2024年3月期第2四半期決算説明

尾形浩一氏:みなさま、こんにちは。新田ゼラチンの尾形でございます。本日は2024年3月期第2四半期の決算と、2024年3月期の業績予想について説明いたします。

本日の内容はこちらになります。

会社概要

会社の概要はご覧のとおりであります。

当社はこれまで東証プライム市場に上場しておりましたが、2023年4月の東証の規則改定に伴い、スタンダード市場への再選択の機会が得られたことから、2023年6月開催の取締役会においてスタンダード市場へ選択申請することを決議し、10月20日より移行しております。

1. 2024年3月期 第2四半期 実績

それでは、まず最初に2024年3月期第2四半期の実績についてご説明いたします。

業績推移 ①: 売上高

売上高は197億1,100万円で、前年同期比5億3,100万円の増収、第2四半期累計期間としては、過去最高となりました。

フードソリューション事業及びヘルスサポート事業の販売が堅調に推移したことに加え、国内の価格改定が進んだことで売上が伸長しました。また、円安により海外グループ会社の売上が増加したことも寄与しました。

期初予想の売上高200億円に対しては、わずかに未達となりました。

連結売上高増減要因(地域別・前年同期比)

地域ごとの増減を表した図がこちらになります。日本ではグミキャンディ―の堅調な需要に加え、価格改定が進んだことにより、またインドではカプセル用のゼラチンの販売が引き続き好調に推移した結果、それぞれ大きく増収となりました。北米、アジアでは、インフレ等の影響により減収となったものの、全体では増収となりました。

業績推移 ②: 営業利益

営業利益は13億4,400万円となりました。

原材料、ユーティリティコストの上昇により、製造原価が大きく増加したことから、販管費はグループ全体で減少したものの、前年同期比では1,500万円の減益となりました。

一方で、期初予想の10億円に対しては3億4,400万円上回っております。

連結営業利益増減要因(前年同期比)

営業利益の地域別の増減を表しています。インドでは大幅な増益となりましたが、日本では原価の上昇により、減益となりました。また北米では、販管費の増加に加え、工場の稼働が依然として安定化せず、製造コストの増加により大幅な減益となったことから、全体では前年同期の実績をわずかに下回る結果となりました。

業績推移 ③: 経常利益

経常利益は、前年同期比で1億1,300万円増益となる、17億3,900万円となりました。

円安により、海外グループ会社への売掛金や貸付が円換算でプラスに作用したことによる為替差益が1億2,000万円増加したことなどが要因です。

期初予想の10億円に対しても大幅に上回る結果となりました。

業績推移 ④: 親会社株主に帰属する四半期純利益

親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同期比2億2,000万円の減益となる、6億9,000万円となりました。

特別利益と特別損失の収支がマイナスであったことや、法人税等の増加に加え、インドの子会社が大幅な増益となったことで非支配株主に帰属する四半期純利益が増加しました。

期初予想の6億円に対しては、プラス9,000万円となっています。

販売区分

ここからは各販売区分の実績について説明いたします。当社の事業セグメントはコラーゲン事業の1セグメントですが、販売区分別に食品用途のフードソリューション、健康・美容・医薬用途のヘルスサポート、その他のスペシャリティーズの3つに分けています。

販売区分別 売上高

フードソリューション、ヘルスサポートが堅調に推移したことから、スペシャリティーズでは減収となったものの、全体の売上高は対前期で増加しました。

フードソリューション

フードソリューションでは、日本でグミ用ゼラチンの売上が価格改定の効果もあり増加したほか、スープ・調味料、業務用、コンビニ向け総菜、デザートなど、各方面への売上も増加しました。北米では、グミ用の需要は堅調に推移したものの、インフレ等の影響もあり、一般食品用途への売上が減少しました。

その結果、売上高は78億8,500万円と前年同期比3億4,500万円の増収となりました。

ヘルスサポート

ヘルスサポートでは、日本においては、カプセル用ゼラチンは、販売の伸長と価格改定の効果により売上が増加した一方、美容用のコラーゲンペプチドの売上は減少しました。健康食品を販売している自社直販ルートの売上は増加しました。

北米、インドでは、カプセル用ゼラチンの需要が引き続き堅調で、売上は増加しました。コラーゲンペプチドは、北米、アジアともにインフレによる需要の鈍化や価格競争の激化により売上が減少しました。

この結果、売上高は94億3,600万円で、前年同期比3億3,800万円の増収となりました。

スペシャリティーズ

スペシャリティーズでは、写真用ゼラチンの販売が好調で売上が増加しましたが、飼料・肥料向けのリン酸カルシウム等の販売が減少したことにより、売上高は前年同期比1億5,200万円の減少となる、23億8,900万円となりました。

貸借対照表 (B/S) ①資産の部

連結貸借対照表の増減要因について、簡単に説明いたします。まず、資産の部です。

流動資産は、前期末に比べ15億2,900万円増加の、269億500万円となりました。コロナ禍以降のサプライチェーンの混乱に対応するため、在庫を積み増した影響により、たな卸資産が増加していますが、現在では、物流の混乱も是正されてきたことから、徐々に適正水準へ戻していく考えです。固定資産は、前期末に比べ3億600万円増加の、165億4,500万円となりました。生産設備の安定化及び効率化、環境保全対応などに伴う有形固定資産の増加が主な要因です。この結果、資産合計は434億5,000万円となりました。

貸借対照表 (B/S) ②負債・純資産の部

続いて、負債・純資産の部です。

流動負債は、前期末に比べ7億6,600万円減少の、119億4,400万円となりました。たな卸資産の増加に伴い、買掛金が増加しましたが、短期借入金や、その他流動負債の中の未払金などが減少しました。固定負債は、長期借入金の増加などにより、前期末に比べ4億5,200万円増加の、70億9,900万円となりました。この結果、負債合計は190億4,400万円となりました。

純資産は、前期末に比べ21億5,000万円増加の、244億600万円となりました。利益剰余金の増加による株主資本の増加や、円安に伴う為替換算調整勘定の増加による、その他の包括利益累計額の増加などが主な要因です。

キャッシュ・フロー計算書 (C/F)

キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益の増加や、売上債権の減少、また、たな卸資産の増加が改善傾向に向かいつつあることなどにより、増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得などにより、マイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減や、配当金の支払いなどにより、マイナスとなりました。

株式分布変化

2023年9月末時点では、金融機関の株式数の割合が減少し、個人の割合が増加しました。

株主還元

配当については、中長期的視野に基づく事業展開を考慮し、内部留保の充実により企業体質の強化を図りつつ、株主資本配当率1.5パーセント以上の配当に努めることを株主還元の基本方針としております。

中間配当金は期初予想どおりの8円を実施しており、1株当たりの年間配当金も、期初予想どおりの16円とさせていただく予定です。

株主優待については、スライドに記載のとおり継続していく予定です。

2. 2024年3月期 業績予想

2024年3月期通期の業績予想について説明いたします。

外部環境の認識 日本

2024年3月期通期の見通しを考える上での、外部環境の認識について説明します。

まず、日本国内においては、コロナ禍での制限緩和による、飲食などのサービス分野のリバウンド需要が回復していることに加え、訪日外国人増加によるインバウンド需要やグミやコンビニ向けデザートなど、各方面での需要増加や経済回復が進んでいます。その一方で、コロナ禍以降の世界的なインフレや円安による人件費、原材料費及びエネルギー価格の上昇・高止まりは、引き続き大きな課題であると認識しています。

外部環境の認識 海外

次に、海外では、外食、旅行、娯楽などのサービス分野の需要は回復傾向にありますが、ロシアのウクライナ侵攻が長期化しており、穀物価格、人件費及びエネルギー価格の上昇が続いています。特にヨーロッパでは、穀物不足による牛や豚の飼育頭数の減少がすでに顕在化しており、我々のビジネスにおける原料価格の上昇が懸念されます。

北米・アジアでは、景気の回復により、第2四半期までの市況は全般的に堅調に推移していましたが、今後はインフレの影響による需要の減退と、価格競争の激化といった厳しい状況が見込まれます。

今後の事業戦略

以上のような環境認識のもと、こちらのスライドにお示ししたような事業戦略を設定し、推進しています。

フードソリューションは、世界的にグミキャンディ市場の需要が増加していることから、好調な需要に確実に応えるために効率的、安定的な供給体制の確立に努めます。加えて、当社独自の技術を活かし、ユーザーのさまざまなニーズに対応する迅速な技術開発に引き続き取り組みます。

ヘルスサポートは、一般消費者向け商品の認知度向上のための広告宣伝強化と、注力顧客企業とのタイアップによる商品開発に、並行して取り組みます。北米・アジア市場では、「Wellnexブランド」の認知度拡大による競合品との差別化戦略を推進するとともに、コラーゲンペプチドの新規用途開拓に向けた市場調査、提案活動を行うことで、中長期的な需要の創出を図ります。

バイオメディカルは、前期に設立した新研究開発・製造棟「みらい館」を活用し、生産力、競争力と品質の強化に注力するとともに、営業力の強化により、グローバルでの販売拡大を目指します。

2024年3月期 業績予想

2024年3月期の通期の業績予想は、為替の影響や世界経済の先行きの見通しが不透明であることから、5月に公表した予想値を据え置き、ご覧のとおりとさせていただきます。

業績予想の考え方

業績予想の考え方について、もう少し詳しくご説明します。

日本国内では、グミやコンビニ向けデザート需要の拡大、外食、インバウンド需要の回復が続くものとみています。インドでは、カプセル用ゼラチンを中心に、堅調な需要が今後も続くものと期待しています。

一方、北米・アジアでは、インフレの影響による需要の減退と、価格競争の激化といった厳しい状況を想定しています。

為替変動につきましては、為替が円安方向に進むと、海外子会社の業績を円換算する際のレートはプラスに働きますが、同時に、国内事業の輸入原材料のコスト上昇につながることから、利益面ではマイナスに影響します。また、世界的な穀物価格、エネルギー価格、人件費等の高騰にも引き続き注視しておく必要があります。加えて、北米の工場の安定稼働に今しばらく時間を要する状況にあることも、リスク要因と認識しておかねばなりません。

第2四半期終了時点で、利益面では期初計画より上振れている状況ではありますが、こうした状況をふまえ、通期の業績予想は据え置くことといたしました。

連結 売上高、営業利益 実績・見込み推移

こちらは、連結売上高、営業利益の推移で、赤が上期、緑が通期を示しています。

当第2四半期累計期間の売上高197億1,100万円は、上期の売上高としては過去最高となりました。上期の営業利益は前期に対して若干の減益となりましたが、通期の目標である売上高400億円、営業利益21億円の達成に向けて引き続き注力してまいります。

3. トピックス

トピックスをいくつか紹介いたします。

「のせる生ジャムミックス」新発売

本年7月に、家庭でのレンジ調理用のジャムの素、「のせる生ジャムミックス」の販売を全国で開始いたしました。

国内のジャム市場は伸長しておりますが、市販品は「量が多く使い切れない」という声がある一方で、手作りのジャムは「調理や片付けが面倒」といった声があるのも実情です。家庭用の電子レンジで少量のジャムを簡単に手作りできる本商品は、こうした消費者のニーズに応えることが可能です。また、余ってしまった果物などの食材を活用することで、家庭内のフードロス削減にも貢献することができ、社会課題の解決にもつながる商品であると考えております。

ランショット共同開発 城西大学男子駅伝部 上位入賞

走り続けるアスリートのためのサポートアイテム「ランショット」を当社と共同開発し、スポンサー契約を結んでいる城西大学男子駅伝部がこの秋の学生駅伝で上位入賞を続けています。

10月9日の出雲駅伝では3位表彰台、11月5日の全日本大学駅伝でも見事5位に入賞されました。来年1月2日から3日に開催される箱根駅伝でのさらなる活躍に期待したいと思います。

コラーゲンペプチドシンポジウム開催

7月3日にオンラインにて「コラーゲンペプチドシンポジウム」を開催し、スポーツニュートリションにご興味のあるお客さまを中心に、120名の方にご参加いただきました。

今回のシンポジウムでは、ラグビーの花園近鉄ライナーズの管理栄養士である成田さまと、パーソナルトレーナー協会の理事である山本さまから、コラーゲンサプリメントの必要性や効果についてご講演をいただきました。また、ランショットのアンバサダーをしていただいているプロスポーツトレーナーの秋葉さま、アテネオリンピック女子マラソンで7位に入賞された坂本さまからは、ランショットの感想やコラーゲンサプリメントの可能性について対談形式で解説していただきました。

当社は、このようなシンポジウム開催を通じて、コラーゲンペプチドの新しい研究成果を広めるとともに、業界全体の研究開発のヒントとなるような情報発信を進め、ユーザーさまの商品開発を支援してまいります。

ライフサイエンスバイオマテリアル研究会開催

10月30日にホテルグランヴィア京都で「ライフサイエンスバイオマテリアル研究会」を開催しました。今回は4年ぶりのリアル開催となり、バイオマテリアルに興味を持つ製薬関連企業や大学、研究者の方々88名にご参加いただきました。

今後も、研究者の成果に繋がる製品と情報を発信し、未来の医療への貢献に向けて引き続き取り組んでまいります。

私からの説明は以上です。ご覧いただきありがとうございました。