner」に認定されました。Googleのバックアップもありながら、インターネットメディアのマネタイズを進めています。

海外事業 売上総利益推移

海外事業についてです。売上総利益はYoY31.7パーセント増と、Zelto社分を連結して大きく伸びています。

海外事業 Zelto社 PMI進捗

Zelto社のPMIの進捗状況です。第2四半期の7月から9月に私の直下のチームで赤字の解消や戦略立案を行い、前任のAnkit氏からの引き継ぎを徐々に行ってきました。

10月から12月は、既存の大型のお客さまより100パーセントリピートいただきました。アップセルができて数字が伸びていきましたし、グループのプロダクトのクロスセルも開始しています。我々がもともと持っていたアジア拠点でのビジネス統合をスタートしています。

1月から3月は、コーポレート部門や人事制度を改善し、マネジメントコストを減らすなどして、よりよい人事の仕組みを作っていこうと考えています。

また、新規営業のマーケティングを加速します。既存のお客さまだけでなく、新規のお客さまの収益も加速していきたいと思います。プロダクトのクロスセルも、やりきれてないところがあるため、さらに進めていきます。原価削減の施策を打ち、Zelto社の収益率を上げたいと考えています。

PMIは特に7月が大変でしたが、11月に過去最高の売上収益と営業利益を出すことができました。直近で新規営業も加速し、リピートも100パーセントできています。成長路線に再び乗せることができたと思っていますが、さらなる成長に向けて、さまざまな施策を打っていきたいと思っています。

計画の前提

中長期の方針についてです。前提として、アメリカの金利上昇に伴う広告単価の減退を想定しています。2025年には回復していくと考え、計画を作っています。

中期経営計画 全体方針

中期経営計画の全体方針です。これまでと変わらず、サプライサイドでさらなる市場を獲得していこうと考えています。

DSPも、国内でシェアが伸ばせる余地があるため、リテールメディアやパフォーマンス領域でシェアを拡大しています。

マーケティングSaaSは、特にSFA/CRMを中心にエンタープライズ領域からの受注を増やしています。新しくローンチしたプロダクト等もありますが、エンタープライズ層のお客さまからの受注を増やしていこうと考えています。

JAPAN AIは、生成AIを活用した新機能を作っています。こちらもお客さまの受注が進んでおり、ジーニーとの相乗効果を出しながら拡大していきます。

Zelto社は、国内サプライ・海外サプライを協業・統合し、日本のプロダクトを世界に売り出せるようにしています。逆にZeltoプロダクトを日本で販売し、収益力や競争力を高めながら、東南アジアだけでなく、インドやアメリカで市場シェアを取れるように進めています。

中期経営計画 数値目標

中期経営計画の数値目標です。第2四半期に通期業績予想の修正を行いましたが、2025年は当初の計画値を変わらず掲げており、達成に向けて邁進しています。

FY2023 通期業績予想

スライドは、2023年の通期業績予想です。

以上でご説明を終了します。ありがとうございました。